長野大学_小論文_2017年度_一般推薦入試Ⅰ期
こんにちは。きんこです。
長野大学(平成29年度一般推薦入試Ⅰ期)の小論文の解説です。
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長野大学のホームページで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。
このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。
まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
現代文の力もつきますよ。
では、はじめます。
設問1
課題文の要旨を200字以内で書く問題です。
まずは「要旨」とは何かを確認しましょう。
『現代新国語辞典』(三省堂)によれば
「要旨」とは「文章・話などの、おもな(だいじな)内容」です
小論文における課題文では、多くの場合「要旨=筆者の主張」です。
それは、小論文の課題文はあるテーマについて筆者が何かしらの主張をしているものが圧倒的に多いからです。
ちなみにこのブログで解説をしている長野大学や名寄市立大学の小論文の課題文はそのようになっています。
ですから「要旨を書く」ということは、「課題文で筆者が主張していることを書く」ということだと言えます。
まずは「小論文を書く力」というよりも「文章を読む力」が試されるわけです。
ですから、先程紹介した「文章の読み方」のブログを必ず読んでくださいね。
では、今回の課題文を読んでいきましょう。
形式段落ごとに見ていきますので1~9まで番号を振ってください。
1
植物たちは、接触するという刺激を感じると、茎を短く太くたくましくする。
この性質は植物たちが生きていくのに役に立つ。
たとえば発芽の時に役立つ。
文章は「はじめ」と「おわり」に注目するのでした。
今回の課題文も同じです。
植物のこの性質について述べられた文章だと予想できます。
ですから、これがどのようなことを意味するのかを読み取ろうという意識を持って読み進めます。
2
もやしの茎はヒョロヒョロと長く伸びるが、土の中ではそうではない。
もやしの発芽で説明がされることが分かります。
もやしの例を通して形式段落1の説明がされるんですね。
3
土中で育った茎は短く太くたくましい。
繰り返しですね。
4
栄養が理由ではない。
まぁ、理由はもう分かっているわけです。
「はじめ」にあった「接触」なわけでしょう、きっと。
5
何もない空間ではヒョロヒョロと長く伸びるが、土中では「土と触れる」から短く太くたくましくなる。
やはり「接触」が理由ですね。
6
茎が短く太くたくましくないと、芽生えの茎は地上へ出られない。
そりゃそうです。
7
かぶさっている土が多いほど強い接触となり、強い茎となる。
なるほど。
てことは、何かしらの壁みたいなのがあるから、それに負けまいと強くなれるのですね。
この辺りで、この芽生えの話は我々の人間の生き方の比喩として捉えるとどうなるんだろう…という視点を持てるといいですね。
その際に大事なのは「接触」が何を意味しているかでしょう。
8
接触を感じて、茎が短く太くたくましくなるという性質は、植物が生きるための巧みなしくみの1つだ。
1に戻りました。「生きるために役立つ」しくみなんですね。
7で考えたことと合わせると設問2で書く「自分の意見」を考える道筋が見えたのではないでしょうか。
9
これまで述べてきたような植物のしくみは「あっぱれ」なもので感服せざるを得ない。
これが筆者の主張ですね。
最後まで読んで全体の流れを見てみると、見事に「はじめ→なかほど→おわり」のつくりになっていることが分かりますね。
つまり、「植物の接触する仕組みは生きるために役立っている」→「もやしの例で説明」→「あっぱれな仕組みには感服してしまう」という内容だったということです。
では、この読み取りをもとに要旨としてまとめてみましょう。
今回の課題文における筆者の主張は最後の部分でした。
つまり、形式段落9の一文目です。
土と接触することで、茎は太くたくましくなり、土を押しのけて地上に芽を出すという「あっぱれ」な仕組みを植物たちが持っていることに感服せざるを得ない。
これを中心にまとめていきましょう。
200字にするために、これに以下の内容を足していきます。
なお、字数制限が短い場合にはこの内容だけでいけそうです。
以下の①くらいには言い換えた方がいいでしょうが…
今回は200字と長めの要旨ですので、この短い内容が要旨の中心から外れないようにして説明などを足していくことになります。
