平成30年度(2018年度)_センター試験_国語第1問(評論)_解説
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今回は、平成30年度(2018年度)センター試験国語第1問(評論)の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。
まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。
どちらかでご準備をお願いします。
形式段落での説明がメインになります。
今回は1~19まで振られています。
では、始めます。
まず出典を確認します。
それはタイトルを見ることで、この文章が何について述べたものかの予想を立てることができるからです。
今回は『デザインド・リアリティ-集合的達成の心理学』です。
「デザイン」「心理」などの話かなと予想できます。
なお、今回に限っては著者が2人だということも意識しておくことが必要です。
(通常は筆者を気にする必要はあまりないのですが)
問1 漢字
どれも基本的な漢字であり基本的な言葉です。
2個以上間違っているとしたら漢字学習をすることをオススメします。
(ア)の「意匠」は「意匠を凝らす(工夫すること)」という言葉を覚えておいてほしいところです。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。
問2 理由説明
傍線部は形式段落3のおわりにあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、傍線部は「まとめ」に当たると考えます。
形式段落3は「講義って何か話すよ→講義には多様な捉え方できるよ→日常的な講義も不変ではないよね」という流れで読むということです。
設問は「なぜ講義のようなものでさえ不変ではないのか」です。
形式段落の読み取りができていれば簡単ですね。
形式段落の説明部分の内容でしょう。
一言で言えば「多様な捉え方ができるから」です。
これを踏まえて選択肢の後半(文末)を見て判断します。
①「働きかけで容易に変化」→確認した内容と違います。
②「解釈が多様・固定されていない」→確認した内容と同じです。
③「学習効果に大きな影響」→確認した内容と違います。
④「多義性を絞って有益な存在になる」→確認した内容と違います。
⑤「関係が変化し再現できない」→確認した内容と違います。
これだけで正答できます。
なお、選択肢前半の内容は「講義」の例についてです。
形式段落2と4が「講義」の具体例ですから、ここから分かります。
この辺りの形式段落の関係はこうです。
「形式段落1・2」=具体例
「形式段落3」=抽象(主張)
「形式段落4」=具体例
「3」で述べられている「世界の多義性」が「1・2・4」の「講義」の例をもとに説明されています。
形式段落のつくり「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。
具体例の部分と抽象(主張)の部分との関係を意識して読みましょう。
自分で答えを作ってから、選択肢の後半を見ます。
問3 空欄補充
この手の設問は、まず「何を問われているのか」を明確にする必要があります。
ですから、生徒たちの会話を読みます。
空欄は生徒Cの台詞の中にあります。
続く生徒Dがポイントです。
「それが、『今とは異なるデザインを共有する』ことによって、『今ある現実の別のバージョンを知覚することになる』ってこと」
この台詞にある「それ」という指示語は、生徒Cの台詞の空欄を指すことが明らかです。
この設問は「『今とは異なるデザインを共有する』ことによって、『今ある現実の別のバージョンを知覚することになる』」とはどういうことかという設問だと分かります。
では、本文で確認しましょう。
傍線部Bは形式段落10の中程にあります。
この形式段落が何の話をしているのか「はじめ」を見て確認します。
「今とは異なるデザインを共有するものは、今ある現実の別のバージョンを知覚することになる」です。
設問で問われていることの話ですね。
その説明として、図1の例が挙げられているのです。
では、まとめである「おわり」を確認します。
「モノから見て取れるモノの扱い方の可能性、つまりアフォーダンスの情報が変化する」です。
モノを見たときに分かる扱い方の可能性が変化するということのようです。
簡単に言い換えれば「そのモノを見たときに他の扱い方ができることが分かる」ということですね。
以上を踏まえて選択肢を見れば容易です。
また、先程確認した「おわり」に「アフォーダンス」という言葉がはじめて登場します。
いきなり「アフォーダンス」なんて言われても分かりません。
ですから、次の段落で「アフォーダンス」の説明がされます。
(形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていくのでした)
形式段落11を読むことで「モノを見たときに分かる扱い方の可能性=アフォーダンス」とは何かが分かるようになっています。
空欄補充の場合、何が問われているのかを空欄の前後から判断します。
その際に注目するのは「指示語」「接続詞」です。
形式段落のつくり「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。
形式段落の「おわり」は次の形式段落につながっていくことを意識して読みましょう。
問4 理由説明
傍線部は形式段落15のおわりにあります。
ということは、この形式段落のまとめだと分かります。
また、形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていきますが、形式段落16が「さて」から始まっているので、今回は繋がらないと考えます。
それは「さて」が「話題の転換」を示す接続詞だからです。
では、形式段落15の内容を確認します。
「はじめ」の部分から「私たちの住まう現実」の話をしていることが分かります。
「中程」の部分から「現実」の内容が分かります。
現実は私たちに変化させられてきたものだと述べています。
私たちは現実をデザインし変化させてきたいうことですね。
