センター試験_古文文法_2009~2014
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今回はセンター試験国語第3問(古文)の文法問題2009年度~2014年度です(このうち5年度で文法問題が出題)。
文法は網羅的に学習することが好ましいですが、入試で問われることには傾向があるのも事実です。センター試験の過去問をやるだけでも大いに対策となるでしょう。
入試まで時間がある方は、文法の基礎から固めて最後の確認として取り組んでみてください。
入試までの時間が限られている方や、古文にそんなに時間が割けないよという方はこれに取り組んで、その都度文法事項を覚えてみてください。
同じ文法事項が繰り返し出てきますので、重要なものは自然と覚えることができるでしょう。
また、文法だけではなくセンター試験の過去問を効果的に使いたいという方はこちらの記事を読んでみてください。
では、始めましょう。
構成は以下の通りとなっています。
今回扱う全年度の問題→年度ごとの問題→解答→解説
まずは問題に取り組みます。文法問題は本文がなくても解けることが多いですが、本文がないと厳しいものもあります。それについては問題の部分でお伝えします。
問題に取り組む際に重要なことは、正答の選択肢だけではなく間違いの選択肢も含めてそれぞれの文法的説明ができるかどうかです。
これが自分で完璧にできたら解答だけの確認でいいでしょう。
1つでも説明ができなかった、もしくは説明が合っているか不安なものがあった場合は解説を読みましょう。
この解説の内容を「もの」にしていくことが、今回の目的です。
その年度では間違いの選択肢でも、他の年度では正答するために必要なことがあります。自分で説明できるまで繰り返してみてください。
[全問題]
2009年度
敬語
2010年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 暁方になるままに
b かの雪の朝(あした)の御面影なるものから
c こまかなる細工はあんなれと
d そぞろなることかな
① a 動詞 b 断定の助動詞 c 伝聞推定の助動詞 d 形容動詞の一部
② a 伝聞推定の助動詞 b 断定の助動詞 c 動詞 d 断定の助動詞
③ a 動詞 b 形容動詞の一部 c 断定の助動詞 d 伝聞推定の助動詞
④ a 動詞 b 形容動詞の一部 c 伝聞推定の助動詞 d 形容動詞の一部
⑤ a 伝聞推定の助動詞 b 動詞 c 断定の助動詞 d 形容動詞の一部
2011年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a ただ今斬られ給はんこと
b そことは知らねども
c 力者どもに輿を舁(か)かせて
d その子にてましませば
① a 受身の助動詞 b 打消の助動詞 c 使役の助動詞 d 動詞の活用語尾
② a 自発の助動詞 b 完了の助動詞 c 尊敬の助動詞 d 使役の助動詞
③ a 尊敬の助動詞 b 完了の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 尊敬の助動詞
④ a 受身の助動詞 b 打消の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 使役の助動詞
⑤ a 尊敬の助動詞 b 打消の助動詞 c 使役の助動詞 d 動詞の活用語尾
2012年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 我よくこととり申さん」と、うけがはれたるに
b 絃(げん)一筋ある琴なりき。
c 小琴にかけにけるかも
d 調べ給へるよりはじまりて
① a 受身の助動詞 b 断定の助動詞 c 完了の助動詞 d 動詞の活用語尾
② a 尊敬の助動詞 b 伝聞の助動詞 c 格助詞 d 動詞の活用語尾
③ a 受身の助動詞 b 伝聞の助動詞 c 断定の助動詞 d 完了の助動詞
④ a 尊敬の助動詞 b 断定の助動詞 c 格助詞 d 動詞の活用語尾
⑤ a 尊敬の助動詞 b 断定の助動詞 c 完了の助動詞 d 完了の助動詞
2013年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 御身には染ませ給はぬにや。
b 琴の音にやあるらんと思(おぼ)して
