河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)_国語_第2回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)「国語」第2回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~17まで振られています。
では、始めます。
問1
今回の漢字問題は全体的に難しめです。
しかし、漢字検定の級では(ア)「精」6級、(イ)「摂」3級、(ウ)「巡」4級、(エ)「射」5級、(オ)「尽」4級の漢字に指定されています。
漢字検定3級が中学卒業レベルですから、漢字自体は難しくないということです。
本文、選択肢の熟語が日常使わない言葉になっているときに漢字にできるかどうかです。教科書や問題集で評論文を読むときに漢字も意識して読むことをオススメします。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
今回は3級までの漢字のみでしたが、2級まで学習すれば漢字については大丈夫です。
問2
ポイントは3つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
→傍線部を含む一文で主語を確認する。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①「意味のないことではない」を言い換える問題です。
このままでは主語がありません。傍線部を含む一文から主語を確認します。
「無味や平淡を肯定的に評価する伝統を対置することは」が主語ですね。
ここまでで傍線部を言い換えると
「無味や平淡を評価することは意味がある」となります。
②形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。
傍線部は形式段落のはじめにあるので、この後説明されるはずです。
まとめると「無味や平淡を評価することは、無味でなく明確な味を好むという問いを生み出し、それがものの見方のなかに動揺を生じさせる」です。
これが「無味や平淡を評価する」意味でしょう。
ただ「動揺を生じさせる」のがなぜ評価に繋がるかがよく分かりません。そこで次の形式段落を確認します。
③形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっています。
今確認したように「動揺を生じさせることが評価に繋がる」とはどういうことかが述べられるはずです。
そういう意識で形式段落6を見ると「そのように」という指示語から始まっているので、やはり「動揺を生じさせる」の説明がされていそうです。
形式段落6のおわり(まとめ)には「我々の文化をより豊かにできる」とあります。
つまり「動揺を生じさせることで、文化を豊かにできる」わけです。
「評価」に繋がりますね。
まとめると「無味や平淡を評価することは、無味でなく明確な味を好むという問いを生み出し、それがものの見方のなかに動揺を生じさせることで、文化を豊かにできるから」となるでしょう。
大切なのはあくまで文末の「文化を豊かにできるから」ですよ。
選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①自文化の固有性を誇示する手段として有効」→確認した内容と違います
②歴史的根拠を有するという点では共通」→確認した内容と違います
③「異文化間の共存が可能」→確認した内容と違います
④「文化をより豊かにする可能性が生じる」→確認した内容と同じです
⑤「自文化と他文化とをあいまいに融合」→確認した内容と違います
問3
ポイントは3つです。
①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①西欧の哲学が中国の思想を「他者」と言った理由が問われています。
なぜ、西欧にとって中国は他者なのかということです。
②傍線部は形式段落のはじめにあるので、この後説明されているはずです。
中程で「他者」とは「知恵」であり、西欧では哲学ではないが哲学と無縁ではないものとしてあいまいな領域にあるものだと述べられ、
まとめであるおわりでは中国では「知恵」が知の最高のあり方であることが述べられています。
つまり「西欧の哲学ではあいまいとされる『知恵』が、中国では最高の知とされているから『他者』と言った」のでしょう。
選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「哲学とは呼べないあいまいな知のあり方だから」→確認した内容と同じです
②「哲学とはおよそ無関係なあいまいな思考の産物だから」→「哲学と無縁でない」と述べられていました
③「中国思想の知恵に、哲学的思考を見出しえないから」→あくまで「あいまい」なのです
④「体系化された観念体系としてある西欧哲学とは異質な点があるから」→確認した内容と違います
⑤「あまりにも異質であり到底受け入れがたいものだから」→確認した内容と違います
これだけで正答を導くことができますが、一応確認です。
形式段落7のおわりで中国では「知恵」が最高だと述べられました。しかし、それがどう最高なのかは述べられていません。ですから、次の形式段落に繋がっていきます。
続く形式段落8では「知恵」がどのようなものなのかが述べられ(おわりにまとまっています)、形式段落9では西欧の「哲学」と中国の「知恵」が対比される形で「知恵」のプラス面が述べられています。
ここまで読むことで、確実に「西欧の哲学」にとって「中国の知恵」が他者(違うもの)であることが詳細に分かります。
選択肢①の前半の内容は、形式段落8と9の内容になっていますね。
でも、あくまで大切なのは「文末」と傍線部と形式段落の関係です。
まずはそこで選択肢を選ぶのだと意識しましょう。
問4
ポイントは4つです。
①本文の趣旨を答える問題、つまり内容説明問題(イコール問題)である。
②あくまで傍線部の問題である。
③形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
④形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のはじめは、前の形式段落のおわりから続いてきている。
以上を踏まえて考えます。
①傍線部の趣旨に近いということは、傍線部でいっていることと同じものを選ぶということです。つまり、内容説明問題(イコール問題)です。
理解には「先入見」が関与しているとはどういうことかが問われています。
②あくまで傍線部の問題だということを忘れてはいけません。①で確認した内容で考えます。
③傍線部は形式段落のはじめにあるので、この後説明されます。
傍線部直後に「言いかえれば」という言葉もあるので、この後がイコールだと分かります。「AではなくB」という文になっているので、Bがイコールの内容です。
「作品あるいは他者と解釈者との相互的なかかわりのなかでなされる」です。ちょっと難しいですが「相互に関わっているもの」だということを押さえましょう。
ただこれでは「先入見」がどのようなものなのかが不十分です(今のところ相互に関わるくらいしか分からない)。
ですから、「先入見」がどのようなものなのかを確認する必要があります。
④形式段落のはじめは前の形式段落のおわりから繋がっています。
形式段落12のおわりは「先入見」が主語になっていますから、この段落で「先入見」の説明がされていたことが分かります。
中程の説明とまとめのおわりから「先入見」をまとめるとこうなります。
「先入見は有限で歴史的な人間の置かれた立場への拘束性であり、これを乗り越えたり解放されることはできなないもの」です。
私たちの理解には、この先入見が関わっているという選択肢を選びます。
選択肢を見ましょう。
今回は生徒の意見ですので文末から見ることができません。あくまで「先入見」の説明として合っているものを選ぶという意識で見ていきます。
①「先入見をなくしていくことが必要」→そんなこと述べられていません
②「枠組みに影響される」→「先入見」の説明になっています
③そもそも「先入見」の説明がありません
④「最終的に先入見を乗り越えていくことが可能」→乗り越えることはできないのでした
⑤「他者と相互的に関わるというのも最終的には不可能」→関わるものでした
いかがですか。生徒の話を選ぶ設問ですが、あくまで傍線部の設問だということを意識すると、通常の内容説明問題や理由説明問題と同じように考えることができます。
設問形式に惑わされないようにしましょう。
問5
ポイントは3つです。
①問われている内容は本文のテーマである。
②形式段落の作りと文章全体の作りは同じである。
③設問の作られ方を意識する。
以上を踏まえて考えます。
①「人文学」についての筆者の考えが問われています。
この文章全体のテーマが人文学だったということが分かるでしょうか。次の②で確認します。
②形式段落のつくり「この話するよ→説明→まとめ」はそのまま文章全体のつくりです。
文章全体のつくりも「この話するよ→説明→まとめ」です(小論文を書くときの構成もこれですよ)。
そういう意識でこの本文を見ます。
形式段落1「人文学は…」→人文学の話するよ
形式段落2~16→説明
形式段落17のおわり「人文学はまさにそのことに寄与してきたし…」→人文学ってこうなんだよ
