名寄市立大学_小論文_平成28年度_推薦入試_問1
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成28年度推薦入試の小論文問1を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。
また、このブログにある「名寄市立大学_推薦入試_小論文_対策」や「名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記」をどのように運用するのかに重点を置いています。
また、問1は内容説明問題や理由説明問題なので「評論文や小論文の課題文の読み方」についての記事も合わせてお読みください。
そのため、これらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
では、いきましょう。
今回の課題文は、「キャリア教育のウソ」児美川耕一郎著です。
問1は
キャリア教育における現在のような「やりたいこと重視の職業選び」について、筆者はなぜ”危うさ”を感じるというのか。200字以内で説明しなさい。
です。
まずは名寄市立大学推薦入試の課題文を読むときに意識しておくことを2つ確認します。
①テーマを確認する
課題文には必ずテーマがあり、それについての筆者の主張が述べられています。
多くの場合、テーマは問2の「○○について、あなたが考えることを600字以上800字以内で述べなさい」の「○○」です。
②課題文の構成を意識しながら読む
次の構成で書かれている課題文が圧倒的に多いです。
ⅰ 一般的に考えられていること(一般論や常識論)
ⅱ それは違うのではないか(違和感)という筆者の立場
ⅲ 違うと考える理由(違和感の理由)
では、実際に考えていきます。
1.課題文のテーマは何か。
「キャリア教育における現在のような『やりたいこと重視の職業選び』」です。
2.設問で問われていることは何か。
・筆者が「危うさ」を感じている理由が問われています。
・「やりたいこと重視の職業選び」についての「危うさ」です。
・「やりたいこと重視の職業選び」にはダメな点があるということです。
・答えのフレームは「やりたいこと重視の職業選びは、○○のような点でよくないため、筆者は危うさを感じている」が基本となるでしょう。
・「危うさ」を感じているということは、筆者は何かしらに「違和感」を感じていると考えられるので、「本来はAなのにBとなっているため、筆者は危うさを感じている」を基本としても構いません。
・2つのフレームを示しましたが、どちらで書いても結局は同じことになります。理由を答えるときのフレームのバリエーションを増やしていくと、課題文にあわせて書くことができるようになってきますよ。
3.本文を読み取る。
中略が2つありますので、3段落構成とします。
第1段落の最後に筆者が「危うさを感じてしまう」と述べています。
ここで「危うさがある」という違和感を述べたのですから、この後に違和感の理由が書かれているはずだと考えます(「課題文の構成を意識して読む」で確認した構成からこのように考えます)。
やはり第2段落には違和感の理由が書かれていますね。
現実の職業世界では、専門職や専門的職種を除くと、どんな仕事にも対応できることが求められているのに、キャリア教育では「やりたいこと」を明確にすることが求められており、無理がある。
第3段落のはじめの一文には「もうひとつは」とありますから、もう1つ理由があることが分かります。
子供や若者は絶対的な意味で職業を知らない上、「やりたいこと」は簡単に見つかるはずがないのに、キャリア教育で「やりたいこと」を見つけようとすると、イメージ先行型の”憧れ”や、”出会い頭”に近い選択になってしまうと考えられる。
この2つの理由を確認して気づいたことはありますか?
1つは、どちらも各段落の最後の内容でまとめられているということです。
これは形式段落の作り、文章の作りを意識していれば「そうだ」と分かりますよね。
これの意味がよく分からないという方は以下のリンクから「文章の読み方」を読んでみてください。ものすごく重要なことを理解できますよ。
もう1つは、どちらも「○○なのに○○になっていて、○○という意味でダメだ」という形になっているということです。
やはり「違和感」の理由を答える際のフレームは「本来はAなのにBとなっているため、筆者は危うさを感じている」を基本とすることが分かります。
3.以上の内容を200字以内でまとめる。
この際、問われていることは「理由」だということを忘れないように注意しましょう。
なお、理由・根拠を聞かれたときに200字を一文で書いて文末を「から」にする人がいますが、それではあまりにも一文が長すぎて変な文になってしまいます。
たとえば「○○だ。このことから筆者は○○と考えている」というフレームを使えば理由・根拠を示せるので、このような書き方を覚えておきましょう。
ただ、今回ははじめの○○の内容が2つありますので書く際に工夫は必要です。
同じ重みのあること2つ書くときに使う接続詞として覚えておいてもらいたいのが「また」です。並列の関係にある2つの物事を書くときには「また」を使うときれいな文章が書けます。
「○○だ。また、○○だ」
つまり、今回は次のようなフレームを使うといいでしょう。
「○○だ。また、○○だ。これらのことから筆者は○○と考えている」
では、模範解答を示しますね。
現実の職業世界では専門職や専門的職種を除くとどんな仕事にも対応できることが求められ、キャリア教育での「やりたいこと」を明確にすることと矛盾が生じ無理がある。また、絶対的な意味で職業を知らない子どもや若者にとって「やりたいこと」は簡単に見つかるはずがなく、それを無理に見つけることはイメージ先行型の”憧れ”や、”出会い頭”に近い選択になってしまう可能性が高い。これらの点から筆者は危うさを感じている。(199字)
