長野大学_国語_2019(平成31)年度_推薦入試_第2問
こんにちは。きんこです。
長野大学(平成31年度推薦入試)の国語第2問の解答解説です。
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このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。
まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
この読み方、解き方を徹底することで入試問題を解けるようになるでしょう。
ぜひ身につけてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
長野大学のホームページで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。
はじめに解答をお示しし、その後解説をお伝えします。
では、始めます。
[解答]
2 内田樹『日本辺境論』
問1
(1)熟知 (2)喫緊 (3)継承 (ア)きんせん (イ)けんしょう
問2
日本人の国民性を知るには日本を代表する国民作家の国民文学を読めばいいのに、外国語訳されていないから。(50字)
問3
A ウ B ア C ウ
問4
日本人の特異なものの考え方や感じ方など固有の国民性格を解明し、擁護し顕彰するために書かれたもの。(48字)
問5
イ
[解説]
形式段落での説明になります。
1~16まで形式段落に番号を振ってください。
問1 漢字
「喫緊」「顕彰」は難しかったかもしれません。が、その他の漢字は間違えてはいけません。間違えてしまった方は漢字学習をオススメします。
漢字検定3級からはじめ準2級までは完璧にし、可能であれば2級まで学習しましょう。
問2 理由説明
傍線部を含む一文には指示語があるので、まずはそれを確認します。
指示語の指す内容は基本的に直前です。
今回であれば「日本人のエスタブリッシュメント(支配者層)の心性や感覚を知るには司馬遼太郎とかを読むのが一番簡単だ」です。
これを傍線部に当てはめてまとまると、こうなります。
日本人のエスタブリッシュメント(支配者層)の心性や感覚を知るには司馬遼太郎とかを読むのが一番簡単だと海外では考える人は少ない。
で、筆者がこのように考える理由が問われているわけです。
傍線部を含む形式段落5は、ほぼ傍線部だけで成り立っていると言っても過言ではないので前後の形式段落との繋がりを見ます。
形式段落4は「日本を代表する国民作家である司馬遼太郎の作品はほとんど外国語訳されていない」です。
形式段落6は「他の人たちも英語では読めない(外国語訳されていない)」です。
どちらも同じです。
これらの事実から「海外で司馬遼太郎を読めばいいと考える人が少ない」と筆者は考えたのでしょう。
一言で答えるとこうなりますね。
司馬遼太郎たちの作品が外国語訳されていないから。
これを中心に字数制限に合わせた答えにしていきます。
まずは「司馬遼太郎たち」を「日本を代表する国民作家」にします。
さらに「作品」を「国民文学」にします。
どちらも、もとの言葉の抽象度を上げました(形式段落4で使われている言葉です)。
さらに、傍線部は逆接で繋がっている部分なので、そのニュアンスを出します。
つまり「現代日本人の心性や感覚を知るには、日本を代表する国民作家の国民文学を読むのが一番なのに、そうなっていないから、海外ではそう考えられていない」という流れです。
この流れを踏まえて解答としてまとめるとこうなります。
日本人の国民性を知るには日本を代表する国民作家の国民文学を読めばいいのに、外国語訳されていないから。(50字)
問3 空欄補充
A
「吉本隆明は戦後の日本(A)たちの思想的深化を知る上で必読」という流れです。
問2で確認したように、国民文学を読むと「日本人のエスタブリッシュメント(支配者層)の心性や感覚を知る」ことができると筆者は述べています。
とすると、(A)には「エスタブリッシュメント(支配者層)」に近いことばが入ることが分かります。
選択肢の中では「知識人」しかありません。
B
「アメリカ文学は(B)の文学だ」という流れです。
アメリカ文学はどんな文学なのでしょうか。
その答えは形式段落15のイギリスの話をはさんで、形式段落16で述べられています。
形式段落16の「はじめ」を読めば「アメリカの話」をすることが分かりますね。
で、まとめである「おわり」が「自意識過剰になるのが当然」となっています。
