高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

北海道文教大学_国語_2019_解答・解説

こんにちは。きんこです。

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今回は、2019年度の北海道文教大学の入学試験問題(国語)の解答・解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」の考えをもとに解いています。

そのため、「文章の読み方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

 

kinkoshin.hatenablog.com

 

この読み方を身につけると、グーンと国語の力がつきます。

ぜひ身につけてみてください。


問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

北海道文教大学のHPから入手できますので、ご準備をお願いします。

www.do-bunkyodai.ac.jp

 


では、始めます。

 

はじめに解答を、その後解説を書いています。

 

[解答]

 

問題1

 

問1

a 湿潤  b 覆  c 息吹  d 戸外  e 挨拶  f 語呂  g 険

 

問2 

春が来る

 

問3 

 

問4 

いつも優しい瞳を、何かに驚いたときのように瞬かせていたから。(30字)

 

問5

餓鬼大将ども

 

問6

私が馬に蹴られないように、源さんが私を藁の上に撥ねとばした。(30字)

馬に蹴られそうだったから、源さんが私を藁の上に撥ねとばした。(30字)

 

問7

仔馬に見入っていたから。(12字)

仔馬に惹き付けられたから。(13字)

 

問8

仔馬を心の底から愛する気持ち。(15字)

 

問9

ジルゴがいなくなることで二人を悲しませたくなかったから。(28字)

 


問題2

 

問1

a 金属  b 説得  c 結局  d 沈思  e 酸素  f 素朴  g 自明

 

問2

1 ア  2 エ

 

問3

現時点で心の定義を示すことができないから、「心とは何か?」と問いかけているのだから。(42字)

 

問4

 

問5

誤りである可能性はある(11字)

 

問6

必ずしも常識心理学の見解とは言えないもの(20字)

 

問7

(2)の①

 

問8

8 基本的特徴  

9 テーゼ

 

問9

イ、エ、オ

 


[解説]

 

問題1

 

問1 

 

「挨拶」はやや難しいですが、その他は基本的な漢字です。

なお、漢字検定レベルでいうと「挨拶」は2級ですが、それ以外は3級以下です。

 

問2

 

傍線部を含む形式段落は「はじめ」にあるように「北国の春は遅い」話です。

春を待ち焦がれている(早く春になって欲しい)ために雪割りをするのですから「雪割り」は「女神フローラを迎える儀式」=「春を迎える儀式」と言えます。

 

設問の「何が」「どうなる」に合わせて「春が来る」が答えとなります。

 

問3

 

傍線部を含む一文を確認します

 

「眼が見えなくなるという言い伝えがなかったら、胸一杯に馬糞風を吸い込む」のですから、「吸い込むと眼が見えなくなる」というのが「言い伝え」の内容だと分かります。

 

問4

 

傍線部の直前が「~ので」となっています。

「~ので」は理由を表しますから、ここの部分が傍線部「びっくりさん」という渾名がついた理由だと分かります。

 

問5

 

傍線部の「二人の少年」は「私と卓也」であることは明白です。

この2人を指す6字の言葉を探します。

2人を指す言葉はいくつかあります(「私と友だちの卓也」「卓也と私のように出来の悪い子」など)が、6字となるとびっくりさんが2人を指して言った傍線部3行後の「餓鬼大将ども」しかありません

 

問6

 

傍線部5以降の流れを確認します。

 

①「馬鹿野郎!」

②私が藁の上に撥ねとばされた(「馬鹿野郎」とほとんど同時)

③私は動けない

④私はびっくりさんの胸の中で泣く

⑤源さんが「悪かった。もう少しで蹴られるとこだったから」と謝って、私の頭を撫でる

⑥私は泣きやまない 

以上ですね。

 

設問では「どういう理由で」「誰が」「誰を」「どこに」「どうした」のかを文中の言葉を用いて答えなさいとなっているので①~⑥の内容を踏まえて、この条件に合わせます。

 

