センター試験_古文文法_2015~2019
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今回はセンター試験国語第3問(古文)の文法問題2015年度~2019年度です(このうち3年度で文法問題が出題)。
文法は網羅的に学習することが好ましいですが、入試で問われることには傾向があるのも事実です。センター試験の過去問をやるだけでも大いに対策となるでしょう。
入試まで時間がある方は、文法の基礎から固めて最後の確認として取り組んでみてください。
入試までの時間が限られている方や、古文にそんなに時間が割けないよという方はこれに取り組んで、その都度文法事項を覚えてみてください。
同じ文法事項が繰り返し出てきますので、重要なものは自然と覚えることができるでしょう。
また、文法だけではなくセンター試験の過去問を効果的に使いたいという方はこちらの記事を読んでみてください。
では、始めましょう。
構成は以下の通りとなっています。
今回扱う全年度の問題→年度ごとの問題→解答→解説
まずは問題に取り組みます。文法問題は本文がなくても解けることが多いですが、本文がないと厳しいものもあります。それについては問題の部分でお伝えします。
問題に取り組む際に重要なことは、正答の選択肢だけではなく間違いの選択肢も含めてそれぞれの文法的説明ができるかどうかです。
これが自分で完璧にできたら解答だけの確認でいいでしょう。
1つでも説明ができなかった、もしくは説明が合っているか不安なものがあった場合は解説を読みましょう。
この解説の内容を「もの」にしていくことが、今回の目的です。
その年度では間違いの選択肢でも、他の年度では正答するために必要なことがあります。自分で説明できるまで繰り返してみてください。
[全問題]
2015年度
敬語
2016年度
傍線部a~eの「の」を、意味・用法によって三つに分けると、どのようになるか。その組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 鬼どもの我に唾を吐きかけつるによりて
b 尊げなる僧出(い)でて、男の傍らに立ちて、告げてのたまはく
c (注)牛飼の童のいと恐ろしげなる、大きなる牛を引きて会ひたり
d 扉の迫(はさま)の人通るべくもなきより入るとて
e 男の手を取りて引き入るれば
(注) 牛飼の童――牛(ぎっ)車(しゃ)の牛を引いたり、その牛の世話をしたりする者。「童」とあるが、必ずしも子どもとは限らない。
① 〔a〕と〔be〕と〔cd〕
② 〔ab〕と〔cd〕と〔e〕
③ 〔a〕と〔bc〕と〔de〕
④ 〔ad〕と〔be〕と〔c〕
⑤ 〔a〕と〔bd〕と〔ce〕
2017年度
傍線部a~eの助動詞を、意味によって三つに分けると、どのようになるか。その組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 目馴れ給はぬものから
b これも尼にやあらむ
c かくはそむきぬらむと
d 「いざ、とく臥し給ひね」
e 夢ならぬ御枕上に
① 〔 a 〕と〔bce〕と〔 d 〕
② 〔 a 〕と〔 be 〕と〔 cd 〕
③ 〔ace〕と〔 b 〕と〔 d 〕
④ 〔 ad 〕と〔 b 〕と〔 ce 〕
⑤ 〔 ae 〕と〔 b 〕と〔 cd 〕
2018年度
「身にしむばかり細やかにはあらねばにや」についての文法的な説明として適当でないものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 打消の助動詞「ず」が一度用いられている。
② 断定の助動詞「なり」が一度用いられている。
③ 仮定条件を表す接続助詞「ば」が一度用いられている。
④ 疑問を表す係助詞「や」が一度用いられている。
⑤ 格助詞「に」が一度用いられている。
では、年度ごとに解答・解説をしていきます。
[問題]
2016年度
傍線部a~eの「の」を、意味・用法によって三つに分けると、どのようになるか。その組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 鬼どもの我に唾を吐きかけつるによりて