「人文学」についての文章だとはっきりと分かりますね。
ですから、人文学についての筆者のまとめは当然最後の部分になります。
③②で本文の注目すべき箇所は分かりましたが、設問の作られ方からもどこに注目するかの検討をつけることができます。
評論文の問題の作られ方は各意味段落に1つの設問があるのが基本です。
つまり各意味段落の設問を解いておくと文章全体の内容が分かるというような設問構成になっていることが多いのです。
そのような視点で今回の本文を見てみると、傍線部Aで形式段落2~6、傍線部Bで形式段落7~9、傍線部Cで形式段落12~13の内容が問われています。
ですから、本文中で問われていない部分は形式段落14以降だと検討がつきます。
そもそも本文がずっと続いているのに傍線部がないのですから、この辺りは何かの設問と関わるだろうという予想はつきますね。
ということで、設問の作られ方を意識しても本文おわりが注目すべき部分だと分かります。
では、筆者が「人文学」についてどう考えているのかを確認します。
形式段落1の内容、そして形式段落17の内容です。
形式段落1はそのままですね。
形式段落17はおわりに「人文学はそのことに寄与してきた」とありますから、「そのこと」の指す内容を確認します。形式段落の中程ですね。
「先入見を乗り越えることはできないが、より大きな射程を持った知へと開かれる。それを可能にするのは経験だ」です。形式段落1では「共存」となっています。これが人文学についての筆者の考えです。
選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「知の地平を絶えず向上」→地平を向上するのではなく、知が開かれていくのでした
②「自由なものの見方の養成」→自由のことなど述べられていません
③「知の成熟に貢献」→知が開かれると合っています
④「異質な存在の相互理解を深めていくという課題を担う」→深めることができますがそれが課題だとは述べられていません
⑤「相互交流を通じてより豊かな知をもたらす」→確認した内容と同じです
③と⑤が残りました。前半を確認します。
③形式段落1の内容(共存できる)もばっちり入っています
⑤「共通性に目を向けて豊かな知をもたらす」が決定的に違います。「経験」が豊かな知へと繋がるはずでした
問6
表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)_国語_第2回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)「国語」第2回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~20まで振られています。
では、始めます。
問1
どの漢字も基本的なものばかりです。
もし2問以上間違っているならば漢字学習をすることをオススメします。
まずは漢字検定3級、準2級の問題集を使うのがいいでしょう。
その際、読みの問題からはじめて続いて書きの問題に取り組むといいですよ。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
問2
ポイントは4つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部中に指示語がある。
→直前の内容を確認する。
③形式段落のおわりの部分にある。
→この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
④形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①「両者の重なりが自明だと考えられてきた」とは、どういうことかが問われています。
なお、「自明」は「説明などをしなくても、それ自体で明らかであること」という意味です。
つまり、ここでは「両者の重なりは当たり前のことだよね」という意味合いになります。
②「両者」というのは指示語と考えます。直前の内容である「経済」と「政治」のことです。それが重なっていたのが「国民経済」という言葉で述べられています。
「経済と政治が重なっていること、すなわち国民経済って当たり前だよね」となりますね。
③形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。
これを意識して読んでも②で確認したことと同じになります。
④形式段落のおわりは次の形式段落へと繋がっていきます。
ここでは先程の「経済と政治が重なっていること、すなわち国民経済って当たり前だよね」の「国民経済」というのがよく分かりません。だから、次の段落に説明が続いていくんです。
形式段落2のはじめでは「国民経済」という言葉があって、その後にその説明になっていますよ(経済と政治が国の中だけで完結していることです)。
まとめには「自然でありいつまでも続くはずだ」と述べられ、これは傍線部の「自明」に繋がりそうです。
以上をまとめると
「経済と政治が国の中だけで完結する国民経済って自然だしいつまでも続くのは当たり前だよね」となります。
この内容になっている選択肢を選びます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「人びとの間でほとんど意識されてこなかった」→確認した内容と違います
②「異なるものであるにもかかわらず同一視されてきた」→確認した内容と違います
③「国家の中での経済的発展も見込まれるはずだ」→確認した内容と違います
④「そうした状況が普遍的なものだと思いこまれてきた」→「そうした状況」の指す内容を確認しなければいけませんが、「普遍的だと思いこまれてきた」は確認した内容の言い換えになっています
⑤「それらが同時期に成立したものである」→確認した内容と違います
④しか残っていませんが「そうした状況」の指す内容を確認するために前半を見ます。
確認した内容と合っていますから正答です。
問3
ポイントは3つです。
①「説明はどれか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文で主語を確認する。
③形式段落のおわりの部分にある。
→この段落で説明がされてきたはずである。
以上を踏まえて考えます。
①「『行くも地獄、戻るも地獄』という進退窮まる状況」の説明、つまり言い換えを問われています。
「という」はイコールを示しますから「行くも地獄、戻るも地獄」=「進退窮まる状況」です。このどちらかのニュアンスを掴みます(もちろんどちらも分かる方がいいですが)。
「行くも地獄、戻るも地獄」は「行くことも戻ることもできない状況」のことです。もうどうしていいか分からずその場にいることしかできないような状況だということです。
「進退窮まる」も同じ意味です。
このようなニュアンスが含まれる選択肢を選ぶ必要があることを頭に入れておきます(言い換え問題なのですから)。
②傍線部だけでは「誰(何)が」進退窮まる状況かが分かりません。そこで、傍線部を含む一文を確認します。
すると、「傍線部Bに政治は直面する」となっていますから、主語は「政治(国)」だということが分かります。
③形式段落のおわりにあるということはこの段落で説明がされてきたはずです。
説明部分である中程に「一方で」という言葉があります。これは「Aがあり、一方でBだ」という2つのことを示す言葉ですから「行くも地獄」「戻るも地獄」の2つと対応しているはずです(傍線部の説明部分なのですから)。
ということで「人びと(国民)は福祉国家の廃止を認めない」が「お金がないと福祉国家は維持できない」という状況だということが分かります。
以上のことを踏まえて選択肢を見ます。主語が「政治(国)」ということ、「行くことも戻ることもできない状況」のニュアンスが必要だということを忘れてはいけませんよ。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「福祉国家からの離脱を余儀なくされている」→「離脱するしかない」とういうのは傍線部の内容と違いますしニュアンスもありません
②「国民たちは、国家が福祉国家以前の状態に戻ることを認めない」→傍線部の言い換えですから主語を変えてはいけません。主語は「政治(国)」です
③「脆弱な存在になってしまう」→確認した内容と違います
④「福祉を重視する国家のあり方から離れていくことも困難だということ」→確認した内容と同じです。ちなみに「も」という助詞は重要です。「福祉国家から離れていくことも困難」ということは、もう1つ困難なことが前に述べられているということです。先程確認したように「福祉国家を維持することも困難」な訳です。前半を読んでいなくても予想できます
⑤「国家が破綻に向かってしまう」→確認した内容と違います
問4
ポイントは2つです。
①傍線部についての筆者の意見を問う問題である。
②傍線部が疑問文である。
以上を踏まえて考えます。
①「ナショナリズム」が「強まっている」ことについて、筆者がどのように考えているのかが問われています。このことについて筆者はどこかで意見を述べているということです。
②傍線部は「どう理解すればいいのだろうか」という疑問文です。当然ながら、この後に筆者がどのように理解しているかが述べられるはずです。
形式段落のおわりが次の形式段落へと繋がっていくと考えてもいいかもしれませんが、疑問文が出てきたら、普通はその後にその疑問に答える形で文章は続きます。
