河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)_国語_第3回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)「国語」第3回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~14まで振られています。
では、始めます。
問1
(イ)の選択肢「表白」は簡単な漢字ですが出てこなかったかもしれません。
(ウ)「歓声」、選択肢の「哀歓」はどちらもぜひ覚えておいて欲しい漢字です。
どの漢字もそれほど難しくはないのですが、日常では使わない言葉を漢字にできるかが勝負です。教科書や問題集で評論文を読むときに漢字も意識して読むことをオススメします。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。
問2
この設問が最も難しかったと思います。それは、直前直後の内容だけでは解けないからです。ただ、順を追っていけば正答に辿り着きます。このような流れがすっとできるようにぜひ復習してくださいね。
ポイントは3つです。
①「なぜか」という理由説明問題である。
②傍線部中に指示語がある。
→直前の内容を確認する。
③形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
以上を踏まえて考えます
①「このような質問がナンセンス」な理由が問われています。
②傍線部に「このような」という指示語があるので直前を確認します(指示語の指す内容は基本的に直前です)。ここでも直前の「ニホンザルやチンパンジーは、一日に何回食事を摂るのか」です。
③形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。
今回の傍線部は形式段落のはじめにあると考えます。ですから、この後にその説明が述べられるはずです。
傍線部直後が「なぜなら」から始まっていますから、ここが理由だということは容易に分かります。
「彼らは断続的に食べているので、一回目、二回目という『回数』という概念は成り立たないから」です。
これを踏まえて選択肢を見てみましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「食事の回数の多寡をまったく気にしないから」→確認した内容と違います
②「食事の始まりと終わりを明確に定めることができないから」→断続的に食べているから始まりと終わりが分からないという内容と合っています
③「そのような前提が存在しないから」→「そのような」の指す内容が分からないので判断できません。保留です
④「そもそも回数という概念が成り立たないから」→確認した内容と同じです
⑤「ただ本能のままに食べているだけだから」→確認した内容と違います
②と③と④が残りました。
ここで前半を読みます。
②ここまで読んだ内容では判断できません
③ここまで読んだ内容では判断できません
④「社会の中にそのようなメカニズムを備えていない霊長類」→形式段落1から分かるように「メカニズム」は備えています。ただ人間と他の動物ではそのメカニズムが違うと述べられているのです
②と③が残っています。
これまでの読み取りでは選択肢前半の内容で判断できないため、さらに読み取りが必要です。
ポイント③に戻ります。
傍線部が形式段落のはじめにあるので中程の説明に注目しましたが、これだけでは判断できませんでした。
ですから次にまとめであるおわりを確認します。
すると「人間の食事が回数を数えることができる理由がある」となっています。
この理由を確認すればいいわけです。
形式段落のおわりは次の形式段落に繋がりますので、形式段落3で述べられるはずです。
しかし、形式段落3のはじめは「だが、その独特な…」となっており、読み取りたい理由の説明の前に他の話を見る必要があるとなっています。
ですから、形式段落3での話が終わった後に、ここで確認したい「理由」が述べられると読まなければいけません。
どこかで「人間の食事が数えることができる理由」が述べられるはずだという意識で読み進めます。
すると、形式段落5のはじめが「人間はどうして数えることができるのか」となっていることに気づくはずです。
この答えは、形式段落のおわりにあり「食事がこのような形態を前提としているから」です。
「このような」は説明である中程の部分です。読み取りは容易でしょう。
以上の内容を踏まえて、改めて選択肢②と③を見てみましょう。
②「霊長類はつねに稀少な食物をめぐってつねに他の個体と争っているため、食事の始まりと終わりを定めることができない」が明らかに違います。
③確認した内容と同じです。
いかができたか。②と③と④までは容易にいけると思います。
しかし、その後の選択が難しかったのではないでしょうか。
このような設問はマーク式としては難しい部類に入りますので、今回の問題を使って正確な読み取り、選択の方法を身につけることで、一段上のステップに登ることができますよ。
問3
ポイントは3つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部中に指示語がある。
→直前の内容を確認する。
