高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

2018年度高2進研模試7月(総合学力テスト)_国語_第1問(評論)_解説

 

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度高2進研模試7月(総合学力テスト)の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題に形式段落番号を記入してください。1~15までになります。

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。

大学受験を考えると漢字検定2級レベルまで完璧にしたら漢字は大丈夫です。

漢字学習をどうやっていいか分からない方は漢字検定をベースに学習をするといいでしょう。

なお、漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので飛び級はオススメしません。4級、もしくは3級から学習を始めましょう。

 

ちなみに、今回の漢字aは4級、bは3級、cは4級の範囲に該当する漢字です。

 


問2 傍線部の言い換え

 

ポイントは3つです。

 

 

①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。


イコール問題です。「世界」の説明を読み取るだけの問題です。

 

イコール問題の基本は次の2つでした。

 

①その語句が主語になっている部分に注目する。
②その語句を修飾している部分に注目する。 

 

今回はこの①でいけます。

 

まずは、傍線部「世界」自体が主語になっていることが分かります。

続く部分に注目すると、「人間の生活や精神を安定させ、また、ある程度の耐久性をもって、個体の生命を超えて存続する」ものだと分かります。

しかし、これでは15字以内には収まりませんから、これと同じような内容の他の部分を探します。

 

傍線部は形式段落のはじめにありますから、この段落で説明がなされるかと思いきや、後半はアレントの引用で終わっています。

よって、「世界」の説明が次の段落に続くのではないかと考えられます。

 

その意識で次の段落を読むと、「世界」が主語の一文で始まっています。やはり、形式段落2で「世界」の説明がなされそうです。

 

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」ですね。

 

つまり、形式段落2の終わりで「世界」をまとめてくれるはずです

 

そう考えて読んでみると「耐久性をもったモノの体系」とありますよ。
15字以内であること、はじめに確認した形式段落1の内容(字数が超過して答えとできなかった)と同じである(「耐久性をもっている」って同じですね)ことから、ここが答えと分かります。


この問題は非常に大切です。

言い換え問題の基本(主語に注目!)と形式段落の読み方の基本(この話するよ→説明→この話のまとめ)との両方の読み方を必要としているからです。文章の読み方をマスターするには、もってこいの問題です。

 


問3 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

 

①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


これまたイコール問題です。「財産」の説明を読み取るだけの問題です。

 

まずは、傍線部「財産」自体が主語になっていることが分かります。

続く部分に注目すると、「有形のものも無形のものもある」のが「財産」だと分かります。では、この「有形のものと無形のもの」って何でしょうか。

 

傍線部は形式段落3の終わりにあります。この段落の中程で説明がされていると考えられますね。「家」と「国」を例に具体的に説明してくれてますよ。

 

家…土地や住居(有形)と家族の交わり・先祖の記憶(無形)
国…国土や国境(有形、国境が有形かは置いておきます)と国民の交わりや先人からの文化、価値、記憶(無形)

 

つまり、先祖や先人からの形がある(物質的)ものと、形がない(精神的)ものだと読み取れます。

 

問2と同じく、この問題も非常に大切です。

言い換え問題の基本(主語に注目!)と形式段落の読み方の基本(この話するよ→説明→この話のまとめ)との両方の読み方を必要としているからです(問2は傍線部がはじめにあるパターン、今回は終わりにあるパターン)。文章の読み方をマスターするには、もってこいの問題です。

 


問4 内容説明

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どのようなことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


「労働」とは何かが問われています。

 

傍線部は形式段落の終わりにあるので、この形式段落で説明がされていたはずです

中程(33行目下)に「労働」が主語になっている部分があります。ここが答えとなりそうです。

「人間の生を維持するためにモノを生み出す目的を持っていたが、モノは消滅するのでその本来の目的が見えなくなった」もののようです。

 

この部分を使って「労働」の言い換えだということを意識して解答の文末を決めます

「労働」ですから「モノを生み出す」を文末にしたいですね。言い換えるとこうなります。

 

「人間の生を維持するという本来の目的がなくなり、消滅するモノを生み出すこと。」(37字)

 

これで答えとしては十分ですが、できればもう一歩いってもらいたいことがあります。

それは「労働」の言い換えなのだから、「労働」が主語になっているところに注目できるかという点です。

 

先ほどの答えも「労働」が主語の部分を使いました。

が、この傍線部に来るまでに「労働」や「消費」についてずっと説明が続いてきたことに気づいているはずです。だとすれば、他の箇所にも「労働」の説明があるのではないかと思ってほしいということです。

なぜなら、その文章でのキーワードが出てきたら筆者はすぐに説明してくれるものだからです(その方が読みやすい文章になりますよね?)。

 

このような意識で「労働」が出てきた形式段落5まで戻ります。

やっぱり「労働」の説明がありますね。17行目下です。

 

消費財を作り出すための活動が『労働』なのだ」

 

「は」「が」がイコールを表す助詞だと分かっていれば「労働=消費財を作り出すための活動」だと分かります。

この部分、はじめに作った答えの後半の「モノを生み出すこと」のイコールになっています。そして、こちらの方がより具体的な説明になっていますので、こちらを使いましょう。

 

「人間の生を維持するという本来の目的がなくなり消滅する消費財を作り出すための活動。」(40字)

 


問5 内容理解

 

 

①傍線部の内容をあらわす例を答える問題(イコール問題)である。
 →傍線部を具体例に言い換えるということである。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


傍線部は形式段落の終わりにあるので、この形式段落で説明がされていたはずです

 

形式段落13の内容を読み取ればいいだけです。

自分の個性、趣味でやったことが、「世界」の美的性格や完結性、モノの適宜性へと気遣い、奉仕している、です。

もっと簡単に言えば「自分が好きでやっていることが世界のためにもなっている」です。

このようなことの具体例になっているものを選択肢から選びます。

 

 

1 「知名度を高めるために」ではなく、あくまで自分が好きでやったことが世界のためにならなければいけません。
2 自分が好きでやったことになっていません。
3 自分がすきでやったことになっていません。
4 自分が好きに植えた花樹が、他の人のためになっています。これが正解。 

 


問6 筆者の主張

 

ポイントは1つです。

 

 

①具体例の前後にはその具体例のまとめ(主張)がある。 

 

形式段落14は具体例が並んでいます(設問でも「ここから続く例」と書いてくれています)。

具体例は筆者の主張を分かりやすく説明してくれている箇所でした。

そして、具体例の前後に筆者の言いたいことがあるのでした

 

では、今回の問題で確認してみましょう。

 

形式段落14の前の内容は問5で確認した「自分が好きでやっていることが世界のためにもなっている」です。

これの説明が傍線部の例だとすると、ちょっとよく分かりませんね。

 

では、形式段落14の後の内容を見てみます。形式段落15のはじめです。

「こうしたことは、この『世界』に関与する人間の精神と無関係ではなかろう。モノの配置や体系は、人の精神の反映である」となっています。

「こうしたこと」は当然、形式段落14の具体例のことです。

さらに「モノの配置や体系」というのは傍線部「美観をもった街もあれば、そうでない街もある」の話と繋がりそうです(配置や体系によって、美しかったり美しくなかったりするのでしょうから)。

 

だとすると、傍線部の例によって筆者が言いたいことは形式段落15ですね。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→まとめ」です

