センター試験_古文文法_2001~2008
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今回はセンター試験国語第3問(古文)の文法問題2001年度~2008年度です(このうち5年度で文法問題が出題)。
文法は網羅的に学習することが好ましいですが、入試で問われることには傾向があるのも事実です。センター試験の過去問をやるだけでも大いに対策となるでしょう。
入試まで時間がある方は、文法の基礎から固めて最後の確認として取り組んでみてください。
入試までの時間が限られている方や、古文にそんなに時間が割けないよという方はこれに取り組んで、その都度文法事項を覚えてみてください。
同じ文法事項が繰り返し出てきますので、重要なものは自然と覚えることができるでしょう。
また、文法だけではなくセンター試験の過去問を効果的に使いたいという方はこちらの記事を読んでみてください。
では、始めましょう。
構成は以下の通りとなっています。
今回扱う全年度の問題→年度ごとの問題→解答→解説
まずは問題に取り組みます。文法問題は本文がなくても解けることが多いですが、本文がないと厳しいものもあります。それについては問題の部分でお伝えします。
問題に取り組む際に重要なことは、正答の選択肢だけではなく間違いの選択肢も含めてそれぞれの文法的説明ができるかどうかです。
これが自分で完璧にできたら解答だけの確認でいいでしょう。
1つでも説明ができなかった、もしくは説明が合っているか不安なものがあった場合は解説を読みましょう。
この解説の内容を「もの」にしていくことが、今回の目的です。
その年度では間違いの選択肢でも、他の年度では正答するために必要なことがあります。自分で説明できるまで繰り返してみてください。
[全問題]
2001年度
(a)~(c)の空白部分にはすべて補助動詞「侍り」が入る。正しい活用形を、次の①~⑥のうちから、それぞれ一つずつ選べ。
(a) 心あらん人はたづね見て心得られ ( ) べきか。
(b) 「家の秘説は我こそ習ひ伝へて ( ) 」
(c) 明察の御代に皆あらはれ ( ) ぬるにこそ。
① 未然形「侍ら」 ② 連用形「侍り」
③ 終止形「侍り」 ④ 連体形「侍る」
⑤ 已然形「侍れ」 ⑥ 命令形「侍れ」
2002年度
なし
2003年度
敬語
2004年度
傍線部a~fの「る」に対する文法的説明として正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 戸口さへさながらなるに
b 雨をさそへる秋風はた寒く
c いとわびしく降りしきるに
d 梢(こずゑ)にかかれる葛(かづら)のさまなど
e いととく醒(さ)むなるものを
f 思ひ続くることどもの多かるを
① a、eは、いずれも断定の助動詞の一部である。
② b、dは、いずれも完了・存続の助動詞である。
③ c、fは、いずれも動詞の活用語尾である。
④ a、eは、いずれも伝聞・推定の助動詞の一部である。
⑤ b、dは、いずれも動詞の活用語尾である。
2005年度
敬語
2006年度
傍線部a~dの「ん」の文法的意味の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a ほかの思ひ出これならんかし。
b 言はまほしからんことあらば
c かまへて亡(なき)骸(がら)を損なはでをさめてん。
d ゆかしがりつるものを見せんと
① a 婉曲 b 推量 c 勧誘 d 意志
② a 推量 b 婉曲 c 勧誘 d 意志
③ a 推量 b 意志 c 婉曲 d 勧誘
④ a 意志 b 婉曲 c 勧誘 d 推量
⑤ a 婉曲 b 推量 c 意志 d 勧誘
2007年度
傍線部a~dの「に」の文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a おのづから慰むかたもあるにや、
b いとしめやかにて
c 過ぎにしことども
d 小さき童女(わらは)の御前に候ひしを
① a 接続助詞 b 格助詞 c 完了の助動詞 d 断定の助動詞
② a 接続助詞 b 格助詞 c 断定の助動詞 d 断定の助動詞
③ a 格助詞 b 形容動詞の活用語尾 c 完了の助動詞 d 断定の助動詞
④ a 断定の助動詞 b 形容動詞の活用語尾 c 断定の助動詞d 格助詞
⑤ a 断定の助動詞 b 形容動詞の活用語尾 c 完了の助動詞d 格助詞
2008年度
傍線部a~cの文法的説明として正しい組合せを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 我には、定まれる夫侍り。
b 「いかなる人にや」
c 送りし者に右のあらまし語り
① a 自発の助動詞 b 格助詞 c 過去の助動詞
② a 自発の助動詞 b 断定の助動詞 c サ行変格活用の動詞
③ a 下二段活用の動詞の一部 b 格助詞 c サ行変格活用の動詞
④ a 完了の助動詞 b 断定の助動詞 c サ行変格活用の動詞
