高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

2018年度高2進研模試7月(総合学力テスト)_国語_第1問(評論)_解説

 

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度高2進研模試7月(総合学力テスト)の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題に形式段落番号を記入してください。1~15までになります。

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。

大学受験を考えると漢字検定2級レベルまで完璧にしたら漢字は大丈夫です。

漢字学習をどうやっていいか分からない方は漢字検定をベースに学習をするといいでしょう。

なお、漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので飛び級はオススメしません。4級、もしくは3級から学習を始めましょう。

 

ちなみに、今回の漢字aは4級、bは3級、cは4級の範囲に該当する漢字です。

 


問2 傍線部の言い換え

 

ポイントは3つです。

 

 

①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。


イコール問題です。「世界」の説明を読み取るだけの問題です。

 

イコール問題の基本は次の2つでした。

 

①その語句が主語になっている部分に注目する。
②その語句を修飾している部分に注目する。 

 

今回はこの①でいけます。

 

まずは、傍線部「世界」自体が主語になっていることが分かります。

続く部分に注目すると、「人間の生活や精神を安定させ、また、ある程度の耐久性をもって、個体の生命を超えて存続する」ものだと分かります。

しかし、これでは15字以内には収まりませんから、これと同じような内容の他の部分を探します。

 

傍線部は形式段落のはじめにありますから、この段落で説明がなされるかと思いきや、後半はアレントの引用で終わっています。

よって、「世界」の説明が次の段落に続くのではないかと考えられます。

 

その意識で次の段落を読むと、「世界」が主語の一文で始まっています。やはり、形式段落2で「世界」の説明がなされそうです。

 

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」ですね。

 

つまり、形式段落2の終わりで「世界」をまとめてくれるはずです

 

そう考えて読んでみると「耐久性をもったモノの体系」とありますよ。
15字以内であること、はじめに確認した形式段落1の内容(字数が超過して答えとできなかった)と同じである(「耐久性をもっている」って同じですね)ことから、ここが答えと分かります。


この問題は非常に大切です。

言い換え問題の基本(主語に注目!)と形式段落の読み方の基本(この話するよ→説明→この話のまとめ)との両方の読み方を必要としているからです。文章の読み方をマスターするには、もってこいの問題です。

 


問3 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

 

①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


これまたイコール問題です。「財産」の説明を読み取るだけの問題です。

 

まずは、傍線部「財産」自体が主語になっていることが分かります。

続く部分に注目すると、「有形のものも無形のものもある」のが「財産」だと分かります。では、この「有形のものと無形のもの」って何でしょうか。

 

傍線部は形式段落3の終わりにあります。この段落の中程で説明がされていると考えられますね。「家」と「国」を例に具体的に説明してくれてますよ。

 

家…土地や住居(有形)と家族の交わり・先祖の記憶(無形)
国…国土や国境(有形、国境が有形かは置いておきます)と国民の交わりや先人からの文化、価値、記憶(無形)

 

つまり、先祖や先人からの形がある(物質的)ものと、形がない(精神的)ものだと読み取れます。

 

問2と同じく、この問題も非常に大切です。

言い換え問題の基本(主語に注目!)と形式段落の読み方の基本(この話するよ→説明→この話のまとめ)との両方の読み方を必要としているからです(問2は傍線部がはじめにあるパターン、今回は終わりにあるパターン)。文章の読み方をマスターするには、もってこいの問題です。

 


問4 内容説明

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どのようなことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


「労働」とは何かが問われています。

 

傍線部は形式段落の終わりにあるので、この形式段落で説明がされていたはずです

中程(33行目下)に「労働」が主語になっている部分があります。ここが答えとなりそうです。

「人間の生を維持するためにモノを生み出す目的を持っていたが、モノは消滅するのでその本来の目的が見えなくなった」もののようです。

 

この部分を使って「労働」の言い換えだということを意識して解答の文末を決めます

「労働」ですから「モノを生み出す」を文末にしたいですね。言い換えるとこうなります。

 

「人間の生を維持するという本来の目的がなくなり、消滅するモノを生み出すこと。」(37字)

 

これで答えとしては十分ですが、できればもう一歩いってもらいたいことがあります。

それは「労働」の言い換えなのだから、「労働」が主語になっているところに注目できるかという点です。

 