③形式段落の中程にある。
→この形式段落の「説明」の部分だということである。
以上を踏まえて考えます。
①「集団の中の序列が、それだ」の内容説明です。つまり、「集団の中の序列」がどういうものなのかが問われているということです。
②「それ」という指示語のさす内容を確認します。当然、これが「集団の中の序列」がどのようなものなのかを示しています。
指示語の指す内容は直前ですから「危険な戦いを回避するための仕組み」です。
では、この「仕組み」とはどのようなものなのでしょうか。
③傍線部は形式段落の中程にあるので「説明部分」です。傍線部以降もその説明は続いていますから読み進めます。傍線部直後の3文がその内容です。
以上の内容を押さえて選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「弱い個体を優先することを認め合っている」→確認した内容と違います
②「他の個体を威嚇している」→本文にこのよう内容はありますが、あくまで答えるべきは「危険な戦いを回避するための仕組み=優先順位があること」であり、これが答えにはなりません
③「結局優位な個体がその食物を奪ってしまう」→これも②と同じ理由で違います
④「強い個体よりも先に食物を…」→確認した内容と違います
⑤「集団内での個体の優劣を…」→確認した内容と同じです
問4
ポイントは2つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
→「逆」という言葉から「対比」であることを意識する。
②形式段落の中程にある。
→この形式段落の「説明」の部分だということである。
以上を踏まえて考えます。
①「逆」の内容が問われています。
「逆」ということはAが述べられていて、それの逆なわけです。まずはAを読み取ることが必要になります。
②傍線部は形式段落の中程にあるので「説明部分」です。
なんの説明をしているのかを確認するために、はじめを見ます。
「狩猟採集民による食物の分配・分有の様子」を述べた形式段落だと分かります。
傍線部Cの前後で「ハンター」の様子が述べれており、傍線部を境に逆の内容になっていることが分かります。
「大威張りで意気揚々」傍線部C「逆である」「控えめな態度」
つまり「逆」というのは「食物の分配・分有の際、威張るのではなく控えめにする様子」だと分かります。
以上の内容を踏まえて選択肢を見ましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「威張るのはやめて楽しげな雰囲気の中で食事をしよう」→確認した内容と違います
②「自慢し堂々と振る舞うのではなく、故意に謙虚な態度」→確認した内容と同じです
③「仲間たちの不実なありようを皮肉っている」→確認した内容と違います
④「威張りたい気持ちを抑えて、逆に申し訳なさそうな態度」→威張りたい気持ちを抑えているという内容はありませんでした
⑤「仲間に謝るというやりとりを冗談として楽しんでいる」→確認した内容と違います
問5
ポイントは2つです。
①「どういう手法か」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
以上を踏まえて考えます。
①「葛藤解決の手法」が何かが問われています。
②傍線部は形式段落のはじめにありますから、この段落で説明がされていきます。
中程に説明があり、そのまとめがおわりにあります。
おわりをまとめるとこうなります。
「相互に食物を奪い合う状況そのものが、葛藤の解決となり、集団の中から葛藤が消える」
これが「葛藤解決の手法」です。
これを押さえて選択肢を見ましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「葛藤をそれとして意識させない」→葛藤が消えるのであって意識させないのではありません
②「問題を完全に解決する」→解決するのではなく消えるのです
③「積極的に立ち向かえる」→立ち向かうも何も、葛藤は消えます
④「葛藤そのものを消滅させる」→確認した内容と同じです
⑤「受けとめる可能性を模索する」→確認した内容と違います
問6(ⅰ)
表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
が、この手の問題は「明らかに違う!」というのが正答になることが圧倒的に多いです。
今回は③「『究極の原因』へと論を進めている」とありますが、「直接の原因(人間は分かち合うことを基本としている)」しか述べていないことは容易に分かります。
問6(ⅱ)
構成・展開の問題も、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
が、これも「明らかに違う!」というのが正答になることが圧倒的に多いです。
今回は④「第12段落以降では、それとは対照的な主張が」が明らかに違います。形式段落11の内容はおわりを見て分かるように「葛藤の芽を摘んでいる」であり、形式段落12も「葛藤を解決する(問5の内容)」という内容です。「対照的」ではありません。むしろ「葛藤をどうにかする」という意味で同じです。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。