高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

長野大学_国語_2020(令和2)年度_一般選抜中期日程_第3問

こんにちは。きんこです。

 

長野大学2020年度(令和2年度)一般選抜中期日程の国語大問3の解答解説です。

 


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このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

 

kinkoshin.hatenablog.com

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この読み方、解き方を徹底することで入試問題を解けるようになるでしょう。

ぜひ身につけてください。


問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

長野大学のサイトで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。

www.nagano.ac.jp

 

また、模範解答例を長野大学に請求することもできます。

このブログでは国語の解答と解説のみとなっていますので、その他の解答を知りたい場合は請求しましょう。

長野大学のサイトから必要書類をダウンロードできます。

 

では、始めます。

 

はじめに解答をお示しし、その後解説をお伝えします。

 

[解答]

 

3 新井紀子「AIで失われる仕事『格差どう修正』深まらぬ議論」

 

問1

 

問2

 

問3

 

問4

格差に苦しむ人々の怒りの矛先をかわす

 

問5

デジタル革命によるAIを用いて、消費者がコストパフォーマンスを求めてより最適な選択をするとともに、資本家が貪欲に生産性向上を目指したこと。(69字)


[解説]

 

形式段落での説明になります。

1~10まで形式段落に番号を振ってください。

 

問1 内容説明

 

傍線部の内容と一致する選択肢を選びます。

 

内容説明ですから傍線部を言い換えてあげます。

多くの問題は、主語や修飾被修飾の関係であったり、形式段落や意味段落のつくりを意識したり、傍線部中の語句を言い換えたりしますが、この問題は単純に傍線部の内容を掴むだけです。

 

傍線部の内容を分解すると

①道徳的・利他的に行動しようと意識はしていない

②市場の自由競争が最適な資源配分をもたらす

③「①だけれど②」という関係である

以上3点です。

これを押さえて選択肢を見ます。

 

ア 「道徳的・利他的に行動しない方が②」となっており、①③に合っていません。

 

イ 「道徳的・利他的に行動したときの方が②」となっており、①③に合っていません。

 

ウ 「道徳的・利他的な意図に(①)」「関わらず(③)」「自由競争の結果として最適な資源配分がもたらされる(②)」となっており、すべてに合致します。

 

エ 「道徳的・利他的な行動しようとする」「すればするほど」「資源配分から遠ざかる」と①②③すべてと合っていません。

 

オ 「自由競争の結果として、道徳的・利他的になる」という因果関係は①②③には合っていません。

 

長野大学では、このような一文の理解を求める設問が頻出します。

このような設問を解く際のポイントを2つ確認しておきましょう。

 

1.一文の中に複数の意味の塊がある場合は、その関係を明確にする。

 

今回であれば「①だけれど②」という関係を押さえるということです。

よくある関係を並べておきます。

・①だけれど(だが・にも関わらず)②

・①ではなく②

・①だから(の結果)②

・①なぜなら②

・①して②

・①も②も

 

2.通常の文と受身文を言い換える

 

主体(~が)と客体(~に・を)を入れ替えることができるということです。

例を見てみましょう。

通常の文…彼は彼女に告白した。

受身の文…彼女は彼に告白された。

主体と客体が入れ替わっているだけで意味は同じですね。

今回の②の部分がコレに該当します。

傍線部…自由競争が資源配分をもたらす

選択肢…資源配分が自由競争に(自由競争によって・自由競争の結果として)もたらされる


問2 空欄補充

 

空欄補充は前後の文脈から判断するのが鉄則です。

が、今回の場合は一文の中に空欄がありますので、まずは空欄を含む一文をしっかりと確認します。

(あ)と(い)は労働が希少だった時代に生まれた

これが空欄を含む一文です。

つまり2つの空欄は、労働が希少だったから成立していたモノだと分かります。

 

では、文脈を考えましょう。

 

空欄を含む一文は形式段落7の「おわり」にあります。

ということは、形式段落7の「なかほど」のまとめと考えることができます。

 

形式段落7の「なかほど」の内容は

求められた労働力が力を持ち、民主主義が拡大した

です。

「労働力が求められた」のは「労働力が希少だった」からでしょうから、空欄には、労働力が求められた結果拡大した(成立した)「民主主義」が入りそうです。

 

また、空欄を含む一文は形式段落7の「おわり」にあることから、形式段落8に「つながる」はずです。

 

形式段落8の「はじめ」を確認します。

しかし、労働の多くが不要になり「神の見えざる手」が機能不全を起こす。

逆接でつながって、労働が不要になり「神の見えざる手」が機能不全を起こすわけですから、逆接の前(形式段落7の「おわり」)は「労働が求められて『神の見えざる手』が機能していた」という内容のはずです。

空欄には「神の見えざる手」が機能していたときに成立していたモノが入ると分かります。

 

以上を確認して選択肢を見てみます。

 

選択肢は、資本主義、共産主義社会主義、民主主義の組合せです。

 