いかがでしたか。問1の問題は理解してから何度か繰り返し書いてみることで力がつきます。
これを見て終わりにするのではなく、今一度自分で書いてみましょう。
そして、このブログで示した大切な部分や模範解答と照らし合わせてみてください。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、終わります。
今回以外の名寄市立大学の小論文の記事については、こちらからご覧ください。
Twitterでは新着記事や役立つ情報をお知らせしているのでぜひフォローしてください。
また、質問もこちらからどうぞ(^_^)
名寄市立大学_小論文_平成29年度_推薦入試_問1
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成29年度推薦入試の小論文問1を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。
また、このブログにある「名寄市立大学_推薦入試_小論文_対策」や「名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記」をどのように運用するのかに重点を置いています。
また、問1は内容説明問題や理由説明問題なので「評論文や小論文の課題文の読み方」についての記事も合わせてお読みください。
そのため、これらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
では、いきましょう。
今回の課題文は、文章Aが「松尾貴史のちょっと違和感」毎日新聞、文章Bが朝日新聞2015年9月25日の記事です。
問1は
文章Aのエッセイの表題からすると、保育園の開設に反対する地元住民のニュースを見て、著者は「ちょっと違和感」を感じている。それは何故か。200字以内で説明しなさい。
です。
まずは名寄市立大学推薦入試の課題文を読むときに意識しておくことを2つ確認します。
①テーマを確認する
課題文には必ずテーマがあり、それについての筆者の主張が述べられています。
多くの場合、テーマは問2の「○○について、あなたが考えることを600字以上800字以内で述べなさい」の「○○」です。
②課題文の構成を意識しながら読む
次の構成で書かれている課題文が圧倒的に多いです。
ⅰ 一般的に考えられていること(一般論や常識論)
ⅱ それは違うのではないか(違和感)という筆者の立場
ⅲ 違うと考える理由(違和感の理由)
では、実際に考えていきます。
1.課題文のテーマは何か。
「住民による保育園の開設反対運動」です。
(「子どもの声は騒音か否かという論争」は文章Bのテーマです)
2.設問で問われていることは何か。
・筆者が「違和感」を感じている理由が問われている。
・「保育園開設への反対」に対する「違和感」である。
・「違和感」という言葉のニュアンスを確認します。
→本来はAなのにBとなっている場合に感じるのが「違和感」です。
・本文中から、AとBに該当する部分を読み取れば「違和感」の説明とともにその理由になるはずです。
・課題文の構成から考えると、ⅱ「違和感」を感じていると設問で教えてくれているのですから、その理由であるⅲをまとめる問題と分かります。
・「違和感」の理由なので、答えのフレームは「本当はAなのにBとなっているため、筆者は違和感を感じている」を基本とするといいでしょう。
これを構成で確認したものと合わせて考えると、Aがⅲ(筆者の違和感の理由)に、Bがⅰ(一般論や常識論)の内容に当たります(今回はニュースに出てきた意見が一般論と捉えることができます)。
3.本文を読み取る。
「本来はAなのにBとなっているため、筆者は保育園の開設に反対する地元住民のニュースに違和感を感じている」というフレームを頭に置いて読み進めると、AとBが簡単に分かると思います。
課題文を読んだときに、次に示す部分に線を引けているといいですね。
①一言で答えてみる(フレームを使う)
保育園を開設した方が良い面がたくさんあり、保育園を開設しないことによる悪い面があるにも関わらず(A)、反対している(B)から、違和感(ちょっと変だなぁ、おかしいなぁ)を感じている。
②良い面と悪い面を読み取る(A)
良い面(Aの前半)
・子どもは社会全体の宝であり、子どもがいることで誰でも癒やされる。
・安全性や地域の結びつきが強くなり、間接的に暮らしやすくなる。
悪い面(Aの後半)
・子育てのしにくさに拍車をかけ、少子化が原因の社会問題の悪循環を生む。
・クレーマーが多い土地柄だと思われ、地域の評価が下がる。
③反対している理由を読み取る(B)
・子どもの声が騒音であるから。
・24時間営業の騒音が増えているのに比べると、保育園の騒音の迷惑度は低いはずであるのに。
3.以上の内容を200字以内でまとめる。
この際、問われていることは「理由」だということを忘れないように注意しましょう。
なお、理由・根拠を聞かれたときに200字を一文で書いて文末を「から」にする人がいますが、それではあまりにも一文が長すぎて変な文になってしまいます。
たとえば「○○だ。このことから筆者は○○と考えている」というフレームを使えば理由・根拠を示せるので、このような書き方を覚えておきましょう。
今回は「違和感」の理由ということで「本来はAなのにBとなっているため、筆者は違和感を感じている」というフレームを使うのでした。
では、模範解答を示しますね。
保育園開設は子どもを見る癒やしの効果だけでなく、地域の安全性や結びつきが強くなるため暮らしやすい地域を作る。一方、開設反対が子育てのしにくさに拍車をかけ、少子化が原因の社会問題の悪循環を生むうえ、クレーマーが多い土地柄だと地域の評価を下げてしまう。それにも関わらず、商業施設に比べれば迷惑の度合いが低いと考えられる騒音を理由に、地域住民が保育園開設に反対しているので、著者は違和感を感じている。 (197字)