b 尊げなる僧出(い)でて、男の傍らに立ちて、告げてのたまはく
c (注)牛飼の童のいと恐ろしげなる、大きなる牛を引きて会ひたり
d 扉の迫(はさま)の人通るべくもなきより入るとて
e 男の手を取りて引き入るれば
(注) 牛飼の童――牛(ぎっ)車(しゃ)の牛を引いたり、その牛の世話をしたりする者。「童」とあるが、必ずしも子どもとは限らない。
① 〔a〕と〔be〕と〔cd〕
② 〔ab〕と〔cd〕と〔e〕
③ 〔a〕と〔bc〕と〔de〕
④ 〔ad〕と〔be〕と〔c〕
⑤ 〔a〕と〔bd〕と〔ce〕
[解答]
①
[解説]
これまでは助動詞について問われてきましたが、助詞についても問われています。
とはいえ、助詞は訳すことができれば大丈夫です。
このブログの最後に訳せるようにしておくべき助詞のまとめをつけておきます。
今回は格助詞「の」です。
「の」の訳は次の4つを押さえます。
①~が(主格)
古文を読んだことがあるならば、これは大丈夫でしょう。「我の行く」のように「体言+の+用言」の場合は主にこれです。
②~の(連体修飾格)
現在と同じ用法です。「仁和寺の法師」のように「体言+の+体言」の場合は主にこれです。
③~で(同格)
「の」の用法ではこれが最も重要です。問われるのはこれだと思ってください。
ですので、詳しく説明します。
「雨降る夜の雨交じり雪降る夜は」や「白き鳥の、嘴(はし)と脚と赤き、鴫(しぎ)の大きさなる」のように
「の」の上の体言を「の」の下にある連体形の下に補えるときの「の」は同格で「で」と訳す
と覚えます。先の2つの例を使って見てみます。
雨降る夜の雨交じり雪降る夜は
「の」の上の「夜」を「の」の下にある連体形「降る」の下に補うことができる(とういうか、この例では「夜」が省略されていませんが)ので、この「の」は同格で「で」と訳します。
すなわち、「雨が降る夜で、雨が交じり雪が降る夜は」と訳します。
白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる
「の」の上の「鳥」を「の」の下にある連体形「赤き」「大きさなる」の下に補うことができるの、この「の」は同格で「で」と訳します。
すなわち、「白い鳥で、クチバシと脚とが赤い鳥で、鴫の大きさの鳥が」と訳します。
④~のもの(体言の代用)
これも今も使います。「それ、私の」の「の」です。
この説明の量からも分かるように、③同格が重要です。これが判断できれば「の」に関する設問は解けることが多いです。
a 一見すると「鬼どもの我」と「体言+の+体言」となりますが、「鬼たちの私」というのがおかしいのは明白です。「鬼たちが私に唾を吐きかけた」と訳せるでしょう。
b 「男の傍ら」と「体言+の+体言」ですので、そのまま「男の側」です。とはいえ、「男が側に立って」の可能性も否定できません。この一文だけでは判断できなくても構いません。その場合は、他の選択肢で正答できます。もしくは、本文を見れば(文脈が分かれば)明らかにどちらか分かります。
c 「の」の上の「童」を「の」の下の連体形「恐ろしげなる」の下に補うことができます。すなわち「牛飼いの童でとても恐ろしそうな童子が」と訳せます。
なお「童なのに恐ろしい?」と思うかもしれません。「童」からイメージするのは「子ども」だからです。しかし、注に「必ずしも子どもとは限らない」とわざわざ書いてくれています。なぜ、こんな注があるのか。それは「童なのに恐ろしい?」という受験生の疑問を解消してくれるヒントをくれているからなのです。
このように注はとても重要です!必ず確認して、必要以上の説明があるときには何らかのヒントをくれていると思いましょう。
d 「の」の上の「迫」を「の」の下の連体形「なき」の下に補うことができます。すなわち「扉の隙間で人が通ることができない隙間から」と訳せます。
e 「男の手」と「体言+の+体言」ですので、そのまま「男の手」です。とはいえ、「男が手を取って」の可能性も否定できません。この一文だけでは判断できなくても構いません。その場合は、他の選択肢で正答できます。もしくは、本文を見れば(文脈が分かれば)明らかにどちらか分かります。
