高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

平成29年度(2017年度)_センター試験_国語第1問(評論)_解説

こんにちは。きんこです。

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今回は、平成29年度(2017年度)センター試験国語第1問(評論)の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

kinkoshin.hatenablog.com

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。


問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。

www.dnc.ac.jp

 

どちらかでご準備をお願いします。


形式段落での説明がメインになります。

今回は1~13まで振られています。

 


では、始めます。

 

まずは出典を確認します。

それはタイトルを見ることで、この文章が何について述べたものかの予想を立てることができるからです。

今回は『科学コミュニケーション』です。

そのままですが「科学」「コミュニケーション」の話だと分かります。

 


問1 漢字

 

どれも基本的な漢字であり基本的な言葉です。

2個以上間違っているとしたら漢字学習をすることをオススメします。

 

(ア)の「倍増」は簡単ですが選択肢は消去法になるかもしれません。

「旧に倍する(通常よりも程度を増す)」は難しいです。が、他の選択肢は明らかに「倍」ではないので正答できます。

 

 

センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。

正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。

漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。 

 


問2 内容説明

 

「どういうことか」問題は「イコール」問題です

傍線部を言い換えているものを選びます。

 

ですから、まず傍線部の内容をしっかりと押さえます。

 

ただ傍線部は述部部分で主語がありませんから、主語を確認して傍線部が「何の話」をしているのかを確認します。

 

傍線部を含む一文を見るだけでオッケーですね。

主語は「現代の科学技術」です。

傍線部は「現代の科学技術」の説明だと分かります

 

次に傍線部の要素を分解し、どこを言い換えてあげればいいかを考えます。

 

「先進国」は言い換えが難しそうです。このままでいいですよね。

「社会体制」はどうでしょう。そのままでいいかもしれませんが、本文中に「どのような体制」かがあるかもしれません。

「維持する」はそのままでしょうか。

「重要な装置となっている」は「重要なものとなっている」程度ですね。

 

言い換えるとしたら「社会体制」くらいしかないような気がします。


と、ここまで考えて形式段落の作りに注目して考えます。

傍線部は形式段落の「おわり」にあります。

形式段落2のまとめか、次の形式段落に説明が続くかのどちらか考えられます。

 

では、詳しく見てみましょう。

 

形式段落2の「はじめ」から「第二次大戦以降の科学技術」の話だと分かります。

説明部分の中程からは「科学技術が膨張してきた」ことしか分かりません。

ということは「傍線部の説明は次の段落に続くのだ」と考えなければいけません

 

そういう意識で形式段落3を読んでいくと、中程に「現代の科学-技術は」(主語になっている!)とあります。

ここの部分が「現代の科学技術」の説明(言い換え)になっています。

 

つまり「現代の科学技術=傍線部=形式段落3の中程の内容」ということが分かります。


…と、ここまで読んで分かるように「社会体制」のことには触れられていません。
(この後を読んでも出てきません)

 

あれ?と思ってしまいますが、ここまでで選択肢を確認してみます。

 

ポイントは「現代の科学技術」の内容と、傍線部の「言い換え(イコール)」だということを意識することです。

では、選択肢の後半から見てみます。

 

 

①「国家の経済的唐詩を要求する主要な分野へと変化」→「維持する」と「要求する」は違います。

②「国家に奉仕し続ける任務を担うものへと変化」→「維持する」と「奉仕し続ける」は違います。

③「先進国間の競争の時代を継続させる戦略の柱へと変化」→「社会体制の維持」であって「競争の継続(維持)」ではありません。

④「経済大国が国力を向上させるために重視する存在へと変化」→「維持」の内容がありません。

⑤「先進国の体系的な仕組みを持続的に支える不可欠な要素へと変化」→「先進国の社会体制を維持する」の言い換えです。 

 

……傍線部の言い換え(イコール)を意識するだけで⑤が答えと分かってしまいました…。

本文の読み取りも何もありません………。

 

ただ、この設問の意図は傍線部の主語である「現代の科学技術」を正しく読み取れましたかということだと思います。

選択肢の前半は「現代の科学」の内容になっています。

ここが先程確認した形式段落3の中程の説明と一致しているかで答えを出してほしいという設問だったはずです(自分で選択肢前半を見てみてください)。

でも、今回は「どういうことか」は傍線部の「言い換え(イコール)」を意識するだけでも解けてしまいました。

こんなこともあると覚えておくといいですね。

 

 

