平成26年度(2014年度)_センター試験_国語第3問(古文)_解説
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今回は、平成26年度(2014年度)センター試験国語第3問(古文)の解説です。
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ぜひ読んでみてください。
では、始めましょう。
平成26年度(2014年度)センター試験国語第3問(古文)は『源氏物語』からの出題でした。
まずは本文に出てきた知っておくべき単語と文法の確認です。
さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。
Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。
重要単語
(今は)限り かつ[且つ] 頼む まめ(人) 世 いかさま[如何様] なめげなり おぼす[思す] かたたがへ[方違へ] 渡る 給ふ 里 おはす ほど[程] 例の さればよ いと ものす はた[将た] おとなし[大人し] さすがなり めざまし ひがひがし[僻僻し] 驚く ゐる[率る] むつる[睦る] たてまつる[奉る] うれふ[愁ふ] せうそこ[消息] 聞こゆ かく ものし[物し] おぼゆ[覚ゆ] みづから[自ら] 参る さぶらふ[候ふ] かかり ここかしこ など 年ごろ さるべし がたし[難し] あはれなり かたみに[互みに] はかなし もてなす いみじ 申す あく[飽く] あやし いらへ[答へ] ふす[臥す] いかに[如何に] 思ひやる やすし[安し] をかし あく[明く] のたまふ[宣ふ] はつ[果つ] らうたげなり 侍り いざ、給へ。 はしたなし[端なし] らうたし いはけなし な~そ 心憂し あし[悪し] わざ[業]
重要文法
なめり やは・かは なむ 連用形+し+名詞 会話文中の「けり」 じ 已然形+ば 「と」の上の「む」 にき・にけり 心情動詞+る・らる e音+ら・り・る・れ にて・して ぬべし・つべし 已然形+ど だに 文中の「む」 にや・にか に+○+あり 未然形+ぬ+名詞 ずは・くは 名詞+が+名詞 終止形+らむ 未然形+ば 場所+なる+名詞 めり 連用形+なむ かし 「せ給ふ」以外の「せ」
設問の解説の前に
今回の文章は省略が多いため、非常に読みにくかったと思います。
また、上で確認したように読解に必要な重要単語や文法が多いので、知識不足だと益々読解が難しかったでしょう。
ただ、ここで大事なことを確認しておきます。
古文に限らず、センター試験の国語は
①本文が難しかったら、設問(選択肢)は難しくない。
②本文が簡単だったら、設問(選択肢)は難しい。
このような傾向があるため、今回も「本文の読解は困難でも設問が易しいものが多い」問題となっています。
また、本文が読みにくい場合は(読みにくい場合だけではありませんが)リード文(本文の前にある説明の文)をしっかりと読んで場面を把握します。
リード文から分かる場面設定を本文読解の助けとして読むことで、少しでも話の内容を掴むのです。
設問は易しめになっているはずですから、ざっくりした内容を掴めれば絶望的な点数にはなりません。
今回であれば、リード文から「夫の浮気が原因で、妻が家出をした」ことが分かります。
これが分かれば、「この後2人の関係がどうなるのか」ということに注目して読めばいいことが分かるはずです。
それだけでも格段に読みやすくなります。
では、各設問の解説です。
問1 語句の意味
(ア)
「いか[如何]」「なめげ(なり)」「じ」が重要単語、助動詞です。
傍線部の「いかさまに」は重要単語として覚えていないかもしれませんが、「いかが」「いかで」「いかに」辺りは覚えているはずです。
「いか[如何]」でまとめて覚えておきましょう。
「いかで」の「①どうして②どうにかして」から今回も訳せます。
(イ)
「らうたげなり」「聞こゆ」「めり」「し(「き」の連体形)」が重要単語、助動詞です。
特に「敬語」は尊敬語か謙譲語か丁寧語かという種類と、本動詞か補助動詞かによって選択肢を絞ることができるので、必ず押さえておきましょう。
(ウ)
「いざ、給へ」「かし」が重要単語、助詞です。
なにはなくとも重要単語、文法を覚えましょう。
「敬語」は30語程度でオッケーなうえ、文法問題か訳の問題で出題される可能性が極めて高いので、絶対に覚えましょう。コスパ最強です。
問2 文法説明
cを除いて頻出の文法事項です。
出題される文法事項は決まっていて覚えることも多くありませんので得点源にしたいところです。
では、今回の選択肢を見ていきます。
a
「あかざたな」+「なり・めり」の「なり・めり」は(伝聞)推定の助動詞です。
「なり・めり」の上には「ん(「る」の撥音便)」が省略されているので次の形もあります。
「あかざたな」+「ん(る)」+「なり・めり」
「ある」はラ変、「かる」は形容詞活用語尾、「ざる」は打消「ず」連体形、「たる」は完了の助動詞、「なる」は断定の助動詞です。
これは「なり」の識別で頻出の形です(今回は違いましたが)。
「あかざたな」の下の「なり」は伝聞推定!と覚えておきましょう。
b
「a音+る・れ」の「る・れ」は受身、尊敬、可能、自発の助動詞です。
「e音+ら・り・る・れ」の「ら・り・る・れ」は完了、存続の助動詞です。
bは「a音+る」なので受身、尊敬、可能、自発の助動詞だと分かります。
次に受身、尊敬、可能、自発の訳し分けです。
・受身…そのまま訳せる。
・尊敬…主語が高位。もしくは尊敬語についている。
・可能…下に打消がある。
・自発…心情動詞、知覚動詞についている。
今回は「驚く」という知覚動詞についていますから自発です。
c
動詞「果つ」の一部です。
c「て」が助動詞とすると、上が「のたまひは」となります。
「のたまふ」は重要単語で分かりますから、「のたまひ」「は」となり「は」だけが残り文法的に説明できなくなってしまいます。
