長野大学_国語_2023(令和5)年度_一般選抜中期日程_第1問・第2問
こんにちは。きんこです。
長野大学2023年度(令和5年度)一般選抜中期日程の国語第1問・第2問の解答解説です。
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このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。
まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
この読み方、解き方を徹底することで入試問題を解けるようになるでしょう。
ぜひ身につけてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
長野大学のサイトで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。
では、始めます。
はじめに解答をお示しし、その後解説をお伝えします。
[解答]
1 語句
問1
(1)⑤ (2)⑤ (3)① (4)③
問2
(1)③ (2)② (3)④
問3
(1)② (2)③ (3)②
2 森博嗣『自分探しと楽しさについて』
問1
自分が求めている生き方が分からず、じっくりと考えている状態。(30字)
問2
ウ
問3
A…イ
B…エ
C…ウ
問4
ア
問5
自分の生き方のヒントになるようなものや、自分の背中を押してくれるような言葉。(38字)
[解説]
1 語句
問1 語句の意味
幅広く語句の意味が問われます。
市販の現代文単語帳や語句の問題集を1冊仕上げましょう。
幅広い語句が問われるため、いわゆる評論語だけではなく四字熟語や故事成語、慣用句、カタカナ語なども収録されているものをオススメします。
また、教科書や問題集、模試、日常生活などでわからない言葉が出てきたら、その都度調べることを習慣としましょう。
問2 語句
問1の逆パターンで、意味から語句を選ぶことが問われます。
対策は問1と変わりません。
なお、カタカナ語を幅広く収録しているものはなかなかありません。
Quizletというアプリで「カタカナ語カード」を作成してあるので活用してみてください。
Quizletや、その使い方については次のリンクからどうぞ!
問3 語句の用例
語句の正しい使い方を答える問題です。
慣用的な使い方を意識しましょう。
たとえば、(1)④の「機微に富んだ」は正しくは「機知に富む」という慣用表現です。
基本的な対策は問1と変わりません。
2 森博嗣『自分探しと楽しさについて』
形式段落での説明になります。
1~10まで形式段落に番号を振ってください。
問1 内容説明
傍線部は本文・形式段落1の「はじめ」にありますので、この形式段落か、ここから始まる意味段落か、本文全体で説明がされていくと考えます。
つまり、傍線部付近で答えることができるかもしれないし、最後でまとめられるかもしれません。
そのような意識で読んでいきます。
形式段落1
はじめ…「自分を探す」というのは、奇妙な言葉だ。
おわり…目的と種皮王がちゃらんぽらんな感じがして、非常に不思議だ。
ここでは、「自分を探す」のがどのような状態かは述べられておらず、「奇妙」なことの説明で終わっています。
形式段落2
はじめ…ようするに、じっくりと考える時間が欲しい、というだけのことかもしれない。
おわり…そういう能力(海外の田舎とかで自分が求めている生き方が見つかると信じる想像能力)のある人は、自分を見つけられるだろう。
形式段落1をうけて「ようするに」で始まっています。
「ようするに」は、まとめをあらわすことばです(「つまり」などと同じ)。
てことは、「イコール」ですね。
形式段落1で述べた「自分を探す」ことをまとめてくれていると分かります。
「自分を探す」状態とは
じっくりと考える時間が欲しい
状態だと判断できます。
では、「何」を考えるのでしょうか。
それを明確にするために、形式段落3を見ます。
形式段落3
はじめ…簡単にいえば、自分が何を欲しがっているのかがわからない、という状態かもしれない。
おわり…他者の生き方を観察し、誰かの真似をしようとすると、必ず無理が生じる。
形式段落2をうけて「簡単に言えば」で始まっています。
当然、「イコール」ですね。