形式段落16のおわりには「ナショナリズムも弱まっていかないのはなぜか」です。言い方を変えると「ナショナリズムが強くなるのはなぜか」ですね。次の形式段落17に続きます。
形式段落17のおわりには「ナショナリズムは内部で支えず、他者への攻撃の基礎になっている」です。ナショナリズムの説明がされているだけで、強くなる理由はまだ述べられていません。続きを読みます。
形式段落18は「比喩的にいえば」と始まっているので、前の段落のおわり「内部で支えず、他者への攻撃」の説明です。具体例や比喩(たとえ)は筆者の主張の説明ですよ。
形式段落19のおわりには「個人の競争力に注目し蹴落とすような市場原理があり、ナショナリズムは市場にひざまずいている」です。
「蹴落とす」という表現から「他者への攻撃」の言い換えだと分かります。ナショナリズムの説明を繰り返しているだけですが、「市場」との関係は新しい要素です。
まだ強まる理由は述べられていません。
形式段落20のはじめは「なぜナショナリズムにとらわれるのか」です。ナショナリズムが強まる理由が述べられそうですね。
まとめであるおわりは「ナショナリズムはそうした計算(自分より弱い層を切り捨て強い人びとについていけばおこぼれにあずかれる)の結果として、選び取られている」です。
これがナショナリズムが強くなる理由です。
まとめると
「ナショナリズムは内部で支えるものではなく市場の原理に従うものであり、弱い者を攻撃することで自分は少しでもいい目に合いたいと思い選ばれる」となります。
この内容になっている選択肢を選びます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「保身のための方策として人びとに選択され、拡大した」→確認した内容と同じです
②「国家の内部にいるすべての人びとに対して強く連帯を強いる」→確認した内容と違います
③「国民の連帯が脅かされているという意識」→確認した内容と違います
④「きわめて強い排他性をもった思想的傾向」→弱者を攻撃することが強い排他性とはなりません
⑤「市場に対してひざまずく思想だ」→確認した内容と同じです
①と⑤が残ったので前半を確認します。
①確認した内容と同じです
⑤「市場にからめ取られないようにするための連帯を模索する」が違います。連帯はありませんでした。
問5
ポイントは2つです。
①何について問われているかを確認する。
→問われている内容は本文のテーマである。
②設問の作られ方を意識する。
以上を踏まえて考えます。
①筆者が「政治」と「経済」との関係についてどのように考えているかが問われています。本文を読んで分かるようにこの2つの言葉がキーワードとなっています。この2つのことについて述べられている部分を本文中から探します。
②探す際のヒントが「設問の作られ方」です。
評論文の問題の作られ方は各意味段落に1つの設問があるのが基本です。
つまり各意味段落の設問を解いておくと文章全体の内容が分かるというような設問構成になっていることが多いのです。
そのような視点で今回の本文を見てみると、傍線部Aで形式段落1~2、傍線部Bで形式段落12(7当たりから関係していることは何となく分かるはずです。税の徴収の話ですからね)、傍線部Cで形式段落15~20の内容が問われています。
ですから、本文中で問われていない部分は形式段落3~6辺りだと検討がつきます。
この中で「政治」「経済」の両方の話題を扱っているのは形式段落5、6です。
形式段落5のはじめには「政治がこうした動き(経済)をとどめることが難しい」と述べられ、形式段落6のはじめには「経済による政治の周辺化が、政治が直面しつつある問題の根源だ」と述べられています。
つまり「政治には経済を止める力はなく、しかもそれが政治の問題点の原因になっている」となります。
この内容になっている選択肢を選びます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「政治や経済の矮小化ともたらしている」→確認した内容と違います
②「それぞれが独立し多くの問題が生じはじめている」→確認した内容と違います
③「経済が生み出した差別を政治がかろうじて解消するというあり方が一般化」→確認した内容と違います
④「経済によって政治が追い詰められ、政治にまつわる問題を生じさせている」→確認した内容と同じです
⑤「政治と経済を一体化させることが求められている」→確認した内容と違います
問6
表現や内容(合致)の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)_国語_第1回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)「国語」第1回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~14まで振られています。
では、始めます。
問1
(ア)「算段」は簡単な漢字ですが出てこなかったかもしれません。
(イ)については「簡便」も選択肢の「書簡」も難しかったかもしれません。
どの漢字もそれほど難しくはないのですが、日常では使わない言葉が思い浮かぶかどうかが勝負です。教科書や問題集で評論文を読むときに漢字も意識して読むことをオススメします。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
また、漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。
問2
ポイントは4つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落の中程にある。
→何の説明をしているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のはじめは、前の形式段落のおわりから続いてきている。
④次の形式段落に傍線部がある。
→ここまでの内容で答えることができるはずである。
以上を踏まえて考えます。
①「戦争が『民主化』されていく」を言い換えます。ここでのポイントは「民主化」がどのような意味かということと、「されていく」という表現から「民主化」までの流れがどのようなものかを読み取ることだと考えられます。
②形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。
傍線部が中程にあるので、何の話の説明をしているのかを形式段落のはじめを見て確認します。
形式段落のはじめは「戦争は意識の上で国民が担うものになりました」です。
傍線部もこの部分も主語が同じ「戦争」ですから「民主化」=「国民が担うもの」だと分かります。
③では「戦争が意識の上で国民が担うものになった」のは何故でしょうか。
形式段落の終わりは次の形式段落のはじめに繋がります。
「戦争が意識の上で国民が担うものになった」までの流れは前の形式段落に述べられていたということです。
形式段落2のおわりは「このときに初めて、『国民国家』が実質をもった」ですから、「このとき」の内容を押さえることで「国民国家」ができた流れ、つまり「戦争を国民が担う」ことになった流れが分かります。
指示語の指す内容は直前ということ、形式段落おわりの説明は中程にあるはずだということを合わせて考えて、形式段落2の中程を読めばいいわけです。
その内容を押さえれば容易に正答を導けます。
選択肢を見てみましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「民衆が自分たちの力で戦争をするようになった」→確認した内容と同じです
②「積極的に外国を攻撃するようになった」→確認した内容と違います(問題はあくまで「民主化されていきます」の言い換えですから「民主化」=「攻撃」はおかしいでしょう)
③「自由を脅かす外国を撃退するようになった」→確認した内容と違います(②と同じ理由です)
④「自ら戦うようになった」→確認した内容と同じです
⑤「民衆がすすんで戦争をするようになった」→「すすんで」は確認した内容と違います
①と④が残ったので前半を確認します。
①「王家が民衆の代わりに戦っていた」なんてどこにも書かれていません
④確認した内容(形式段落2の中程)と同じです
以上で正答が導けましたが、2点補足しておきます。
1つめは、傍線部直後に「言い換えれば」という言葉があることです。この言葉は当然イコールを示しますから、その後の「万人の万人による万人のための戦争」も傍線部のイコールです。「万人」を「国民、民衆」に置き換えると形式段落はじめの「戦争は意識の上で国民が担うものになりました」とほぼ同じになります。
2つめは、次の形式段落4に傍線部があることです。基本的に傍線部は各意味段落に1つというのが基本ですから、傍線部Bまでの内容が傍線部Aだと考えます。ですから、形式段落1~3で考えるはずだという考えることができます。
問3
ポイントは3つです。
①何について問われているかを確認する。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③答えが出ないときは「キーワード」に注目して読み進める。
以上を踏まえて考えます。
①「産業革命」がもたらした影響が問われています。産業革命によってどんなことが起きたのかを読み取ればいいわけです。