先ほどの「こうしたことは、この『世界』に関与する人間の精神と無関係ではなかろう。モノの配置や体系は、人の精神の反映である」の話の説明がこの形式段落でされています。

まとめは終わりにある「有意味性」でしょう。この言葉ではよく分かりませんから形式段落の中程の説明を読みます。

「人間にとって何らかの意味をもっている」ですね。

 

これらをまとめると答えになります。

 

モノの配置や体系は「世界」に関与する人の精神の反映であり、それは人間にとって何らかの意味をもっているということ。(56字)

 


いかがでしたか。

「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」でお伝えしたことで解けることが分かったと思います。

現代文(評論)でやるべきことはこれらの読み方、解き方をマスターすることです。

そのためには「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」を繰り返し熟読し、あらゆる問題でこれらの方法を試すことです。その繰り返しをしていれば、この読み方が自然となります。そこまでいけば、評論対策は必要なくなるでしょう。

高1、高2の模試では文章の読み方の基本が問われています(今回の解説で分かりましたよね?)ので、これらの力をつけるにはもってこいの教材です。復習をして読み方をマスターしてみてください。

国語の学力は上げることができますからね!ぜひ武器にしてみてください。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

 

検討を祈っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年度総合学力記述模試(7月進研記述模試)_国語_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度7月進研記述模試(総合学力記述模試)の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。

まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで記述模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)

 

形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~17まで振られています。

 

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。

漢字検定2級レベルまでは完璧にしたい所ですが、時期が時期ですのでせめて準2級レベルまでは夏までに仕上げましょう。

ちなみに、今回は準2級までの漢字しか出題されていません。

 


問2 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

 

①「どのようなことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
 →傍線部の言い換えるべき語句(「大地」「地球」)に注目する。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

イコール問題だと分かれば「大地」と「地球」を言い換えてあげればいいのだということが分かります。そして、この2つについてはすでに述べられています。

 

「大地」については形式段落2で述べられています。

形式段落のはじめが「『大地』とは」で始まっているのですから、この形式段落が「大地」の説明だと分かります。また、「大地」が主語になっているのですから、その続きが「大地」の説明部分(言い換え部分)です。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」でした

つまり「大地=世界の下方に位置し、人間が拘束される場所であり、世界の上方にある神々の座となる『天空』と対をなすもの」です。

 

「地球」については形式段落1と3で述べられています。

形式段落1では「地球=自然に属する一個の存在者」としか分かりませんので、形式段落3を見ます。

形式段落3も「地球は」で始まっているのですから、この形式段落も「地球」の説明です。また、「地球」が主語になっているのですから、その続きが「地球」の説明部分です。

ここでも形式段落の作りを意識します

つまり、「地球=宇宙に属する」であり、その次の一文が「宇宙」の説明なので「地球=宇宙に属する=ありとあらゆるものが断片として無差別に属する(太陽は太陽だし、地球は地球)

 

この2つを確認して選択肢の文末を見るだけで答えは出ます。

 

今回の場合は、選択肢の文末に来ているはず(選択肢は傍線部の言い換えだとすれば、後半に『地球』の説明が来ているはず)の「地球」だけ確認すれば答えは導けます

 

選択肢を見てみましょう。

 

 

1「物理的法則によってすべてのことが説明可能な天体」→確認したものと違います。
2「ありとあらゆるものが差別なく存在する宇宙の構成要素の一つ」→OKです。
3「全体として調和的秩序が存在している場所」→確認したものと違います。ちなみにこれは形式段落2の最後にある「世界」の説明です。
4「人間の手によって改変可能な宇宙の構成要素の一つ」→確認したものと違います。
5「地殻プレートの変動によって恐ろしい天変地異が起きる場所」→確認したものと違います。 


なお、前半の「大地」で選択肢を見てみると答えは1つに絞ることはできないかもしれません。やはり、選択肢は後半から見るようにしましょう


答えは出ましたが、ポイント②「形式段落のはじめにある」は今回どのように使うかを説明しておきます。

 

この形式段落で傍線部を説明しているはずだという意識で読み、最後の「近代的自然観が台頭してきた」に注目します(形式段落の作りを意識)。

つまり、傍線部の「近代という時代」は「近代的自然観」なわけです。すると、これを説明していたのは形式段落4だと分かります。

形式段落4の最後は「近代的自然概念」とあるので、ここで説明されていると判断できるからです(これまた形式段落の作りを意識)。形式段落4の中程に「近代の唯物論的自然科学」という言葉があるので、これが傍線部の「近代という時代」の言い換えとなるわけです。答えの選択肢にこの言葉が出てくるのは、これが理由です。

 


「文章の読み方」を意識すると、ほとんどの問題は傍線部の近くに答えの根拠があることが分かります。しかし、この問題は傍線部の近くに答えがないパターンでした

このパターンはたびたび見かけますので構造を確認しておきます。

 

次のような文章構造、傍線部の位置になっている場合に、今回のように答えの根拠が離れた箇所になります。

 

 

形式段落1~5 Aの説明 
形式段落6~8 Bの説明
形式段落9   まとめとして「AとBは…」という文章になっていて、「AとBは」の「A」の部分に傍線部が引かれている。 

 

「A」の説明はすでに終わっているので、Aに関する問題は形式段落1~5の部分を読んで答えることになります。

今回はまさにこの構造となっていて、AもBも読み取るような問題だったと言えます。

「近代」も読み取ると考えると、Bの説明のあとにCまであったということです。

 


問3 理由説明

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。
③設問にある「皮肉」のニュアンスを反映する。 


なぜ地球人が宇宙人なのかが問われています。

 

ここまでの内容にはその理由が述べられていないことは明らかなので(「宇宙人」という言葉がはじめて出てきたのですから!)次の形式段落に説明があると考えます。

 

そのような意識で形式段落8のはじめの一文を読むと「この新種のエイリアンたち」という表現に気づくはずです。もちろんこれが「宇宙人」です。

そして、この段落では「エイリアンたちが地上で何をしているか」が述べられています。中程に説明が長々とありますが形式段落のまとめである最後を見ると「世界破壊活動」をしていると分かります。

 

つまり、「世界を破壊する活動をしているから」宇宙人だと述べたわけです。

 

これが解答の文末になります。記述の問題もまずは一言で答えてみることが重要です。


次に、設問にある「皮肉」のニュアンスを加えます

「皮肉」とは学研『現代新国語辞典』に「相手の欠点・弱点などを、遠まわしに意地悪く非難すること」とあります。

もっと分かりやすくいうと「本当は『ダメ』なのに『素晴らしい』と言うことで逆に悪口になること」です。

 

たとえば、背が低いことをコンプレックスにしている人に向かって「バスケやバレーの選手みたいだね」と言ったり、自分が不細工だと思っている人に向かって「ジャニーズからオファー来るに違いないね」と言ったりすることです。

 

先ほど導いた解答の文末は「皮肉」の「素晴らしい」の方に当たるので(答えの後半なのですから)、考えるべきは「ダメ」のほうです。つまり、本当はマイナスなことがあるのに破壊活動をしているから皮肉めいた言い方をしているわけです。

 

この意識で読み進めると、形式段落10が「人類は宇宙人になりきれない」と始まっています。ここにマイナスのことが述べられていそうですね。

この形式段落の終わりには「ヒトは宇宙空間に生きられない、世界内存在で大地の住人であることを克服できない」とあります。宇宙空間に生きられないのに宇宙人ぶっているわけです。