c むべにこそあなれ
d 賜ひぬべけれ
① a 打消の助動詞 b 断定の助動詞 c 形容動詞の活用語尾 d 完了(強意)の助動詞
② a 完了(強意)の助動詞 b 格助詞 c 断定の助動詞 d 動詞の活用語尾
③ a 打消の助動詞 b 形容動詞の活用語尾 c 格助詞 d 打消の助動詞
④ a 完了(強意)の助動詞 b 格助詞 c 形容動詞の活用語尾 d 打消の助動詞
⑤ a 打消の助動詞 b 断定の助動詞 c 格助詞 d 完了(強意)の助動詞
2014年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 「限りなめり」
b 驚かれ給うて
c のたまひはてば
d 言ひ知らせ奉り給ふ
① a 断定の助動詞 b 受身の助動詞 c 完了の助動詞 d 使役の助動詞
② a 形容動詞の活用語尾 b 受身の助動詞 c 完了の助動詞 d 尊敬の助動詞
③ a 断定の助動詞 b 自発の助動詞 c 完了の助動詞 d 使役の助動詞
④ a 形容動詞の活用語尾 b 自発の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 尊敬の助動詞
⑤ a 断定の助動詞 b 自発の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 使役の助動詞
では、年度ごとに解答・解説をしていきます。
[問題]
2010年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 暁方になるままに
b かの雪の朝(あした)の御面影なるものから
c こまかなる細工はあんなれと
d そぞろなることかな
① a 動詞 b 断定の助動詞 c 伝聞推定の助動詞 d 形容動詞の一部
② a 伝聞推定の助動詞 b 断定の助動詞 c 動詞 d 断定の助動詞
③ a 動詞 b 形容動詞の一部 c 断定の助動詞 d 伝聞推定の助動詞
④ a 動詞 b 形容動詞の一部 c 伝聞推定の助動詞 d 形容動詞の一部
⑤ a 伝聞推定の助動詞 b 動詞 c 断定の助動詞 d 形容動詞の一部
[解答]
①
[解説]
「なり」の識別です。
a 「暁ころになる」とそのまま「なる」と訳せるので動詞です。
b 「面影」という体言(名詞)に接続しているので、断定「なり」です。
c 「あかざたな+(ん)+なり・めり」は伝聞推定です。
もう少し詳しく説明します。
本来の形は「あるなり」「かるなり」「ざるなり」「たるなり」「なるなり」ですが、この「る」が撥音便となり「あんなり」「かんなり」「ざんなり」「たんなり」「なんなり」となることがあります。
そして、その「ん」が無表記となり「あなり」「かなり」「ざなり」「たなり」「ななり」の形となるわけです。
ですから「あるなり=あんなり=あなり」ということです。
なお、「あ・か・ざ・た・な」がそれぞれ何かも知っておきましょう。
「あ」はラ変「あり」連体形、「か」は形容詞(もしくは形容詞型の活用語)の連体形、「ざ」は打消「ず」連体形、「た」は完了「たり」連体形、「な」は断定「なり」連体形です。
このうち、特に大事なのは「な」が断定だということです。
「ななり」の「なり」が伝聞推定なのですから、「な」が伝聞推定にはならないことは確実ですから「断定」となります。
d 「そぞろなり」は「なんということはない、むやみだ」という意味の重要単語で形容動詞です。
形容動詞は「~かなり」「~げなり」の形が多いですが、重要単語はしっかりと覚えておきましょう。
また、迷ったときには「とても」をつけることができるかが判断の決め手となります。
「とても」をつけて訳せるときは形容動詞です。今回も「とてもむやみなこと」と訳せますね。
この4つが「なり」の識別のすべてです。
[問題]
2011年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a ただ今斬られ給はんこと
b そことは知らねども
c 力者どもに輿を舁(か)かせて
d その子にてましませば
① a 受身の助動詞 b 打消の助動詞 c 使役の助動詞 d 動詞の活用語尾
② a 自発の助動詞 b 完了の助動詞 c 尊敬の助動詞 d 使役の助動詞
③ a 尊敬の助動詞 b 完了の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 尊敬の助動詞