②形式段落のはじめにあるので、この形式段落で説明されていくはずです。
まとめであるおわりには「機械化した武器が行き渡ったこと・武器の殺傷能力が高まったこと」が述べられています。これが「産業革命」によって起こったことです。
以上の内容になっている選択肢を選びます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
選択肢の後半を見ると、どの選択肢も確認した内容だけでは判断できないことが分かります。前半をちらっと見ると確認した内容が書かれていますが、その結果どうなったかまで読み取る必要がありそうです。
今回はまだ読み取りが必要のようです。
③あくまで傍線部の問題だということを忘れてはいけません。この問題のキーワードは「産業革命」です。読み進めながらこの言葉が出てくるのを待ちます。
形式段落5は「それだけではありません」と始まっていて「産業革命」以外の話が始まっています。おわりを見て内容を整理すると「傭兵も戦費も国の規模でできるようになった」となります。
形式段落7は「もう一つ」と始まっていて「産業革命」「傭兵・戦費」の他にまだ何かあることが分かります。形式段落のはじめとおわりから「海外進出がさかん」で「大きな戦争にはならなかった」という内容です。
形式段落8では武器の殺傷能力が上がったことが述べられています。はじめに確認した形式段落4の内容と同じです。
形式段落9まで読み進めると「産業革命」という言葉がやっと出てきます。
はじめとおわりから「産業革命が加わり」「第一次世界大戦」に繋がったです。
つまり、「産業革命」は「第一次世界大戦」を引き起こす1つの原因だということでしょう。産業革命によって第一次世界大戦が起きたというわけです。
では、改めて選択肢を見てみます。後半からです。
①「大規模な戦争を可能にする条件の一つとなった」→確認した内容と同じです
②「必然的に長期化し激しさを増す」→確認した内容と違います
③「小競り合いが大きな戦争へと発展」→確認した内容と違います
④「近代的な軍隊の形成を推し進める一因」→確認した内容と違います
⑤「植民地の人びとの抵抗を抑圧」→確認した内容と違います
問4
ポイントは3つです。
①「どういうものか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文から「対比」を意識する。
③前の傍線部とその答えの根拠から相当離れている。
以上を踏まえて考えます。
①「古い共同性」がどのようなものかが問われています。
②傍線部を含む一文を読んで、どのような一文かを確認します。
「メディアは、解体された古い共同性を近代の共同性に置き換える働きをしました」です。
「古い共同性」と「近代の共同性」との対比になっていることが分かります。
また、傍線部は形式段落14のはじめにあるので13からの繋がりを考えます。
13の内容が「近代の共同性」であることは容易に分かりますし、そもそもすでに「古い共同性」について述べられていたと気づくことができるはずです。
形式段落12ですね。はじめに「それまではほとんどの人は…」とあり、おわりには「かつては地縁血縁や…」とあります。「それまで」「かつて」などは「古い」ものの説明ですね。これが答えです。
選択肢を後半から見ます。
①「かりそめの共通性」→違います
②「何の繋がりも感じられない」→違います
③「地縁的な関係に基づく共同性」→「地縁」だけではありませんがダメとは言えません
④「素朴で原始的な仲間意識」→違います
⑤「その土地の住民や親族同士の間で形成する親密な関係性」→形式段落12の内容です
③と⑤が残りましたので、前半を見ます。
③「同じ環境の中で文字情報を共有しあう」→これは形式段落13で述べられている「近代の共同性」です。
⑤オッケーです
問5
ポイントは3つです。
①何について問われているかを確認する。
②あくまで傍線部の問題である。
③形式段落のおわりの部分にある。
→この段落で説明がされてきたはずである。
以上を踏まえて考えます。
①「メディア」の働きが問われています。
②あくまで傍線部の問題なので「メディアと近代国家、国民国家」とに関する働きが問われていることを確認します。
③形式段落のおわりに傍線部があるということは、この段落で説明がされてきたまとめであるということです。
形式段落のはじめを確認すると「メディアは何をしたかというと」で始まっていますから、やはりこの後に「メディアがした働き」が説明されていると分かります。
何をしたかというと「近代の共同性をつくった」わけです。
そして、どのように作ったのかが中程の説明になります。
この内容を押さえて選択肢を後半から見ます。
①「同じ国にクラス人びとの間に国民としての同朋意識を植え付ける」→よさそうです
②「国民の一員としての自覚を促す」→自覚を促しているわけではなく自然となるわけです
③「国家を維持していこうとする意識を抱かせる」→書かれていません
④「同じ国の国民であるという意識のもとに結び付ける」→よさそうです
⑤「国民として再編成し近代国家形成に寄与させる」→近代の共同性をつくったことが近代国家形成に寄与というところまで言っていいかは微妙ですが絶対にダメとは言えません
①と④と⑤の3つが残りました。前半を見ます。
①「国内で…すべて共有」→国内だけではないこと、「すべて」共有とは書かれていないことからダメっぽいです
④「内外の情報を共有」→①と比べるとこちらの方がよさそうです(形式段落12中程の内容)
⑤「意見交換の場を提供」→書かれていません
以上から④を答えとします
問6
表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)_国語_第1回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)「国語」第1回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~14まで振られています。
では、始めます。
問1
(ア)位相は知っておいて欲しい言葉です。
(ウ)契機は評論文頻出です。「きっかけ」という意味も重要です。
(エ)企図が難しかったかもしれません。漢字は簡単ですがこの言葉を知っている方は少なかったでしょう。ただ、文脈の意味と漢字の意味とを合わせて考えると選ぶことができたと思います。漢字は意味もしっかりと学習していくようにしましょう。
どの漢字も漢字検定の級としては低いものですが、評論文らしい難しい言葉が多くなっています。教科書や問題集で評論文を読むときに漢字も意識して読むことをオススメします。
また、漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。
問2
ポイントは2つです。
①「言葉」についての説明という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
以上を踏まえて考えます。
②傍線部は形式段落2のはじめにありますから、この後に説明がされるはずです。
3行しかありませんが、その内容は「『科学技術』に対応する言葉は西欧語にはなく(中程)、”technoscience”という言葉も一般化していない(終わり)」ですね。
形式段落3が「もともと科学と技術は…」と始まっているのが目に入るでしょうから話はもう少し続きそうだと分かりますが(実際もう少し読むことで確実に正答を得られます)、ここまでの確認だけでも選択肢を絞れそうです。
では選択肢を見てみましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、2つ以外は選択肢文末で間違いだと判断できます。
①「それらの概念を一語で表現する言葉はいまだ一般化していない」→オッケーです
②「『科学』と『技術』を結びつけた言葉は一般には用いられていない」→オッケーです
③「『科学』と『技術』を混同している」→確認した内容と違います
④「その思考が今日に至るまで力を保っている」→確認した内容と違います
⑤「近代日本において西洋の語彙を取り入れる際に誤解があった」→確認した内容と違います
①と②だけが残りましたね。このように「形式段落のつくり」を意識するだけでも選択肢を絞ることができます。
選択肢の前半の内容を読むと今まで読んだ内容だけでは判断できなさそうですから続きを読みます。
先程も書いたように形式段落3は「もともと科学と技術は…」と始まっていますから内容を確認する必要がありそうです。
形式段落のつくりは「この話する→説明→まとめ」です。
まずは「はじめ」が大事です。「科学と技術の出自は違う」です。説明もまとめも同じ内容です。
形式段落4のはじめは「さらに」で始まっています。これは「+」ですから、前の形式段落の内容に「さらに」何かが加わるということです。形式段落3は「科学技術」について書かれていたのですから、ここでも新たな説明がされるということですね。
「はじめ」と「おわり」に注目すると「科学技術は二十世紀に入ってから産業基盤を支えるものとして国家的事業として展開された」となるでしょう。
以上、形式段落2、3、4の内容を踏まえて選択肢を選びます(①と②だけにします)。
①完璧な内容ですね。
②先程確認したところ以外は本文に書かれていません。
問3
ポイントは3つです。
①「なぜか」という理由説明問題である。
②傍線部を含む一文に指示語がある。
③形式段落の中程の部分にある。
