センター試験_古文文法_1987~1992
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今回はセンター試験国語第3問(古文)の文法問題1987年度~1992年度です。
文法は網羅的に学習することが好ましいですが、入試で問われることには傾向があるのも事実です。センター試験の過去問をやるだけでも大いに対策となるでしょう。
入試まで時間がある方は、文法の基礎から固めて最後の確認として取り組んでみてください。
入試までの時間が限られている方や、古文にそんなに時間が割けないよという方はこれに取り組んで、その都度文法事項を覚えてみてください。
同じ文法事項が繰り返し出てきますので、重要なものは自然と覚えることができるでしょう。
また、文法だけではなくセンター試験の過去問を効果的に使いたいという方はこちらの記事を読んでみてください。
では、始めましょう。
構成は以下の通りとなっています。
今回扱う全年度の問題→年度ごとの問題→解答→解説
まずは問題に取り組みます。文法問題は本文がなくても解けることが多いですが、本文がないと厳しいものもあります。それについては問題の部分でお伝えします。
問題に取り組む際に重要なことは、正答の選択肢だけではなく間違いの選択肢も含めてそれぞれの文法的説明ができるかどうかです。
これが自分で完璧にできたら解答だけの確認でいいでしょう。
1つでも説明ができなかった、もしくは説明が合っているか不安なものがあった場合は解説を読みましょう。
この解説の内容を「もの」にしていくことが、今回の目的です。
その年度では間違いの選択肢でも、他の年度では正答するために必要なことがあります。自分で説明できるまで繰り返してみてください。
[全問題]
1987年度
傍線部「に」と同じ用法の「に」はどれか。次の①~⑤のうちから一つ選べ。
女房なども何か口たたきつつ、心そらにありくもあり。
① やんごとなき人にや
② つつましげに
③ 晴れに晴れて
④ 濡れにし人は
⑤ つひに
1988年度
なし
1989年度
傍線部「おぼえね」の文法的説明として正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
また言の葉をかはすべき人こそ世におぼえね。
① 「おぼえ」は動詞の未然形、「ね」は完了の助動詞の已然形である。
② 「おぼえ」は動詞の未然形、「ね」は打消しの助動詞の已然形である。
③ 「おぼえ」は動詞の未然形、「ね」は「……してほしい」という意味の終助詞である。
④ 「おぼえ」は動詞の連用形、「ね」は打消しの助動詞の已然形である。
⑤ 「おぼえ」は動詞の連用形、「ね」は完了の助動詞の已然形である。
1990年度
傍線部(a)「山なれど」、(b)「同じ心に」、(c)「はるかに」、(d)「知らずなりぬる」の文法的説明として最も適当なものの組み合わせを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① (a)伝聞推定の助動詞 (b)格助詞 (c)格助詞 (d)断定の助動詞
② (a)断定の助動詞 (b)格助詞 (c)形容動詞の活用語尾 (d)伝聞推定の助動詞
③ (a)伝聞推定の助動詞 (b)形容動詞の活用語尾 (c)格助詞 (d)断定の助動詞
④ (a)断定の助動詞 (b)形容動詞の活用語尾 (c)形容動詞の活用語尾 (d)伝聞推定の助動詞
⑤ (a)伝聞推定の助動詞 (b)形容動詞の活用語尾 (c)格助詞 (d)動詞
⑥ (a)断定の助動詞 (b)格助詞 (c)形容動詞の活用語尾 (d)動詞
1991年度
傍線部(a)~(f)の「べき」は、助動詞「べし」の連体形である。その連体形の働きは、(Ⅰ)体言に準ずる語句を作る働き、(Ⅱ)係助詞を受けて結ぶ働き、(Ⅲ)下の語を修飾する働き、の三つのグループに分けられる。(a)~(f)の「べき」の働きは、それぞれ(Ⅰ)~(Ⅲ)のどれに当たるか。その組み合わせとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 中の君も、遅らかし給ふべきならねば
b 今は何しにかは、この庵(いほり)をまた立ち帰り見給ふべき。
c いみじうなむうれしかるべき」とて
d 行く末もはるけかるべき別れには
e いとよりどころなき心地すべきもさる事にて