 

「皮肉」のニュアンスでまとめてみると「本当は宇宙では生きられないのに、宇宙人ぶって世界を破壊する活動をしているから」となります。

 


問4 理由説明

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③「そればかりではない」という言葉に注目する。 


「物」を「守るべき」理由が問われています。

 

答え方としては「物」がどのようなものであるかを説明すればいいでしょう。

たとえば、「子ども」を「守るべき」理由を答えるとしたら「子どもは弱い存在であり、人類を存続させる大切な存在であるから」などとなります。まずは、このように解答のフレームを作ることが大切です(今回であれば「物」を主語にしようというような)

 

今回は「物」を主語にして答えてみます。

 

傍線部は形式段落のはじめにあるので、この形式段落で説明がされていくはずです。

(しつこいですが形式段落の作りを意識して読みます

形式段落の中程に「物たちによって世界は守られ、その世界のおかげで人間の生活は守られる」とあります。

「物」を主語にすると「物が世界を守り、その世界が人間の生活を守っている」となります。「物」が「人間の生活」を守っているのですから、その「物」を「守るべき」理由になりますね。これが1つめの要素です。

 

これで解答が作ることができる問題が多いのですが、今回はこれだけではダメです。

なぜなら、次の形式段落14のはじめが「そればかりではない」と始まっているからです。この「それ」の指す内容は先ほど確認した内容です。

つまり、「物」は「人間の生活を守っている」だけではないということです。だとすると、形式段落14でも「物」の説明が続くことになります。「そればかりではない」と始まっているのですから、この形式段落でその説明がされていくはずです。

形式段落の作りですよ

 

そのような意識で形式段落14を読むと、中程に「物は個体の生命を優に超えて存続する」「物たちは、既在の人々が伝えようとしたものを、今日の我々に守り伝え、将来の人びとへ伝えてゆく」とあります。

つまり、「物」は「人びとが伝えようとしたことを過去から現在、未来へと伝えてゆくことができる」ことができるということです。これも「物」を「守るべき」理由になります。これが2つめの要素です。

 

この2つの要素をまとめると答えになります。

 


問5 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
 →傍線部を言い換えるということである。
②本文のおわりにある(しかも、形式段落は傍線部のみ)。
 →前の段落から内容が続いてきているはずである。
③設問に「本文全体を踏まえて」という条件がある。 


傍線部の言い換え問題なので、どこを言い換えるべきかを考えます。

 

前半の「伝えていくべき物を労わる」はあまり言い換えることができませんね。せいぜい「伝えていくべき物を大切にする」くらいです。

後半の「世界への愛のレッスン」はどうでしょうか。「世界への愛」は説明の必要がありそうです。「レッスン」は「練習」とできますね(簡単な英語だから大丈夫ですよね?)

ここまでで「伝えていくべき物を大切にすることが、世界への愛の練習だということ」となります。

 

次にポイント②です。

 

形式段落17(傍線部)にどのように内容が続いてきたかを確認します。形式段落16の終わりには「町を愛する」という表現、中程には「町を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していく」という内容があります。「世界への愛」の説明のようではないですか?形式段落16のはじめは「世界が壊れる」なんていう表現で始まっているから、やはり「世界への愛」の説明のようです。

さらにさかのぼり形式段落15を見ていると、終わりが「物への労わりは、世界への愛に通じ、しかもそれが同時に、われわれ自身を愛することへと通ずる」となっています。

先ほど確認した「伝えていくべき物を大切にすることが、世界への愛の練習だということ」とほぼ同じ表現だと気づきますか。ここをそのまま使い、さらにこの「世界への愛」が形式段落16の内容のようです。

 

ここまでをまとめると、「伝えていくべき物を大切にすることが、町を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していくという世界への愛に通じ、同時に、われわれ自身を愛することの練習に通じるということ」となりそうです。

町=世界でしょうから「伝えていくべき物を大切にすることが、世界を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していくことになり、われわれ自身をも愛することの練習になるということ」とまとめることができます。

 

これが傍線部の言い換えとなります。


これに「本文全体を踏まえて」という点を加えます

 

このような問題に対する考え方がこれです

 

 

①まずメインとなる答えを作る。
②その答えに、内容説明、理由説明、対比、条件のいずれかを加える。 

 

以上です。

これだけではよく分かりませんね。もう少し説明します。

 

メインとなる答えというのは、これまで通りの形式段落の作りから内容を読み取ったり、指示語の内容を示したり、設問条件のニュアンスを出したり(問3の「皮肉」のように)した答えのことで、まず一言で答えたものです。ここまでは、これまでの解答の作り方でいけるはずです。

 

次に、その答えに制限字数に合わせて内容を肉付けしていきます。その肉付けする内容が「内容説明、理由説明、対比、条件」のいずれかになります。

 

 

内容説明…先ほどの「世界への愛」のように、わかりにくい言葉を言い換えたり、その言葉に修飾部分(説明する文)を加える。

理由説明…メインの答えに対する理由を加える。

対比…メインの答えの内容と対比されている内容を加える。

条件…メインの答えの内容に前提となる条件があるなら加える。 

 

たとえば、こんな感じです。

 

メインの答えが「スマホを買ってもらったということ」だとします。

 

内容説明を加えると「新しい機能がたくさんついたスマホを買ってもらったということ」

 

理由説明を加えると「母との約束通りテストで満点を取ったのでスマホを買ってもらったということ」

 

対比を加えると「それまで使っていたガラケーではなくスマホを買ってもらったということ」

 

前提となる条件を加えると「中学3年生のとき、スマホを買ってもらったということ」

 

すべて合わせると「中学3年生のとき、母との約束通りテストで満点を取ったので新しい機能がたくさんついたスマホを買ってもらったということ」となります。

 

字数が多いときの考え方はすべてこれになります。

メインの答えを作る。

それに上の4つを加えていく。

4つのどれを加えるかは問題と字数によります。設問や本文内容から優先順位の高いものから加えていき、制限字数になったらそこまでとします。

 

4つめの「前提となる条件」が少しわかりにくいかもしれませんので具体例で補足します。
「近代において」「産業革命が起きた際」「欧米の社会では」などのように年代や場所などが限定される場合に加えます。いまいち分からないかもしれませんが、このことを知ってから模試や問題集の解答を見ると「あぁ、これか」ということがあるかと思います。

 


では、今回の問題に戻りましょう。

 

メインとなる答えは「伝えていくべき物を大切にすることが、世界を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していくことになり、われわれ自身をも愛することの練習になるということ」でした。


これに何を加えればいいかを考えます。

 

内容説明はすでに終えています。

 

理由説明はどうでしょうか。なぜ「物を大切にし世界を受け渡していこう」ということを述べているかというと、人類が「宇宙人」となり世界破壊活動をしているからです(前半の内容)。また、問3の内容から人類は宇宙では生きていけないのだから「世界を大切にしなければいけない」と読み取ることができます。今回はこの内容を足すことになります。

 

対比は理由説明と同じ内容になりますが「人類は物や世界を大切にするべき、自身を愛するべき」と「人類は世界を破壊している」が書けそうです。

 

前提となる条件は今回は必要なさそうです。時代の対比や場所の対比の文章ではありませんからね。

 