→何の説明の部分かを「はじめ」を確認する。
以上を踏まえて考えます。
①「『価値中立的』ではありえない」理由が問われています。
②傍線部を含む一文に「その意味で」という指示語があるので、その内容を確認します。指示語の指す内容は基本的に直前です。
「現代の科学技術は社会的リスクと表裏一体」という意味で「『価値中立的』ではありえない」となります。
では、これは何の説明をしているのでしょうか。
③傍線部は形式段落の中程にあるのだから、何の説明かを「はじめ」を見ます。
「科学技術の利用が意図しない災厄をもたらすこと」の説明だと分かりますね。これは先程の指示内容「社会的リスク」と同じです。
これが何故かを答えればいいわけです。
確認したはじめの部分には「それゆえ」という指示語があります。
「科学技術の利用が意図しない災厄をもたらす(という意味で『価値中立的』ではありえない)」の理由は「それゆえ」の指す内容ですね。
直前である形式段落6のおわりは「その影響や帰結を見通すことが困難になっているから」と理由になっています。何のまとめかを「はじめ」で確認すると「現代の先端的な科学技術については、そのような楽観的な善悪二分法は成り立たない」のまとめだと分かります。
つまり、「現代の先端的な科学技術については、その影響や帰結を見通すことが困難になっているからそのような楽観的な善悪二分法は成り立たない」ということです。
これが「それゆえ」の指す内容であり、問われている理由です。
以上の内容を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。
①「善用することは非常に困難だから」→確認した内容と違います
②「何が善で何が悪かは一概に決めがたくなっているから」→確認した内容と違います
③「時代遅れの学説と言わざるをえないから」→確認した内容と違います
④「影響を正確に予測できない現代の先端技術に当てはまらないから」→確認した内容です
⑤「どのような価値に対しても距離を置いているとはもはや言えなくなっているから」→確認した内容と違います
問4
ポイントは4つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
→「自縄自縛」という四字熟語のニュアンスを含む説明になっているはずである。
②傍線部中に指示語がある。
③傍線部を含む一文を確認する。
④形式段落のおわりの部分にある。
→この段落で説明がされていたはずである。
以上を踏まえて考えます。
①「自縄自縛」とは「自分の言動のせいで自由にできなくなること」です。「自らの縄で自らを縛る」という漢字からも想像できます。
②「その神話」とは直前にある「安全神話」のことなのは容易です。
③「傍線部Cによって、電力会社は安全対策を講じてこなかった」となっていますから①で確認した「自分、自ら」は「電力会社」のことです。また、「自縛」は「安全対策を講じなかった」ことだと分かります。
④形式段落のはじめを見ます。何について述べられた段落かというと「安全神話には項目が付け加えられた」ことです。項目が付け加わった安全神話に自縄自縛になったのですね。
ただこの段落も「さらに」で始まっているので安全神話の説明が前に書かれていたことになります。形式段落9の中程に「原子力安全神話とは」と主語になっているので、ここを確認しましょう。
以上の内容をまとめるとこうなるでしょう。
「電力会社は安全神話を浸透させたことで安全対策を講じなくなってしまった」
この内容を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「どんなに軽微な事故も決して生じない」→形式段落9の中程の「安全神話」の説明では「リスクがきわめて小さく」と「決して」ではない
②「社会全体が危機に対する感覚を鈍磨」→「社会全体」ではなく「電力会社」
③「リスク対策を怠ってしまう」→確認した内容と同じ
④「コストや安全性に関する議論が抑制」→コストは関係ない
⑤「危険性に次第にきづかなくなってしまう」→微妙だがダメとは言えない
後半だけで③と⑤が残ります。
ここではじめて前半の内容も確認します。
③内容もオッケーですし「とらわれる」の表現から「自縄自縛」のニュアンスもあります
⑤「安全対策を行わない目的で、原子力発電の技術の危険性に関わる認識が抑圧された」→順が逆ですね。安全神話によって危険性の認識が抑圧されて(この表現も微妙ですが)安全対策が行われなかったという順でした
問5
ポイントは2つです。
①傍線部はないが「問われていること」を確認する。
②①を参考に本文のどこを見ればいいかの検討をつける。
→傍線部の問題になっていない意味段落が怪しい。
以上を踏まえて考えます。
①問われていることは「『信頼の危機』に対する筆者の考え」です。
2つのポイントがあります。「信頼の危機」について述べられている部分に注目することと、「筆者の考え」つまり「筆者の主張」なのですから本文のおわりにありそうだということです。
②①で確認した2つのポイントで本文のどこに注目するかを考えます。
まず「信頼の危機」という言葉に注目します。この言葉が出てくるのは形式段落12のおわりです。そして、形式段落13のはじめに説明が繋がっていっています。この辺りに注目すればいいということが分かります。
この辺りには傍線部がなく「信頼」についての意味段落であることも分かります。やはりこの辺りに注目するのがよさそうです(言っていることがよく分からない方は「マーク式問題の解き方②一般的な問題構成を知る」をご覧ください)。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
形式段落13のはじめで「信頼の危機」の話をすると教えてくれて、おわりに(引用の部分ですが)「政治と科学に対する二重の不信の広がりこそが、『信頼の危機』なのです」と「信頼の危機」とは何かを教えてくれています。
次にこの「信頼の危機」について筆者の主張がどこにあるかを考えます。
ここで文章の大きな流れを確認します。
形式段落のつくりはそのまま意味段落や文章のつくりでもあります。
「この話するよ→説明→まとめ」です。
筆者の主張の多くが「まとめ」に来ることは分かりますね。
だとすると、「信頼の危機」の説明が形式段落13でされたので、その後の形式段落14に筆者の主張がありそうです(ちなみに「信頼神話」の意味段落は形式段落11からはじまっています)。
形式段落14のはじめは「政治と科学に対する二重の不信」つまり「信頼の危機」の話です。中程の説明には「崩壊すべくして崩壊したが、崩壊するに任せてはおくわけにいかない」と筆者の考え(主張)が述べられています。そして、おわりにはその理由として「現代社会は科学技術の恩恵なしには持続できないもので、その基盤が政府と科学者に対する『信頼』だから」と述べています。
形式段落の14の筆者の主張をまとめると
「現代社会は科学技術の恩恵なしには持続できないもので、その基盤が政府と科学者に対する『信頼』だから、信頼の危機の崩壊は崩壊するに任せてはおくわけにいかない」となるでしょう。
以上の内容を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。
①「信頼が失われるのはやむをえない」→崩壊するに任せたらダメなんです
②「信頼関係を再構築する努力を社会全体で行っていく必要がある」→崩壊させないようにしようという内容になっています
③「一般市民が科学の成果を取捨選択できる成熟した目を養う」→確認した内容と違います
④「科学や政治の正しい方向性を見定めていく必要」→確認した内容と違います。方向性ではなく「信頼」が大切なのです
⑤「科学技術を切り離し、根本から見直す」→確認した内容と違います
問6
構成についての選択肢は①②③です。
構成の問題は問5でも確認した大きな流れが参考になります。
今回は分かりやすいので確認しておきます(「おわり」はないですが)。
はじめ(形式段落1)この話するよ(おわりに「科学技術に関する3つの神話の崩壊の話」をすることが述べられている)
中程(残りすべて)3つの話がそれぞれ説明されていて、それぞれの意味段落のおわりに筆者の考えが述べられている。
おわり(なし)3つの神話の崩壊についてまとめた考えは本文にはない。
この構成が分かれば①②はダメで③が正解だと分かります。
表現についての選択肢は④⑤⑥です。対策はできません(それぞれを本文に戻って確認するしかありません)。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
模試の復習の仕方_国語編
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は国語の模試をどのように復習するべきかについて書きます。
模試の復習をやるとなったとき、おろそかになってしまいがちなのが国語だと思います。その理由ははっきりしていて、何をしていいのかよく分からないからでしょう。
国語以外の教科の場合、出題された問題と似たような問題が今後も出る可能性があるので、語句を覚えたり解き方を覚えたり…とやるべきことがはっきりしています。
それに比べて国語(特に現代文)の場合、同じ文章が出てくることは限りなく0%に近いのでもう読まなくていいんじゃないかとモチベーションが下がってしまうのです。さらに解説の文章も長く、読んだからといって何になるのかイマイチ分からない…