いかがでしたか。問1の問題は理解してから何度か繰り返し書いてみることで力がつきます。
これを見て終わりにするのではなく、今一度自分で書いてみましょう。
そして、このブログで示した大切な部分や模範解答と照らし合わせてみてください。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、終わります。
今回以外の名寄市立大学の小論文の記事については、こちらからご覧ください。
Twitterでは新着記事や役立つ情報をお知らせしているのでぜひフォローしてください。
また、質問もこちらからどうぞ(^_^)
名寄市立大学_小論文_平成30年度_推薦入試_問1
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成30年度推薦入試の小論文問1を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。
また、このブログにある「名寄市立大学_推薦入試_小論文_対策」や「名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記」をどのように運用するのかに重点を置いています。
また、問1は内容説明問題や理由説明問題なので「評論文や小論文の課題文の読み方」についての記事も合わせてお読みください。
そのため、これらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
では、いきましょう。
今回の課題文は、「日本が世界一「貧しい」国である件について」谷本真由美著です。
問1は
傍線部Aについて、筆者が「なんだかなあ~」と思う理由を200字以内で説明しなさい。
です。
まずは名寄市立大学推薦入試の課題文を読むときに意識しておくことを2つ確認します。
①テーマを確認する
課題文には必ずテーマがあり、それについての筆者の主張が述べられています。
多くの場合、テーマは問2の「○○について、あなたが考えることを600字以上800字以内で述べなさい」の「○○」です。
②課題文の構成を意識しながら読む
次の構成で書かれている課題文が圧倒的に多いです。
ⅰ 一般的に考えられていること(一般論や常識論)
ⅱ それは違うのではないか(違和感)という筆者の立場
ⅲ 違うと考える理由(違和感の理由)
では、実際に考えていきます。
1.課題文のテーマは何か。
「自分の責任」です。
2.設問で問われていることは何か。
・筆者が「なんだかなあ~」と違和感を感じている理由・根拠が問われている。
・傍線部Aにある「このような悩みやコメント」に対する違和感の「理由・根拠」である。
3.本文を読み取る。
中略が4つあるので、5段落で構成されているとします。
第1段落
具体例が述べられており、これが傍線部Aにある「このような悩みやコメント」です。
第2段落
筆者は「このような悩みやコメント」に「なんだかなあ~」と思っているので、「このような悩みやコメント」が一般論、常識論(第1段落で書かれているコメントには「たしかに」と思いますよね)だと分かります。(ⅰ)
これに対して筆者は「なんだかなあ~」と違和感を表明しているのです。(ⅱ)
次に違和感の理由が述べられるはずです。
傍線部Aに続く一文が「~からです」となっていることから、ここが理由だと分かります。
自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がないから。(ⅲ)
これだけでは200字には足りませんから、続きを読んでいきます。
「自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない」の言い換えが続いています。
自分の人生なのに、自分に責任はないしどうしたらいいか分からないから答えを教えてください。(ⅲ)
第3段落
「自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない」理由が書かれています。
傍観者になっていて自発性がないから、自分の問題を直視せず何かを変えようとする行動を取らない。(ⅲ)
第4段落
違和感の理由が書かれています。
日本には表現の自由があるのに「自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない」(ⅲ)
第5段落
違和感の理由が繰り返されます。
自分で考えたり行動するための「道具」や「材料」はそろっているのに、そのありがたさがわかっていない。(ⅲ)
そして、最後にこれらから「日本の人達の最大の不幸」とまとめています。
どうですか。
一般論・常識論→違和感を感じている筆者の立場→違和感の理由
という構成になっています。
問は、筆者が「このような悩みやコメント」に対して「なんだかなあ~」と違和感を感じている理由・根拠でした。
これまで確認してきた(ⅲ)の部分をまとめてあげればいいことが分かります。
(ⅲ)の部分を箇条書きにします。
・自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない。
・自分の人生なのに、自分に責任はないしどうしたらいいか分からないから答えを教えてください。
・傍観者になっていて自発性がないから、自分の問題を直視せず何かを変えようとする行動を取らない。
・日本には表現の自由があるのに…。
・自分で考えたり行動するための「道具」や「材料」はそろっているのに、そのありがたさがわかっていない。
これらを合わせた字数が196字です!