f さるべき老いしらへる女房などを
① (Ⅰ)…(a) (b) (Ⅱ)…(c) (d) (Ⅲ)…(e) (f)
② (Ⅰ)…(a) (c) (Ⅱ)…(b) (e) (Ⅲ)…(d) (f)
③ (Ⅰ)…(a) (d) (Ⅱ)…(b) (c) (Ⅲ)…(e) (f)
④ (Ⅰ)…(a) (e) (Ⅱ)…(b) (c) (Ⅲ)…(d) (f)
⑤ (Ⅰ)…(a) (f) (Ⅱ)…(b) (c) (Ⅲ)…(d) (e)
1992年度
傍線部B「おもひたまへらむ」の文法的説明として正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① 「おもひ」は名詞、「たまへ」は四段活用の動詞、「らむ」は推量の助動詞である。
② 「おもひ」は動詞、「たまへ」は四段活用の補助動詞、「ら」は完了の助動詞、「む」
は推量の助動詞である。
③ 「おもひ」は動詞、「たまへ」は四段活用の補助動詞、「らむ」は推量の助動詞である。
④ 「おもひ」は名詞、「たまへ」は下二段活用の動詞、「ら」は完了の助動詞、「む」は推量の助動詞である
⑤ 「おもひ」は動詞、「たまへ」は下二段活用の補助動詞、「ら」は完了の助動詞、「む」は推量の助動詞である。
⑥ 「おもひ」は動詞、「たまへ」は下二段活用の補助動詞、「らむ」は推量の助動詞である。
では、年度ごとに解答・解説をしていきます。
[問題]
1987年度
傍線部「に」と同じ用法の「に」はどれか。次の①~⑤のうちから一つ選べ。
女房なども何か口たたきつつ、心そらにありくもあり。
① やんごとなき人にや
② つつましげに
③ 晴れに晴れて
④ 濡れにし人は
⑤ つひに
[解答]
②
[解説]
「心そらに」は、「上の空だ」という意味の「心そらなり」という形容動詞の連用形です。
①「にや」「にか」の下には「あらむ」が省略されており、「に+○+あり」の形になっている「に」は断定「なり」の連用形です。「にや」「にか」の「に」は「断定」と覚えておきます。
②「~かに」「~げに」となっているものは形容動詞の連用形の可能性が高くなります。「はるかに」「しずかに」「たからかに」「あはれげに」「はかなげに」など。今回も「つつましげなり」という形容動詞の連用形です。これが答えですね。
③これは助詞です。正確には格助詞ですがそこまで覚えなくていいでしょう。同じ動詞が重ねられているときは強意の意味になり「とても~」「~し続ける」と訳すことも合わせて覚えておきましょう。今回は「とても晴れて」です。ちなみに「泣きに泣く」だと「ひどく泣く」か「泣き続ける」のどちらかということになります。
④「にき」「にけり」の「に」は完了「ぬ」の連用形です。今回は「き」が連体形になっています。過去「き」の活用は「せ/○/き/し/しか/○」。20回くらい声に出せば覚えることができるでしょう。連体形「し」と已然形「しか」がよく出てくるので見た瞬間に過去「き」だ、と分かるようにしておきましょう。
⑤「つひに」は「結局、最後まで」と訳す重要単語で副詞です。他に「いかに(如何に)」「かたみに(互に)」「げに(実に)」「さすがに」「さらに」「すでに」「まさに(正に)」「よに(世に)」なども見たら分かるようにしておきましょう。
[問題]
1989年度
傍線部「おぼえね」の文法的説明として正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
また言の葉をかはすべき人こそ世におぼえね。
① 「おぼえ」は動詞の未然形、「ね」は完了の助動詞の已然形である。
② 「おぼえ」は動詞の未然形、「ね」は打消しの助動詞の已然形である。
③ 「おぼえ」は動詞の未然形、「ね」は「……してほしい」という意味の終助詞である。
④ 「おぼえ」は動詞の連用形、「ね」は打消しの助動詞の已然形である。
⑤ 「おぼえ」は動詞の連用形、「ね」は完了の助動詞の已然形である。
[解答]
②
[解説]
文中に係助詞「こそ」があるので、係り結びの法則で文末は已然形になります。
だから「ね」は已然形と判断でき、已然形が「ね」になるのは打消「ず」です。
打消「ず」の活用は「ず・ざら/ず・ざり/ず/ぬ・ざる/ね・ざれ/ざれ」と覚えます。20回言えば覚えることができます。