以上をまとめて「人類は宇宙では生きていけないので世界を破壊する活動をするのではなく、伝えていくべき物を大切にすることが世界を受け継ぎ後代に受け渡していくことになり、われわれ自身をも愛することの練習になるということ」となります。

 

模試の解答はこれをさらに言い換えて格好良くなっていますので、言い換える練習としてぜひ見てみてください。

ただ、模試の解答は本当に上手な文になっていますので、それを書けなくても仕方ありません(書けるに越したことはありませんが)。

 

大事なのは考え方のプロセスです。どのように読み、どのように答えを作るのかをしっかりと身につけましょう

ですから、はじめは本文の言葉を使った解答でいいのです。そのレベルがある程度まで達したら上手な文章表現を試みてください。

 


問6 文章表現

 

文章表現問題は1つ1つ確認していくしかありませんので対策できません。

 

ただ、あくまで消去法でいくようにしましょう。微妙なのは残して、絶対に違うと分かったものから消去していきます。そして、残ったものを答えとするのです。

 

自分でそれぞれの選択肢の何が間違っているのかを考えてから、解答でどの部分が間違っているのかを確認しましょう。

 

 


いかがでしたか。

 

問5で記述問題の答えの作り方の説明があったため、かなり長くなってしまいました。

 

しかし、センター試験も記述試験もやるべきことは大きく変わらないということが分かったと思います。記述問題は「書く力」が要求されますが、書く内容を考える段階ではマーク式と同じなのです(今回であれば問5のメインの答えを考えるまでは同じです)。

ぜひ「文章の読み方」を意識して文章を読んでみましょう。現代文の問題を解いてみましょう。

国語の学力は上がりますセンター試験でも個別入試でも武器にできるのです。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。

模試を受ける意味(高1、高2)

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 


今回は高校1年生や高校2年生が模試を受ける意味について書きます。
(それ以外の学年でも参考になる部分もあると思います)

 

また、私が教師として模試をどのように扱っているのかということにも触れていきます。


通っている学校や塾によって受験する模擬試験は異なりますが、どの模試を受けたとしても共通する意味があります。

この意味を考えずに「受験することが決まっているから受験する」ではお金も時間も無駄になってしまいます。期限のある大学受験(誰だって浪人するために頑張っているわけではないでしょうから)に挑むために模試を受験するわけですから、少しでも有意義なものにしたほうがいいに決まっています。

 


私が考える「模試の意味」とは次の4つです。

 

 

①学習の指針となる
②学習に対するモチベーションを高める
③自分の絶対的学力を知る
④受験本番の雰囲気に慣れる


「教師」として重要視している流れが「学習の指針」として「学習へのモチベーションを高める」ことなのですが、それぞれの説明と合わせて見ていきます。

 


①学習の指針となる

 

高校1年生、2年生の模擬試験では段階を追って範囲が増えていきます。

言い方を換えると、それぞれの模試で求められる「学習の段階」がある程度定まっているということです。

 

国語でこのことを見てみましょう。

分かりやすいのが古典文法などの知識の問題です。

進研模試の古典文法の問題を例にします。

 

高1の7月…動詞の活用
高1の11月…用言の活用、基本的な助動詞の意味と活用
高1の1月…基本的な助動詞(識別に絡むものが中心)
高2の7月…識別と意味の訳し分け
高2の11月…識別と意味の訳し分け、敬語
高2の1月…識別と意味の訳し分け、助詞の用法 

このように求められる段階が明らかに違います。

 

そして、これらの模試で求められる内容は大学受験で必要とされるほぼすべての学習内容を網羅しています。つまり、2年生の模試までの内容を完璧にしていけば大学受験対策は自然と完了しているということです。3年生の模試で問われることはこれらの繰り返しに過ぎません。

 

国語に限らず数学や英語でも同じです(地歴公民や理科は2年生の秋から模試が始まるので違います)。

 

それぞれの模試で問われることを確実に「もの」にすることで、大学受験で求められる力を自然とつけることができます

 

段階など気にせずに参考書や問題集を完璧に仕上げれば問題ありませんが、せっかく受験する模試なのですから「段階」を意識して臨むと有意義になります。

 

模擬試験を学習指針とすることで「スモールステップ学習」が可能だということです。

 

実は、一般の高校の授業はこれが意識された授業内容になっていることが多いのですよ(先取り学習をしている中高一貫校は違います)。

 

古典文法の模試の出題に関しての記事はこちらです。

kinkoshin.hatenablog.com

 


②学習に対するモチベーションを高める

 

「モチベーション」を高める方法はさまざまあります。

「くやしい」というマイナスの感情をモチベーションにすることもできますが、それよりは「楽しい」というようなプラスの感情をモチベーションにできることに越したことはありません

 

模擬試験で良い成績を取れば誰でも嬉しい気持ちになります。しかも模試をただ受験しての結果ではなく、模試に向けて努力をした結果としての好成績であれば喜びは倍増します。

 

そして、その喜びが「また勉強してやるか」という気持ちを起こさせます

 

このブログを読んでそのメカニズムを知ったとしても、それがなくなることはありません。「からくり」が分かったとしても嬉しいものは嬉しいし、やる気が出るものはやる気が出るのです。

 

そういう意味では人間って単純なんです。

その単純さを人生をプラスにする手段として使わない手はありません。

 


私が指導するときに重要視している流れがこれです。

 

模試に向けた学習をさせる→模試で得点できる→学習に対するモチベーションが高まる 


このサイクルが出来上がれば、確実に学力は上がっていきます。

私の「模試」の使い方はこれがすべてだと言っても過言ではありません。

 

模試を受験する意味には、学習へのモチベーションを高めるということが言えるのです。

 


③自分の絶対的学力を知る

 

模試は全国の高校生が受験しています。全高校生ではありませんが、大学受験を考えている多くの人が受験しているには違いありません。

 

模試では受験者の中で自分がどのような位置にいるのかということも把握できます。
それが偏差値です。偏差値を上げるということは自分の相対的な学力を上げるということです。

 

しかし、大学受験で大事なのは相対的な学力ではなく合格に必要とされる程度の学力が身についているかどうかです

ですから、模試でも偏差値や全国順位ではなく「点数」や「できた問題」「できなかった問題」にこだわるべきです。

 

これらを確認することで「自分の学力」を知るのです。

 

特に「できた問題」と「できなかった問題」を確認することは、これから自分がどのように学習していくのかを考える好材料となります

自分はどこまでできて、どこからできないのか。それを明らかにすることで参考書や問題集の扱い方が変わります。

 

このように考えると、模試は「受けること」よりも「受けた後にやること」が重要になります。

 

自分の絶対的学力を知り次に活かす

これが模試受験の意義の「王道」かもしれません。

 


④受験本番の雰囲気に慣れる

 

「見直しをしたら簡単な問題だった」「なんで間違ったのか意味が分からない」

 

こんな経験に心当たりがある人は多いのではないでしょうか。

 

授業や自学自習の時には絶対にできるレベルの問題なのに、模試では何故かミスをしてしまったり、ど忘れしてしまったりする。

 

その大きな理由が「模試のプレッシャー」、言い換えると「やり直しが利かない場面でのプレッシャー」に負けているということです。

 

この解決方法は1つです。

 

それは「自分に自信を持つこと」です。自分は絶対に大丈夫という絶対的な自信を持つことでプレッシャーをはねのけることができます。では、自信を持つためにはどうすればいいのでしょうか。その方法は2つ考えられます。