⑤ a 完了の助動詞 b 断定の助動詞 c 過去の助動詞
では、年度ごとに解答・解説をしていきます。
[問題]
2001年度
(a)~(c)の空白部分にはすべて補助動詞「侍り」が入る。正しい活用形を、次の①~⑥のうちから、それぞれ一つずつ選べ。
(a) 心あらん人はたづね見て心得られ ( ) べきか。
(b) 「家の秘説は我こそ習ひ伝へて ( ) 」
(c) 明察の御代に皆あらはれ ( ) ぬるにこそ。
① 未然形「侍ら」 ② 連用形「侍り」
③ 終止形「侍り」 ④ 連体形「侍る」
⑤ 已然形「侍れ」 ⑥ 命令形「侍れ」
[解答]
a ④ b ⑤ c ②
[解説]
a 接続の問題です。空欄は「べき」にの上にあります。推量「べし」は終止形接続(ラ変は連体形)です。「侍り」はラ変ですから連体形「侍る」が入ります。
終止形接続の助動詞を確認しておきます。
「べしまじらしらむめりなり[伝聞推定]」(べし・まじ・らし・らむ・めり・なり)です。20回声に出せば覚えることができます。
なお、終止形接続なのに「なぜラ変は連体形なの?」と思うかもしれません。
それは終止形接続の助動詞は「u」の音に接続するからです。ラ変の終止形は「り」で「i」の音になってしまいますので、ラ変だけは特別に連体形「る」に接続するというわけです。
b 文末にあります。文末は基本的には終止形ですが、問題になっているときは「たぶん終止形ではありません」。文末で終止形なんて当たり前すぎて問題にしないからです。
ということで、文末が問題になっている場合、文中に係助詞があって係り結びになっているはずです。
「ぞ・なむ・や・か」があれば文末は連体形に、「こそ」があれば文末は已然形になるのでした。
今回は「こそ」がありますから、已然形「侍れ」です。
c 接続の問題です。空欄は「ぬる」の上にあります。完了「ぬ」は連用形接続です。連用形「侍り」が入ります。
連用形接続の助動詞を確認しておきます。
「きけりつぬたりたしけむ」(き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ)です。これも20回声に出して覚えましょう。
aで確認した終止形接続と合わせれば、ほぼ全ての助動詞の接続を覚えたことになります。この2つ以外に、完了存続の「り」は「さみしい(サ未四已)『り』かちゃん」、断定の「なり」は体言・連体形を覚え、これら以外は未然形接続と判断します。
[問題]
2004年度
傍線部a~fの「る」に対する文法的説明として正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 戸口さへさながらなるに
b 雨をさそへる秋風はた寒く
c いとわびしく降りしきるに
d 梢(こずゑ)にかかれる葛(かづら)のさまなど
e いととく醒(さ)むなるものを
f 思ひ続くることどもの多かるを
① a、eは、いずれも断定の助動詞の一部である。
② b、dは、いずれも完了・存続の助動詞である。
③ c、fは、いずれも動詞の活用語尾である。
④ a、eは、いずれも伝聞・推定の助動詞の一部である。
⑤ b、dは、いずれも動詞の活用語尾である。
[解答]
②
[解説]
a 品詞分解すると「戸口/さへ/さながら/なる/に」となります。
「さながら」は「そのまま、すべて」という意味の重要単語です。
ということで「なる」は断定「なり」の連体形です。「る」は断定「なり」の一部です。
b 「る・れ」の上がeの音の場合、完了存続の「り」です。
c 品詞分解すると「いと/わびしく/降りしきる/に」となります。
「る」は「降りしきる」という動詞の一部(活用語尾)です。
d 「る・れ」の上がeの音の場合、完了存続の「り」です。
e 品詞分解すると「いと/とく/醒む/なる/ものを」となります。
「醒む」はマ行下二段活用なので、この「なる」は終止形に接続していることが分かります(「醒む」の連体形は「醒むる」)。
ということは、この「なり」は伝聞推定です(断定「なり」は体言・連体形接続)。
「る」は伝聞推定「なり」の一部です。
f 品詞分解すると「多かる/を」となります。
ク活用の形容詞「多し」の連体形の一部(活用語尾)です。
もし、この「る」が助動詞だとすると「多か/る/を」となり「多か」って?となってしまいますね。
[問題]
2006年度
傍線部a~dの「ん」の文法的意味の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a ほかの思ひ出これならんかし。
b 言はまほしからんことあらば
c かまへて亡(なき)骸(がら)を損なはでをさめてん。
d ゆかしがりつるものを見せんと
① a 婉曲 b 推量 c 勧誘 d 意志
② a 推量 b 婉曲 c 勧誘 d 意志
③ a 推量 b 意志 c 婉曲 d 勧誘
④ a 意志 b 婉曲 c 勧誘 d 推量
⑤ a 婉曲 b 推量 c 意志 d 勧誘
[解答]
②
[解説]
「む(ん)」の訳し分けです。次の手順で判断します。
①文末か文中か確認する。
・文末なら「スイカ(推量・意志・勧誘)」