「どういうことか」は「言い換え(イコール)」と強く覚えておきましょう。

傍線部の主語がなければ必ず確認して、何の話かを押さえましょう。

形式段落の「おわり」はその段落の「まとめ」か説明が次の段落に続きます。 

 


問3 内容説明

 

傍線部の言い換え問題です

傍線部を確認します。

「こうして」という指示語の内容を確認しなければいけませんね。

「『科学が問題ではないか』という新たな意識」の内容を言い換える必要がありそうです。


では、形式段落の作りに注目しましょう。

 

傍線部は形式段落3の「おわり」にあります。

「こうして」という指示語もありますし、この形式段落のまとめと考えるのがいいですね

「まとめ」の説明は形式段落中程にあるはずです。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→まとめ」だからです。

形式段落の中程を読むと、現代の科学技術は人間のためになったが、災いをもたらしてもいるということが述べられています。

そして、傍線部の「科学が問題ではないか」という意識が生まれたわけです。

 

つまり「災いをもたらしている科学は良くないのではないか」というのが言い換えになりそうです。

 

これを踏まえて選択肢を見ます。

選択肢は後半から見ます。

 

 

①「明白な警戒感が生じつつある」→確認した「良くないのではないか」と合っています。

②「顕著な失望感が示されつつある」→「良くないのではないか」と「がっかり」は違います。

③「端的な違和感が高まりつつある」→「良くない」から「違和感」を感じると言えるのでダメとは言えません。

④「全的な信頼感が揺らぎつつある」→「良くないのではないか」と合っています。

⑤「漠然とした不安感が広がりつつある」→「科学が良くない」と「科学」について述べているので「漠然」ではありません。 

 

①③④が残ったので、選択肢の中程を見てみます。 

 

①「急激で予測不可能になり…警戒感」→「災いをもたらしたから」と違います。

③「実験室で人工物を作り出すようになり、その方法に違和感」→「災いをもたらしたから」と違います。

④「人工物が災いをもたらすこともあり…信頼感が揺らぎ」→確認した内容と合っています。 

 

 

「どういうことか」は「言い換え(イコール)」と強く覚えておきましょう。

傍線部に指示語がある場合は、指示内容を確認しましょう。

形式段落の作り「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。 

 


問4 内容説明

 

傍線部の言い換え問題です

 

傍線部の中で言い換える部分は「ゴレムのイメージ」です。

 

傍線部には主語がないので傍線部を含む一文を確認します

「コリンズとピンチの処方箋」が主語です(「処方箋」とはお医者さんが患者に必要な薬などを書いた紙です)。

 

また、傍線部の「取りかえる」という表現から「何を」取りかえるのかも確認します

これも傍線部を含む一文から「科学の神のイメージ」を取りかえるという流れだと分かります。

 

コリンズとピンチは「科学の神のイメージ」が良くないので、良くする方法として「科学の神のイメージをゴレムのイメージに取りかえる」と言っているわけですね。

 

傍線部を含む一文を読んでいるので、傍線部の直前が「つまり」となっていることも分かります。

「つまり」は「まとめ」を示す接続詞です。

「つまり」の直前直後は「イコール」だということです。

「ゴレム=不確実で失敗しがちな向こう見ずでへまをする巨人のイメージ」です。

 

ここまで確認して、「ゴレムのイメージ」を言い換えるために形式段落のつくりを意識して考えます。

 

傍線部は形式段落6の「はじめ」にあります。

さらに「ゴレムのイメージ」を言い換えることから、前の段落である形式段落5からの続きだと考えられます(形式段落5で「ゴレム」の説明があったのは明らかに分かるので)。

 

形式段落5の中程にゴレムの説明がありますね。

・魔術的力を備え、日々成長する。

・人間の代わりに仕事をし、守ってくれる。

・適切に制御しなければ主人を破壊する。

 

この3点と、先程確認した傍線部直前の内容から「ゴレムのイメージ」はこんな感じでしょうか。

人間の力になってくれるけれど、人間を破壊してしまう可能性もある。

つまり、プラス面もマイナス面もあるのが「ゴレム」だということです。

 

以上を踏まえて、選択肢の後半を見ます。 

 

①「将来は人類を窮地に陥れる脅威」→「将来」に限らず「いま」でも制御次第で人間を破壊するのでした。

②「その成果を応用することが容易でない」→確認した内容と全然違います。

③「人類に寄与する一方で制御困難な問題も引き起こす」→確認した内容と同じです。

④「科学は美化されるだけでなく幻滅の対象にもなり得る」→「役立つ・破壊する」のニュアンスと違います。

⑤「人類に災いをもたらす」→マイナス面だけですが間違いではありません。前半にプラス面が書かれているかもしれないので。残します。 


残ったのは、③と⑤です。

では、前半から確認しましょう。 

 