ということで、「cdが同格の『で』だ!」というのは確実です。このような選択肢になっているのは①と②だけです。
①と②のどちらかの判断は本文があれば問題なくできますので、もし②にしてしまった方も安心してください。
[問題]
2017年度
傍線部a~eの助動詞を、意味によって三つに分けると、どのようになるか。その組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 目馴れ給はぬものから
b これも尼にやあらむ
c かくはそむきぬらむと
d 「いざ、とく臥し給ひね」
e 夢ならぬ御枕上に
① 〔 a 〕と〔bce〕と〔 d 〕
② 〔 a 〕と〔 be 〕と〔 cd 〕
③ 〔ace〕と〔 b 〕と〔 d 〕
④ 〔 ad 〕と〔 b 〕と〔 ce 〕
⑤ 〔 ae 〕と〔 b 〕と〔 cd 〕
[解答]
⑤
[解説]
a 「未然形+ぬ+連体形接続の語」の「ぬ」は打消「ず」の連体形です。
「給は」の「は」のように「a」の音は100%未然形ですから、見た瞬間に未然形に接続している「ぬ」だから打消!と分かってほしいところです。
打消「ず」の活用は「ず・ざら/ず・ざり/ず/ぬ・ざる/ね・ざれ/ざれ」と覚えます。20回言えば覚えることができます。
また、「ぬ」の下の「ものから」は逆接の接続助詞です。「ものの・ものを・ものから」の3つをセットに「もの系は逆接」と覚えておきましょう。
b 「に+○+あり」の「に」は断定「なり」連用形です。
c 「つらむ」「ぬらむ」の「つ」「ぬ」は完了が強意になる用法です。見た瞬間に分かってほしいところです。
完了の助動詞「つ」「ぬ」に推量の助動詞「む」「べし」「らむ」「けむ」などが付いている場合は、「つ」「ぬ」は完了ではなく「強意」の意味となり「きっと~だろう」「必ず~だろう」などと訳します。よく出てくる次の形は覚えておきます。
「てむ・なむ」「つべし・ぬべし」「つらむ・ぬらむ」
この3パターンが頻出です。
d 「給ひ」という連用形に接続しているので、この「ね」は完了「ぬ」命令形です。
「連用形+ね」は完了と判断できます。
文末は基本的に終止形ですが、そうでなければ命令形です。
例外が文中に係助詞がある係り結びです(「ぞ・なむ・や・か」があれば連体形、「こそ」があれば已然形)。
今回は係助詞はありませんから、命令形と判断できます(終止形はラ変以外すべて「u」の音で終わりますから)。単純に「ね」を「u」の音(終止形=基本形)に直しても「ぬ」だと分かります。
e 「未然形+ぬ+体言」の「ぬ」は打消「ず」の連体形です。
[問題]
2018年度
「身にしむばかり細やかにはあらねばにや」についての文法的な説明として適当でないものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 打消の助動詞「ず」が一度用いられている。
② 断定の助動詞「なり」が一度用いられている。
③ 仮定条件を表す接続助詞「ば」が一度用いられている。
④ 疑問を表す係助詞「や」が一度用いられている。
⑤ 格助詞「に」が一度用いられている。
[解答]
③
[解説]
品詞分解すると「身/に/しむ/ばかり/細やかに/は/あら/ね/ば/に/や」となります。
「名詞/助詞/助詞/形容動詞・連用形/助詞/ラ変動詞・未然形/打消「ず」已然形/助詞/断定「なり」連用形/係助詞」です。
覚えておくべきポイントは以下の通りです。
①「~かに」「~げに」の形は形容動詞の連用形の可能性が高い。
②「未然形+ね+已然形接続の語」の「ね」は打消「ず」已然形である。
③「にや」「にか」の下には「あらむ」が省略されており、「に+あり」の形だからこの「に」は断定「なり」連用形である。
④「未然形+ば」は「もし~ならば(仮定)」、「已然形+ば」は「①~ので・から②~と・ところ」と訳す。
以上4点を押さえると正答できます。
この年度も助詞が絡んでいますが、訳すことができれば大丈夫です。
「已然形+ば」を「①~ので・から②~と・ところ」と訳すことを知っていれば「仮定条件」はおかしいと誰でも分かります。