 

1つは「とにかく勉強する」とういうことです。とにかく勉強して多くの問題が解けるようになると自然と自信が身につきます(当たり前のことかもしれませんね)。

勉強に限らず部活動でも芸術活動でも人間関係でも何でも同じです。とにかくその対象となることでレベルアップすることで自信を持つことができます。

 

もう1つは経験を積み重ねることです。プレッシャーを感じる場面を数多く経験する。このことによっても自然と自信のようなものが身につきます。

これも勉強だけに限りませんね。人間、結局は経験がすべてのようなところがあります。経験値を上げることによって、ある意味「慣れる」わけです

 

模試を受験する意味には「やり直しの利かない場面でのプレッシャーを受けるという経験を積み重ねることで自信をつける」ことが挙げられます。

 

ただし、単に受験するのではなく「模試はやり直しが利かない重要なものだ」という意識を強く持って受験することが必要になります。

そして、そのためにはやはり「模試に向けた学習をして模試で髙得点を取ろう」という姿勢で受験日まで過ごす必要がありそうです

 


以上が「高1、高2での模試受験の意味」です。

 


いかがでしたでしょうか。少しでも皆さんのお役に立てたなら幸いです。

 

今回のブログで模試が学習の指針となることを書きました。今後、このブログで進研模試全統模試を例に各模試で求められる段階やその対策をお伝えしようと思います。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

勉強する意味を西村博之(ひろゆき)氏の言葉から考える

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

このブログを見てくれている方は大学受験に向けて頑張っている受験生か、何事かに挑戦し頑張っている方だと思います。

 

そこで今回は私が生徒たちに話している「勉強する意味」を書こうと思います。

受験生でない方も「大学受験や高校生活」をご自身の「何か」に当てはめて読むことができると思いますので、ぜひ最後までおつきあいください。

 

 

大学受験のための勉強をすることで、スキルを得るためのスキルを磨いている 

 

2ちゃんねるの開設者である西村博之ひろゆき)氏の言葉です。


私たちは生きていくために、その場に応じたスキルを身につけなければいけません

医師であれば膨大な知識と精緻な技術、コミュニケーション力などは必須です。

そして、それらのスキルを身につける際に最も必要な力は、それらを上手に身につけることのできる力だと言えます。つまり「スキルを得るためのスキル」が重要だということです

 

ただ、その力を身につける場は大学受験でなくてもいいはずです。

すでに人生をかけて取り組みたいことがあるならば、それを追求することで「スキルを得るためのスキル」だけではなく本当に自分がやりたいこともできます。

しかし、高校生の段階で「何が何でもやりたい」ってものを持っている人は多くないという現実もあります。というか、大人ですら持っていない人の方が圧倒的に多いような気がします。

 

だから、大学受験という強制力が働く場で「勉強」する意義があります

 

大学受験という場を通して「スキルを得るためのスキル」を磨くのです。大学受験で覚えた知識は一生必要ないかもしれません。でも、無意味とも思えるようなことを自分なりに工夫し身につけるという過程こそが将来何かを成功させるときの力となってくれます。

やりたいことを見つけたとき、やりたいことができる場面になったとき、それらを素早く楽しく実行に移すことのできる力を向上させているというのが勉強する意味です

 

本当の勉強というのは自らの頭で考え、それを行動に移し、その方法でいいのかを検証し、さらに考え…というサイクルで回ります。

頭で考えるだけではダメです。行動し「形」にすることが重要です。多くの場合、そうしなければ検証のしようがないからです。そして、実際に行動してみると(形にしてみると)、頭では上手くいっていたのに上手くいかないことのほうが圧倒的に多いことに気づきます。

その気づきから、私たちの成長は始まります。どうすれば上手くいくのかを真剣に考えることになります。この繰り返しが私たちをレベルアップさせてくれます。

 

とすると、高校生活にある国語や数学といった座学も、部活動も、学校祭や見学旅行などの学校行事も、すべて「スキルを得るためのスキル」を磨く勉強の場と言えるでしょう。せっかく高校生活を送っているのですから、そのすべてを自らの成長の糧にすることが人生の幸せに繋がっていくことは明白です。

 

なかでも大学受験は目標も手段も明確です。正しい方法で行動すれば必ず良い結果に結びつきます。その経験が大きな自信に繋がったり、その方法を勉強以外に応用したりすることが可能になります。

 

ここで得たスキルは将来の本当に必要とするスキルの獲得に役立つことは間違いありません。だから、大学受験に向かって一所懸命に勉強することは無意味ではありません。単に学歴を得るということ以上に大きな意味を持っているのです。


はじめに書いたとおり、この話は大学受験や高校生活だけのことではないはずです。

今、目の前にある自分がやるべきことにも通じます。
目の前にあることに一所懸命になる。

それは、そのことを成功させるということだけに留まらず、スキルを得るためのスキルを得ていることにもなります

 

今やっていることが自分の「本当にやりたいこと」かもしれません。でも、それは現段階におけるものです。この先、もっと「やりたいこと」が出てくるはずです。そう考えると、今の頑張りは「スキルを得るためのスキルを得ていること」になります。


私たちが勉強する意味、努力する意味というのは、未来の自分に対する最大の贈り物であることだと言えます

そして、豊かな人生というのはその繰り返しのような気がします。

成長し続ける自分、やれることが増え続ける自分、何にでも飛び込むことができる自分…これらの自分のレベルをより高めていくことが人生であり、幸せな人生に繋がっているのではないでしょうか。


このように考えると目の前にある課題に取り組んでいこうと思えませんか。

一緒に勉強して、お互いに豊かな人生、幸せな人生を送りましょう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年度総合学力マーク模試(6月進研マーク模試)_国語_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度総合学力マーク模試(6月進研マーク模試)の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~23までになります(1行開きで書かれている引用部分には形式段落の番号は振りませんよ)。

 

 

では、始めます。

 


問1

 

(イ)「普及」の答えである「普請」が言葉としては難しいですが、消去法で導くことは簡単です。その他はできないと困るレベルの漢字ばかりです。

不正解があったのならば対策が必要です。漢字は夏までに終わらせましょう。

目安は漢字検定2級です。せめて準2級レベルまでは何とかしましょう。

 


問2 

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
③形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

形式段落のはじめを確認すると「言語は一般に、設定済みの記号の体系であって、ひとは思考を意味させるように、そこから語や文を構成するとみなされる」です。

ここを読んだときのポイントは「一般に」という言葉です。このような表現が出てきたら、筆者はそのように考えてない場合がほとんどです。つまり、「言語」は「設定済みの記号の体系」ではないし、「ひと」が「思考を意味させるように」「語や文を構成する」のではないというのが筆者の考えなのだろうと予想できるようにしましょう。

 

そのような意識で形式段落の中程を読みます。形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」が基本でした


すると、2行目に「しかし」と逆接があるので、やはり筆者は先ほどの考えに反対だと分かります。そして、その内容説明が3、4行目に書かれている「言語はたえず変遷し、どの語や文も例外的な使用がされるから、意味作用の成り立ちが理解できない」です。

そして、傍線部の「発想を変えなくてはいけない」に繋がります。

 

この形式段落をまとめるとこうなります。

 

はじめ(一般にこうだ)→中程(変遷、例外があるから理解できない)→おわり(発想を変えるべきだ)

 