日頃からスラッシュを入れながら(品詞分解しながら)古文を読むといいと思います。
d
「せ給ふ」「させ給ふ」以外の助動詞「せ」「させ」は使役です。
重要文法は覚えましょう。
多くないし難しくもありません。
問3 心情説明
傍線部を直訳すると
「『心苦しい』とお思いになる」です。
直前に「を」がありますから「何を」心苦しいと思っているかが分かります。
「見つけて喜び仲良くし、あるいは三条殿を慕い申し上げて泣きなさるのを、『心苦しい』とお思いになる」です。
泣いているのは残された子どもたちでしょうから、それを見て「心苦しい」と思うのは大将殿しかいません。
ここまで分かれば、あとは選択肢を見て判断できます。
なお、主語の判定は次の2点を参考にできます。
・「て」の前後は同じ主語のことがほとんど。
・「を、に、ば」の前後は主語が変わることが多い。
傍線部の直訳から始めます。
傍線部を含む一文を訳しましょう。
問4 心情説明
傍線部を直訳すると
「必ず懲り懲りと思われなさる」つまり「懲り懲りした気持ち」です。
傍線部は会話文直後にありますから、直前の会話文を確認します。
「どのような人がこのようなことを趣深く思われているのだろう」
「このようなこと」という指示語があるので、さらに直前を確認します。
注12にあるように2人の女性から疎まれ、目の前に子どもたちがいて、あっち(落葉宮)ではどのように思い乱れているのかという内容から、恋愛のことだと分かります。
これに対して懲り懲りなわけです。
まとめるとこうなります。
「恋愛のことで悩む→恋愛のことで趣深く思う人の気が知れない→懲り懲りだ」
傍線部の直訳から始めます。
傍線部を含む一文を訳しましょう。
指示語の内容は必ず確認します。
問5 内容説明
この設問が最も難しかったかもしれません。
訳すことができれば問題ありませんが、今回はそれが難しいので…。
では、考え方です。
まずは、主語(会話主)を確認します。
A
三条殿に来て、若君たちを見た人物が直前まで描かれていることから、来た人物、つまり「大将殿」だと判断します。
B
A、Cが分かれば判断できるが(会話は二人で交互にするものなので)、Bの内容だけでは判断は難しいかもしれません。
C
会話文の後が「て」で接続しているので、「その夜は独り臥し給へり」と同じ人物です。
次の段落では、大将殿が物思いにふけっている場面なので「独り臥し」ている人物は「大将殿」と判断します。
A、Cのどちらかが分かれば、Bは大将殿の会話相手である三条殿ということが分かり、自然とすべての主語が判明します。
主語を確認したら、それぞれの内容を見ていきます。
訳すことができれば問題ありませんが、今回はそれができなかったと仮定してそれぞれの選択肢を見ていきましょう。
①
絶対にダメと言えるところがありません。
②
Aで「子どものこと」で実家に帰ったのではないことはリード文からも分かるはずだからダメです。
③
主語が違うからダメです。
④
Cで「理解を示して機嫌を取っている」とは読めませんし、「私の名誉も考えて欲しい」も違います(これの判断は難しいかも…)。よってダメです。
⑤
Bで「あなたのお気持ちがもとに戻らない」となっていますが、本文では「直るべきにもあらぬ」と敬語が使われていないので、この部分は会話相手である大将のことではなく、自分自身のことと捉えるべきです。よってダメです。
会話は基本的に二人が交互に話すはずだと押さえておきましょう(そうでないとずっと独り言になってしまう…)。
敬語を使っているのか使っていないのかを人物判定に使いましょう。
問6 内容合致
この問題は、評論や小説の最後の問題と同じように一つ一つの選択肢を吟味していき、消去法で答えを導く。その際、具体的な内容に関しては、必ず本文に戻って確認しましょう。
訳すことができているかどうかが試されている設問です。
この話から知っておいて欲しい古文常識
今回は古文常識ではなく、センター試験の文章(古文含む)を読む際の注意点をお伝えします(設問解説の前にお伝えしたこととも重複する部分もあります)。
①センター試験の国語の問題
本文が難しかったら、設問(選択肢)は難しくない。
本文が簡単だったら、設問(選択肢)は難しい。
これが基本です。
今回の問1~問4は重要単語、文法の知識があれば解ける設問、傍線部を含む一文(傍線部を含めて2行くらい)の内容だけで解ける設問でした。
本文がものすごく読みやすかったら、選択肢が紛らわしかったりひっかけがたくさんあったりしますので慎重に選ぶようにしましょう。
②リード文は超重要です。
リード文で本文の場面設定や流れが予想できることが多くあります。
また、リード文がないまま読むと分からなくなるから、わざわざつけてくれているわけです。
本文を読むために必要な情報、もしくは設問を解くために必要な情報が書かれているといいう意識で読みましょう。
③注は超重要です。
リード文と同じ考えです。
本文を読むために必要な情報、もしくは設問を解くために必要な情報が書かれているといいう意識が必要です。
問4は注12を確認すれば容易に答えることができたはずです。
センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた単語や文法を押さえること、そして古文常識を知っていくことです。
他の年度でもそれを意識して学習しましょう。
それの積み重ねだけでセンター試験は突破できますよ。
頑張ってください。
では、これで終わります。
センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。
次の記事もぜひご覧ください。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。
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