2018年度第2回全統マーク模試_国語_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、2018年度第2回全統マーク模試の国語、第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
なお、黒本は前年度の全統模試の過去問となっていますので、今日現在「2018年度第2回全統マーク模試」は書店で購入できません。実際に受験した方のみ持っていると思います。
形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~12まで振られています。
では、始めます。
問1
(ウ)「捨象」、選択肢の「喜捨」が難しかったかもしれません。
特に「捨象」は「具体」「抽象」とともに知っておくべき言葉です。
具体的なものから共通部分を抜き出し捉えることが抽象であり、具体的なものから共通部分以外を捨てることを捨象と言います。
たとえば「黒猫」「三毛猫」「シャム猫」(具体)から共通部分を抜き出す(抽象化)と「猫」(抽象)となります。
「黒猫」「三毛猫」「シャム猫」(具体)から共通部分以外「黒」「三毛」「シャム」を捨てる(捨象)と「猫」となります。
どちらも結果は同じですが、どこに焦点を当てているのかの違いです。
その他の漢字を間違っているなら漢字学習をすることをオススメします。
目安は漢字検定2級です。せめて準2級レベルまでは何とかしましょう。
今からならば、漢字検定問題集の読み、書き、類義語・対義語くらいだけに絞って学習する方がいいかもしれません(現代文の学習にあまり時間を使えないでしょうから)。
問2
ポイントは2つです。
①内容説明問題(イコール問題)である。
→筆者がどのように考えようとしているのかという「筆者の考え」の内容説明と考える。
②形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①筆者が「解決策」を考えるために「まず」どのように考えようとしているかが問われています。
ここでのポイントは「まず」です。この後、解決策を示すために筆者は考えを展開すると思われますが「まず」言いかえれば「はじめに」何から考えているのかを読み取るということです。
このように設問で問われていることを「正確に」捉えることは非常に重要なことです。
②傍線部は形式段落のおわりにあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。
ですから、この段落は「プラトンの主張→にわかに賛同しない→解決策を考える」という流れです。
「解決策」がこの段落で述べられていないことは明らかです。ということは次の段落で説明がされるはずだと考えます。
なぜなら、形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていくからです。
そう考えて形式段落3を見ると「まず、つぎのように考えるとしよう」とありますから、形式段落3が「まず考えること」を述べている段落だと分かります。
説明である中程は「『知』は単純な二分法で区別できるが、一つのプロセス、一連の動きと考えると未知と既知との間に明確な境界はない」です。筆者の主張は「逆接」の後ですね。
まとめであるおわりは「両者(未知と既知)は循環構造の中にある」です。
つまり「知を考えるとき、一つのプロセス、動きと考え、未知と既知との循環構造で考えよう」です。
選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「未知の対象を既知の領域に取り込むという探究の存在意義は疑いのないことだ」→確認した内容と違います。
②「未知の事柄といえども予備知識があればそれを手がかりに探究を開始すべき」→確認した内容と違います
③「未知の事柄と…既存の知識の間に生ずる動的な過程として対象を探究していく」→確認した内容と同じです
④「既知の領域が拡大されていく」→確認した内容と違います
⑤「探求の成果は揺るぎないものだ」→確認した内容と違います
問3
ポイントは3つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文中に指示語がある。
→直前の内容を確認する。
③形式段落のおわりの部分にある。
→この段落で説明がされてきたはずである。
以上を踏まえて考えます。
①「未知と既知の循環」の説明が問われています。
「未知」と「既知」が「循環する」とはどういうことかということです。
本文内容関係なく、この言葉通りに言い換えてみるとこうなります。
「まだ知らないこと」と「すでに知っていること」が「ぐるぐる回っている」。
こんな感じになるだろうなという意識で、本文を読みます。
②傍線部を含む一文を確認すると「ここに傍線部Bの関係がある」です。
「ここ」の指示内容を確認することで「Bの関係」が見えそうです。
指示語の指す内容は直前にあります。