これだけで答えの方向性は見えますね。「言語は変遷し、例外的な使用がされるから」「一般に言われていることの発想を変えるべきだ」となります。

 

これだけで答えを選ぶことができる場合が多いのですが、今回は選択肢を見るとこれだけでは判断がつきにくくなっています。そこで、ポイントの③です。

傍線部が形式段落のおわりにあるということは、この内容は次の形式段落に繋がっていくと考えられます

つまり、先ほどの「中程(変遷、例外があるから理解できない)」という発想を変えるべき理由の詳しい説明がなされるはずなのです。

 

そのような意識で読み進めると、形式段落6、7、8がその説明になっていると分かります。すべて「言語が変遷する」ことの説明です。

形式段落6のおわり「基準は、語られるごとに、たえず作りなおされている」

形式段落7のはじめ「むしろ、こういうべき(指示内容は6のおわり)。言語が存続するのは、ひとびとが語ることで改変し続けるから」

形式段落8のはじめ「言語は、ひとびとが語り続けて存在する」

形式段落8のおわり「言語は解体されては作り直されている、基準からはずれることが『意味している』こと」

 

全部書きましたが、簡単に言うと中程にあった「変遷、例外」とは「言語はひとびとが語ることで変わり続けている」です。だから、「言語」は「設定済みの記号の体系」ではないし、「ひと」が「思考を意味させるように」「語や文を構成する」のではないのです。

 

選択肢を見てみましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。そこが今考えてきた方向と一致しているかを確認します。

 

 

①「言語体系を打ち破る」→「打ち破る」とは書かれていません
②「吸収する」→「吸収する」とは書かれていません
③「真の思考はこのように…」→考えてきた方向とはずれていますが、指示語があるのでその内容を確認する必要があります。直前は考えてきた内容です。これが正解です。
④「言葉の正しさの判断基準」→「判断基準」が理由ではありません
⑤「主体客体の意思疎通で満足」→書かれていません 

 

*ちなみに、本文の一番はじめが「真に思考する言葉とは?」から始まっているので、この文章は「真に思考する言葉」がテーマです。この問の箇所はその説明部分にあたるので、このような答えの書き方になっているのです。形式段落の作り(この話するよ→説明→この話のまとめ)はそのまま文章全体の作りでもあります。

 


問3

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文中に指示語がある。
 →直前の内容を確認する。
③形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

「そうした言葉」とは直前に書かれている「創造的用法」の「言葉」です。「創造的用法」は「それが」という主語を受けているので「それ」の指す内容を確認すると、直前の「規定されている意味を、解放し、新しい見方をもたらす」言葉だと分かります。

 

次に傍線部は形式段落12のはじめにあるので、この段落で傍線部の説明がされるはずだという意識で読みます

 

すると、中程に「言葉のあとで思考は変質し、言葉を語る実践のなかで特別な思考に生まれかわる」とあり、おわりに「言葉が先立っており、人間には言葉抜きの思考は不可能だ」とあります。

これが傍線部の説明なので、容易に答えを導けます。


選択肢を見てみましょう。

選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

 

①「特殊な意味合いで用いて表現を広げた」→読み取った方向と違います
③「言語体系は定着させられない」→読み取った方向と違います
④「ありのまま相手に伝えるのは難しい」→読み取った方向と違います
⑤「定着するまで時間を要する」→読み取った方向と違います 

 


問4

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文中に指示語がある。
 →直前の内容を確認する。
③形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

以上を踏まえて考えます。


指示語なんてないと思うかもしれませんが、傍線部直前の「とすれば」は「そうだとすれば」の省略なので、指示語があると考えるべきです。

指示内容は直前なので、「それらの組みあわせにおいてしか、『発見する』という意味での思考はない」です。

この文のはじめにも「それがなされるには」と指示語があります。直前の「文を作ってその文の意味を知ることが発見である」が指示内容です。

 

つまり、「文を作って(言葉の組み合わせによって)、意味を発見する」です。これが「思考する」(傍線部)の内容です。

 

これだけでも答えは導けますが、一応もう1つ確認しておきましょう。

 

傍線部は形式段落18のはじめにあるので、このあと説明がされるはずです

中程は「文を作るなかで、自分のいわんとしたこと以上のことをいってしまうことがある」、おわりは「それに気づけるのは、目指していたけど、それが何かはっきりしていなかったから」です。

この内容は先ほど確認した「文を作って(言葉の組み合わせによって)、意味を発見する」と同じです。やはり、これが傍線部のイコールです。


選択肢を見てみましょう。

選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

 

①「全体を把握し妥当な組みあわせを考える」→読み取った方向と違います
③「正確にとらえられるかが思考の質」→読み取った方向と違います
④「社会的な責任によって思考が生まれる」→読み取った方向と違います
⑤「思考内容と目的を総合的に把握する」→読み取った方向と違います 


問5

 

ポイントは2つです。

 

 

①何について問われているかを確認する。
②問われている内容は本文のテーマである。
③形式段落の作りと文章全体の作りは同じである。 

 

この設問には傍線部がありませんから、何について問われているかを確認します

設問中に「思考について」とありますから、この問は「思考について」問われていると判断します。

 

問われている内容を確認したら、次に本文で「思考」をどのように述べているかを確認します。

 

そのときに知っておいてほしいのが次の考えです。

 

 

このような問で問われる内容は「本文の主題」である。 

 

主題と関係ないことを問うことはほとんどありません。それだと何のために文章を読ませたのか分からなくなるからです。この類いの問題は「きちんと文章を読めていますか」つまり「筆者の主張が読み取れましたか」という設問です。

 

では、この文章の主題(ここでは「思考」)を読み取ります。

ここで大切なのが文章の構成です。
「この話するよ→説明→この話のまとめ」が基本の構成です
これで見てみましょう。

 

形式段落1「真に思考する言葉って何?」→「言葉は変遷し、文を作りその文の意味を知ることが思考だ(ここまでの問いの内容ですね)」→形式段落23「沈黙が思考(中程の内容と同じですね)」

 

「思考」とは「言葉は変遷し、文を作りその文の意味を知ること」だと分かります。

この内容になっている選択肢を選ぶだけです。生徒同士の話なので選択肢の文が読みやすくなっていますが表現を気にしてはいけません。

 

選択肢を見てみましょう。
この問題は選択肢を読みながら突っ込みましょう。

 

 

①「前提となる知識が必要」→書かれていません
 「多角的な見方を身につける」→書かれていません
②「知識を組み合わせる」→組み合わせるのは「知識」でなく「言葉」
③「知識を生きたものにするために哲学者の思考が必要」→書かれていません
⑤「語彙が増えたら見方が広がる」→書かれていません 

 

*ちなみに、この設問での考え方の手順は課題文型小論文と同じです。このブログの小論文の過去問題解説では、その辺りのことも書いていますので必要な方はぜひ見てみてください。

 


問6(ⅰ)

 

表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。

 

問6(ⅱ)

 

構成・展開を問われた際のポイントは2つです。

 

 

①選択肢の最後と本文の最後が同じ内容になっているか。
②本文を読むときに、大きな流れを意識しているか。 

 

ポイントの②はある程度の国語力がないと難しいかもしれませんが、本文を読みながら(傍線部を頼りにして大段落を意識して)「問題提起」「内容説明」「理由説明」「筆者の主張」のどの内容かを意識できることを目標にしましょう。