④ a 受身の助動詞 b 打消の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 使役の助動詞
⑤ a 尊敬の助動詞 b 打消の助動詞 c 使役の助動詞 d 動詞の活用語尾
[解答]
①
[解説]
a 「る・れ」の上がaの音の場合、受身尊敬可能自発の「る」です。
受身はそのまま訳せる、尊敬は主語が高位、可能は下に打消がある、自発は心情動詞・知覚動詞に付いている場合です。
また、「れ給ふ」は絶対に尊敬にはなりません。
今回は
①そのまま訳せるから受身の可能性有り
②主語が誰かは分かりませんが「給ふ」に続いているので尊敬ではない
③下に打消がない
④「斬る」は心情動詞・知覚動詞ではない
以上から「受身」と分かります。
b 「未然形+ね+已然形接続の語」の「ね」は打消「ず」の已然形です。
これは見た瞬間に分かってほしいところです。
ちなみに打消「ず」の活用は「ず・ざら/ず・ざり/ず/ぬ・ざる/ね・ざれ/ざれ」と覚えます。20回言えば覚えることができます。
c 「せ給ふ」「させ給ふ」の「せ」「させ」は尊敬の可能性が高いですが、「給ふ」につかない「せ」「させ」は100%使役です。
d 品詞分解すると「その/子/に/て/ましませ/ば」となります。
「まします」が「あり」の尊敬語です。
これを知らなくても「ましま/せ/ば」とすると、「ましま」って何?となってしまいますね。まさか「ましむ」なんて動詞はないでしょう。「まします」なら「ましむ」に比べれば、自然ですよね。
ですから、この「せ」はサ行四段「まします」已然形活用語尾です。
[問題]
2012年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 我よくこととり申さん」と、うけがはれたるに
b 絃(げん)一筋ある琴なりき。
c 小琴にかけにけるかも
d 調べ給へるよりはじまりて
① a 受身の助動詞 b 断定の助動詞 c 完了の助動詞 d 動詞の活用語尾
② a 尊敬の助動詞 b 伝聞の助動詞 c 格助詞 d 動詞の活用語尾
③ a 受身の助動詞 b 伝聞の助動詞 c 断定の助動詞 d 完了の助動詞
④ a 尊敬の助動詞 b 断定の助動詞 c 格助詞 d 動詞の活用語尾
⑤ a 尊敬の助動詞 b 断定の助動詞 c 完了の助動詞 d 完了の助動詞
[解答]
⑤
[解説]
a 「る・れ」の上がaの音の場合、受身尊敬可能自発の「る」です。
受身はそのまま訳せる、尊敬は主語が高位、可能は下に打消がある、自発は心情動詞・知覚動詞に付いている場合です。
また、「れ給ふ」は絶対に尊敬にはなりません。
今回は「れ」の上の「うけがふ」の意味が分からない、主語が誰か分からないという条件になると思います。
そのため、下に打消がないので可能ではないということしか判断できないでしょう。
選択肢は「受身」か「尊敬」となっていて、どちらかの判断は難しいです。
このよう場合は、他の問題で正答を導くことができるはずですので、保留にします。
b 体言(名詞)に接続しているので断定「なり」です。
c 「にき」「にけり」の「に」は完了「ぬ」連用形です。
d 「る・れ」の上がe音の場合、完了存続「り」です。
完了か存続かの判断は求められません。
てことで、b断定、c完了、d完了は確実です。そうなっている選択肢は⑤しかありません。
ここから、aは尊敬だったことが分かります。
[問題]
2013年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 御身には染ませ給はぬにや。
b 琴の音にやあるらんと思(おぼ)して
c むべにこそあなれ
d 賜ひぬべけれ
① a 打消の助動詞 b 断定の助動詞 c 形容動詞の活用語尾 d 完了(強意)の助動詞
② a 完了(強意)の助動詞 b 格助詞 c 断定の助動詞 d 動詞の活用語尾
③ a 打消の助動詞 b 形容動詞の活用語尾 c 格助詞 d 打消の助動詞
④ a 完了(強意)の助動詞 b 格助詞 c 形容動詞の活用語尾 d 打消の助動詞
⑤ a 打消の助動詞 b 断定の助動詞 c 格助詞 d 完了(強意)の助動詞
[解答]
①
[解説]
a 「未然形+ぬ+連体形接続の語」の「ぬ」は打消「ず」の連体形です。