字数制限の200字にすごく近いですね。
あとは、この内容をうまくまとめるだけです。
まとめるときには「筆者が「このような悩みやコメント」に対して「なんだかなあ~」と違和感を感じている理由・根拠」を書くのだということを意識してフレームを考えてから書くといいでしょう。
今回であれば次のようなフレームで書いてみます。
本当は○○なのに○○だから筆者は違和感を感じている(なんだかなあ~と感じている)。
本当は日本には表現の自由があり自分で考えたり行動したりできる環境があるのに、自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで自分の意見や主張がないから、筆者は違和感を感じている。
これをもとにして、肉付けをしていきます。
なお、理由・根拠を聞かれたときに200字を一文で書いて文末を「から」にする人がいますが、それではあまりにも一文が長すぎて変な文になってしまいます。
たとえば「○○だ。このことから筆者は○○と考えている」というフレームを使えば理由・根拠を示せるので、このような書き方を覚えておきましょう。
では、肉付けしたものを示します。
(ⅲ)の部分をほぼそのまま使ったものです。
筆者が受け取る悩みやコメントには、自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで自分の意見や主張がないばかりか、自分の人生なのに自分に責任がないと考えどうすればいいのか教えてほしいというニュアンスが含まれる。これは自発性がないために自分の問題を直視せず何かを変えようとする行動を取らないということだ。日本には表現の自由があり自分で考えたり行動したりできる環境が整っているはずなのに、そのような態度を取っているため、筆者は異和感を感じているのである。
229字ですので削ります。
筆者が受け取る悩みやコメントには、自分が直面している問題を他人事のように語り自分の意見や主張がないばかりか、自分には責任がなく答えを教えてほしいというニュアンスが含まれる。これは自発性がないために、自分の問題を直視せず自分で考えたり行動したりしないということだ。日本には表現の自由があり自分で考えたり行動したりできる環境が整っているのに、そのような態度を取っているため、筆者は異和感を感じている。
198字です。
これを問1の解答とします。
いかがでしたか。問1の問題は理解してから何度か繰り返すと力がつきます。
これを見て終わりにするのではなく、今一度自分で書いてみましょう。
そして、このブログで示した大切な部分や模範解答と照らし合わせてみてください。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、今回はこれで終わります。
今回以外の名寄市立大学の小論文の記事については、こちらからご覧ください。
Twitterでは新着記事や役立つ情報をお知らせしているのでぜひフォローしてください。
また、質問もこちらからどうぞ(^_^)
名寄市立大学_推薦入試_小論文_対策
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は名寄市立大学推薦入試の小論文対策ということで、出題される課題文の傾向と読むときに意識するべきことをお伝えします。
(名寄市立大学_小論文_まとめ - 高校教員の徒然日記のページにある内容と重複する部分もありますが、すべてを読むことをオススメします)
では、さっそく始めましょう。
1.名寄市立大学推薦入試の課題文の傾向
課題文にはあるテーマについての筆者の主張が必ずあります。
そして、筆者がどのように主張を述べていくかにはいくつかのパターンがあります。
ここ数年の名寄市立大学推薦入試の課題文は同じパターンの課題文となっているので、それを押さえましょう。
・課題文のテーマ
前提として、筆者が何をテーマとしているのかを確認します。
その際、問二の設問を読みます。「○○について、あなたが考えることを600字以上800字以内で述べなさい」となっているはずです。
この「○○」の部分がテーマです。
「○○」について筆者は何かしらの主張をしているはずだということを確認します。
・課題文の構成
主張を述べる際のパターンは次にようになっているはずです。
ⅰ 一般的に考えられていること(一般論や常識論)
ⅱ それは違うのではないか(違和感)という筆者の立場
ⅲ 違うと考える理由(違和感の理由)
このパターンは多くの評論文でも見られる構成ですから、現代文の問題を解くときにも意識しておくといいと思います。
このパターンの例を挙げてみますね。
普通、誰もが高校生は勉強を第一に頑張らなければいけないと考えている。(ⅰ)
しかし、そんなことはないのではないか。(ⅱ)
なぜなら、高校生活では部活動やアルバイト、ボランティア活動など様々な活動を通して人間的に成長できるからだ。また、「自分の人生」について真剣に考える時間を増やすことで、より良い人生を送るための期間とできるのだ。(ⅲ)
どうですか。先程のパターンで「高校生活では勉強が第一とは限らない」という主張が述べられています。
ここ数年の名寄市立大学推薦入試の課題文はこのパターンになっています。
このことを意識して、ぜひ課題文を読んでみてください。
2.課題文を読むときに意識するべきこと
課題文の構成のパターンを押さえたら、課題文を読むときにⅰ~ⅲがどのように書かれているかを意識しながら読みます。
ⅰ~ⅲに該当すると思う部分に線を引きながら読むようにすると「読み取る力」をつけることができます(答え合わせは過去問解説をご覧ください)。
なぜⅰ~ⅲを意識する必要があるのか。
それは、それがそのまま問1、問2に答えるときに必要となるからです。
問1には2つのパターンがあります。
1つは「○○について筆者はどのように考えているか」であり、もう1つは「筆者はなぜ違和感を感じているのか」です。