今回の文章は問5で確認したように「問題提起、理由説明、筆者の主張」になっています。「思考」と「言語」との関係を述べていることは明白です。

 

 

 

いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。

映画「アフタ-スクール」中の言葉「お前がつまんないのはお前のせいだ」から考える

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回はある映画の台詞から考えたことを書きます。

 

私の好きな映画の1つが「アフタースクール」です。

2008年公開で私が住む北の大地の「星」である大泉洋氏が主演し、「甘くみてるとダマされちゃいますよ」というキャッチコピーで上映されました。

そのキャッチコピー通り作品中にはいくつかの伏線が張られ、2時間に満たない映画のなかで複数の驚きを与えてくれます。最後には伏線すべてをしっかり回収してくれる素晴らしい作品です。

 

大泉洋氏が扮する主人公の神野(じんの)良太郎は中学校教師です。彼のもとに同級生と名乗る探偵の北沢(佐々木蔵之介氏)がやってきて、行方が分からなくなった友人探しを始めるところから話は始まります。

北沢は裏の世界と繋がっていて、「本当の社会」というものを知っていると考えていて、そんな社会に諦めにも似た感情を持っています。最後には警察に捕まるのですが、そんな彼への神野の言葉が今回紹介したい台詞です。

 

少し長いけれども引用します。

 

 

あんたみたいな生徒どのクラスにもいるんだよ。全部分かったような顔して勝手にひねくれて。この学校つまんねぇだのなんだの。…あのなぁ、学校なんてどうでもいいんだよ。お前がつまんないのはお前のせいだ。 

 

教師をやっている私もうなづいてしまった台詞です(こういう生徒って本当にいるんですよね…)。

 

ただここで大事なのは、この台詞は生徒(子ども)のことだけを言っているわけではないことです。

この世に生きているすべての人間が対象です。子どもにも大人にも、このような人はいます。

すべてを分かっているような顔をして、えらそうな講釈を述べる。そのくせ自分では行動することなく文句ばかり言う。物事がうまくいかなかったら自分ではなく世の中のせいにし批判ばかりする。そして「つまんねぇ、くだらねぇ」と言う。

 

神野が述べたように、「つまらない」原因は世の中ではなく自分自身にあります

 

もし世の中が原因だとしたら、すべての人間がつまらないと感じるはずです。しかし実際には楽しく幸せに生きている人だって多数いるわけです。生きている場所は同じ世の中であるにも関わらず、です。

 

「楽しい」という気持ちも「つまらない」という気持ちも個々の捉え方によるということは明らかなのです

 

社会でも学校でも人間関係でも、感情を動かす要因は「それ自体」にあるわけではありません。そこで自分が何をするか、どのように関わるかによって感情が変化します。

 

自分の外側にあるものは、基本的には自分のために何かをしてくれるものではありません(何かをしてくれるとしたら対価を支払った場合だけでしょう)。

置かれた場所は関係ありません。自分の行動こそが「楽しい」か「つまらない」かを決定づけます。

 

だからこそ目の前にあることに全力で取り組むことが大切なのです

 

一歩も二歩も退いた傍観者では「楽しい」という感情にはならないでしょう。

全力で取り組んだのなら、その結果が成功でも失敗でも「プラスの感情」を持てるに違いありません。

 

いま、目の前にあることに全力で向き合いましょう。全力で行動しましょう。そうすることでしか味わうことのできない感情があります。そしてそれは「つまらねぇ」とは逆方向に働く感情です。

その感情をより多く味わうことが「幸せな人生」を形作っていきますし、人生を成功へと導いてくれます

 

環境ではなく、自分自身の問題です。

 

一度しかない人生を思いっきり楽しむためにも前向きに全力で生きていきましょう

 

もう一度彼の言葉を引用して終わります。

 

 

学校なんてどうでもいいんだよ。お前がつまんないのはお前のせいだ。 

 


最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年度第1回全統記述模試_国語_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度第1回全統記述模試の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。

まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで記述模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。

なお、黒本は前年度までの全統模試の過去問となっていますので、今日現在「2018年度第1回全統記述模試」は書店で購入できません。実際に受験した方のみ持っていると思います。

 

(追記:記述模試の過去問は出版されていません。黒本はすべてマーク模試の過去問です。ということで受験した方以外は入手が困難です。学校の先生が持っていることがありますので相談してみてください)

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~11までになります。

 

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。

漢字検定2級レベルまでは完璧にしたい所ですが、時期が時期ですのでせめて準2級レベルまでは夏までに仕上げましょう。

 


問2 空欄補充

 

空欄補充は「何となく当てはめる」のではありません。文脈を読み取った上で入れるべきものを選択します。その際、「文章の読み方」を意識して考える必要があります。では、実際に解いていきます。

 

空欄X

 

ポイントは3つです。

 

①傍線部を含む一文に指示語がある。
 →直前の内容を確認する。
②形式段落の中程の部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
③「対比」を意識する。 

 

空欄Xを含む段落の内容は、形式段落7のはじめを読んで分かるように「仲間でない者に何かを与えること、純粋贈与」のことだと分かります。

 

ということは、Xを含む一文の部分は「純粋贈与」の説明だと考えられます。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」でした

 

Xを含む一文には「この境界」という指示語があるので確認すると「異類の者、見知らぬ者…彼ら・彼女らとの境界線」です。

指示語の内容は基本的に直前にあるのでした

 

それを超えることが「純粋贈与」だということですね。

この「超えるそれ」は「純粋贈与」と対比されるものだと考えられます(「それ」を超えたものが「純粋贈与」なのですから)。

では、この文章において「純粋贈与」との対比は何でしょうか。形式段落6で述べられている「贈与交換」だということは明白です。

評論では「対比構造」を意識して読むことが重要でした

 

「贈与交換」とは6段落から「贈与交換はルールを共有する仲間内でなされるもの」です。

この「仲間内」というのが、先程指示内容で確認した「異類の者、見知らぬ者…彼ら・彼女ら」との境界内でしょう。

で、純粋贈与はこれ(仲間内)を超えたものであるというわけです。

 

そういう内容の選択肢は「イ 社会の掟の外部の出来事」しかありません。

 


空欄Y

 

ポイントは2つです。

 

①形式段落の中程の部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
②空欄直前に「具体例」がある。 

 

空欄Yを含む形式段落の内容は、形式段落7のはじめを読んで分かるように「異類婚姻譚」の話だと分かります。

 

空欄Yは形式段落の中程にあるからその説明部分です。どういう流れか確認します。

 

空欄Yの直前を見ると「アンデルセン、人魚姫」という具体例です。

具体例の前後には、まとめがあるはずでした

 

具体例の前は「異類の者にとって境界線を超えることは危険だが、その上に自己を否定して、別の姿を取ってやってくる」です。

 

これの具体例がアンデルセンの人魚姫です。確認します。「『人魚姫がそうである(指示語の指す内容は直前なので、先程の内容「別の姿でやってくる」です)ように、異類の者が境界線を超えるためには法外な対価を支払う覚悟が必要」です。

 

具体例のあとの空欄Yを含む一文は「Yと考えると、境界線を超える異類の者の覚悟は深い」です。

 

この3つがすべてイコールになっているというのが「具体例」の読み方でした。

抽象的な内容→具体的な内容→抽象的な内容、A→分かりやすく言うとこうだ→改めてA

 

