長野大学_国語_2023(令和5)年度_学校推薦型選抜(推薦入試)_第2問
こんにちは。きんこです。
長野大学2023年度(令和5年度)学校推薦型選抜(推薦入試)の国語第2問の解答解説です。
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このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧
になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
この読み方、解き方を徹底することで入試問題を解けるようになるでしょう。
ぜひ身につけてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
長野大学のホームページで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。
はじめに解答をお示しし、その後解説をお伝えします。
では、始めます。
[解答]
2 小塚荘一郎『AIの時代と法』より
問1
(1)イ (2)エ
問2
1…②
2…③
3…①
4…②
問3
ア
問4
ア、イ、エ
問5
①製造物責任法が適用される「製造物」は有体物であり、ソフトウェアは含まれないから。(40字)
②一定水準までのバグや不具合があっても、製造物責任法の「欠陥」には当たらないから。(40字)
[解説]
形式段落での説明になります。
1~6まで形式段落に番号を振ってください。
問1 語句の意味
推薦入試で語句の意味が問われたのは初めてです。
中期日程では必ず問われていますが…。
これが加わったことで漢字の読み書きの問題が減少したのかもしれません。
問われている語句は特別難しいわけではありませんが、サブスクリプションなどのカタカナ語は頻出です。
カタカナ語の学習はなかなかできないと思うので(適当な問題集などが少ない)、私のQuizletを使ってみてください。
また、日常で何気なく使われているカタカナ語を調べる習慣をつけることをオススメします。
今回問題になったサブスクリプション(サブスク)はその典型です。
長野大学中期日程の過去問を解くのもオススメです。2021年度入試でサブスクリプションが選択肢にありましたよ。
問2 空欄補充
空欄補充の問題は、前後の文脈を確認して考えます。
1
直前の「ソフトウェアは動産にはならない」から続いていることを確認します。
空欄を含む一文は「(空欄)は…物理的な形のあるものに限られているからである」となっていますから、直前の内容(ソフトウェアは動産にならない)の理由です。
「動産」の説明箇所だと判断できます。
2
上記の続きで「したがって、(空欄)は製造物ではない」となっていることを確認します。
「ソフトウェアは動産にはならない。動産は…からだ。したがって、(空欄)は製造物ではない」という流れですから、「ソフトウェア」が入ると容易に判断できます。
3
これが最も難しいかもしれません。
空欄が「 」で囲まれていて、本文において「 」で囲まれているのは「製造物」だけだという判断でも正答にはなるのですが…。
空欄補充はあくまで文脈で考えることが基本です。
空欄は形式段落4の「なか」にあります。
形式段落のつくりを見てみましょう。
はじめ…ソフトウェアが動産に組み込まれている場合、動産は「製造物」になる。
なか(空欄の部分)…ソフトウェアが「(空欄)」にあたるかどうか不明瞭だ。
おわり…「製造物」にはソフトウェアも含むという解釈の余地があるのであろう。
「ソフトウェア」と「製造物」の関係について述べている形式段落であると分かります。
この流れを読み取って「製造物」を選択できると、相当な国語力があると判断できそうです。
この問題がなぜ難しいかというと、直前直後だけでなく形式段落全体を見る必要があるからです。
空欄補充の問題を解く際には、まず「直前直後の文脈」から考えてみて、それだけでは判断がつかない場合、「形式段落のつくり」から考えてみましょう。
4
空欄を含む一文を次のように簡単にすると何が入るか容易に判断できます。
(空欄)を有体物に限定しない考え方をとっているため、「製造物」にはソフトウェアも含む。
「動産」しか入りませんね。
問3 内容説明
バグに関して述べられている箇所は形式段落5と6です。
形式段落5
・バグや不具合が時間の経過とともに発見され、アップデートで改善されるというソフトウェアの特性
・一定水準までのバグがあっても「通常」の安全性は害されていないという解釈になる
形式段落6
・バグが後から発見されたならば、不具合を修正するプログラムをすぐに配布することを前提にしている(事後的に、適切な対応がタイムリーにとられるかどうかがユーザーにとって重要)
まとめると
引き渡しの時点では一定水準までのバグがあっても「通常」の安全性は害されていないという解釈になり、バグや不具合が時間の経過とともに発見された場合、不具合を修正するプログラムをすぐに配布することを前提にしている(事後的に、適切な対応がタイムリーにとられるかどうかがユーザーにとって重要である)。
となるでしょう。
以上を踏まえると、アが適切だと判断できます。
ちなみに他の選択肢は
イ…形式段落6に「なかなか対処できない」とあります。
ウ…形式段落6に「事後的に、適切な対応がタイムリーにとられるかどうかがユーザーにとって重要」とあります。
エ…「バグが軽微かどうかによって民法にもとづくことになる」とは本文では述べられていません。
問4 内容合致
各選択肢を本文と照らし合わせて判断するしかありません。
この手の問題はどうしても時間がかかってしまいますが、根気よく確認しましょう。
ア…形式段落4の「はじめ」の内容です。
イ…前半は形式段落3の「なか~おわり」の内容、後半は形式段落4の「おわり」の内容です。
ウ…問3のイでも確認したように形式段落6の「なか」に「なかなか対処できない」とあります。
エ…問3で確認したように形式段落6の「はじめ」の内容です。
オ…形式段落3の「なか」に「日本の法律では、ソフトウェアは動産にはならない」とあります。
問5 理由説明
問題1問6の記述問題では「文中のことばを用い」とありましたが、この設問にはその指示がありません。