「自分を探す」状態とは
自分が何を欲しがっているのかがわからない、という状態
だと判断できます。
てことは、形式段落2で保留になっていた、考える「何か」は「自分が欲しがっているもの」となるでしょう。
つまり、「自分を探す」状態とは
自分が欲しがっているものがわからず、それをじっくりと考える時間が欲しい状態
と言えそうです。
では、「自分が欲しがっているもの」とは何でしょうか。
形式段落3の「はじめ」は形式段落2の「おわり」から繋がっています。
すると、「自分が欲しがっている何か」が具体的に述べられていることが分かるはずです。
そう、「自分が求めている生き方」ですね。
これを書いてあげます。
自分が求めている生き方がわからず、それをじっくりと考える時間が欲しい状態。(37字)
これを30字以内にしてあげます。
「時間が欲しい」とありますが、形式段落2や3、次の4から分かるように、実際に考えているわけですから「時間が欲しい」はカットしてしまいしょう。
自分が求めている生き方が分からず、じっくりと考えている状態。(30字)
問2 理由説明
傍線部は形式段落3の「おわり」にあります。
しかも、「つまり」で始まっています。
形式段落3の「まとめ(こういうことだよ)」の部分だと分かります。
ということで、形式段落3の「なか」に説明があると考えます。
逆接の「ところが」がありますから、その後に注目しましょう。
自分の生き方はどこにもない。似たようなものはあっても、自分にマッチするかは分からない。
つまり、自分と他者は違うから傍線部だと述べているわけですね。
てことで、答えはウです。
ちなみに、エやオは形式段落4、5の内容です。
形式段落3とこれらの関係は分かっていますか?(超大事ですよ!)
形式段落3の「おわり(傍線部)」の具体例(無理が生じている)です。
ここは傍線部と「イコール」の関係なんですね。
だから、理由ではありません。
問3 空欄補充
空欄補充問題は、前後の文脈から判断することが鉄則です。
では、各空欄を見ていきましょう。
A
万能薬はない→どんなに(空欄)が認められている方法「であっても」→人間の場合、効く場合もあれば効かない場合もある
という流れです。
ポイントは「であっても」です。
これは逆接ですね。
「効いたり効かなかったり」の逆の内容になるように空欄にことばを入れます。
「効いたり効かなかったり」の逆ということは、「必ず効く」もしくは「必ず効かない」となるでしょう。
「万能薬はない」という流れですから、「必ず効く」というような内容が入りますね。
「有効性」です。
B
情報を広く集めて(空欄)として解説→こういう全体傾向があると示し「ても」→ある一人に効き目がなければ価値はない
という流れです。
情報を広く集める=空欄=全体傾向
ということが分かります。
さらに、逆接の「ても」があります。
「ある一人に効くかどうか」の逆の内容になるように空欄にことばを入れます。
「ある一人」ではなく「皆・全体」という内容が入りそうです。
「一般論」しかありませんね。
ちなみに「一般」の対義語は「特殊」です。
C
そういう人は…言葉を見つけようとしている。→自覚はないかもしれない「が」→(空欄)にそう見える。
という流れです。
これまた逆接の「が」がありますね。
「自覚がないかもしれない」つまり、そういう人には「そういう意識、気持ち、考え」がないと言っている訳です。
これと逆の内容のことばを入れます。
「客観」がありますね。
さきほどの「そういう意識、気持ち、考え」は「主観」と言えます。
今回はA~Cすべて、「逆接」がポイントになっていました。
こんなことは珍しいですが、「逆接」を意識することは大切だということが分かったのではないでしょうか。
問4 空欄補充
空欄補充の問題は、前後の文脈を確認して考えます。
空欄は形式段落10の「はじめ」にあります。
また、本文全体の「おわり」にあるとも言えます。
この両面から考えていきましょう。
形式段落10の「はじめ」にあるので、形式段落9をうけています。
形式段落9は「たとえば」で始まっていることから分かるように具体例です。
では、何の具体例なのでしょうか。
それは、形式段落8の「おわり」の「そういう人は…言葉を見つけようとしている」です。
つまり、「『自分探し』のヒントや言葉を見つけようとしている」ことの具体例をうけて、「結局のところ」とつながっています。