この3つの文を比べてみると、すべて2つの要素で成り立っています。

 

①境界線を超えることは危険、対価を支払う覚悟が必要・深い
②自己を否定して別の姿をしてやってくる 

 

空欄Yを含む一文には①の内容があるのですから、空欄には②の内容が入るはずです

 

そういう内容の選択肢は「オ 相手が女の正体を知らない」しかありません。(姿が違うから正体が分からないということです)

 


問2から分かるように「形式段落の読み方」「指示語内容」「対比構造」「具体例」は重要なポイントです。「文章の読み方」で説明したこれらのことを常に意識できるようになると簡単に問題を解くことができますよ。

 

 

問3 理由説明

 

ポイントは2つです。

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

傍線部は形式段落1のはじめにあります。ということは、このあとにその説明がなされるはずだと考えて読みます。

 

形式段落1のおわりの方に「つまり」というまとめがあり「動物は人間にとってとても有用だからだ」とあります。まずはこれが答えです。

 

ただ、このあとに「しかし、この答えは一面にすぎない」だとあるから、まだあるってことです。で、この形式段落が終わってるんだから次の形式段落2で述べられるはずです。

形式段落の「おわり」は次の形式段落の「はじめ」に繋がっていきます

 

ということで、形式段落2のおわりを読むと「動物が人間とは異なりながらも多くの点で人間と共通していることで、人間に別の存在の在り方、別の世界の可能性、生の高次の次元をもたらしてくれるから」とあります。これがもう1つの答えです。


この2つをまとまれば答えになります。

 

記述試験であっても何の問題もありません。「文章の読み方」で読むだけです。

 


問4 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

①「どのようなものか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文から「対比」を意識する。 


傍線部を含む一文を読んで、どのような一文かを確認します。

「初発の一切の見返りを求めない純粋贈与は、傍線部(たんなる『交換』)へと変質してしまう」です。

 

ここで大切なのは「主語と傍線部との関係」です。「純粋贈与=傍線部へと変わる」という一文の構造を押さえると、傍線部の内容は「純粋贈与」が変質する内容であること、そして、それは「純粋贈与」と対比されているものであることが分かります(「純粋贈与」が変わったのが傍線部なのですから)。

あれ、この説明、問2の空欄Xとほぼ同じですね。

 

そう、「純粋贈与」の対比は「贈与交換」でした。ただ、これだと言葉の内容が「贈与」と「交換」で全然違うので合わせましょう。傍線部を含む一文にばっちり書かれているのが「純粋贈与」なのだから、これに合わせて「交換贈与」とでもしておきます。

たとえば「金髪の少年」と「少女の黒髪」では、「性別」がメインなのか「髪色」がメインなのか全然違いますよね

 

で、「交換贈与」については形式段落6の内容でした。

 

形式段落6の3行目に「このような交換は『贈与交換』」とあるから、その指示内容を確認します。「贈与の前から返礼が義務的儀礼的になされる制度化された」交換だね。

「贈与」に視点を合わせて「義務的な返礼がある贈与」とでもします。

そして、これは仲間内でなされます(問2で確認しました)。

 

以上から、自分で答えを導くことができるはずです。

 

選択肢を見てみましょう。

選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解とエ以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

 

ア「返礼」→「贈与」でした。
イ「返礼」→「贈与」でした。
エ「贈与」→文末はオッケーです。しかし、前半の「ルールを共有する仲間でない者からの返礼」が違います。仲間内でなされるのでした。
オ「サイクル」→「贈与」でした。 

 


「文章の読み方」を意識すると、ほとんどの問題は傍線部の近くに答えの根拠があることが分かります。しかし、この問題は傍線部の近くに答えがないパターンでした

このパターンはたびたび見かけますので構造を確認しておきます。

 

次のような文章構造、傍線部の位置になっている場合に、今回のように答えの根拠が離れた箇所になります。

 

形式段落1~5 Aの説明 
形式段落6~8 Bの説明
形式段落9   まとめとして「AとBは…」という文章になっていて、「AとBは」の「A」の部分に傍線部が引かれている。 

 

「A」の説明はすでに終わっているので、Aに関する問題は形式段落1~5の部分を読んで答えることになります。

このような場合があると一応知っておくことは有効ですが、「対比構造」を意識していれば(このパターンは対比構造の文章で出てくることが分かると思います)問題なく対応できると思います。

 


問5 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
 →「リレー」のニュアンスを反映する(何かを渡していくこと。バトンを渡していくのが陸上競技におけるリレーですね)。
②形式段落の中程の部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。 


傍線部は形式段落11の中程にあります。形式段落のはじめに「こうして異類婚姻譚では」とあるので「異類婚姻譚」の話です。

 

「こうして」と指示語があるから、指示内容を確認していきます。

 

「こうして」の直前である形式段落10のおわりに傍線部である「贈与のリレー」という言葉があり、その直前が「言い換えれば」なので、「贈与のリレー」は「鶴がなそうとしたこと」であることが分かります。

 

「鶴がなそうとしたこと」の説明は形式段落10の中程に述べられています。

 

その説明は形式段落10のはじめから「人はこの事態を指して、異類の者が人間世界へ来る」という「異類婚姻譚」のことだ分かります。ということは、「この事態」が「贈与のリレー」です。

 

指示語を確認するために、さらに戻ります。形式段落9です。

 

形式段落9のはじめとおわりを確認すると「無償性によって既成の世界理解や他者理解が揺さぶられて両者の境界線が乗り超えられる」という同じ内容になっています。これが「この事態」です。

 

「無償性」は形式段落8の具体例をはさんで説明しているので、形式段落7を見て(具体例の前後が主張)「純粋贈与」のことだと分かります。

 

これ以上は戻る必要がないので、ここまでの内容を後ろから順にまとめます。

 

①純粋贈与をする。
②その無償性によって既成の世界理解や他者理解が揺さぶられて両者の境界線が乗り超えられる
③その行為によって、鶴がなそうとしたこと(新たな純粋贈与)が生まれる 

 

☆「リレー」のニュアンスを出すために「純粋贈与が純粋贈与を生む」という流れで書きます。
☆「純粋贈与」とはどのようなものかという説明を足すとちょうどいい字数になります。

 


この問題では傍線部から随分前まで戻っていきますが、「文章の読み方」に従っているということが重要です。なんとなく遠い所を答えの根拠とするのではなく、しっかりとした根拠をもって答えにたどり着けるようになりましょう。

そのためには、しつこいようですが「文章の読み方」をマスターすることをオススメします。

 


問6 内容合致

 

内容合致問題は1つ1つ確認していくしかありませんので対策できません。

 

ただ、あくまで消去法でいくようにしましょう。微妙なのは残して、絶対に違うと分かったものから消去していきます。そして、残ったものを答えとするのです。

 

自分でそれぞれの選択肢の何が間違っているのかを考えてから、解答でどの部分が間違っているのかを確認しましょう。

 

 


いかがでしたか。

 

センター試験も記述試験も、やるべきことは変わりません。記述問題は「書く力」が要求されますが、書く内容を考える段階ではマーク式と同じなのです。

ぜひ「文章の読み方」を意識して文章を読んでみましょう。現代文の問題を解いてみましょう。

国語の学力は上がりますセンター試験でも個別入試でも武器にできるのです。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 

では、今回はこれで終わります。


最後までお読みいただきありがとうございました。