1つめの対策は文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記を参考にしてください(今回話してきたことでは対応できません…)。
2つめの対策はまさにこのブログで述べたⅲの部分を答えればいいということになります(しつこいですが、ここ数年はこのパターンです)。
これらについて、どのように読んでどのようにまとめるかの詳細は過去問解説(名寄市立大学_小論文_まとめ - 高校教員の徒然日記)をご覧ください。
問2はテーマについての意見が求められます。
名寄市立大学の小論文では、多くの場合、筆者と同じ立場に立って自分の意見を述べることになります。
その際、「課題文の構成」を参考にすると書きやすくなります。
そもそも小論文とは「自分の意見を述べるもの」つまり「主張を述べるもの」です。
課題文も筆者が主張を述べているものですよね。
「課題文=小論文」と言えるわけですから、課題文の構成を参考にして書くことに何の問題もありません。
つまり、問2は次のような構成で書けばいいのです。
第一段落
ⅰ 課題文で述べられている一般論・常識論を自分で考えた具体例を交えて述べる。
ⅱ それに対して違うと述べた筆者と同じ考えであることを述べる。
第二段落
ⅲ 自分の意見(筆者と同じ立場)の理由を、課題文で筆者が述べている理由に自分で考えた具体例を交えながら述べる。
第三段落
ⅳ 再度、自分の立場(主張)を述べてまとめる。
「どのように書いていいか分からない」という方は、この書き方を参考にしてみてください。課題文の構成を真似しつつ、課題文で挙げられていること以外の具体例を交えて書いてみましょう。
いかがでしたか。今回お伝えしたことを徹底して過去問演習をするとメキメキ力がつくことと思います。
ただ、この説明だけではイマイチだという方は、実際に過去問を解いてみて過去問解説のページをご覧になってみてください。「そういうことね!」と思ってもらえるはずです。頑張ってください。
Twitterでは新着記事や役立つ情報をお知らせしているのでぜひフォローしてください。
また、質問もこちらからどうぞ(^_^)
2018年度第2回全統記述模試_国語_第1問_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、2018年度第2回全統記述模試の国語、第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することで記述模試で点数を取ることができます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
なお、全統記述模試の問題は過去問も含めて販売されていません。実際に受験した方のみ持っていると思います。もしかすると学校の先生が持っているかもしれません。相談してみてください。
形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~12までになります(はじめの「マダム飲み会」のエピソードが1で、1行あいた後の「他者の行動から」が2です)。
では、始めます。
問1 漢字
画数が多い漢字もありますがどれも正答してもらいたい漢字です。2問以上書けなかった場合には漢字学習をした方がいいかもしれません。
漢字検定2級レベルまでは完璧にしたい所ですが、時期が時期ですのでせめて準2級レベルまでは何とかしましょう。
ちなみに「頻繁」は準2級、「規範」は4級、「曖昧」は2級の漢字です。
「次第」「景観」は小学生レベルの漢字ですが、これらの言葉を知っているかどうかです。
問2 空欄補充
空欄補充は「何となく当てはめる」のではありません。文脈を読み取った上で、入れるべきものを選択します。その際、やはり「文章の読み方」を意識して考える必要があります。では、実際に見てみましょう。
空欄X
ポイントは3つです。
①形式段落の中程の部分にある。
→この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。また、この内容が形式段落のおわりでまとめられるはずである。
②空欄を含む一文の主語を見る。
→何の話をしているのか確認する。
③「対比」を意識する。
空欄Xを含む段落の内容は、形式段落4のはじめ、空欄を含む一文の主語を確認すると分かるように「行動」のことだと分かります。
ということは、Xを含む一文も「行動」の説明だと分かります。
また、Xを含む一文から「単独で存在するのではなく」とXが対比であることも分かります。
形式段落のはじめの「行動は、周りにいる人、場の雰囲気、状況で変わる」、おわりの「行為者の心だけにあるのではなく状況にもある」などから
Xに入るのが「(行動は)周囲の状況によって存在する」的なものだと分かります(これは「単独」と対比になっていますね)。
「行動」の説明であり、このような内容になっている選択肢はエしかありません。
空欄Y
ポイントは3つです。
①形式段落の中程の部分にある。
→この部分のまとめがおわりに書かれているはずである。
②空欄直後に「指示語」がある。
③「対比」を意識する。
空欄Yを含む一文からYの内容は「思い出すべきもの」であることが分かります。
では、思い出した方がいいことは何でしょうか。
Yは形式段落の中程にあるので、このことについてのまとめがこの後述べられるはずです。
すると、直後に「こう述べるのは」と指示語があります(「こう」の指す内容は「Yを思い出すことに価値がある」ですね)。
読み進めると「それ(Yの内容)が自分への洞察を深める」とありますからYには「自分への洞察を深める」ような内容が入ることが分かります。
これも大きなヒントですが、この設問で重要なのは次です。
さらに読み進めると「ましてや他者の心は正しく分からない」とあります。
