河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)_国語_第4回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)「国語」第4回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~13まで振られています。
では、始めます。
問1
どの漢字も基本的なものばかりですが完答は難しかったかもしれません。。
(ア)「十全」は簡単な熟語ですが、この言葉を知らなかったという方が多いでしょう。
(ウ)「考究」も簡単な熟語ですが、この言葉も知らなかったのではないでしょうか。ただ、こちらは文脈から「究」の漢字をイメージしてもらいたいところです。
(エ)「挙措」は「挙措動作(立ち居振る舞い)」という四字熟語で覚えてもらいたい言葉です。選択肢の「枚挙にいとまがない(多すぎて数え切れない)」も覚えてもらいたい慣用句です。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
また、漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。
問2
ポイントは3つです。
①内容説明問題(イコール問題)である。
→「AとBはどのように違うのか」というのは「A」と「B」の内容説明をする問題だと捉える。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①「質問」と「問題」との違いが問われています。
つまり「質問」とはどういうことか、「問題」とはどういうことかを説明すればいいわけです。
②傍線部は形式段落のはじめにあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、この形式段落で「質問」と「問題」の説明がされるはずだという意識で読みます。
すると、中程に「『問題』はただ単独で存在しうる」とあります。「問題」の説明(言い換え)です。
さらに読み進めてまとめであるおわりには「『質問』として投げかけられたとき…」と「質問」の話になっています。しかし、ここでは「質問」の説明にはなっていません。
ということは、次の段落で説明がされるはずです。
③形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていきます。
形式段落2では「問題」の説明はされていましたが、「質問」についてはおわりに言葉が出てきただけです。次の段落に続いて、そこで「質問」の説明がされるはずだと考えます。
すると、形式段落3のはじめが「『質問』自体は…」と「質問」の説明だと分かります。
説明部分である中程にも「問題」の説明、「質問」の説明が繰り返されています。
まとめるとこうなります。
「問題」は人間諸個人と無縁にただそこにある。(先程の「ただ単独で存在しうる」と同じですね)
「質問」は問う人と答える人との間に生起する人間的行為である。
以上の内容になっている選択肢を選びます。
選択肢は文末(後半)から見るのが基本です。
ただし、今回のような設問の場合、選択肢の前半が「問題」の説明、後半が「質問」の説明になっているので、確実に判断できる方から見ても構いません(後半から見ることをオススメしますが)。
①「(質問は)単純な関係に終始する」→単純な関係などとは述べられていません
②「(質問は)非=専門家が専門家の前で尋ねる」→非=専門家が専門家に尋ねる場合だけとは述べられていません。単純に問う人と答える人でした
③「(質問は)徹底的に他律的な行為」→このようなことは述べられていません
④「(質問は)相手に対して『答える』という人間的な行為」→確認した内容と同じです
⑤「(質問は)最終的に『問題』に解決をもたらす」→確認した内容と違います
問3
ポイントは2つです。
①「どういう存在だと考えているか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落の中程にある。
→この部分の説明のまとめが形式段落のおわりにある。
以上を踏まえて考えます。
①「知識人」がどういう存在かが問われています。
「知識人」を説明してあげればいいということが分かります。
②傍線部は形式段落の中程にあります。この形式段落の説明部分だということです。
ということは、中程に「知識人」についての説明があり、おわりでまとめられているはずです。
傍線部を含む一文に注目すると、傍線部の直前が「が」という主語を表す助詞になっています。「は」「が」はイコールを表しますから
「『知識人』の使命」=「私事を超え、世界と時代に関する本質的な問いをいかに提起するかまで視野を広げた際に浮上するもの」です。
これを「知識人」だけでまとめるとこうなります。
「知識人」=「私事を超え、世界と時代に関する本質的な問いを提起する人」
続く部分も「は」に注目し次のことが分かります。
「知識人」=「問い自体を創出することを引き受ける」
これらの説明のまとめであるおわりの内容を確認するとこうなります。
「正しい質問がないと、高度な『専門知』も無用の長物となる」
ちょっと分かりにくいので言い換えて
「正しい質問だと、高度な『専門知』が有用なものになる」
以上の内容をまとめます。
「知識人」=「私事を超え、世界と時代に関する本質的な問いを提起、創出し、その問いによって高度な専門知を有用なものへとすることができる人」
選択肢を見ましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「専門家を悩ます」→確認した内容と違います
②「生活上の困難を克服できるように正しく問う手助けをすることができる」→確認した内容と違います
③「非=専門家に伝えるという役割を果たす」→確認した内容と違います
