長野大学_国語_2019(平成31)年度_推薦入試_第1問
こんにちは。きんこです。
長野大学(平成31年度推薦入試)の国語第1問の解答解説です。
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このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。
まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
この読み方、解き方を徹底することで入試問題を解けるようになるでしょう。
ぜひ身につけてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
長野大学のホームページで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。
はじめに解答をお示しし、その後解説をお伝えします。
では、始めます。
[解答]
1 大門正克『語る歴史、聞く歴史』
問1
(1)感慨 (2)無縁 (3)試行錯誤 (ア)けいちょう (イ)しさ
問2
ウ
問3
A イ B イ C ウ
問4
語り手は生きてきた自分の人生に向き合うことができ、聞き手は語り手に対して一人の人間として向き合うことができる。(55字)
問5
聞き書きの意味を深くほりさげること、語り手の語りに耳をすますこと、語り手の生きた歴史をよみがえらせることを試みた態度。(59字)
[解説]
形式段落での説明になります。
1~7まで形式段落に番号を振ってください。
問1 漢字
基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません(準2級でも大丈夫そうです)。
不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。
大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。
問2 内容説明
傍線部を含む一文は対比の構造になっています。
「傾聴も自立支援も支援を目的とするのに対して、傍線部a」という流れですから、傍線部aは「支援を目的」としていないというような内容だと予想がつきます。
傍線部は形式段落2の「おわり」にあるので、次の形式段落に繋がっていきます。
形式段落3の「はじめ」では、再び傍線部aの対比である「支援を目的とした傾聴」の説明からはじまり「利用者との関係がケアする・されるに固定化される」という内容が書かれます。
ということは、傍線部aは「固定化」されないのだろうと思いながら読み進めていきます。
「なかほど」では、「利用者にはとどまらない」とあり、ここから「関係が固定化していない」ことが分かります。
さらに「おわり」では「私たちのケアの在り方をよりよくできる」という内容からやはり「関係が固定化していない」ことが分かります。
ただ、これだけでは傍線部aの答えとしてよく分かりません。
ですので、続く形式段落4を読みます。
形式段落4のまとめである「おわり」に「利用者はケアされる人にとどまらず(つまり、関係が固定化せず)、それぞれの人生を生きた当事者になり、相互に認められ合う」とあります。
これが「関係が固定化していない」の説明部分です。
ケアする側もされる側も、それぞれの人生を生きた一人の人間として向き合うような関係ということでしょう。
以上を踏まえて、選択肢を見ます。
ここまでの説明を読めば「ウ」だと分かるはずです。
紛らわしいのは「イ」ですね。
これが間違いなのは形式段落3の「なかほど」にあるように「利用者に耳を傾けたときに人生を教えてくれる師になった」のであって、そのような関係として関わるとは述べられていないからです。
問3 空欄補充
A
「言葉や出来事のAを見直し問いかけると、言葉の深いAや出来事の背景が見える」の流れに入るのは「意味」しかありません。特に2つめのAに「過程」や「原因」を入れると意味が分からない文になります。
B・C
ここの内容は形式段落5「なかほど」にある「編集」についての説明の続きです。
それを踏まえて流れを確認します。
「利用者が語ったBの素材を、整理してCを作る」です。
利用者が語ったものは「記憶」しかありえませんし、「編集」の説明だと考えると利用者の記憶を一つの「物語」に作り上げていくという流れが見えるはずです。
空欄補充の問題は前後の内容をしっかり掴むことが重要です。
問4 内容説明
「どのようにとらえているか」という問われ方は「どういうことか」と同じ内容説明です(ニュアンスは違いますが)。
ですから、傍線部を言い換えてあげればいいわけです。
傍線部は形式段落6の「おわり」にあることから、この段落で説明されてきたと考えます。
次に傍線部をよく見ます(傍線部の言い換えなのですから)。
傍線部は「双方の身体性の回復」です。
「双方」が「語り手」と「読み手」を指していることが容易に分かります。
問題は「身体性の回復」です。
そのまま語の意味から考えると、「失っていた身体がもとに戻る」というニュアンスが分かります。
それを踏まえて、形式段落6の「なかほど」を見ると、
「語り手は生きてきた人生をあらためてたどり直して向き合い」という表現に引っかかるでしょう。
「人生にあらためて向き合う」という表現は「忘れていた人生を思い出す」というニュアンスを感じます。
つまり、「失っていたものをもとに戻す」に繋がります。
また、続く「聞き手もまた語り手に対して一人の人間として向き合い」とあることから「一人の人間として向き合っていなかったが(自分を失っていたが)、向き合う(自分を取り戻す)」というニュアンスを感じます。
「双方」が「失っていたもの」を「取り戻す」という内容だと言えますから、この2点が傍線部の説明となります。
以上をまとめて
語り手は生きてきた自分の人生に向き合うことができ、聞き手は語り手に対して一人の人間として向き合うことができる。(55字)
となります。
はじめに内容説明問題と同じと書きましたが、「どういうことか」と問われていないので、文末を「こと(名詞)」で終える必要はありません。
もっと丁寧に書けば「○○ととらえている」という答えになりますが、通常「○○」の部分だけを答えとします(字数が余るようならば「ととらえている」を書いても構いません)。
問5 内容説明
傍線部には「そのような」という指示語がありますから、まずその内容を確認します。
指示語の指す内容は基本的に直前です。
直前の「森崎や古庄のように…」の部分が指示内容です。
ここで「森崎、古庄」という2人の具体的な例があると考えます。
この形式段落の「なかほど」の説明から「森崎」が「語り手の語りに耳をすまし」、「古庄」が「語り手の生きた歴史をよみがえらせようとした」ことが分かります。
やはり、これで2つの具体例が判明しました。
さらにこの指示内容をよく見ると「森崎や古庄のように…よみがえらせようとした人もいた」とあり「も」に注目します。
「(森崎、古庄のような)人もいた」ということは、この2人以外にもいるということです。
では、誰がいたのかというと、さらに前に書かれている「鳥山淳」ですね。
そして、ここもよく見ると「鳥山淳の試みも」と「も」があることが分かります。
「鳥山」の試みは「聞き書きの意味を深くほりさげた」ですね。
これが3つめの具体例です。
この3つをまとめて
聞き書きの意味を深くほりさげること、語り手の語りに耳をすますこと、語り手の生きた歴史をよみがえらせることを試みた態度。(59字)
となります。
「向き合い方」の説明なので文末を「態度」としました。
字数制限が厳しいので書き方に工夫が必要です。
いかがでしたか。
「文章の読み方」を意識していれば比較的解くことができたのではないでしょうか。
大事なのは、常に同じ読み方をしてみることです。
そのためには、一度取り組んだ問題を復習し、このブログで説明したような流れで考えることができるかを試すといいと思います。
また、記述問題は字数制限の関係でまとめにくいものもありますので、繰り返し練習してみてください。
長野大学の入試問題は、漢字などの語句の問題に始まり、文脈から解ける空欄補充、基本的な読解力、表現力などを問うてきます。
特別な力などではなく「基本的な国語力」を試す問題と言えます。
この問題を解けるようになることは、皆さんの人生においてプラスの何かをもたらしてくれるでしょう。
「入試問題」だからやるのではなく、自分の力を高めるために取り組んでもらいたいと思います。
頑張ってくださいね。
では、これで終わります。
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