「まして」という副詞は「AでさえBなのだから、ましてCはなおさらBだ」という使い方をします(漢文句法では「抑揚」で重要です)。
たとえば「大人でさえ手が届かないのだから、まして子どもはなおさら(手が届かないの)だ」のように使います。「大人」と「子ども」が対比の形ですね。
このことを踏まえると、先程確認した部分はこうなります。
「○○でさえ正しく分からないのだから、まして他者の心は正しく分からない」
「○○」は「他者の心」の対比であること、直前の「それ(Yの内容)が自分への洞察を深める」という内容から、○○には「自分の心」が入りそうですね。
ということで、思い出す価値のあることは「自分の心が正しく分からない」的な内容が入りそうです(自分の心が分からないから自分への洞察が深まるし、他者の心が分からないことも当たり前と思えるのです)。
この内容になっている選択肢はウしかありません。
ここでは「まして」という言葉が「対比」を表すのだということを覚えておきましょう。
このように空欄補充問題は「文章の読み方」の何かしらを問うものです。
とくに「対比」が問われることが多いので、文章を読むときには常に「対比」を意識したいところです。そして、そのために「まして」などのような「対比」を表す言葉を自分の中にストックしていきましょう。
問3 内容説明
ポイントは4つです。
①「どういうことか」という内容説明問題である。
②形式段落のはじめにある。
→この形式段落で説明されていくはずである。
③傍線部を含む一文に指示語がある。
④設問の作られ方を意識する。
設問は「(それにもかかわらず)行動の背後にある心を過剰に読んでしまう」とはどういうことか、です。
記述問題の解答を作る際、はじめにやるべきことは「一言で答える」か「答えのフレームを作る」です。
「どういうことか」という内容説明問題では基本的に「答えのフレームを作る」ことから始めます。
そして、そこに字数に合わせて必要な内容を足していきます。
足す内容は「内容説明」「理由」「対比」「条件」です。この辺りのことはいずれブログで詳しく書こうと思いますが、例を挙げて簡単に説明します。
「傍線部『変化』を説明せよ」という問題の場合を考えます。
①フレームを作る「○から○へと変わったということ」
②○と○を一言で答える「AからBへと変わったということ」
③内容説明を足す「~というAから~というBへと変わったということ」
④理由を足す「…ので、~というAから~というBへと変わったということ」
⑤対比(今回はすでにAとBの対比になっています)
⑥条件「近代社会(あくまで例です)において…ので、~というAから~というBへと変わったということ」
この流れで考えて、あとは字数を合わせます。
その際、③~⑥については文章内容や傍線部の内容から優先順位をつけます。
では、今回の設問に戻ります。
まず答えのフレームを作りたいのですが「(それにもかかわらず)行動の背後にある心を過剰に読んでしまう」では今イチ答えが作りにくそうです。
そこで、傍線部が形式段落のはじめにあることに注目します(この後、傍線部の説明、つまりイコールが述べられるはずです)。
すると、直後に「状況が行動の原因である程度を軽視する一方、行為者の『心』に原因を求めてしまう」とあります。「行動の背後にある心を過剰に読んでしまう」と「行為者の『心』に原因を求めてしまう」という部分が同じ内容のようです。
これをフレームにします。
「行為者の『心』に原因を求めてしまうということ」
これに内容説明を足します。当然「心」が何を意味するのかを説明すればいいですね。では、「心」の説明は本文のどこを見ればいいでしょうか。
ここでポイント④「設問の作られ方を意識する」です。
今確認した直後に傍線部2があります。「設問の作られ方」を意識していれば、この後の内容ではなく、ここまでの内容を問われていると気付けます(何を言っているかよく分からない方はマーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記をご覧ください)。
「心」の話は形式段落2ですね。主語が「心」になっている文があるので分かりやすいと思います。これを先程のフレームに足します。
「行為者の意図や好み、感情、態度、性格に原因を求めてしまうということ」
次に何を足すかを考えます。
傍線部直前に「それにもかかわらず」とあること、傍線部直後が「状況が行動の原因である程度を軽視する一方」とあることから、「対比」を足すことがよさそうです。
指示語の指す内容は直前です。
「それ」の指す内容は形式段落5の内容であり形式段落5のはじめの「そのことを私たちは重々承知している」です。
また「そのこと」という指示語です。形式段落4の内容です。空欄Xで見た通り、簡単に書くと「行動が状況に影響を受けること」です。これは傍線部直後の「状況が行動の原因である程度を軽視する一方」とも一致しますね。これを足します。
「行動は状況に影響を受けることがあるのに、行為者の意図や好み、感情、態度、性格に原因を求めてしまうということ」
まだ字数が足りませんが、前半部分は先程「簡単に」まとめました。さらに説明が可能ですので形式段落3、4あたりの内容を足せば、答えとなります。
記述問題は「解答の作り方の手順」に従い「文章の読み方」で読んだ内容をまとめれば正答を導くことができます。記述もマークもやることは同じです。
問4 内容説明(具体例選択)
ポイントは2つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)と考え方は同じである。
→傍線部の具体例が問われている。具体例=主張なので、傍線部がどういうことかを押さえてその内容にあった具体例を選ぶ。
②確認した内容に合っている具体例を選ぶ。
この手の問題は内容説明問題と考えるのが基本です(マーク模試では生徒たちの話し合いの場面が選択肢になったりしますね)。
傍線部「いくつかの心的メカニズム」が何かを確認します。