「結局のところ」は「イコール」ですから、「『自分探し』のヒントや言葉を見つけようとしている」ことと同じことを述べようとしていることが分かります。
また、空欄は主語になっています。
「は」の後は
背中を誰かに叩いてもらいたい、という気持ちから生じる
です。
これは先ほどの「『自分探し』のヒントや言葉を見つけようとしている」の後半と同じですね。
てことは、空欄には「自分探し」が入ると判断できます。
次に、空欄が本文全体の「おわり」にあるという方向で考えてみます。
本文の「はじめ」は「自分を探す」の説明から始まっていました。
この文章は「自分を探すこと」について述べてきたわけです。
ということは、「おわり」では「自分を探すっていうのは、こういうことだよね」となっていると考えられます。
こちらからも、形式段落10の「はじめ」にある主語が「自分探し」になるのではないかと分かります。
では、選択肢を見てみましょう。
ずばっと「自分探し」があればいいのですが、どうやら具体的なことが書かれているようです。
この中で「自分探し」になっているのは、どれか探します。
アですね。
もしかすると、ウを選んでしまったかもしれません。
これは「普段の生活とはまったく違うことを体験して自分を探す」が違います。
違うことを体験することが、「自分を探す」ことだとは述べられていません。
問5 内容説明
傍線部は形式段落8の「はじめ」にあります。
ということは、これの説明が「なか」にあるはずです。
確認すると
そういう人は、大きく期待はしていないものの、少しでもヒントになるようなもの、あるいは、自分に勢いをつけてくれる言葉を見つけようとしている
が見つかります。
これが多くの人が求めているものでしょう。
短くすると
ヒントになるようなもの、自分に勢いをつけてくれる言葉。(27字)
「ヒントになる」とありますが、「何」の「ヒント」なのでしょうか。
本文を読み、問1などを考えてきたならば分かりますね。
「自分の生き方のヒント」です。
入れてあげます。
自分の生き方のヒントになるようなもの、自分に勢いをつけてくれる言葉。(34字)
これでもいいかもしれませんが、後半がイマイチよく分かりませんね。
もっといい表現にしてあげましょう。
ここの部分(形式段落8の「おわり」)をうけて、形式段落9に具体例が述べられていました。
そこには、次のような表現があります。
ぽんと背中を叩かれる
自分を叩いてくれた
また、これをまとめた形式段落10の「はじめ」にも似たような表現があります。
背中を誰かに叩いてもらいたい
これらから、「自分に勢いをつけてくれる=自分の背中を叩いてくれる」だと分かります。
慣用表現的には「背中を押す(押してもらう)」の方が「自分に勢いをつけてくれる」に合いますので、そちらを使ってまとめましょう。
自分の生き方のヒントになるようなものや、自分の背中を押してくれるような言葉。(38字)
以上が第1問、第2問の解説です。
第1問、第2問ともに語彙力が求められていることが分かったと思います。
語句の参考書や先ほど紹介したQuizletなどでの学習は必須です。
また、私が紹介している「文章の読み方」を知っていれば、空欄補充問題も記述問題もできることも分かったのではないでしょうか。
「文章の読み方」は知っているかどうかです。
それほど時間はかかりませんので、読んでみてくださいね。
しつこいですが、リンクをはっておきます。
長野大学の入試問題は漢字などの語句の問題に始まり、文脈から解ける空欄補充、基本的な読解力、表現力などを問うてきます。
それは、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜で同じ傾向です。
自分が受験する選抜区分だけでなく、他の過去問もやってみることをオススメします。
2023年度の学校推薦型で語句の問題として出題された「サブスクリプション」は、2021年度の中期日程で語句問題の選択肢として登場していました。
どう考えても、過去問はすべてやったほうがいいですよね。
頑張ってください。
では、これで終わります。
他の年度や国語の勉強の仕方はこちらからご覧ください。
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