打消「ず」の接続は未然形です。「接続」とは上に来る語の活用形(未然形とか連用形とか)が決まるということです。打消「ず」の接続が未然形というのは、「ず」の上は未然形になっているということを意味します。
ということは「おぼえ」はヤ行下二段「おぼゆ」未然形だと分かります。
おまけに次の2つも確認しておきます。
係り結びの法則は文中に「ぞ・なむ・や・か」があれば文末が連体形になり、「こそ」があれば已然形になるというものですね。
完了「ぬ」は連用形接続で活用は「な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね」とナ変で活用します。
今回のように打消「ず」との識別で問われるので合わせて覚えておきましょう。
[問題]
1990年度
傍線部(a)「山なれど」、(b)「同じ心に」、(c)「はるかに」、(d)「知らずなりぬる」の文法的説明として最も適当なものの組み合わせを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① (a)伝聞推定の助動詞 (b)格助詞 (c)格助詞 (d)断定の助動詞
② (a)断定の助動詞 (b)格助詞 (c)形容動詞の活用語尾 (d)伝聞推定の助動詞
③ (a)伝聞推定の助動詞 (b)形容動詞の活用語尾 (c)格助詞 (d)断定の助動詞
④ (a)断定の助動詞 (b)形容動詞の活用語尾 (c)形容動詞の活用語尾 (d)伝聞推定の助動詞
⑤ (a)伝聞推定の助動詞 (b)形容動詞の活用語尾 (c)格助詞 (d)動詞
⑥ (a)断定の助動詞 (b)格助詞 (c)形容動詞の活用語尾 (d)動詞
[解答]
⑥
[解説]
(a)体言(名詞)に接続する「なり」は断定「なり」の可能性が高くなります。今回も「山であるが」と訳せますので断定です。
(b)そのまま「同じ心に」と訳せるので助詞と判断します。正確には格助詞ですが、そこまでの判断はしなくても正答できます。
(c)「~かに」「~げに」となっているものは形容動詞の連用形の可能性が高くなります。「しずかに」「たからかに」「あはれげに」「はかなげに」など。今回も「はるかに」という形容動詞の連用形です。
(d)「知らなくなった(分からなくなってしまった)」とそのまま「なる」と訳せるので動詞です。
[問題]
1991年度
傍線部(a)~(f)の「べき」は、助動詞「べし」の連体形である。その連体形の働きは、(Ⅰ)体言に準ずる語句を作る働き、(Ⅱ)係助詞を受けて結ぶ働き、(Ⅲ)下の語を修飾する働き、の三つのグループに分けられる。(a)~(f)の「べき」の働きは、それぞれ(Ⅰ)~(Ⅲ)のどれに当たるか。その組み合わせとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
a 中の君も、遅らかし給ふべきならねば
b 今は何しにかは、この庵(いほり)をまた立ち帰り見給ふべき。
c いみじうなむうれしかるべき」とて
d 行く末もはるけかるべき別れには
e いとよりどころなき心地すべきもさる事にて
f さるべき老いしらへる女房などを
① (Ⅰ)…(a) (b) (Ⅱ)…(c) (d) (Ⅲ)…(e) (f)
② (Ⅰ)…(a) (c) (Ⅱ)…(b) (e) (Ⅲ)…(d) (f)
③ (Ⅰ)…(a) (d) (Ⅱ)…(b) (c) (Ⅲ)…(e) (f)
④ (Ⅰ)…(a) (e) (Ⅱ)…(b) (c) (Ⅲ)…(d) (f)
⑤ (Ⅰ)…(a) (f) (Ⅱ)…(b) (c) (Ⅲ)…(d) (e)
[解答]
④
[解説]
このような問題が今後出るとは思えませんが、一応確認しておきます。
まずは(Ⅰ)~(Ⅲ)の内容を確認します。
(Ⅰ)は「体言に順する語句を作る」とありますから「~こと・もの」と訳せるということです。
(Ⅱ)は係り結びですね。文中に「ぞ・なむ・や・か」があれば文末が連体形になります。ちなみに「こそ」があると已然形になります。
(Ⅲ)「下の語を修飾する」というのは、そのまま「~べき~」と下に繋がっていくということです。「今は勉強するべき時だ」みたいな感じです。
(a)「後に残すべきことでないので」と「~べきこと」となるので(Ⅰ)です。
(b)文中に「か」があります(「何しにかは」の「か」)。係り結びで(Ⅱ)です。
(c)文中に「なむ」があります。係り結びで(Ⅱ)です。
(d)「遠く離れているべき別れ(遠く離れているに違いない別れ)」と「別れ」に繋がっているので(Ⅲ)です。