傍線部は形式段落のはじめの方にあるので、この後説明されるはずです。
読み進めると「一つには…」「また…」「さらには…」と3つのことが書かれていることが分かります。
設問が「適切なものを3つ選びなさい」ですから、これら3つの内容に合った具体例をそれぞれ選ぶのではないかと予想できますね。
考え方は以上です。詳しい内容は模試の解説をご覧ください。
なお、この設問を完答するのは難しかったかもしれません。読み取った内容と選択肢を合わせる作業が難しいです。1問くらい誤答しても仕方ないレベルだと感じます。
問5 理由説明
ポイントは3つです。
①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③設問で問われていることをしっかりと確認する。
→「例に即して」という条件がついている。
傍線部は形式段落のはじめにあります。この後に説明がされていくはずです。
まとめであるおわりは「承諾したというわけだ」となっています。
「わけだ」という表現から理由を述べていたことが分かりますね。
この形式段落をまとめればオッケーです。
ただし、今回の設問には「安全運転の例に即して」という条件がついていることを見逃してはいけません。
通常の記述問題では「具体例」を解答に含めることはほとんどありません(つまり、抽象的な内容、筆者の主張を書くことになります)。
しかし、今回のように「○○の例に即して」という場合には、抽象的な内容に具体的な内容を足していくという考え方で答えを作ります。
今回であれば、傍線部の理由を抽象的にまとめると(この形式段落の内容で)こんな感じになります(これがフレームになります)。
人間は小さな依頼を承諾すると、自分がそのような人間であると思い込んでしまい、大きな依頼も承諾するようになるから。
これの「小さな依頼」、「そのような人間」「大きな依頼」に「安全運転の例に即して」その内容を足します。
人間はステッカーを貼るという小さな依頼を承諾すると、自分が安全運転重視派であると思い込んでしまい、看板を立てるというような大きな依頼も承諾するようになるから。
字数がまだ足りないので何を足すか考えます。
問3で確認したポイント④「理由を足す」です。この形式段落の中程に「私たちは態度と行動は一貫すべきだと信じる傾向があるので」とあるので、これを足してあげて答えとします。
河合塾の模範解答とは若干異なりますが、これで十分合格点はもらえるはずです。
問6
内容合致問題は1つ1つ確認していくしかありませんので対策できません。
ただ、あくまで消去法でいくようにしましょう。微妙なのは残して、絶対に違うと分かったものから消去していきます。そして、残ったものを答えとするのです。
自分でそれぞれの選択肢の何が間違っているのかを考えてから、解答でどの部分が間違っているのかを確認しましょう。
いかがでしたか。
センター試験も記述試験も、やるべきことは変わりません。記述問題は「書く力」が要求されますが、書く内容を考える段階ではマーク式と同じなのです。
ぜひ「文章の読み方」を意識して文章を読んでみましょう。現代文の問題を解いてみましょう。
国語の学力は上がります。センター試験でも個別入試でも武器にできるのです。
今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)_国語_第5回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)「国語」第5回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~17までになります。
では、始めます。
問1
(イ)(ウ)(エ)が比較的難しかったかもしれません。
(イ)「獅子奮迅」の四字熟語を知っているかどうかでした。
(ウ)「愉悦」も選択肢の「愉楽」も漢字としては難しいですが、「たのしい」という意味で捉えることができるようになりたいところです。
(エ)「胎動」、選択肢「換骨奪胎」の四字熟語は難しめですが、「胎」を含む言葉として必ず覚えてもらいたい漢字です。ちなみに「換骨奪胎」は漢字検定3級の範囲です。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
漢字学習では(イ)の解説でも述べたように「漢字の意味」つまり「訓読み」を中心に覚えるようにすると効果的です。
また、漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です(「獅子奮迅」は準1級の四字熟語ですが)。
問2
ポイントは2つです。
①「説明はどれか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②対比構造を意識する。
以上を踏まえて考えます。
①「旧来のクラシック音楽演奏の在り方」の説明が問われています。
つまり「旧来のクラシック音楽演奏の在り方」とはどういうものだったということが問われているわけです。
②傍線部まで読んでくると、この文章が「旧来のクラシック音楽」と「古楽」との対比になっていることは容易に分かると思います。
特に形式段落3の「こうした旧来のクラシック音楽の在り方に、強烈な一撃を食らわしてのが…『古学』と呼ばれるムーヴメントであった」に注目すると明白です。
今回は「旧来のクラシック音楽の在り方」について問われているわけですから、今確認した形式段落3「こうした旧来のクラシック音楽の在り方」に着目すると、その指示内容が説明部分だと分かります。
指示語の指す内容は直前ですから形式段落2を確認することで「旧来のクラシック音楽の在り方」が分かるはずです。
まとめると
「時代に応じて形態を変えてきた」「ルーティンワークとマンネリズムに陥っていた」「真の音楽的な美はなおざりになった」「慣習化され感覚的な演奏ばかり繰り返された」となります。