すでに確認した通り、民主主義は入りそうです。

では、「神の見えざる手」が機能しているのは資本主義、共産主義社会主義のどれでしょうか。

 

文章を読むときに「対比」を意識できているなら容易でしょう。

 

ポイントは形式段落3です。

ここで、「資本主義」と「共産主義社会主義」が対比で述べられていました。

「神の見えざる手」によって成立していたのは資本主義です。

この形式段落の後半で共産主義社会主義が「神の見えざる手」の前に敗北した(失敗した・成立しなかった)ことがはっきりと述べられています。

 

ということで、資本主義と民主主義のウが答えです。


問3 内容理解

 

問2を解くことができていれば、考える内容が同じです。

労働が希少だから、民主主義と資本主義が成り立ったのでした。

で、資本主義が「神の見えざる手」が機能している状態でした。

答えはウですね。

 

問2からのつながりで考えないとしても、「神の見えざる手」に言及している箇所を見ていけば容易です。

 

形式段落6の「はじめ」に思いっ切り述べられていますね。

 

念のため確認ですが「AはBのためである」というのは、Aが成り立つ条件としてBがあるということです。

 

問4 内容理解

 

まずは設問で問われていることを確認します。

 

ここで見落としてはいけないのが「筆者は…どのような目的があると考えているか」となっていることです。

「筆者」の考えが問われています

 

ベーシックインカムについては形式段落9以降で述べられていることは明らかです。

そして、超富裕層に言及されているのは形式段落10です。

 

形式段落10の「はじめ」で「BI賛同者の中に超富裕層がいる」ことが述べられ、「おわり」で「格差に苦しむ人々の怒りの矛先をかわすのが狙いだ」とまとめられています。

 

コレが答えですね。

 

この段落の「なかほど」にある「AIやビッグデータによる買う差の拡大から目をそらす」が答えでもいいのではないかと考えたかもしれません。

しかし、よく読むと、これは数学者キャシー・オニールによる洞察であり、筆者の考えの部分ではありません。

設問をしっかりと確認することの必要性が分かります。


問5 内容理解

 

設問で問われていることを確認します。

筆者が考えている、労働の機械代替が進む原因

 

問3や問4と同様、本文を丁寧に読んでいれば「労働の機械代替」に言及されていた箇所があったことに気づけるはずです。

 

形式段落5ですね。

 

形式段落5の「はじめ」に「その結果、労働の機械代替が進む」とあるのですから、「その」の指す内容が原因と分かります。

 

さらに、この部分が形式段落の「はじめ」にあることから、この形式段落でその話題について述べられているとも考えられます。

 

この2箇所を読み取り、解答を作ることになりそうです。

 

まずは、「その結果」の指す内容を確認します。

形式段落4の内容ですね。

デジタル革命によって情報の伝達のされ方が変容した。

それは人工知能(AI)によって最適な情報が伝達されるようになったというような変容である。

これをまとめるとこうなります。

デジタル革命による人工知能(AI)が最適な情報を伝達するようになった。

これが「労働の機械代替が進む原因」だと分かります。

 

次に、形式段落5の内容を確認します。

「おわり」にあるように

デジタライゼーション時代に消費者がコストパフォーマンスを求めて「賢い」選択をし、資本家が貪欲に生産性向上を目指した結果だ

最後に「結果だ」とあることから、この部分も「労働の機械代替が進む原因」です。

 

以上、2つを上手に合わせて解答を作ります。

 

2つを比べてみて、どちらを基本とするか考えます。

 

1つめは「デジタル革命(AI)」のことにしか言及されていません。

2つめは「デジタライゼーション」「消費者」「資本家」の3つに言及されています。

2つめを基本にして、「デジタライゼーション」の部分を「デジタル革命」に置き換えるとよさそうです。

また、2つめの「賢い」には「 」がついていますから、どのように「賢く」選択しているかを説明した方がいいでしょう

それは1つめにある「最適な情報」による選択だと言えそうです。

 

以上の流れで解答を作っていきます。

 

1.2つめを基本とした解答を作る

デジタライゼーション時代に消費者がコストパフォーマンスを求めて「賢い」選択をし、資本家が貪欲に生産性向上を目指したこと。(60字)

 

2.1の「デジタライゼーション時代」「賢い」を1つめの内容を使って言い換える

デジタル革命によるAIを用いて、消費者がコストパフォーマンスを求めてより最適な選択をするとともに、資本家が貪欲に生産性向上を目指したこと。(69字)

 

はじめの解答では字数が足りませんが、1の内容を足すことでちょうどいい字数になりました。

 


いかがでしたか。

 

このブログにある「文章の読み方」を知っていれば解ける問題でしたね。

単に問題を解いて解答を見て終わりではなく、ぜひ「解答するための文章の読み方」を身につけてください。

ということで、再び「文章の読み方」のリンクを紹介して終わります。

kinkoshin.hatenablog.com

 


頑張ってください。

 

では、これで終わります。


他の年度や国語の勉強の仕方はこちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com


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