高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

古文の学習・勉強③「古文常識の学習」

こんにちは。きんこです。

 

今回は、古文常識を学ぶことについての内容です。

 


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 古文を学習するにあたっての目標は「現代語訳できるようになること」であり、そのためには古文単語を覚えることと古典文法をマスターすることが必要です。

 

これらについての記事は以下のリンクからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

kinkoshin.hatenablog.com

kinkoshin.hatenablog.com

 

これらの記事にも書いたとおり、古文単語と古典文法をマスターすることで古文の4分の3程度の内容を掴むことができます。

残りの4分の1は、単語帳に載っていない単語や、本文を見るだけでは理解できないような部分である可能性が高くなります。

で、その部分の内容を掴むために必要なのが「古文常識」となります

 

いつもの現代語の文で考えてみます。 

先週、私は(?)に行って、カーネーションを(?)た。 

このように2箇所不明だとしても、何が書かれていそうか想像がつきませんか?

1つめは「に行く」に繋がるから「場所」だと分かり、2つめは「カーネーションを」から繋がるから、当てはまる動詞を絞ることができます。

 

例えば、 

先週、私は(公園)に行って、カーネーションを(植え)た。
先週、私は(友人の家)に行って、カーネーションを(見)た。
先週、私は(幼稚園)に行って、カーネーションを(描い)た。 

なんなら 

先週、私は(ゴミ捨て場)に行って、カーネーションを(捨て)た。 

他にも作れるでしょうが、何でもかんでも空欄に入るわけではありません

 

先程も行ったように、1つめは「場所」を表すような言葉になりますし、2つめはその「場所」に引っ張られる形で動詞が決まってくるでしょう(動詞を先に決めたら、それに引っ張られて1つめの場所がある程度決まります)。

 

では、この文の前にこういう文があったらどうでしょうか。 

今日は母の日だった。だから、
先週、私は(?)に行って、カーネーションを(?)た。 

「今日、母の日だったから」から繋がると、さらに空欄に入る言葉は限定されそうですね。 

今日は母の日だった。だから、
先週、私は(花屋)に行って、カーネーションを(買っ)た。 

 

「母の日」との関係性を考えると、このようになる可能性が高いと分かりますね。


このようなことを可能にしているのは「周囲の情報からの予想」です

そして、それができるのは私たちに「常識」というようなものがあるからに他なりません。

 

「行く」ってことは「どこか」に「行く」んだよな。

カーネーション」ってことは、それに対してできることは限られるし、多くの場合する動作はこれだろうな。

さらに「母の日」には「カーネーション」をプレゼントしたりすることが多いらしいから、そういう内容なんだろうな。

 

「行く」「カーネーション」「母の日」これらを繋ぎ合わせるときに必要なことが「常識」なのです。


この「予想」言い換えると「分からない部分を補う」という作業は日頃から無意識にしていることです

家族や友人と話しているとき、テレビやネットを見ているとき、いやいや本やネット記事を読んでいるときだって、そこには知らない言葉が出てくることがあるはずです。

話しているときなんかは「聞こえない」こともあります。

それでも、周辺の情報から「きっとこういうことを言ったのだろう」と推測しているわけですね。

100%読めなくても(聞こえなくても)その部分を無意識に補うことで、中身を何となく掴むことができます

 

私たちにはこの能力がすでに備わっているということです。

 

てことは、この能力を古文を読むときにも発揮すれば、覚えていない単語やイマイチ分からない部分の内容を掴むことができるということになります。

 

ただし、先程も言ったように、この能力をスムーズに使うためには「常識」を必要とします。

例文の空欄を予想できたのは「行く」「カーネーション」「母の日」の持つ「常識」があるからです。

 

古文の世界が現在と同じ「常識」であれば問題はありません。

現在の常識をもとに「補う能力」を発揮できるでしょう。

しかし、現在とは大きく異なる常識があるわけですね。

ですから、それを知ることで(学ぶことで)重要単語や古典文法では分からない部分を補ってあげましょう、ということです。

 


知っておくべき「古文常識」は次の3つです。

 