多くの方はこんな理由から国語の復習には力を入れないのではないかと思います。
しかし、このブログでたびたび書いているように、国語力は上げることができます。そして、模試は国語力を上げるための絶好の教材です。
今回は、現代文、古文、漢文のそれぞれをどのように復習すればいいのかをお伝えします。
1.現代文
①漢字、語句
これについては覚えるしかありません。本文に出てきた漢字は読み書きができるようにします。また、読んでいて意味がよく分からない語句については必ず調べるようにします。
このような地道な作業が語彙数を増やしてくれます。
語彙力がある人というのは、普段からこの習慣のある人です。まずは模試の復習から始めてみましょう。
②読解、解法
現代文の復習がおろそかになってしまう原因はこの力をどうやってつけていいか分からないからです。しかし、国語を得点源にするためには①よりもこっちの方が重要だということは誰でも理解できるでしょう。
では、どうすればいいのでしょうか。
その答えは非常に簡単なんです。
正しい読み方と解き方を自分で説明できるようになること。
これが復習方法です。
具体的にはこんな流れです。
模試を受ける→解説を読む→再度問題を解き解説通りに自分で説明できるか確認する→できればOK。できなければ再度解説を読み、自分で説明できるか確認する→数日後に再び説明できるか確認する
国語力を高めるには「正しい文章の読み方」ができるようになり「正しい解き方」ができるようになる必要があります。
題材(文章)が何であれ、「読み方」と「解き方」は変わりません。
「自転車の乗り方」さえマスターしてしまえば、どんな種類の自転車も乗れるのと同じです。そして「自転車の乗り方」をマスターするためには1台の自転車を乗りこなせるようになれば十分です。様々な自転車に乗って練習する必要はありません。
ここで大切なのは「正しい読み方」と「正しい解き方」とがしっかりしているかどうかです。できれば、どんな題材でも同じ読み方、解き方ができているのか確認できた方がいいですよね。
このブログでは、模試の過去問や大学入試問題を使い、一貫した読み方、解き方での解説をしています。
まずは「国語(評論)の勉強方法」のブログを読んでみてください。
リンク(国語(現代文・評論文)の勉強法・解き方 - 高校教員の徒然日記)
そして、その方法で解いている模試の解説を読んでみてください。
(カテゴリーからどうぞ)
そうすることで「正しい文章の読み方・解き方」が分かるでしょう。
その上で復習をして「正しい文章の読み方・解き方」を自分のものにするのです。
このブログで読み方と解き方を知り、その後に自分でその解説を再現してみる。
これが現代文の復習法です(「国語(評論)の勉強方法」でも同じことを書いています)。
大事なのでもう1度書きます。
現代文の復習は「正しい文章の読み方・解き方が再現できるまで繰り返すこと」です。
同じ文章で構いません。むしろ同じ文章のほうがいいです。毎回違う文章で練習しても「新しい内容を読む」ことのほうに重点が置かれてしまい、「読み方・解き方」がいい加減になってしまう可能性が高くなってしまいます。読み慣れた文章だからこそ「読み方・解き方」が身体に染み込むはずです。
毎回違う自転車に乗るよりも、同じ自転車に乗り続けた方がテクニックが上達するはずです。そして、いつしか自転車が身体の一部になっているような感覚になります。それと同じように「正しい読み方・解き方」を自分のものとするのです。
以上が、読解、解法の復習方法です。しつこいけれど、もう一度書きます。
自分で模試を解き直したときに、このブログで説明したことと同じ説明ができるようにすることが、現代文の復習方法です。
③背景知識
せっかく読んだ文章なので、述べられていた内容は自分の中にストックしていきましょう。とはいえ、これはあまり意識しなくてもいいかもしれません。②の方法で復習をしっかりやったのならば、自然とその文章の内容は自分の血肉となっているに違いありませんから。
2.古文
現代文が「正しい読み方」を身につけることで学力を上げるものだとすると、古文は「暗記」することで点数を上げる科目です。
古文単語と文法、和歌の修辞法などを暗記すれば、ほとんどの問題は解けます。
(読み方・解き方もありますが現代文と同じです。というか、現代文の読み方・解き方の基本のみだと思ってください)
ですから、古文の復習はやることがはっきりしています。
①文法
どんな問題でも文法の設問があるはずです。模試を受ける意味(模試を受ける意味(高1、高2) - 高校教員の徒然日記)でも書きましたが、高1、高2であれば段階的に文法が出題されますし、高3はそれらのまとめとなっています。
ですから、模試のたびに出題された文法を完璧にしていけば受験で必要な文法は大丈夫になっているはずです。
必ず出題された文法事項を完璧にしましょう。いずれこのブログでもまとめたいと思います。
②単語
単語をピンポイントで覚えるというよりは、本文全体を覚えてしまうくらいの気持ちで復習します。その際、問題冊子の横に解答冊子を置いて構いません。
問題冊子の本文と解説にある現代語訳を指でなぞりながら読み合わせをします。
数回読み合わせをした後、現代語訳を見ないで訳してみる。これを繰り返します。
古文は解法云々と言うよりも訳すことができるかどうかがすべてです。本文を訳せればほとんどの設問で正答することができるはずです。
ですから、ひたすら読み合わせをして単語や文法(ここでは助詞や助動詞の訳)とともに古文の文章に慣れることが最高の復習になります。
③背景知識(古文常識)
現代文と同じで、②をしっかりやれば本文内容が自分の血肉となっています。その文章で描かれている古文常識は自然と身についています。
3.漢文
古文とほぼ同じです(「暗記」がメインの科目です)。そして、古文よりも覚えることは圧倒的に少ないのが漢文です(文章の文字数も圧倒的に少ないですね)。
次のことができるように復習しましょう。
①書き下し文
まずはすらすらと読めるようにする必要があります。レ点や一二点に従って素早く読めるようにします。
音読することで漢文独特のリズムも身につくのでオススメです(音読を繰り返すだけでも漢文の力はつきますよ!)。
②重要漢字、重要句法
本文に出てきた重要漢字や重要句法を覚えます。
重要漢字は100個程度、重要句法は100個もなく、漢文で覚えるべき暗記事項はこれだけです。
古文も含めて他の科目と比べると、べらぼうに少ないですね。
それでいてセンター試験では50点の配点です。こんなにお得な科目はありません。
③現代語訳
古文②と同じです。問題冊子と解答冊子を並べて指でなぞりながら読み合わせをします。最終的には解答冊子を見ずに訳せるようにします。
④背景知識(漢文常識)
現代文や古文と同じで、③をしっかりやれば本文内容が自分の血肉となっています。その文章で描かれている漢文常識は自然と身についています。
いかがでしたか。以上が、国語の模試の復習方法です。
やるべきことは明確ですね。まとめます。
現代文…自分で模試を解き直したときに、このブログで説明したことと同じ説明ができるようにする。
古文…出てきた文法問題は完璧にする。本文を訳せるようにする。
漢文…本文をすらすらと読めるようにし、訳せるようにする。
ぜひ取り組んで国語力をつけてください。
このブログでも解説のラインナップを充実させていきますね。
頑張りましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
国語(現代文・評論文)の勉強法・解き方
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
Twitterでは新着記事や役立つ情報をお知らせしています。
質問も受け付けていますのでぜひフォローしてください。
今回は現代文(主に評論文)の勉強法について書きます。
国語、特に現代文はどのように勉強していいか分からない方が多いと言われています。
だから「フィーリングでやるしかない」「できる人はできるけど、できない人はできない」「勉強しても点数が取れない」などと言われてしまっているようです。
しかし、国語は「学力を上げることのできる教科」です。
学習の方法もしっかりありますのでお伝えしたいと思います。
国語力を上げて試験や模試で高得点を取るためには2つの力をつける必要があります。
その2つの力がこれです。
1.文章を読むテクニック
2.文章を読むための知識
では、この2つはどのようにすれば身につくのでしょうか。そして、何故必要なのでしょうか。1つずつ見ていきます。
1.文章を読むテクニック
必要な理由
どんな問題にも必ず文章があります。
とすると、文章を正しく読むテクニックを持たなければ何が書かれているかを正確に読み取れないということになってしまいます。
書かれていることが理解できないのに、問題を解くことなどできるはずがありません。
ですから、まずは文章を読むテクニックが必要となるのです。
身につける方法
①文章を読むテクニックがどのようなものかを知る
文章を読むテクニックは難しくありません。時間もそれほどかかりません。
このブログを見てテクニックを知って国語の学力を上げようと思った方は以下のリンクから文章の読み方を読んでみてください。
ちなみにセンター試験などマーク式問題の解き方は以下のリンクから読んでください。記述問題にも共通する部分がたくさんあります。
②テクニックを実際に使って文章を読む