「アメリカ文学は自意識過剰になっているもの」だと分かります。
以上を踏まえて選択肢を見ると、「自意識」があります。
C
「イギリスでは○○を語ることで(C)を語れる」という流れです。
これは次の形式段落のアメリカと対比です。
ですから形式段落16のアメリカの内容を確認します。
「アメリカは『私』を語ることの不可能性みたいなことからからはじまる」です。
つまり、文学というのは「私」を語るものだということが分かるでしょう。
以上を踏まえて選択肢を見ると「私」があります。
問4 内容説明
日本人のとっての「国民文学」がどのようなものかが問われています。
問3のCが分かっていれば、「国民文学」というのは「『私』を語るもの」であるようだということが分かります。
もし、問3をまだ解いていないとしたら下記の手順で同様の答えに行き着きます。
傍線部は「世界中の文学がそれぞれ『国民文学』だ」と述べており、次の形式段落から「アメリカ」「イギリス」の国民文学の説明になっている。
そして、その内容は「国民文学=『私』を語るもの」と行き着きます。
ですから、「国民文学=『私』を語るもの」が基本となり、あとは設問条件にある「日本人にとって」をクリアすればいいわけです。
日本人にとっての「私」とは何かを示せばいいわけですね。
この文章ははじめから「日本人の国民性格を知るためには国民文学を読めばいい」という主張ですから、「国民文学」で示されている「私」とは「日本人の国民性格」となりそうです。
言い換えると「国民文学とは日本人の国民性格を知ることができるもの」です。
そのような意識をもって本文を読むと「国民性格」の説明に当たる部分が以下にあることが分かります。
形式段落9「その特異なものの考え方や感じ方」
形式段落11「固有の国民性格」
さらに形式段落11「固有の国民性格」を見つけた流れから
「イギリスなどに固有の国民性格を解明し、擁護し顕彰するために書かれたものでない(形式段落11)けれども、吉本隆明たちは日本人のことを考究した(形式段落12)」
を読み取ることができるでしょう。
逆接で繋がって対比になっていますから、吉本隆明たちによる「国民文学」は「日本人固有の国民性格を解明し、擁護し顕彰するために書かれたもの」だと分かります。
「吉本隆明たちによる国民文学」すなわち「日本人にとっての国民文学」ということができますので、この部分を解答として使います。
以上の内容をまとめるとこうなります。
日本人の特異なものの考え方や感じ方など固有の国民性格を解明し、擁護し顕彰するために書かれたもの。(48字)
問5 理由説明
傍線部には指示語が含まれていますので、まず指示内容を確認します。
指示語の指す内容は基本的に直前です。
「アメリカ文学は(B:自意識)の文学であり、アメリカというのは一つのアイデアなのだ」ですね。
これが卓見(すぐれた考え)だと述べています。
この内容は形式段落14であり、なぜこの話になったかというと形式段落13からの繋がりです。
形式段落13では「世界中の文学はそれぞれの仕方で『国民文学』だ」でした。
だとすると、傍線部cの「これ」が素晴らしいのは「アメリカの国民文学がどのようなものか」をしっかりと示すことができているからだと考えられます。
では、アメリカの国民文学はどのようなものか。
問3の空欄Bで確認したように形式段落16で述べられていました。
「自分のよりどころはいま・ここにいる自分だけだという自意識過剰にな」っている文学です。
これに最も近い内容の選択肢を選びます。
ア 「どこで生まれたかを書くところから始める」→これはイギリスですね。
イ 「われわれはこういう国だ」→「自分はこうだ」という「自意識」に繋がりそうです。
ウ 「知的努力の到達点」→そんな話はしていませんよ。
エ 「歴史が浅いことを自覚している」→どこにも書かれていませんね。「自意識過剰」なだけです。
以上から「イ」が正解だと分かります。
いかがでしたか。
今回の問題は漢字が少々難しめだったり、問3の空欄補充が他の設問と絡んできたりと私がブログで書いているような問題のつくりとは若干異なっていました。
しかし、読み方や解き方自体は変わっていません。
このようなパターンの問題が出題されたとしても、いつも通りの読み方を実践すれば解答を導くことができることが分かったことと思います。
今回の問題も復習してみて、自分で解答の道筋を立てることができるかを確認してみましょう。
がんばってくださいね。
では、終わります。
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