直前を確認すると「他方」以下の一文は「既知が未知への道筋を教えてくれる」です。
「他方」とあるので、もう一方を確認します。これも直前の内容です。
「未知であることが探究を促す」です。
まとめるとこうなります。
「未知が未知のものへの探究を促し既知となり、その既知が未知のものを既知とするための道筋を示す。それで得た既知がまた探究しようとする未知への道筋を示す…」です。
ぐるぐる回ってずっと続きますね。
これが書かれている選択肢を選びます。
③傍線部は形式段落のおわりにあるので、この形式段落で説明がされてきたはずです。
今回は②の指示語の確認ですでにこの作業は終わっています。②、③のどちらの考えからも同じ答えに行き着くことが分かりますね。
選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「新たに得られた知識をも蓄積しながら、さらにまた未知の対象を捉えていこう」→確認した内容と同じです
②「再び既知の領域の中に未知の要素を明確に捉え直そう」→確認した内容と違います
③「既知の領域を超える要素に関しては未知の領域へと回収されてしまう」→確認した内容と違います
④「概念の枠組み自体を解体するしかない」→確認した内容と違います
⑤「抽象化された一般的概念の枠組みにおいては既知の対象として扱える」→確認した内容と違います
問4
ポイントは3つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)と考え方は同じである。
→傍線部の具体例が問われている。具体例=主張なので、傍線部がどういうことかを押さえてその内容に合った具体例を選ぶ。
②形式段落の中程にある。
→何の説明をしているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のはじめは、前の形式段落のおわりから続いてきている。
以上を踏まえて考えます。
①具体例を選ぶためには傍線部の内容を押さえる必要があります。
まずは傍線部の言い換え問題として考えるのです。
そして、その上でその説明に合った具体例を選ぶという手順で解きます。
念のため、簡単な例を書いておきます。次の問に取り組んでみてください。
問.傍線部「ニャーニャー鳴く動物」の具体例を選びなさい。
ア.日本犬 イ.三毛猫 ウ.カラス エ.和牛 オ.サラブレッド
誰でもできますね。その手順はこうだったはずです。
「ニャーニャー鳴く動物」→「猫」→「三毛猫」
まず傍線部の内容を確認し、それに合った選択肢を選びましたね。
今回のような問題はこれと同じだということです。
では、設問に戻ります。
まず「『一般的な概念的枠組み』が『個別的で具体的な現象』を規定すること」とはどういうことかを確認します。
内容説明問題ですから「一般的な概念的枠組み」と「個別的で具体的な現象」を言い換えてあげればいいのです。
②傍線部は形式段落の中程にあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、この段落の説明部分だということです。
「一般的な概念的枠組み」や「個別的で具体的な現象」という言葉に注目すると、同じ中程、直前に「といった『一般的概念』」が目につきます。
「という」や「といった」は「=」です。ですから、ここが「一般的概念」の説明です。
「個々の事物について語るときの色、形、種類、運動、活動など」です。
分かるような分からないような…これでピンと来る人は「個々」と「まとめたもの」との対比だな、と分かるのではないでしょうか。
先程の例だと「一般的な概念的枠組み」が「猫」、「個別的で具体的な現象」が「黒猫」「三毛猫」「シャム猫」ということですね。
つまり、この「大きなもの(抽象的なもの)」が「小さなもの(具体的なもの)」を決定づけているような選択肢を選ぶということですね。
この段階でここまでいける方はもう選択肢を見てもいいです。
しかし、この段階でそこまでは厳しい…という方は引き続き考えていきましょう。
傍線部は中程にあるので、形式段落のはじめを見て何の説明をしている部分なのか確認します。
「以上のようにしていったん成立した『一般的枠組み』は…」です。
「一般的枠組み」と「一般的な概念的枠組み」とは同じような気がしますね。
ということは、これがどのように成立したのかを確認することで、内容が見えてきそうです。ということで「以上のようにして」を確認します。
③今回は「以上のようにして」という言葉があるのではっきりしていますが、形式段落のはじめは前の形式段落から繋がってきています。
形式段落8の内容が「一般的枠組み」の成立過程です。
読んでいくと「枠組み」「一般」「具体」「個別」など「一般的な概念的枠組み」「個別的で具体的な現象」に繋がりそうな言葉だらけです。
前半の内容をまとめるといいでしょう。
「個別的、具体的なものを捨て去ることで、一般的なものになる」