(e)「気持ちがするべきことももっともなことで」と「~べきこと」となるので(Ⅰ)です。
(f)「さるべし」は「ふさわしい・そうなるのが当然の」という意味の重要単語です。「ふさわしい老いぼれた女房」と下に繋がっているので(Ⅲ)です。
[問題]
1992年度
傍線部B「おもひたまへらむ」の文法的説明として正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① 「おもひ」は名詞、「たまへ」は四段活用の動詞、「らむ」は推量の助動詞である。
② 「おもひ」は動詞、「たまへ」は四段活用の補助動詞、「ら」は完了の助動詞、「む」
は推量の助動詞である。
③ 「おもひ」は動詞、「たまへ」は四段活用の補助動詞、「らむ」は推量の助動詞である。
④ 「おもひ」は名詞、「たまへ」は下二段活用の動詞、「ら」は完了の助動詞、「む」は推量の助動詞である
⑤ 「おもひ」は動詞、「たまへ」は下二段活用の補助動詞、「ら」は完了の助動詞、「む」は推量の助動詞である。
⑥ 「おもひ」は動詞、「たまへ」は下二段活用の補助動詞、「らむ」は推量の助動詞である。
[解答]
②
[解説]
「おもひ」の下に「たまへ」があるので、「おもひ」が動詞であることは問題ないと思います。
次に選択肢の「動詞」と「補助動詞」の違いですが、他の動詞の下についているものは「補助動詞」だと判断します。補助動詞とは上の動詞に何らかの意味を付け足す動詞のことです(なお、ここでの「動詞」は本来「本動詞」と言い「(本来の意味で独立的に)意味を持つ動詞」のことを言います)。
敬語の補助動詞は重要ですので以下のものは覚えておきましょう。
「たまへ」は四段活用ならば尊敬、下二段ならば謙譲の意味になり、どちらの可能性もあります。とはいえ、謙譲になるのは会話文や手紙文などの限られた場合であり滅多に出てきません(だから出てきたら問題になるとも考えることもできますが)ので、ほとんどは尊敬です。
今回は文脈がありませんので、尊敬か謙譲かを判断できません。
しかし、その次の「ら」「らむ」の説明を見れば判断できます。
もし「ら」ならば、完了「り」未然形しかありません。完了「り」の接続は「サ変の未然形か四段の已然形」です。もし「らむ」ならば現在推量「らむ」ですので、接続は終止形です。
「たまへ」は絶対に終止形ではありませんから「らむ」の可能性はなく、「ら」だと分かります。ということは、「たまへ」は四段の已然形としか考えられません。
以上で、今回の解説は終わりですが、やっていて「助動詞の接続」が重要だと気付きましたか。助動詞の接続を知っておくことは必須です。
覚えておくべきことは多くないので今回で覚えてしまいましょう。
まず連用形接続の助動詞です。20回声に出せば覚えます。
きけりつぬたりたしけむ(き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ)
次に終止形接続(ラ変には連体形)の助動詞です。
べしまじらしらむめりなり[伝聞推定](べし・まじ・らし・らむ・めり・なり)
[伝聞推定]というのは終止形接続の「なり」は「伝聞推定」ですよということです。
これ以外に覚えるのは次の助動詞です。
完了存続の「り」は「さみしい(サ未四已)『り』かちゃん」(サ変の未然形と四段の已然形ということです)
断定の「なり」は体言・連体形
これだけ覚えてしまえば、この他は未然形だとします(厳密には他にも若干ありますが、それは余裕があれば覚えてください)。
未然形接続も記しますが、連用形接続でも、終止形接続でも、「り」でも「なり」でもない助動詞と覚えておけばそれでオッケーです。
す・さす・しむ・る・らる・ず・む・じ・まし・まほし
センター過去問の文法問題をやるだけでも「文法問題を解く」ための力はかなりつきます。1日数十分でいいので取り組んでみてください。
頑張ってください。
では、これで終わります。
センター対策の古文単語や文法、漢文の重要漢字や句法を確認する場合はQuizletが便利です。
次の記事もぜひご覧ください。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。
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