「おわり(傍線部)」の部分から「このこと」という指示語の内容が、中程で説明された「現実は私たちに変化させられてきたもの(私たちは現実をデザインし変化させてきた)」だということが分かり、それが「重要」だと言っています。
以上を踏まえて選択肢の後半を見ます。
①「人間の性質をふまえることが重要」→大切なのは「私たちが現実を変化させてきた」ことです。
②「新たな習慣を創出してきた人間の歴史をふまえることが重要」→「習慣」の話などしていません。
③「環境に手を加え続けてきた人間の営為をふまえることが重要」→「営為」とは「いとなみ、おこなうこと」ですから、確認した内容と同じです。
④「あつらえられた世界でしか人間は生きられないという事実をふまえることが重要」→「あつらえる」とは「注文して作らせる」という意味ですし、そこでしか生きられないなどと述べられていません。
⑤「人間の創造する力をふまえることが重要」→「創造する力」ではなく「現実を変化させてきた」ことが重要でした。
形式段落のつくり「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。
傍線部もしくは傍線部を含む一文に指示語があったら指示内容を確認しましょう。
自分で答えを作ってから、選択肢の後半を見ます。
問5 内容説明
「傍線部はどういうことか」というイコール問題です。
傍線部の「必要性」は言い換えることができないでしょうから「心'理学(心理学ダッシュ)」を言い換えればいいことが分かります。
傍線部は形式段落19のはじめにあります。
ということは、この形式段落で「心'理学(心理学ダッシュ)」の説明がされるはずです。
Aという言葉のイコールの部分を探す基本的な方法は以下の2つでした。
①Aを修飾している部分を見つける
②Aが主語になっている部分を見つける。
例
①赤く美しい花
②花は赤くて美しい
「どのような花か」と問われれば「赤く美しい花」が答えとなりますね。
これを意識して形式段落19を読み進めます。
中程の「したがって」に続く文が「心'理学(心理学ダッシュ)」を修飾している文になっています。
その次の一文が「『心'理学(心理学ダッシュ)』は『文化心理学』」と主語になっています。その次の一文が「文化心理学」の説明です。
まとめると
私たちのこころの現象は文化歴史的条件との不可分の一体である
イコール
イコール
人間は文化と深く入り交じった集合体の一部である
このように(こころは文化歴史と一体であるというように)考えるのが「心'理学(心理学ダッシュ)」です。
以上を踏まえて選択肢の後半を見ます。
①「文化と心理を一体として考える」→確認した内容と同じです。
②「新たな環境に直面した際に明らかになる人間の心理を補足し検討する」→確認した内容と違います。
③「動物の『記憶』とは異なるものとして認知し研究する」→確認した内容と違います。
④「環境デザインに対応させて記述する」→確認した内容と違います。
⑤「人間の心性と変化する現実とを集合体として考えていく」→確認した内容と違います。
「どういうことか」は傍線部の言い換え(イコール)問題です。
形式段落のつくり「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。
言い換え問題の基本的な考え方は「言い換える部分」が修飾されている部分、主語になっている部分に注目することです。
自分で答えを作ってから、選択肢の後半を見ます。
問6 表現と構成
(ⅰ)表現
これは1つずつ選択肢を読み本文で確認するしかなく、対策のしようがありません。
1つ1つ丁寧に確認しましょう。
なお、多くの場合「適当でない」選択肢は明らかに「適当でない」ものとなっています。
ただ今回は出典でこの文章の作者が2人だということを確認する必要があるので難しいです。ちょっと意地悪な設問かなと思います。
(ⅱ)構成
これも対策のしようがありません。
文章を読みながら、全体の内容を把握していく必要があります。
つまり、「文章の読み方」を実践して読みつつ、形式段落などの部分だけではなく全体を「文章の読み方」で読めるかどうかが試されます。
文章全体を捉えて考えるしかありません。
どうしても対策が欲しいというのであれば、絶対ではありませんが「文章のおわり」に注目するという方法があります。
どのように選択肢を作っても、選択肢最後は文章最後の内容になることが多いからです。
今回であれば、文章の最後はそれまでの話題とは異なる「心理学」の話題をして終わっていることが分かります。
つまり、文章の最後の内容が「前半」や「中程」の内容の「まとめ」となっておらず、別の話題になっているということです。
このように考えて、選択肢を見てみます。
①「最後に該当例」がダメです。はじめの内容とは別の話題を最後にしています。
②「結論をまとめ、主張」がダメです。まとめていません。
③「結論部で反対意見への反論と統括」がダメです。筆者への反対意見は述べられていませんし統括(まとめ)していません。
④これだけが残ります。
というように、今回は文章の最後に注目することが有効です。
でも、いつでもこれでいけるという訳ではないのでご注意を…。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。
そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。
どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今回いまいちだった方は、ぜひ復習してください。
復習のポイントは、このブログに書かれていた説明を自分でできるかです。
このブログで書かれている説明を自分でできるようになったとき、高得点を取れる力がついているはずです。
「1回読んだ文章は内容を知っているからもう1回やっても意味ない」のではないのです。
大事なのは「読み方・解き方」です。
そのレベルをアップさせるには、同じ文章を読むことが効果的ですよ。
頑張ってくださいね。
では、これで終わります。
他の年度や、古文漢文の過去問解説、国語の勉強の仕方はこちらからご覧ください。
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