どういう理由で…もう少しで蹴られるところだったから(蹴られないように)
誰が…源さんが
誰を…私を
どこに…藁の上に
どうした…撥ねとばした 

 

何に蹴られそうだったのかは補った方がいいでしょう。ここでは「母馬」ですね(仔馬は足腰が弱く横たわっていると書かれていますから蹴るなんてことはありません)。

ですから「馬に」もしくは「母馬に」を足します(とはいえ「母馬」という表現は文中にありませんので「馬に」がいいかもしれません)。

また、誰が蹴られるのかも補いたいところです。

 

ということで

私が馬に蹴られないように、源さんが私を藁の上に撥ねとばした。(30字)

もしくは

馬に蹴られそうだったから、源さんが私を藁の上に撥ねとばした。(30字)

とします。

 

問7

 

傍線部を含む一文を確認します。

 

私は泣くことを忘れて、いつまでも飽きることなくその美しい生き物を見詰めていたのです。

 

美しい生き物とは「仔馬」です。仔馬をずっと見詰めることに集中したから、泣くことも忘れてしまったのです

この内容を12~15字でまとめます。

この設問には「文中の言葉を用いて」という条件がありません。それは文中の言葉だけでは答えることが難しいからです

上記の内容を自分なりの言葉でまとめてみましょう。

 

たとえば

仔馬に見入っていたから。(12字)
仔馬に惹き付けられたから。(13字)

などとなります。

 

問8

 

傍線部は形式段落のはじめにありますから、このあとに傍線部の説明がありそうです

「私たちの気持ち」を表す部分を意識して読むと、

 

傍線部直後には「仔馬の世話をしたがる」とあります。

形式段落中程には「仔馬を心の底から愛していた」とあります。

形式段落終わりには「鬣にふれるだけで満足だった」とあります。 

仔馬を愛していたから世話をしたいのであり

仔馬を愛していたから鬣にふれると満足したのでしょう。

 

傍線部「小屋を訪れるようになった」ときの気持ちの根本は「仔馬を心の底から愛していた」だと分かります。

 

「私たちの気持ち」を答えるので、文末を「気持ち」にして指定字数に収めます。

 

仔馬を心の底から愛する気持ち。(15字)

 

問9

 

びっくりさんは傍線部のところで突然「小屋に出入りしないように」と話しています。

設問ではその理由が問われていますが、当然この後にその内容が書かれているはずです。

そういう意識で読み進めると、

 

①理由を聞いても教えてくれない。

②言うことを聞かずに小屋に行くと、いつも通りジルゴがいる。

③回数を減らして行くことにする。

④数週間後にジルゴがいなくなる。 

この流れから、びっくりさんが理由を言わずに小屋に行くことを禁止した理由を考えます。

 

まずは、びっくりさんはジルゴがいずれいなくなることが分かっていたから、小屋に行くことを禁止したと分かるでしょう。

では、ジルゴがいなくなるからといって何故2人を小屋に行かせなくしたのでしょうか。

ここまでの内容から分かるように、2人はジルゴを愛していました。愛しているジルゴがいなくなったら、2人はどのような気持ちになるでしょうか。当然、悲しむことになるでしょう。

つまり、びっくりさんは2人を悲しませたくなかったと考えられます。だから、ジルゴがいなくなるということを告げずに、小屋への出入りを禁止したのです。

 

以上の内容を字数制限内でまとめます。

 

ジルゴがいなくなることで二人を悲しませたくなかったから。(28字)

 


問題2

 

問1

 

dの「沈思黙考」という四字熟語が難しいですが、それ以外は基本的な語句・漢字ばかりです(「素朴」の「朴」は漢字検定準2級ですが)。

 

問2

 

まずは、選択肢の内容を確認します。

 