①「中宮」「女房」「狩衣」「調度」「鳥辺野」など古文世界の暮らしに欠かせない名詞

②「恋愛」「出家」「病気」「占い」など古文世界の風習

③有名な古文作品の成立背景やざっくりした内容 


①古文世界の暮らしに欠かせない名詞

 

中宮」は「天皇の正妻」です。

「女房」は「貴族に使えた身分の高い使用人」であり、「貴族」の世話をしたり話相手だったりします。

「鳥辺野」は地名で火葬場や墓地があった場所です。

これらを知っておくと古文を読んでいて、その場面を「イメージ」しやすそうですね(イメージできると推測することが容易になります)。

 

②古文世界の風習

 

一夫多妻制だったり、通い婚だったり、病気になる理由は「もののけ」が取り憑くことだったり、夢占いが重要だったり、仏教の持つ意味が大きかったりと、現在とは異なる風習があります。

これらを知らずに、現代の感覚で読んでしまうと「イメージ」が大きくズレてしまいます

 

③有名な古文作品の成立背景やざっくりした内容

 

古文でも現代文でも必ず「出典」が示されます。

それを見たときに、その内容をざっくりとでも知っていれば、読むときに有利になるのは間違いありませんね

たとえば「ワンピース」が出典だと分かれば、「ゴム人間のルフィが仲間とともにさまざまな敵と闘いながら海賊王を目指す」とか「仲間には○○がいて…」とかが分かるので、読みながら「イメージ」がしやすくなるはずです(ワンピースを知らない人はごめんなさい…)。

また、古文作品にはパターンがあったりもします。

今でも人気がでるマンガやドラマ、映画にはパターンがあったりします(すべてが当てはまるわけではないでしょうが)。

そのパターンを知っていれば「この展開はこうなって…」という予想がつきやすくなります

 


いかがですか。「古文常識」の大切さを感じてもらえましたか。

 

 

とはいえ、「じゃぁ、古文常識をどうやって身につけるのか」ってのが最も重要ですよね。

 

これには、次の2つの方法が考えられます。 

①古文常識をまとめた参考書を読む。

②古文をたくさん読む。 

①は効率的に古文常識を身につけることができます。

古文常識をまとめた参考書は多くありませんので、参考書選びに迷うこともないでしょう。

ただし注意点としては「入念に読む」というより、さらっと読む程度にしておくといいと思います。

「息抜きに読んでみる」という気持ちで目を通す感じで十分です。「へ~そうなんだぁ」みたいな。

「有名な古文作品の成立背景やざっくりした内容」に関しては「文学史」ということになるので、多くの作品を知るためにはこの方法と次の②との併用がいいかもしれません。

 

②がオススメです。

私たちが常識を身につけているのは「毎日を生きているから」であって、何かで集中的に学んだからではありません。ですから、古文常識を身につけるときにも実際の文章を読みながら感じて欲しいのです。

つまり、学校の授業を大切にしたり、分からない言葉が出てきたらその都度辞書を引いたりググったりしよう、ということになります。

このブログではセンター試験の過去問などを使って、その文章で知って欲しい古文常識を紹介していますので、それなんかも利用してみてください。

自分で古文を読む場合は、横に現代語訳を置いてもいいのです。完璧に現代語訳しようとしなくてもいいので、とにかく「読む」ことをしてみましょう。

 

また、バリバリの古文を読むのではなく、古文の「マンガ」を読むこともオススメです(『マンガ日本の古典』シリーズなどが有名です。図書館にあります)。

「有名な古文作品の成立背景やざっくりした内容」を知るために、すべての作品を読むなんてことは非現実的です。

しかし「マンガ」であれば短い時間で「絵」とともに「イメージ」を掴むことが容易な上、ざっくりした内容を掴むことができるでしょう。もちろん自然に「古文世界の空気」を感じることもできるはずです。

マンガを読んで古文の世界に触れましょう。

 

 

 今回は古文常識についてでした。

これで「古文の学習」についてのまとめは終わりです。

今後はいよいよ具体的な古典文法をまとめていきます。

ぜひ読んでみてくださいね。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。


現代文や模試、入試過去問についての記事もあります。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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