ということは、必ずしも文中のことばを使う必要がないわけです。
問題1との差別化を図って、このような出題をしたと考えると「なるべく自分のことばで答えてみてね」という出題者のねらいが見えてきます。
事実、本文中のことばだけで40字におさめるのは困難です。
まずは本文中のことばで解答を作成し、それを40字に縮める際に「自分のことば」で表現してみましょう。
1つめの理由
形式段落4の「はじめ」に「すると、ソフトウェアが原因で損害が発生しても、製造物責任の問題にはならないことになる」とありますから、「すると」の直前の内容が理由の1つめとなります。
ということで、形式段落3に書かれていることをまとめるとこうなります。
製造物責任法は、製造物に欠陥があって、そのために損害が発生した場合に、損害賠償責任を負う。製造物責任法にいう「製造物」は「製造又は加工された動産」を意味する。しかし、日本の法律では動産は有体物に限られるため、ソフトウェアは製造物ではない。
これが理由の1つめですね。
これを40字以内にまとめる必要があるわけです。
設問は「ソフトウェアに不具合があっても製造物責任法では問題にならないのはなぜか」ですから、それに合った答え方にします。
その際、次の内容は入れる必要があるでしょう。
・製造物責任法にいう「製造物」とは有体物である
・ソフトウェアは有体物ではないから製造物ではない
以上の内容が含まれるように「自分のことば」で表現します。
というか、本文中のことばだけではまとめることが困難です。
こんな感じでどうでしょうか。
製造物責任法が適用される「製造物」は有体物であり、ソフトウェアは含まれないから。(40字)
2つめの理由
形式段落6の「なか」に「これは製造物の引き渡しよりも後の時点の問題なので、製造物責任法の『欠陥』概念ではなかなか対処できない」とありますから、ここの前半部分が理由の2つめとなります(「ので」がありますね)。
単に「製造物の引き渡しよりも後の時点の問題だから」では意味が分かりません。
「これ=製造物の引き渡しよりも後の時点の問題」なので、「これ」の指す内容を確認します。
指示語の内容は直前ですね。
ソフトウェアの場合、事後的に、適切な対応がタイムリーにとられるかどうかが重要
でも、これも「理由」としては適当ではありませんね。
だって、設問で問われているのは「ソフトウェアに不具合があっても製造物責任法では問題にならないのはなぜか」ですからね。
「ソフトウェアの場合…」の直前に「つまり」があります。
「つまり」は「イコール」なので、さらに前を見ましょう。
このような考え方は、バグが後から発見されたならば、不具合を修正するプログラムをすぐに配布することを前提にしている
う~ん、これも設問への答えにはならなさそうです。
バグが後から発見されたならば、不具合を修正するプログラムをすぐに配布することを前提にしているから、(ソフトウェアに不具合があっても製造物責任法では問題にならない)
これでは、なんで製造物責任法で問題にならないかさっぱり分かりません。
てことで、次は「このような考え方」の内容を確認します。
だって、これも「は」があるから「イコール」です。
指示語の指す内容は基本的に直前なので「このような考え方」の指す内容は、形式段落5の「おわり」です。
製造物責任法では「欠陥」を「通常有すべき安全を欠いていること」と定義しているので、一定水準までのバグがあっても「通常」の安全性は害されていないという解釈
ここまでさかのぼってくると、設問の理由になりそうです。
製造物責任法では「欠陥」を「通常有すべき安全を欠いていること」と定義しているので、一定水準までのバグがあっても「通常」の安全性は害されていないという解釈になるので、(ソフトウェアに不具合があっても製造物責任法では問題にならない)
これを「自分のことば」で40字にしてみましょう。
一定水準までのバグや不具合があっても、製造物責任法の「欠陥」には当たらないから。(40字)
記述問題は基本的に「本文中のことば」で答えを作成することから始めます。
ただ、今回のように指定字数におさめるために「自分のことば」で表現する場合があると覚えておきましょう。
間違っても、すべてを「自分のことば」で答えるわけではありません。
解答で使うべき語句(キーワード)は本文中にあるのが基本です。
「自分のことば」とは本文中にあるキーワードを使って、意味を変えずに文章化するということです。
このことを忘れてはいけませんよ。
以上が第2問の解説です。
長野大学が公立化してから数年経ち、入試問題もある程度傾向が決まってきたようです。
文章を正しく読み内容説明ができること(選択・記述)、文脈を判断できること(空欄補充)、語彙力があること(漢字・語句の意味)の3点が問われています。
これまでは中期日程で問われていた「語句の意味」が出題されたことからも、語彙力を求めていることが分かります。
また、2021年度まで問われていた「自分の意見(考え、推測)を根拠を持って述べることができること」を問う設問は2年連続で出題されていません。
とはいえ、再び出題されることもあるかもしれませんから、こちらは総合型選抜対策にもなる小論文の練習をするといいでしょう。
こう考えると、推薦入試の過去問をやるだけではなく、総合型選抜や中期日程の過去問をやることも重要な対策となりそうです。
文章を正しく読む力が試される設問に関しては、私のブログにある「文章の読み方」を意識していれば解くことができます。
大事なのは、常に同じ読み方をしてみることです。
そのためには、一度取り組んだ問題を復習し、このブログで説明したような流れで考えることができるかを試すといいでしょう。
長野大学の入試問題は漢字などの語句の問題に始まり、文脈から解ける空欄補充、基本的な読解力、表現力などを問うてきます。
特別な力などではなく「基本的な国語力」を試す問題と言えます。
この問題を解けるようになることは、皆さんの人生においてプラスの何かをもたらしてくれるでしょう。
「入試問題」だからやるのではなく、自分の力を高めるためにも取り組んでもらいたいと思います。
頑張ってくださいね。
では、これで終わります。
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