・文中なら「カエ(仮定・婉曲)」
②文末の場合
・下に「と」があれば意志の可能性が高い。
・「だろう」と訳せれば推量、「~よう」と訳せれば意志。
・勧誘の判断は難しいので、とりあえずしない。センターレベルでは「勧誘」の判断を求めることが正答の根拠になることはありません。
③文中の場合
・センターレベルでは仮定か婉曲かを判断できなくても正答できます。
・覚えることができるなら、助詞に続いていれば仮定、体言(名詞)に続いていれば婉曲。
以上の手順で「む(ん)」は大丈夫です。
a 文末です(「かし」は念押しの終助詞ですので、ないものと考えます)。
「ん」の上が断定の「なり」なので訳すと「これだろうよ」としかなりませんから推量と判断します。意志と考えて「これであろうよ」なんてのは変ですよね。
b 文中ですから仮定・婉曲です。選択肢には婉曲しかありません。このように仮定か婉曲かを判断させる問題はセンターレベルでは出ません。
c 文末ですから「スイカ」のどれかです。「おさめるだろう」「おさめよう」「おさめるのがよい」のどれもあり得そうです。
このような場合は保留にします。なぜなら、他の確実な選択肢で正答できるからです。
d 「と」の上の「む(ん)」は意志のことが多いのでした。今回も「見せよう」と訳せますから意志と判断します。
cの判断が難しいですが、a推量、b婉曲、d意志が分かれば、このような組合せになっている選択肢は②しかありません。ということで、これが答えです。
②が答えだと分かることで、cは勧誘だということが分かります。このように「勧誘」が正答に含まれるときは、他の部分で答えを導くことができます。
[問題]
2007年度
傍線部a~dの「に」の文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a おのづから慰むかたもあるにや、
b いとしめやかにて
c 過ぎにしことども
d 小さき童女(わらは)の御前に候ひしを
① a 接続助詞 b 格助詞 c 完了の助動詞 d 断定の助動詞
② a 接続助詞 b 格助詞 c 断定の助動詞 d 断定の助動詞
③ a 格助詞 b 形容動詞の活用語尾 c 完了の助動詞 d 断定の助動詞
④ a 断定の助動詞 b 形容動詞の活用語尾 c 断定の助動詞d 格助詞
⑤ a 断定の助動詞 b 形容動詞の活用語尾 c 完了の助動詞d 格助詞
[解答]
⑤
[解説]
a 「にや」「にか」の下には「あらん」が省略されています。
「に+○+あり」の「に」は断定「なり」連用形です。
b 「~か」「~げ」に続く「に」は形容動詞の可能性が高いです。
今回も「しめやかなり」という形容動詞の連用形活用語尾です。
c 「にき」「にけり」の「に」は完了「ぬ」連用形です。
今回のように、過去「き」が連体形「し」になっている形である「にし」も頻出ですので、過去「き」は見た瞬間に「あ、『き』だ!」と分かるようになりましょう。
これは「慣れ」です。たくさん見れば、絶対に気づけるようになります。Quizletの学習セット「『に』の識別」などを使ってみてください。
ちなみに、過去「き」の活用は「せ/○/き/し/しか/○」です。20回言えば覚えます。
d 「御前にお仕えしていた」と、そのまま「に」と訳せるので助詞です。
ちなみに、「候ひしを」の「し」は過去「き」連体形です。
[問題]
2008年度
傍線部a~cの文法的説明として正しい組合せを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 我には、定まれる夫侍り。
b 「いかなる人にや」
c 送りし者に右のあらまし語り
① a 自発の助動詞 b 格助詞 c 過去の助動詞
② a 自発の助動詞 b 断定の助動詞 c サ行変格活用の動詞
③ a 下二段活用の動詞の一部 b 格助詞 c サ行変格活用の動詞
④ a 完了の助動詞 b 断定の助動詞 c サ行変格活用の動詞
⑤ a 完了の助動詞 b 断定の助動詞 c 過去の助動詞
[解答]
⑤
[解説]
a 「る・れ」の上がeの音の場合、完了存続の「り」です。
b 「にや」「にか」の下には「あらん」が省略されています。「に+○+あり」の「に」は断定「なり」連用形です。
c 見た瞬間に分かって欲しい。過去「き」の連体形です。
解説はこれで終わりです。
今回出てきた「る」の識別、「に」の識別、「ん」の訳し分けなどのドリル形式の問題をQuizletで用意しています。
アプリでさくさくと勉強できちゃいますので、ぜひ利用してみてください。
利用の仕方などは次の記事をご覧ください。重要文法事項や、漢文の重要漢字・句法、センター古文・漢文の重要単語や文法などもまとまっていますよ!
頑張ってください。
では、これで終わります。
他の年度の古文文法問題はこちらです。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。
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