「給は」の「は」のように「a」の音は100%未然形ですから、見た瞬間に未然形に接続している「ぬ」だから打消!と分かってほしいところです。
ちなみに打消「ず」の活用は「ず・ざら/ず・ざり/ず/ぬ・ざる/ね・ざれ/ざれ」と覚えます。20回言えば覚えることができます。
また、「ぬ」の下にある「にや」は下に「あらむ」が省略されており「に+○+あり」の形なので「に」は断定「なり」連用形です。ここからも「ぬ」は連体形だと分かります。
b 「に+○+あり」の「に」は断定「なり」連用形です。
c 「むべなり[宜なり]」は「なるほど、もっともだ」という意味の重要単語です。
形容動詞ですね。ちなみに「うべなり」も同じです。
また、これは漢文の重要漢字でもありますよ。再読文字でもあり形容動詞でもあるという文脈で判断する漢字です。
また、「あなれ」は「あかざたな+なり・めり」の形ですから、この「なれ」は伝聞推定です。
d 「つべし」「ぬべし」の「つ」「ぬ」は完了が強意になる用法です。見た瞬間に分かってほしいところです。
完了の助動詞「つ」「ぬ」に推量の助動詞「む」「べし」「らむ」「けむ」などが付いている場合は、「つ」「ぬ」は完了ではなく「強意」の意味となり「きっと~だろう」「必ず~だろう」などと訳します。
よく出てくる次の形は覚えておきます。
「てむ・なむ」「つべし・ぬべし」「つらむ・ぬらむ」
この3パターンが頻出です。
[問題]
2014年度
傍線部a~dの文法的説明の組合せとして正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 「限りなめり」
b 驚かれ給うて
c のたまひはてば
d 言ひ知らせ奉り給ふ
① a 断定の助動詞 b 受身の助動詞 c 完了の助動詞 d 使役の助動詞
② a 形容動詞の活用語尾 b 受身の助動詞 c 完了の助動詞 d 尊敬の助動詞
③ a 断定の助動詞 b 自発の助動詞 c 完了の助動詞 d 使役の助動詞
④ a 形容動詞の活用語尾 b 自発の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 尊敬の助動詞
⑤ a 断定の助動詞 b 自発の助動詞 c 動詞の活用語尾 d 使役の助動詞
[解答]
⑤
[解説]
a 「あかざたな+(ん)+なり・めり」は伝聞推定です。
「ななり」の「な」は断定です。2010年度の解説の通りです。
b 「る・れ」の上がaの音の場合、受身尊敬可能自発の「る」です。2012年度の解説の通りです。
「驚く」という心情動詞・知覚動詞についているから「自発」です。
また、「れ給ふ」ですから絶対に尊敬ではありません。
c 品詞分解すると「のたまひ/はて/ば」です。
「果つ」という動詞の一部(活用語尾)です。
もし「て」が一語で「のたまひ/は/て/ば」となると、「て」の上の「は」って何?となりますね。
d 「せ給ふ」「させ給ふ」の「せ」「させ」は尊敬の可能性が高いですが、「給ふ」につかない「せ」「させ」は100%使役です。
今回は「せ奉り給ふ」であり、「せ給ふ」の形ではありませんよ!
解説はこれで終わりです。
同じ文法事項が繰り返し出題されていますね。
ここ(センター1987~2014)までやれば助動詞については大丈夫だというくらいの知識になっているはずです。
復習は同じ問題で構いません。
ただ、自分で「説明」できるようにしましょう。
問題を見て、ここでお伝えした解説と同じように説明できるようになっていれば、どのような形で出題されても正答できるはずです。
1日10分復習すれば、すぐに完璧になるでしょう。
他の問題で力をつけたいという場合、ドリル形式の問題をQuizletで用意しています。アプリでさくさくと勉強できちゃいますので、ぜひ利用してみてください。利用の仕方などは次の記事をご覧ください。その他の文法事項や、漢文の重要漢字・句法、センター古文・漢文の重要単語や文法などもまとめています。
センター対策の古文単語や文法、漢文の重要漢字や句法を確認する場合はQuizletが便利です。
次の記事もぜひご覧ください。
頑張ってください。
では、これで終わります。
他の年度の古文文法問題はこちらです。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。
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