④「問いを創出するという点で専門家にとっても助けとなる」→確認した内容と同じです
⑤「専門家から高度な専門知を引き出すことができる」→「引き出す」=「有用なものへとする」と考えることができ、確認した内容と同じです
④と⑤が残りました。前半を見ます。
④「自らの疑問に誠実に向き合うという模範的な姿勢」→確認した内容と違います
⑤確認した内容と同じです(「非=専門家の手には余る」という部分は「本質的な問い」という表現からオッケーです。「本質的な問い」は普通の人にはなかなかできないのです)
問4
ポイントは3つです。
①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①「素人」が「不適切な質問」をする理由が問われています。
②傍線部は形式段落のはじめにあります。この段落で説明がされるはずだという意識で読みます。
説明部分である中程の内容は「素人は分かっていないから(「そんなことがわからないのか…」という表現から)」です。
ただこれだけではあまりにも普通すぎて、まさかこれが答えではないだろうと誰でも疑うと思います。
そんな気持ちで読み進めると、まとめであるおわりに「原因として、次のようなことも考えられる」とあります。やはり、原因(理由)はまだあるようです。
③形式段落のおわりは次の形式段落に繋がります。
形式段落8では、他の原因が述べられていくはずです。
まとめであるおわりに注目すると「素人の疑問」が主語になっています。この部分ですね。
「素人の質問は、『知』の遠近法とも階層秩序とも無縁におのずと湧いて出てきたものを、闇雲に相手にぶつけているものである」
これが筆者の述べる「素人が不適切な質問をする」理由です。
簡単にまとめて
「知のシステムが分からないから、疑問に思ったことをとりあえず質問するしかないから」です。
選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「行き当たりばったりに質問をしてしまうから」→確認した内容と同じです
②「そのつど思いついたことを尋ねるしかないから」→確認した内容と同じです
③「同じ質問を繰り返さざるをえないから」→確認した内容と違います
④「ピント外れの質問をしても構わないと思っているから」→確認した内容と違います
⑤「思いつく端からでたらめに質問をぶつけてしまうから」→確認した内容と同じです
①と②と⑤が残りました。前半を見ます。
①「素人は、不適切な質問は許されないと自覚」→確認した内容と違います
②確認した内容と同じです
⑤「専門家の無能に不満を覚える」→確認した内容と違います
問5
①内容説明問題(イコール問題)である。
→「理想の専門家」についての本文の趣旨に近い発言を選ぶ、つまり「理想の専門家」の説明を選ぶ問題です。
②傍線部中に指示語がある。
→直前の内容を確認する。
③形式段落のおわりの部分にある。
→何の説明をしているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
④あくまで傍線部の問題である。
以上を踏まえて考えます。
①生徒たちの発言から答えを選ぶ問題になっていますが、本文で述べられている「理想の専門家」とは何かという問題と同じです。「理想の専門家」の言い換え問題です。
②「そうした存在こそ理想の専門家」と述べられているので「そうした存在」=「理想の専門家」です。
☆「こそ」は強意の係助詞ですが、下に「が」が省略されており主格を表すことが多々あります。「こそ」を見たら「が」「は」と同じかも、と思ってください。ちなみに古典文法で習う係助詞「ぞ、なむ、や、か、こそ、は、も」はすべて主格になることが多いということを知っておくといいですよ。
指示語の指す内容は直前ですから確認してまとめます。
「自分の所有するシステム化された『知』は脇に置き、素人に向かい合って自由自在にピント合わせをし直すだけの知的余力を有し、誠実さと思い遣りをもっている存在」
これが筆者の述べる「理想の専門家」です。
③形式段落のおわりにあるので、この形式段落で説明されていたはずだと考えます。
はじめを見て、何の話をしてきたのかを一応確認します。すると「それとは違う専門家もいる」となっています。
つまり「理想の専門家」は「それ」とは違う専門家ということです。
対比になっていますので理想の専門家ではない「それ」も確認します。
指示語の指す内容は直前ですので形式段落12の内容です。段落のおわりをまとめて
「固定観念を持ち、受けた質問を自分の考える適切なものに勝手に変えて答えるような専門家」です。
理想の専門家はこうでないということですね。
以上を踏まえて選択肢を見ましょう。
④この手の問題は文末から見るのではなくはじめから読んでいくことが基本となります。ただそのときに忘れてはいけないのが、あくまで傍線部の問題だということです。今回であれば「理想の専門家とはどのような人か」の部分を確認するということです。
では、そこに注目して見てみましょう。
①「一つずつ基礎から丁寧に説明して『知』のシステムについて教えてくれなくちゃ」→脇に置き素人に合わせるのでした
②「適切な答えって机上の空論」→確認した内容と違います(このようなことはまったく述べられていません)
③確認した内容と同じです。直接的な「理想の専門家」の説明ではなく「理想の専門家ではない方」の説明となっているため、難しく感じるかもしれません。
④「私たちの質問に対する慎重さが、専門家から適切な答えを引き出せるかどうかを左右する」→素人にピントを合わせて答えてくれるのでした
⑤「対等な知見を持つ者同士として向き合っていく」→対等なわけがありません
問6(ⅰ)
表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。
問6(ⅱ)
構成・展開の問題も、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。