2018年度高2進研模試11月(総合学力テスト)_国語_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、2018年度高2進研模試11月(総合学力テスト)の国語、第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することで模試で点数を取ることができます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。
実際に受験した方は持っていると思います。
受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
(進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)
形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題に形式段落番号を記入してください。1~16までになります。
では、始めます。
まずは本文最後にある出典を確認します。
出典を確認することで、本文が何の話題を述べているのかという方向性が分かる可能性が高いからです。テーマが分からないよりもテーマが分かっている方が読みやすくなります。
今回は『不平等を考える-政治理論入門』とあります。
不平等の話、それも政治に関わるものだと予想できます。
問1 漢字
すべて基本的な漢字ですがbの控除は言葉自体がなじみがなかったかもしれません。
ただ、漢字は完答したいところなので漢字学習をすることは欠かせません。
大学受験を考えると漢字検定2級レベルまで完璧にしたら漢字は大丈夫です。
その際、ただ覚えるのではなく漢字、熟語の意味を確認しながら覚えることをオススメします。
漢字学習をどうやっていいか分からない方は漢字検定をベースに学習をするといいでしょう。
なお、漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので、飛び級はオススメしません。4級、もしくは3級から学習を始めましょう。
ちなみに、今回の漢字aは準2級、bは3級、cは4級の範囲に該当する漢字です。
問2 内容説明
ポイントは3つです。
①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②傍線部が主語になっている。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。
→今回は一文しかない形式段落だから次に繋がるしかない。
イコール問題です。「労働」の説明を読み取るだけの問題です。
イコール問題の基本は次の2つでした。
・その語句が主語になっている部分に注目する。
・その語句を修飾している部分に注目する。
傍線部「労働」自体が主語になっていることが分かります。
続く部分に注目すると「社会的協働に加わる主要な活動様式」だと分かります。
しかし、これでは内容がよく分かりませんから、このことの説明が次の形式段落に続くと考えます。
続く形式段落3は「第一に」と始まっています。
これを見た瞬間に「労働」の説明がいくつかあるのだなと分かりましょう。
そして「第一に」「第二に」「次に」「第三に」「最後に」などの言葉に注目して、それぞれの内容を押さえて答えを導きます。
「第一に」から始まる形式段落3の内容は「自己評価の基盤」です。
形式段落3と4を読めば「自らの生活保障を構築し、社会的協働に参加することで自らの存在意義をもたらす」ことが分かります。
「第二に」から始まる形式段落5の内容は「協働が求める応分の負担を引き受ける相互性の規範がある」です。
ちょっと難しいですが「相互貢献、相互性」があるのかという程度でいいでしょう。
形式段落6では、この2つがまとめられています。
「自己評価ができて、誰かが誰かの犠牲になるのではない公平性がある」です。
この2点が「労働」の説明です。
以上の2点を踏まえられている選択肢を選びます。
選択肢は基本的に文末(後半)から見ます。
1 「他者の援助によって自らの生が成り立っている」のではなく「相互性」でした。
2 「互いに社会における負担を引き受け合っている」のでした。よさそうです。
3 「他者と同様に社会の一員として貢献」も絶対にダメとは言えませんが確認した内容とちょっと違う気もしますね。
4 「社会において自らの活動が公平に評価」という内容ではありませんでした。
5 「互いの活動が社会の維持に不可欠」という内容ではありませんでした。
2と3だけが残りました。
ここで前半を確認します。
2 「存在意義に確認することができる」のでしたね。
3 「経済的な生活基盤を確保」できるのでした(「自らの生活保障を構築し」から分かります)。
あれ、2つともダメではないですね。
しかし、先程確認した内容は「自己評価の基盤」と「相互貢献、相互性」でした。
この2点がしっかりと説明されているのはどちらかと考えると、明らかに2であることが分かります(3は「相互貢献、相互性」の内容がありませんし、「自己評価、存在意義」の説明としては弱いですね)。
このように、あらかじめ自分で大まかな答えを考えておいて、それに近い選択肢を選ぶのだという意識を持っておくことが必要です。
今回のように2つのポイントがある場合、その2つがどちらも書かれているかどうかという視点が必要になります。
問3(1) 内容説明(指示語)
ポイントは3つです。
①傍線部は指示語である。
②指示語の指す内容は基本的に直前にある。
③形式段落のおわりの部分にある。
→この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。
これまたイコール問題です。指示語の指す内容を確認するだけです。
指示語の指す内容は基本的に直前にあるはずだということ、また、形式段落のおわりはその形式段落で説明がされてきたはずだという合わせ技で傍線部の前を読みます。
今回は傍線部を含む一文が形式段落10のすべてですから、形式段落9を確認することになります。
形式段落9のはじめの一文に「『完全従事社会』という構想」とあります。これが傍線部この構想」ですね。
これが形式段落のはじめにあるのですから、この段落で「完全従事社会」が説明されるはずです。
すると、続く一文が「これは」となっていて、「これ」の指す内容は「完全従事社会」ですからこの一文が答えのメインとなりそうです。
真ん中に具体的な事柄が述べられているので、それを省いて
「労働市場の外部で行われる多様な社会的活動を、人々が社会的協働に参加する活動様式の一部としてとらえる」となります。