解説はこれで終わりです。
助動詞は同じ文法事項が繰り返し出題されていることが分かります。
ここ数年で新たに問われている(といっても「訳」の問題はこれまでも問われています)助詞について、覚えるべきものをお伝えします。
なお、難しい用語を載せているものもありますが無理に覚えずに、まずは「訳」ができるようにします。その上で余裕があれば用語も覚えましょう。
①格助詞
・が、の
2016年度で説明した通りです。
「の」と「が」は同じです。
特に「我が家(私の家)」のような形は本文によく出てきます。
・より
「~から」「~より」「~によって」は現在と変わりませんので、何となく訳せるでしょう。
覚えるべきは「~するやいなや」という即時の用法があることです。
例:名を聞くより、やがて面影は推し量らるる心地する(名を聞くやいなや、すぐに面影が自然と推量される)
このように訳すことがあることは知っておきましょう。
②接続助詞
・ば
2018年度で説明した通りです。
「未然形+ば」…順接の仮定(もし~ならば)
「已然形+ば」…順接の確定条件(①~ので、から②~と、ところ)
・とも
逆接の仮定条件(もし~だとしても)
現在も「行くとしても」のように近い形があるので問題ないでしょう。
「と」の上は終止形ですから、これも終止形接続です。
・ど、ども
逆接の確定条件(~けれども、のに)
現在と形が同じだから問題ないですね。
已然形接続だということは知っておくといいでしょう。
・ものの、ものを、ものから
逆接の確定条件(~けれども、のに)
必ず覚えておきます。頻出です。
「もの系」は逆接!
・で
打消接続(~ないで)
現在でも「行かないで」と使いますが、古文では「ない」がなく「で」だけで表します。
未然形接続ということも知っておきましょう。
③係助詞
・ぞ、なむ
強意で文末を連体形にします。
訳す必要はありません。
・や、か
疑問、反語で文末を連体形にします。
「~か」「~か、いや~ない」と訳します。記述の場合には必ずちゃんと訳します。
・こそ
強意で文末を已然形にします。
訳す必要はありません。
④副助詞
・だに、すら、さへ
「だに・すら・さへ・までも」と20回言って覚えます。
この意味は「だに・すら」は「さへ」と訳し、「さへ」は「までも」と訳す、です。
特に「すら」や「さえ」は現在も使いますが、古文ではそのまま訳しませんので、このように覚えます。
また、「だに」は「せめて~だけでも(最小限の願望)」と訳す場合もあります。
「だに」の下に「意志、願望、命令」を表す語がある場合は最小限の願望になります。
すなわち「せめて~だけでもしよう・してほしい・したい・しなさい」となります。
・し
強意の副助詞です。
訳す必要はありませんが、「し」の識別で問題になることがあります。
特に次の形は知っておきましょう。
「しも・しぞ」の「し」は強意の副助詞
「動詞+し+動詞」の「し」は副助詞(「生きとし生けるもの」など)
⑤終助詞
・ばや、てしがな、にしがな
自己願望(~たい)です。
特に「未然形+ばや」は訳の問題で頻出です。
・もがな、がな
願望(~があったらなぁ)
「てにがな、にしがな」と合わせて「がな」みたいな音は願望と覚えましょう。
・なむ
他者願望(~てほしい)です。
願望の終助詞の中でこれのみ他者願望となり重要です。
また、「なむ」の識別でも問われます。
「未然形+なむ」の「なむ」は「~てほしい」と訳すと覚えておきましょう。
・かし
念押し(~だよ)
訳せるようにしておきます。
以上の助詞を覚えておけば、センター試験は大丈夫です。
ぎゅっとまとめたので、少ないと感じるかもしれませんが大丈夫です。
頑張ってください。
では、これで終わります。
他の年度の古文文法問題はこちらです。
センター対策の古文単語や文法、漢文の重要漢字や句法を確認する場合はQuizletが便利です。
次の記事もぜひご覧ください。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。
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