③形式段落5の説明にあった「ゴレム」の説明と一致します。

⑤形式段落5の説明にあった「ゴレム」の説明と一致しますが、ゴレムの説明だけでは後半の内容にプラス面の説明がないことになってしまいますのでダメです。

あらかじめ「ゴレムのイメージ」の言い換えを自分でしていないと、これにつけてしまう可能性が高いと思います。

プラス面とマイナス面の両面があるといのが「ゴレム」です。 

 

 

「どういうことか」は「言い換え(イコール)」と強く覚えておきましょう。

傍線部の主語や目的語などは必ず確認しましょう。

いきなり選択肢を見るのでなく自分で答えを考えてから見ましょう。 

 


問5 理由説明

 

傍線部に「この議論」と指示語があること、傍線部は形式段落12の「はじめ」にあることが分かります。

 

指示語の内容は、ここまでの内容であり「コリンズとピンチの議論」です(形式段落10、11辺りの議論)。

 

形式段落の「はじめ」で「この議論の仕方には問題がある」と書かれているのですから、この段落で説明させるはずだという意識で読み進めます。

 

形式段落12の内容は「ゴレムのようなイメージは人口に膾炙していた(人々に知れ渡る)」です。

 

「人々がゴレムのイメージを知っていたから、この議論は問題がある」だけではイマイチ分かりません。

 

そこで、内容が次の段落に続くと考えます。

 

形式段落13の「はじめ」に「コリンズとピンチは成功したが、一枚岩の一般市民という描像を前提としている」とあります。

 

「成功したが」の「が」は逆接なので、後半はマイナスのイメージです。

「この議論は問題がある」に通じそうです。

 

形式段落中程の部分から「一枚岩の一般市民という描像」が「一般市民をほんとうの科学を知らないとすること」だということだと分かります。

 

つまり、コリンズとピンチの議論は「一般市民がほんとうの科学を知らない」ということを前提としているから問題があると述べていることが分かります。

 

これと形式段落12で確認した内容からこのようになります。

 

コリンズとピンチの議論は、人々がゴレムのイメージを知っていたのにも関わらず、「一般市民がほんとうの科学を知らない」ということを前提としているから問題がある。

 

以上を踏まえて選択肢の後半を見ます。

 

確認した内容になっているのは④だけだと分かります。 

 

傍線部に指示語がある場合は、指示内容を確認しましょう。

形式段落の作り「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。

形式段落は次の形式段落に続いていきます。 

 


問6 表現と構成

 

(ⅰ)表現

 

これは1つずつ選択肢を読み本文で確認するしかなく、対策のしようがありません。

1つ1つ丁寧に確認しましょう。

なお、多くの場合「適当でない」選択肢は明らかに「適当でない」ものとなっています

今回は③の「処方箋という表現が極端な対症療法であると見なされたことを示す」が明らかに違いますね。

これでは、皆さんが病院に行ってお医者さんから処方箋をもらったとしても「極端な対症療法」となってしまいます。病院に行ったら、毎回「極端な対症療法」だったらびっくりですね。

 

(ⅱ)構成

 

これも対策のしようがありません。

文章を読みながら、全体の内容を把握していく必要があります。

つまり「文章の読み方」を実践して読みつつ、形式段落などの部分だけではなく全体を「文章の読み方」で読めるかどうかが試されます

文章全体を捉えて考えるしかありません。

なお、これも多くの場合「適当でない」選択肢は明らかに「適当でない」ものとなっています

 

今回は①の「時系列的に述べ」が決定的に違います。

時系列(過去から未来への順)だけになっておらず戻ったりしています。

 

 


いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。

そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。

どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今回いまいちだった方は、ぜひ復習してください。

その際のポイントは、このブログに書かれていたことを自分でできるかです。

このブログで書かれている説明を自分でできるようになったとき、高得点を取れる力がついているはずです

「1回読んだ文章は内容を知っているからもう1回やっても意味ない」のではないのです。

大事なのは「読み方・解き方」です。

そのレベルをアップさせるには、同じ文章を読むことが効果的ですよ。

 

頑張ってくださいね。

 

では、これで終わります。

 


他の年度や、古文漢文の過去問解説、国語の勉強の仕方はこちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

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