アの副詞は、動詞・形容詞・形容動詞を修飾する語です。「とても」「すぐに」「まったく」などです。

イの形容詞は、最後が「い」で終わる述語になれる語です。「うれしい」「かなしい」「はやい」などです。

ウの連体詞は、名詞を修飾する語です。「大きな」「いわゆる」「ある」などです。

エの助動詞は、動詞・形容詞・形容動詞・名詞などに附属して、さまざまな意味を足す語です。「~た」「~ない」「~れる」「~たい」「~らしい」などです。

オの前置詞は、日本にはありません。英語の「in」「on」「to」などです。 

では、解いていきましょう。

 

1の「とても」は「とても→難しい」と「難しい」を修飾(説明)しています。副詞ですね。

 

2の「ない」は「つかめない」と「つかむ」という動詞について「ない」と打消の意味を足しています。助動詞ですね。

 

問3

 

傍線部の構造を簡単にすると「Aができるなら、Bの必要はない」となります

なぜ、このように言えるのかというと「Aができていないから、Bをする必要があるから」となるでしょう。

 

Aに該当するのは「『心とはこういうものである』という定義を示すこと」であり、Bに該当するのは「『心とは何か?』と考えること」となります。

 

さらに、傍線部は形式段落のはじめにあるのですから、傍線部について、この段落で説明がされていくはずです。そのような意識で読んでいくと、次の行に「現時点ではそのような定義を示すことができないから、『心とは何か?』と問いかけているのだ」という内容が書かれています。

 

この内容ははじめに考えた「Aができていないから、Bをする必要があるから」という形ですから、この部分を使って答えます。

その際、「そのような定義」という指示語の指す内容を明らかにします。「心とはこういうものだという定義」つまり「心の定義」です。

 

現時点で心の定義を示すことができないから、「心とは何か?」と問いかけているのだから。(42字)

 

問4

 

傍線部4は「疑うべき根拠がなければ、常識で考えてよい」という内容であり、言い換えると「疑うべき根拠があれば、常識を疑ってよい」となります。

これらと同じ内容の選択肢を選びます。

 

 

ア、イは明らかにこのような内容ではありませんから消去できます。

ウは「まず常識から出発し」が「常識で考えてよい」という内容と、「おかしいところが出てきたときに常識を疑えばよい」が「疑うべき根拠があれば常識を疑ってよい」という内容と同じです。これが答えです。

エは「疑わしきは罰せずのとおりどれだけ疑わしくとも決定的な証拠がない限り」が「疑うべき根拠がなければ」に該当するかもしれませんが、傍線部からは「常識を信じるしかない」とまでは読み取れませんので間違いです。

 

問5

 

傍線部を含む一文を確認すると、傍線部が「常識」について述べていることが分かります。

 

「謬」の漢字が「あやまる(まちがう)」という意味だと分かれば「常識は決して間違わないわけではない(=常識は間違うこともある)」だと分かります。

 

このような内容を文中から探すと、傍線部2行後の「どの常識にも誤りである可能性はある」が見つかります。

 

もし「謬」の漢字が分からなかったとしたら、次のように考えます。

 

傍線部は形式段落のはじめにありますから、この段落で説明がなされ、最後にまとめてくれるはずです

そのような意識で読んでいけば、「常識」の説明がされている「どの常識にも誤りである可能性はある」を見つけることができるはずです。

 

ここでのポイントは傍線部が何を示しているかを確認することです

つまり「主語」を確認して、「常識」のことを言っているだから、「常識」を説明している部分を探せばいいのだという意識を持つことが大事です

 

問6

 

指示語の指す内容は基本的に直前にあります。

また、傍線部を含む一文を確認すると、「たとえば」から始まっており、何かの例を示している一文だということが分かります

 

「たとえば、○○がそれである」なので、何の例かというのが「それ」の指す内容ですね。

 

ちょっと分かりにくいかもしれないので、例文で見てみましょう。

 