テクニックを知ったら、その後はひたすら練習です。
文章を読むテクニックを意識しながら文章を読みまくって、テクニックをマスターするのです。
これは国語の勉強に限らず他の教科も同じです。1冊の参考書や問題集を繰り返して完璧にする。そうすることでその参考書なり問題集が自分の血肉となったとき確かな学力がつく。これが学力アップの王道です。
また、勉強に限らずスポーツでも芸術でも同じではないでしょうか。
理論や理屈が分かっていても、すぐにその通りにできることはなかなかないでしょう。そのときに何をしますか。答えは明白です。ひたすら練習するしかありません。練習して頭ではなく身体に染み込ませる必要があるのです。
ただ、ここで注意点があります。
それは「正しい文章の読み方」で文章を読んでいるのかどうかということです。
自分では正しく読んでいるつもりでも、実は間違えていたら成果はなかなか出ません。
ですから、自分の読み方が正しいかどうかを確認する必要があります。
もし、あなたが私の授業を日常的に受けているなら問題ありません。私の読み方とあなたの読み方が同じかどうかをいつも確認できるからです。
しかし、実際にはこのブログでしか私とあなたは繋がっていないわけですからこれは不可能です。
そこで何をするか。3つあります。
第一に「文章の読み方」を繰り返し読むことです。時折私のブログに戻ってきて目を通してください。そして、ブログを見ることなく「文章の読み方」を説明できるようになるまで繰り返し読んでみてください。
第二に自分で読んでみた文章をこのブログにある解説で確認することです。
このブログでは大学入試問題や進研模試、全統模試、市販の問題集などの解説をしています。そのすべてを「文章の読み方」で解説していますので、それらを使って練習してみてください。そうすることで文章を読む力と、試験で得点する力の両方を鍛えることができます。
第三、最後です。これが何より重要です。
それは1度読んだ文章(解いた問題)を復習するということです。
その際にこのブログの解説に書かれていたことを自分で説明できるかを確認します。ブログの解説と同じように読み解くことができているかを確認するということです。もし不明瞭な部分があれば再びブログを見て確認します。
これを繰り返します。
繰り返しになりますが、文章の読み方を身につけるために最も重要な工程は3つめです。
物事が上達しなかったり学力が思うように上がらなかったりする原因は間違いなくここにあります。つまり、ほとんどの人は同じことを繰り返して完璧にするということをしないのです。
たしかに、同じことをやるのはモチベーションが上がらないかもしれません。一見すると無駄なような気もしてしまいます。新しい文章や問題に触れた方が勉強した気にもなるでしょう。
しかし、効率よく「力」を身につけたいならば、この方法が最適です。やってみると分かりますが、解説を完璧に再現するのは非常に難しいことです。再現できないということは「文章の読み方」で読めていないことを意味します。ですから、解説を再現できるようになることが「文章の読み方」をマスターする近道なのです。
せっかく読んだ文章、解いた問題です。しっかりと使い込んであげたいものです。
以上、文章を読むテクニックを身につける方法でした。
2.文章を読むための知識
必要な理由
言葉を知っていれば文章をさくさく読むことができます(知らなくてもその都度調べればいいけれども時間がかかりますよね)。
書かれている話題の背景知識を持っているとその文章は格段に読みやすくなります。
おまけみたいなものですが、漢字の書き取りや語句の意味を問われる問題もあります。
身につける方法
これはもうドリルと読書(テレビなどの情報番組なども含む)しかありません。
①漢字
漢字を覚えるにはドリル形式の学習が一番でしょう。ただ機械的に書いたりするのではなく、漢字の意味を意識しながら学習すると一層の効果を得ることができます。
具体的には、覚えたい漢字の「訓読み(これがその漢字の意味なんですよ)」を確認することと、その漢字を使って「熟語(漢字の意味が反映されていますよ)」を作ることをオススメします。そうすることで、その漢字を本当の意味で知ることができるからです。
そして、その積み重ねが語彙数を増やしてくれます。
また、問題集は本屋さんやネットで見てみて気に入ったもので大丈夫です。多くの問題集が出ていますが、どれも洗練されていて素晴らしいものばかりですから。自分がいいなと思ったものが一番いいと思います。
それでも何をやっていいか分からないという方は漢字検定に取り組んでみましょう。
漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので、飛び級はオススメしません。
4級あたりから取り組むことをオススメします。大学受験を考えるのであれば2級まで学習すれば問題ありません。
②語句
これも市販されている参考書で気に入ったもので構いません。どれを選んでも収録語句は大きく変わりませんし、その説明も似たり寄ったりです。持つ雰囲気はそれぞれ違いますので、自分のフィーリングに合いそうなものを選んでみてください。
語句は一問一答より実際の文章のなかで確認することの方が重要です。語句の学習はあくまで参考程度にし、多くの文章に触れるなかで「あ、こんな語句あったな。こういう風に使うのか」と知っていくようにしましょう。
③背景知識
語句の参考書とセットになっていることが多いかもしれません。
評論で話題になることが多いジャンルなどについてまとめてくれています。
一生懸命覚えようとするのではなく、こんな話があるのかと暇つぶしに読んでみましょう。
多くのことを知れば知るほど物事は複雑に絡み合っていることが分かってきて、面白くなる瞬間に出会えると思いますよ。
参考書は効率よく背景知識を得ることができますが、それは多くの文章のまとめに過ぎません。
ですから、大学入試問題や模試、問題集に取り組んだのであれば、そこで書かれていたことも自分の中に蓄積していくという意識を持つことも大切です。
まとめられた参考書の中身が、より具体的に見えてくるはずです。
また、余裕と読みたい気持ちがあるならば新書などを読むといいですね。誰のものでも構いませんし何でもいいです。少しでも自分の興味が持てそうなものを読んでみてください。
誰か教えてーという方は、教科書で読んでみて面白いなと思った筆者のものを読んでみましょう。
以上、文章を読むための知識を身につける方法でした。
今回お伝えした2つの力「文章を読むテクニック」と「文章を読むための知識」とを身につけたならば、国語(現代文)が得意だと言えるようになっているでしょう。そして、それは何も難しいことではありません。他教科の方がよっぽど難しいと思います。
やるべきことは簡単なことだったはずです。
私の話を信じてやってみてください。
最後に付け加えておきます。
多くの「国語の勉強の仕方」の教えでは、まず「知識」をつけて、それから「読み方」を身につけるというような順になっています。
しかし、私はそうではなく「読み方」を身につけることこそが何よりも重要だと考えています。「知識」は「読み方」を補うサプリ的な要素に過ぎません。
ですから、現代文の力をつけようと思うのならば「文章の読み方」をマスターすることを優先してみてください。難しい漢字や知識を覚えるのではなく「読む方法」を身につける。この意識が何よりも大切ですし、その意識を持っていれば必ず国語力はつきます。
応援しています。国語を武器にしましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
センター古文漢文の学習法もまとめました。合わせてご覧ください。
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2018年度高1進研模試7月(総合学力テスト)_国語_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、2018年度高1進研模試7月(総合学力テスト)の国語、第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することで模試で点数を取ることができます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
実際に受験した方は持っていると思います。
受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
(進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)
形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題に形式段落番号を記入してください。1~21までになります。
では、始めます。
問1 漢字
すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。大学受験を考えると漢字検定2級レベルまで完璧にしたら漢字は大丈夫です。
漢字学習をどうやっていいか分からない方は漢字検定をベースに学習をするといいでしょう。
なお、漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので、飛び級はオススメしません。4級、もしくは3級から学習を始めましょう。