先ほどの答えも「労働」が主語の部分を使いました。

が、この傍線部に来るまでに「労働」や「消費」についてずっと説明が続いてきたことに気づいているはずです。だとすれば、他の箇所にも「労働」の説明があるのではないかと思ってほしいということです。

なぜなら、その文章でのキーワードが出てきたら筆者はすぐに説明してくれるものだからです(その方が読みやすい文章になりますよね?)。

 

このような意識で「労働」が出てきた形式段落5まで戻ります。

やっぱり「労働」の説明がありますね。17行目下です。

 

消費財を作り出すための活動が『労働』なのだ」

 

「は」「が」がイコールを表す助詞だと分かっていれば「労働=消費財を作り出すための活動」だと分かります。

この部分、はじめに作った答えの後半の「モノを生み出すこと」のイコールになっています。そして、こちらの方がより具体的な説明になっていますので、こちらを使いましょう。

 

「人間の生を維持するという本来の目的がなくなり消滅する消費財を作り出すための活動。」(40字)

 


問5 内容理解

 

 

①傍線部の内容をあらわす例を答える問題(イコール問題)である。
 →傍線部を具体例に言い換えるということである。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


傍線部は形式段落の終わりにあるので、この形式段落で説明がされていたはずです

 

形式段落13の内容を読み取ればいいだけです。

自分の個性、趣味でやったことが、「世界」の美的性格や完結性、モノの適宜性へと気遣い、奉仕している、です。

もっと簡単に言えば「自分が好きでやっていることが世界のためにもなっている」です。

このようなことの具体例になっているものを選択肢から選びます。

 

 

1 「知名度を高めるために」ではなく、あくまで自分が好きでやったことが世界のためにならなければいけません。
2 自分が好きでやったことになっていません。
3 自分がすきでやったことになっていません。
4 自分が好きに植えた花樹が、他の人のためになっています。これが正解。 

 


問6 筆者の主張

 

ポイントは1つです。

 

 

①具体例の前後にはその具体例のまとめ(主張)がある。 

 

形式段落14は具体例が並んでいます(設問でも「ここから続く例」と書いてくれています)。

具体例は筆者の主張を分かりやすく説明してくれている箇所でした。

そして、具体例の前後に筆者の言いたいことがあるのでした

 

では、今回の問題で確認してみましょう。

 

形式段落14の前の内容は問5で確認した「自分が好きでやっていることが世界のためにもなっている」です。

これの説明が傍線部の例だとすると、ちょっとよく分かりませんね。

 

では、形式段落14の後の内容を見てみます。形式段落15のはじめです。

「こうしたことは、この『世界』に関与する人間の精神と無関係ではなかろう。モノの配置や体系は、人の精神の反映である」となっています。

「こうしたこと」は当然、形式段落14の具体例のことです。

さらに「モノの配置や体系」というのは傍線部「美観をもった街もあれば、そうでない街もある」の話と繋がりそうです(配置や体系によって、美しかったり美しくなかったりするのでしょうから)。

 

だとすると、傍線部の例によって筆者が言いたいことは形式段落15ですね。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→まとめ」です

先ほどの「こうしたことは、この『世界』に関与する人間の精神と無関係ではなかろう。モノの配置や体系は、人の精神の反映である」の話の説明がこの形式段落でされています。

まとめは終わりにある「有意味性」でしょう。この言葉ではよく分かりませんから形式段落の中程の説明を読みます。

「人間にとって何らかの意味をもっている」ですね。

 

これらをまとめると答えになります。

 

モノの配置や体系は「世界」に関与する人の精神の反映であり、それは人間にとって何らかの意味をもっているということ。(56字)

 


いかがでしたか。

「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」でお伝えしたことで解けることが分かったと思います。

現代文(評論)でやるべきことはこれらの読み方、解き方をマスターすることです。

そのためには「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」を繰り返し熟読し、あらゆる問題でこれらの方法を試すことです。その繰り返しをしていれば、この読み方が自然となります。そこまでいけば、評論対策は必要なくなるでしょう。

高1、高2の模試では文章の読み方の基本が問われています(今回の解説で分かりましたよね?)ので、これらの力をつけるにはもってこいの教材です。復習をして読み方をマスターしてみてください。

国語の学力は上げることができますからね!ぜひ武器にしてみてください。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

 

検討を祈っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。