①「あっぱれ」な仕組み=植物が生きるための巧みな仕組み
→形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がるのでしたよ。
②発芽の時にどのように役立つのかという説明
→①をさらに具体的に説明してあげることで字数を稼ぎましょう。
以上を踏まえてまとめると次のようになります。
植物たちが持つ、「接触する」という刺激を感じると茎を短く太くたくましくする性質は、たとえば、発芽の時に役に立つ。土中で芽生えた植物は、かぶさっている土の接触の刺激を感じ、茎を短く太くたくましくすることで、土を押しのける力を生み出し、光の当たる地上に発芽することができる。このような性質は植物たちが生きるための巧みなしくみの一つであり、そのような素晴らしいしくみを持つ植物たちに感服せざるを得ない。(198字)
これでも良いのですが、何もない暗黒の空間で芽生えたものと土中で芽生えたものとの対比で書かれていることを踏まえた解答にするとさらによくなります。
そこで、次のような一文を入れます。
何もない暗黒の空間での芽生えはヒョロヒョロと長く伸びる(27字)
この内容を加えて、字数を調整してまとめると次のようになります。
植物たちが持つ、「接触する」という刺激を感じると茎を短く太くたくましくする性質は、たとえば発芽の時に役に立つ。何もない暗黒の空間での芽生えはヒョロヒョロと長く伸びるが、土中での芽生えは土を押しのけるために茎を短く太くたくましくすることで光の当たる地上に発芽することができる。このような性質は植物たちが生きるための巧みなしくみの一つであり、そのようなしくみを持つ植物たちに感服せざるを得ない。(195字)
設問2
必ず意識しなければいけないことは「設問」に答えるということです。
具体的には「筆者の主張に対する」を見落とさないことです。
自分勝手な意見を書くのではなく、筆者の主張を押さえた上で自分の意見を述べる必要があります。
ということで、筆者の主張を確認します。
設問1より、
土と接触することで、茎は太くたくましくなり、土を押しのけて地上に芽を出すという「あっぱれ」な仕組み(生きるための巧みな仕組み)を植物たちが持っていることに感服せざるを得ない(その仕組みは素晴らしい)。
筆者はこれによって何を言いたいのでしょうか。
形式段落7の読み取りで確認したように「接触するという刺激によって強く成長するという仕組みを持っていることが素晴らしい」ということを人間に当てはめてみるのです。
「接触」という語から「他との交流」ということが言えそうです。
もしくは「かぶさってる土」というイメージから「押さえつけるもの」と捉えてもいいかもしれません。
ただ「接触」「触られる」という語からのイメージとは離れてしまいそうです。
やはり「交流」で捉えることがベターでしょう。
すると
人と交流することにより、より大きく成長できると考えることができ、それって生きていく上で素晴らしいことだと言える。
このような方向で自分の意見をまとめていくといいですね。
ここでのポイントです。
筆者は植物について述べていますが、そのまま植物の話に終始するのではなく、その主張から何を考えるのかという部分が大事です。
その際、「長野大学_小論文_傾向と対策 - 高校教員の徒然日記」でお伝えしたように「どのように生きていくかという人間性」に関わる内容を問うていると考えてみましょう。
先程の説明のように、私たちの生き方と重ねてみると非常に書きやすくなります。
そして、出題側もそれを狙っていると考えるのです。
つまり、どのような大学生活を送りたいのか、どんな人生を送りたいのか、そのためにどのように生きていくのかということを述べるといいでしょう。
これで自分の意見の方向性は決まりました。
あとはそのように言う理由、説明となる適切な具体例を述べればいいのです。
上の流れでいくのならば
人と交流して成長した経験
を具体的に示すといいでしょう。
以上の内容で400字で書きます。
基本の構成はこうなるのでした。
第一段落 筆者の主張を踏まえながら自分の意見を述べる
第二段落 自分の意見の理由、具体例
第三段落 意見のまとめ
二段落構成にする場合は、上記の「第二段落」の内容を第一段落か第三段落に振り分けることになります。
以上で書くと、合格できる小論文になりますよ。
書き方や表現などはブログではどうしようもありませんので、身近な方(学校の先生とか)に添削してもらいましょう。
過去問にどんどん取り組むと、どんどん書けるようになるはずです。
では、終わります。
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