ちなみに、今回の漢字aは準2級、bは6級、cは4級の範囲に該当する漢字です。
問2 内容説明
ポイントは3つです。
①形式段落のおわりの部分にある。
②傍線部中に指示語がある。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。
傍線部は形式段落7のおわりにあります。
形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」です。
この段落は何の話をしているのか、形式段落のはじめを見て確認します。
すると「実はこれこそ、動物が本来もっている能力です」とあるので、「動物が本来もっている能力」の話をしていたことが分かります。
つまり、傍線部にある「その能力」はこの「動物が本来もっている能力」なわけです。
では、「動物が本来もっている能力」とはどのような能力かというと、「これこそ、動物が本来もっている能力」なわけですから、「これ」の指す内容です。
指示語の指す内容は基本的に直前というルールと、形式段落のはじめは前の形式段落のおわりから繋がっているというルールとの2つから、形式段落6がその内容だと判断します。
形式段落6は一文ですので、それをまとめると「その能力」です。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象を見つめる能力」となります。
形式段落7の中程では、具体的に説明されていて「今ここに注意を払っている」という表現があり、これは先ほどの後半「見つめる」の言い換えとできますから「注意を払う」に変えます。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象に注意を払う能力」
設問は「その能力」が「錆びつ」いた状態の説明ですから、「能力が衰えた状態」と答えます。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象に注意を払う能力が衰えた状態。」
これでも十分答えとしてはいいのですが、もう一歩いってみましょう。
形式段落6は前の段落から続いています。では、形式段落5のおわりはどうなっていますか。「無所住心」のことを述べていますね。つまり、形式段落6は「無所住心」の話だったわけです。だとすると、「能力」とは「無所住心」のことだと分かります。
形式段落5のおわりに「無所住心」のことが述べられているのですから、この段落で説明があったはずですね。中程にあります。「今の現在、何が起きているのかに、万遍なく注意を払うのが、『無所住心』です」
これって先ほどの答えの後半とほぼ同じことを言っていて、こっちの方が分かりやすそうです。こっちを作って答えを作ってみましょう。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在何が起きているのかに万遍なく注意を払う能力が衰えた状態。」
問3 理由説明
ポイントは1つです。
①形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
「腹が立たない」理由が問われています。
形式段落のはじめにあるのだから、この段落で説明がされていくはずです。おわりを確認しましょう。
「『無所住心』で眺めればいいのです」
これが傍線部の理由です。「無所住心」でいるから腹が立たないわけです。
では、「無所住心」で眺めるとはどういうことなのでしょう。そういう意識で読み進めると形式段落10が目につくはずです。
「『無所住心』で眺めていると…」と始まっています。
ポイントは2つでしょう。1つは「冷静に受けとめられる」こと。もう1つは「今ここ、今現在を公平に楽しむ」こと。
このことが述べられている選択肢を選べばよいのです。
選択肢は文末から見ます。今回は文末だけで答えが出ますよ。
1 「意見の弱点を発見できる」→確認したポイントと違います
2 「どんな意見も冷静に受け入れる」→受けとめることと受け入れることは違いますよ
3 「反感を捨て去ることができる」→確認したポイントと違います
4 「会議中に述べられた意見だけ」→「今ここ」に該当します
「冷静に検討できる」→「冷静に受けとめられる」に該当します
ちなみに、形式段落9を「具体例」の段落として読むこともできます。
具体例の前後にはまとめがあるのでした。
「無所住心→形式段落9の具体例→無所住心」という作りですね。
ですから、形式段落9の具体例も無所住心の説明です。もちろん「今ここ、今現在を公平に楽しむ」の説明になっています。これをヒントに考えることもできます。
このように「文章の読み方」をマスターしていくと、その1つ1つが絡んで文章になっているということが分かってきます。読みながら「これはあの構造だ」と意識できるまでになったら評論は余裕ですよ。
問4 内容説明
ポイントは1つです。
①設問と傍線部をしっかりと読む。
最も基本的なことですが、何が問われているのかを確実に押さえます。そして、傍線部の問題なのだから傍線部をしっかりと読みます。
今回は「このようにならないために仕事はどうすればいいか」が問われています。
つまり、傍線部にある「自分の内面ばかり考えていると小賢し」くなってしまうから、そうならために仕事はどうすればいいか、が問われているということです。
どうすればいいかなんて簡単ですね。自分の内面ばかり考えなければいいのです(内面ばかり考えるから小賢しくなるんだから考えなければいい)。
では、これを「仕事」に当てはめてみましょう。
「仕事」の話題は形式段落12からです。先ほどの「自分の内面ばかり考えなければいい」という答えの方向性を意識して読むと形式段落12~14あたりで同じようなことを述べていることが分かります。
「目の前の仕事を一生懸命やると自分のことではなく意識と注意が外に向く」状態になると読み取れますね。
このことが述べられている選択肢を選べばよいのです。
選択肢は文末から見ます。今回は文末だけで答えが出ますよ。
1 「仕事の全体像が生き生きと見える」→確認した内容と違います
2 「自分の心身の在り方にとらわれなくなった」→「自分のことではなく意識と注意が外に向く」に該当します
3 「逆に楽しめる」→確認した内容と違います
4 「本当にしたいことに着手できる」→確認した内容と違います
問5 論旨理解と作文
これは文章の読み方のまとめの問題です。
文章の読み方の目的は、文章の主張を読み取ることです。そのために文章がどのような作りになっているのか、どのような技法があるのを伝えたのが「文章の読み方」です。
文章の読み方で今回の文章を大きく読み取ると次のようになります。
はじめ…人の注意は過去と未来に向けられている。
おわり…小さな考えになってしまいダメだ。
筆者は「注意を過去と未来に向ける」ような態度ではダメだと言っています。
それで、中程の説明でそうならないためにどうすればいいのかを述べています。
それが「無所住心」であり、眼前の仕事に集中することであり、自分を規定しないことです。
今回の場合は、この中程の部分が筆者の主張になります。
このことを踏まえて設問のA君、B君の会話を読んでいくのです。
A君は「今のままで良い」と言っています。違いますね。筆者の主張は「自分を規定してはいけない」のです。それは形式段落16(「規定」について段落)にあるように、「どんな人間にも変えていけるから」です(これが空欄Xの内容です)。
だから、「今現在の自分を受け入れる(自分を規定する)」という考えに、こだわったりとらわれたりする必要はないのです(これが空欄Yの内容です)。
問6 論の展開
ポイントは1つです。
①論の展開の問題は最後に注目する
論がどのように展開しているかについては様々な説明の仕方ができます。しかし、最後の部分(行き着く先)だけは変えることができません。ですから、本文の最後、そして選択肢の最後を確認し同じになっているかを見ることで解くことができます。
今回の文章の最後はどうなっているかというと、「小さな考えが増殖していく」という問題を述べて終わっています。
このことが文末で述べられている選択肢を選べばよいのです。
選択肢を見てみましょう。
1 「心の在り方はどうすれば回避できるか」→確認した内容と違います
2 「この生き方(無所住心)に戻るべきだ」→確認した内容と違います
3 「問題点について説明」→問題について述べていました
4 「前者の状態を理想とすべき」→確認した内容と違います
いかがでしたか。
「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」でお伝えしたことで解けることが分かったと思います。
現代文(評論)でやるべきことはこれらの読み方、解き方をマスターすることです。
そのためには「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」を繰り返し熟読し、あらゆる問題でこれらの方法を試すことです。その繰り返しをしていれば、この読み方が自然となります。そこまでいけば、評論対策は必要なくなるでしょう。
高1、高2の模試では文章の読み方の基本が問われていますので、これらの力をつけるにはもってこいの教材です(今回の模試は微妙ですが…)。
国語の学力は上げることができますからね!ぜひ武器にしてみてください。
今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。