先程確認したように「この構想=完全従事社会」ですから、どのような「社会」か分かるようにまとめなければいけません。
今のままでは後半の表現が「社会」の説明としては不十分です。
そこで「労働市場の外部で行われる多様な社会的活動を、人々が社会的協働に参加する活動様式の一部としてとらえる」と「完全従事社会」の2つを合わせて答えます。
「労働市場の外部で行われる多様な社会的活動を社会的協働ととらえ、それらを通し人々が社会に従事するもの。」(50字)
設問が「どのようなものか」なので、文末を「もの」にしました。
問3(2) 内容説明(指示語)
ポイントは1つです。
①形式段落のおわりの部分にある。
→この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。
(1)から直前の内容は「この構想」の説明だと分かりました。
だとすると、傍線部にある「有益な示唆」の内容は次の形式段落につながっていくことが分かります。
形式段落11には「第一に」、形式段落12には「第二に」となり、この2つの内容をまとめると答えになります。
考え方は問2と同じですね。
それぞれのポイントを押さえて選択肢の後半を見ます。
1 「積極的に促す」という内容はありません。
2 「社会に貢献しようとしている人々に対しての評価が高まる」という内容はありません。
3 「新しい労働に対応する」という内容はありません。
4 まぎらわしい選択肢ですが、これが「第一」の内容はオッケーですが「第二」の内容である「就労自体をすべての人に一律に求めるのではなく、自分にできることをやるという相互性の規範になる」という内容がありません。
これまた問2で確認したパターンですね。
5 前半が「第一」、後半が「第二」の内容になっています。
問4 内容説明
ポイントは3つです。
①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②主語に注目する。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。
→今回は一文しかない形式段落だから次に繋がるしかない。
長い傍線部を言い換える問題の考え方は「傍線部をいくつかのパーツに分けて、それぞれを言い換える」です。
今回であれば、
・社会保障の制度は
・不平等がもたらす影響に事後的に対処するだけでなく
・それに前もって対応する必要があるだろう
の3つのパーツに分けて考えます。
・社会保障の制度は
これはこれ以上言い換えることができませんね。説明のしようがありません。
このまま使います。
今回は「事後的に対処する」とはどういうことか、「前もって対応する」とはどういうことかという後半の2つを言い換えればいいので、答えのフレームはこうなります。
社会保障の制度は、AだけでなくBの必要がある。
では、どのように考えるか。
まず「社会保障の制度は」に注目します。「社会保障の制度」が主語ですから、これが主語になっている部分、もしくはこれえを修飾している部分に注目します。
また、傍線部は形式段落のおわりにあるのですから、この段落で説明がされてきたはずです。
この2つを意識して本文を読み返します。
形式段落16のはじめの一文は「事後的な救済」についての話題であり「セイフティネット」のことが述べられています。
セイフティネットについては前の段落から続いてきているので、形式段落15を確認します。
すると、形式段落15のはじめの一文が「社会保障は…」となっていることに気づきます。
「社会保障」が主語になっているのですから、この一文が言い換えだと考えます。
前半が「社会的協働からいったん排除された人々を再び包摂する」、後半が「人々がそもそも社会的協働から排除されにくいようにする生活条件を構築・維持する」です。
前半の内容が「不平等がもたらす影響に事後的に対処する」
後半の内容が「前もって対応する」
の言い換えとして使えそうです。
これを使ってそのまま言い換えるとこうなります。
「社会保障の制度は、社会的協働からいったん排除された人々を再び包摂するだけでなく、人々がそもそも社会的協働から排除されにくいようにする生活条件を構築・維持する必要がある。」(84字)
字数的にもいい感じです。
これをもとに答えを作っていきます。
これに形式段落16のはじめの一文にあった「事後的な救済」が「貧困の問題」に対処していることを加えます。つまり、「排除された人々」は「貧困になった人々」ということですね。
また、「包摂」というのは「救済」するということです。
「社会保障の制度は、社会的協働から排除され貧困になった人々を救済するだけでなく、人々が社会的協働から排除されないような生活条件を構築・維持すべきであるということ。」(80字)
問5 内容理解
生徒の会話になっていますが、本文の内容合致問題です。
1つ1つの選択肢を見ていくしかありません。
また、この手の問題は間違いの選択肢は「明らかに違う」部分がありますので、消去法で答えを選びます。
1 「能力的な不平等を個々人の力で克服」という内容はありません。
2 「人々に就労の機会を平等に与える」のではなく、様々な活動を「社会的協働」としようという内容でした。
3 ダメな部分はありません。
4 「経済活動を活性化」「社会保障の制度は必要なくなる」という内容はありません。
5 「手厚い保障が必要になる」とありますが、問4で確認したようにその前提となることから考える必要があると述べていました。
いかがでしたか。
「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」でお伝えしたことで解けることが分かったと思います。
現代文(評論)でやるべきことはこれらの読み方、解き方をマスターすることです。
そのためには「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」を繰り返し熟読し、あらゆる問題でこれらの方法を試すことです。その繰り返しをしていれば、この読み方が自然となります。そこまでいけば、評論対策は必要なくなるでしょう。
闇雲に多くの文章を読むのではなく、文章の読み方や問題の解き方で一度確認した文章、問題を復習することが読み方、解き方をマスターする近道です。
今回の模試をぜひ繰り返し復習しましょう。
国語の学力は上げることができますからね!ぜひ武器にしてみてください。
今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。