問1でも説明した「抽象」「具体」「捨象」を知っていれば、言っていることが理解できますね。
やはり②で説明した内容と同じになるはずです。
「小さいもの(個別的で具体的な現象)を捨てることで、大きいもの(一般的な概念的枠組み)になる」です。
だから「大きなもの(抽象的なもの)」が「小さなもの(具体的なもの)」を決定づけているような選択肢を選ぶことになります。
これに合う具体例を選ぶという意識で選択肢を見ます。
通常の設問では選択肢は文末(後半)から見ますが今回は無理ですね(具体例を選ばないといけないので)。
今回の解説は答えだけです。
④「人が腰をおろせる」という大きなもの(ニャーニャー鳴く動物)が「椅子の一種」という小さなもの(猫)を決定づけていますね。
問5
ポイントは4つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)と考え方は同じである。
→傍線部の内容に近い発言を選ぶ、つまり傍線部の内容を押さえてから正答を選ぶ問題です。
②傍線部中に指示語がある。
→直前の内容を確認する。
③形式段落のおわりの部分にある。
→この段落で説明がされてきたはずである。
④あくまで傍線部の問題である。
以上を踏まえて考えます。
①生徒たちの発言から答えを選ぶ問題になっていますが、本文で述べられている傍線部の内容を読み取る問題と同じです。まずは傍線部の言い換え問題です。
②傍線部は「概念」が主語ですので「概念」がどのようなものかという部分です。
「このように」という指示語がありますのでその内容を確認します。指示語の指す内容は直前です。
具体例として「円」の話が述べられていますね。
簡単にまとめると「私たちは厳密でなくても何となく円ければ円いと判断する」です。
また、文章における「具体例」の用いられ方から前後には筆者の主張(抽象)があるはずだと分かります(何を言っているか分からない方は「文章の読み方⑤」を読んでください)。
③傍線部は形式段落のおわりにあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。
②で確認したように説明部分は「円」の話でした。
では、はじめはどうなっているでしょうか。
まとめるとこうなります。
「概念的枠組みは事物の一般的特徴を規定するもので、厳密ではなく曖昧で融通の効くものだ」です。
その具体例が円の話であり、まとめ(同じ「概念」について述べています)が傍線部です。
概念は曖昧だから、ちょっとくらい正しくなくても「それ」と見なすことができる、ということですね。
以上を踏まえて空欄までの流れを確認します。
生徒Cの発言の「そういうこと」は直前までの内容である「曖昧ってこともある」です。
で、それが円と目玉焼きの話だけに限らず(空欄)と言える、と述べています。
この空欄に先程確認した内容を踏まえた発言が入ります。
選択肢を見ましょう。
④この手の問題は文末から見るのではなくはじめから読んでいくことが基本となります。ただそのときに忘れてはいけないのが、あくまで傍線部の問題だということです。
今回であれば「概念とはどのようなものか」の部分を確認するということです。
では、そこに注目して見てみましょう。
①「関わりがない」→確認した内容と違います
②「違いを明確にする必要がある」→確認した内容と違います
③「洗練されることで利用価値が高まる」→確認した内容と違います
④「厳密な概念を前提にして使われている」→確認した内容と違います
⑤確認した内容と同じです。穏やか(曖昧)だから円滑に営まれる(正しくなくても「それ」と見なすことができる)
問6(ⅰ)
表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。
問6(ⅱ)
構成・展開の問題も、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
が、今回はポイントはあります。構成・展開の問題でのポイントは本文の最後がどうなっているかです(本文の最後の説明だけは変えることができません)。
今回の最後は概念の具体例(形式段落11)と概念のまとめ(形式段落12)です。
それを踏まえて選択肢を見ますよ。
①「第11・12段落でその具体例」→12段落はまとめです
②「第8~12段落では厳密な概念的枠組み」→概念は厳密ではありませんでした
③最後について触れられていませんから判断しません
④「第11・12段落では再び探究」→概念の話です
ということは、消去法で③しか残っていませんよ。
基本的に問6は消去法で解くのでしたね。こんな風にも使えるわけです(ちょっと極端な設問でしたが…)。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
現在、このブログでは黒本(全統マーク模試の過去問)の問題を使って同じ解説を書いています。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。