世の動物の中にはペットとして飼われている動物がいる。たとえば、犬や猫がそれである。 

「たとえば」から始まっていますから、何の例かというのが「それ」の指す内容です。

直前の「ペットとして飼われている動物」です。

 

これと同じように考えると、答えを導けます。

 

問7

 

空欄7を含む一文を見ると「(1)の④と(7)は真っ向から対立する見解」となっており、空欄7に入るのは(1)の④とは対立する内容、つまり「矛盾」する内容だと分かります。

 

次に(1)の④を確認します。

 

(1)の④「心は非物質的なもの(魂のようなもの?)であるのに対して、ロボットは物質の塊に過ぎないから」です。

 

2つの要素があります。「心は非物質的なもの」としていることと「ロボットは物質の塊」としていることです。

 

これに対立するのですから、「心が物質的なもの」とか「ロボットは非物質的なもの」という内容のものがあるはずです

 

すると、(2)の①が「心のはたらきも物質のはたらき」となっていて「心が物質的なもの」という内容です。これは(1)の④の「心は非物質的なもの」と対立しています。

 

問8

 

空欄8,9を含む形式段落のはじめを見ると、「これまでの考察によって、心についての考察の大まかな道筋が見えてきた」となっていますから、全体のまとめであり、「心についての考察の道筋」について書かれた形式段落だと分かります。

 

心についての考察をするには、心が持つさまざまな何を根拠にして考え始めるのだったかというと…

 

(中略)の直前に、「心のさまざまな基本的特徴を根拠にして…」とあります。

 

心についての考察をするときには、まずは「心のさまざまな基本的特徴を根拠にして」始めると述べられていますから、これが空欄8の答えです。

 

次に「上記のものを根拠として(9)を結論として導き出す」となっていますから、空欄9には結論として導かれるものが入ります。

 

空欄がある前の段落に「結論」という語が繰り返されていますから、ここで「結論」とは何かが述べられていると考えられます。すると、前段落最後に「結論として根拠づけられるべき見解を『テーゼ』と呼ぶ」とありますから、テーゼが結論として導かれることが分かります。「テーゼ」が答えです。

 

まとめの問題なので少し難しいかもしれませんが、答えの字数が指定されていますので、どのような「ことば」が入りそうか考えてから、頑張って探しましょう。

 

問9

 

この設問を解くには、2つのことを確認する必要があります。

 

1つめは、問8に出てきた「心のさまざまな基本的特徴」が何かを確認することです。

これは(中略)直前の2つの形式段落に述べられています。

具体例として「自発性」「多様性」「複雑性」などが挙げられています。

 

2つめは、「根拠とならないもの」を確認することです。

最後から2番目の形式段落に「考察の足場となる常識心理学の見解とは言えないもの」の説明があり、これが「根拠とならないもの」です。

具体例として「心は非物質的なものである」「『心のはたらき』を『物質のはたらき』や『脳のはたらき』とみなす」ことが挙げられています。また、空欄7と重なっていますが、「心は非物質的なもの」「ロボットは物質の塊」「人間・心は物質」というのも挙げられています。

 

これを踏まえて選択肢を見ます。

 

ア…根拠とならないものでした。

イ…「心を多様で複雑」とするのは「心の様々な基本的特徴」でした。これが1つめの答えです。

ウ…根拠とならないものでした。

エ…上記で確認した内容からは判断できないので保留にします。

オ…「自発性」は「心の様々な基本的特徴」でした。これが2つめの答えです。

カ…根拠とならないものでした。 

ということで、3つ選ぶわけですから、保留にしていたエが3つめの答えとなります。

 


いかがでしたか。

基本的な問題が多いですが、今回の問題2は文章が難しめであり設問も難しめでした。

まずは問題1のレベルで高得点を取れるようにして、問題2のレベルに挑戦するという気持ちで学習を進めましょう。

 

頑張ってください。

 

では、これで終わります。


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