以上を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢は後半(文末)から見ます。
①「作品が作られた当時の演奏を繰り返すだけ」→形態を変えてきたのでした
②「そう演奏すべきかを精査した上で演奏する」→確認した内容と違います
③「作品のオリジナルなありようを無視した感覚的な演奏が中心」→オリジナルを無視というのは言い過ぎな気がしますが保留にします
④「型にはまった演奏が繰り返される」→確認した内容と同じです
⑤「感覚的な刺激を追求するような演奏ばかりが繰り返される」→確認した内容と同じです
③④⑤が残りましたので前半を見ます。
③「演奏家たちが真の音楽的な美を追究する」→確認した内容と違います
④確認した内容と同じです
⑤「聴衆のニーズをかえりみず」→確認した内容と違います
今回は傍線部の直前直後に答えの根拠がありませんでした。
しかし、対比の構造を意識することで容易に答えの根拠が分かったはずです。
ほとんどの評論文は「対比」で書かれています。何と何とが対比になっているかという意識で読むようにしましょう。
この手の問題は次のような形になっていることがほとんどですので確認しておきます(形式段落は適当につけています)。
形式段落1~3…Aの説明
形式段落4~7…Bの説明
形式段落8…まとめの部分(AとBの話題)
この形の形式段落8のAに傍線部が引かれる。答えの根拠は当然形式段落1~3。
問3
ポイントは2つです。
①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
以上を踏まえて考えます。
①「私はまるで熱にうなされているかのようだった」の説明が問われています。
「まるで~のようだ」という表現から傍線部は比喩です。私のどのような様子を喩えているのかが問われています。
この時点で「熱中」という言葉が出てくるといいですね。
②傍線部は形式段落のはじめにあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、このあと説明されるはずだという意識で読みます。
すると直後に「古楽について知りたい」ということが書かれています。
「古楽に熱中していた」ことを「熱にうなされているよう」と表現したのでしょう。
選択肢を見ます。
選択肢は後半(文末)から見ます。
①「古楽の秘密を知るには自分の職業的立場を利用するしかないと思い込む」→あくまで「古楽を知りたい」と熱中したのであって「立場を利用するしかないと思い込」んだわけではありません
②「古楽に夢中になった」→確認した内容と同じです
③「古楽しか聴けなくなった」→「知りたい」と熱中しただけで、それしか聴いていないとは述べられていません
④「自分も古楽の演奏家としていきていけるのではないか」→確認した内容と違います
⑤「新聞記者の立場を利用してでも古楽奏者に会いたい」→「古楽を知りたい」であって「古楽奏者に会いたい」ではありません
問4
ポイントは3つです。
①心情説明ですが、なぜ筆者が書いたのかという理由説明問題として考える。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①『古楽再入門』を書いた筆者の心情が問われています。
心情説明問題を解く際の考え方は2つです。
1つめは、ずばり一言で心情を表すこと。
2つめは、その心情に至る理由を表すこと。
小説でも古文でも漢文でもマークでも記述でも心情説明問題の基本はこれだと覚えておきましょう。
つまり、心情説明問題は「理由→心情」という流れで考えるということになります。
例.傍線部「うつむいて涙を流している」の心情を説明しなさい。
答.全国大会出場がかかっていた試合に負けたので非常に悔しい気持ち。
②傍線部は形式段落のはじめにあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、このあと説明されるはずだという意識で読みます。
まず傍線部を含む一文を確認すると、傍線部が主語になっていることが分かります。
つまり、古楽に対して決別しようという心情と分かります。
ただ「古楽への決別宣言」とはどういうことかがよく分かりませんから、先を読み進めます。
「オリジナル楽器を手放さない、古楽が教えてくれた音楽的な視点を忘れない」と説明が続き、「それ(「古楽への決別宣言」)」=「『オリジナル楽器での演奏でなければ、古楽ではない』といった偏狭な古楽観への決別宣言」で形式段落がまとめられています。
これが筆者の心情です。
ここで選択肢の文末を見てみても、この内容になっているものはありません。
「決別」することが何を意味するのかを読み取る必要がありそうです。
③形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていくので、形式段落13を読みます。
形式段落13のおわり(まとめ)に古楽には問題点があると述べられており、続く形式段落14にはその具体例が述べられています。
そして続く形式段落15のはじめに「このような状況が歯がゆかった」と筆者の心情が述べられています。
形式段落のつくりが「この話するよ→説明→まとめ」なので、この段落で筆者の心情が述べられていくことが分かります。
この段落の内容をまとめます。
「古楽の歴史、思想を明確にし、これからを考えたい」「古楽とは何かという人のための本になる」「この本を幹に、実践や鑑賞に役立てて欲しい」
②③の内容をまとめます。
「オリジナル楽器での演奏でなければ、古楽ではない」といった偏狭な古楽観に決別し、古楽の本質を捉えた本を書き、古楽の実践や鑑賞に役立ててほしいとなります。
選択肢を見ます。
選択肢は後半(文末)から見ます。
①「これからの音楽について考えていく手がかりとなれば嬉しい」→嬉しいかどうかは微妙ですが絶対ダメとは言えないので保留です
②「音楽的な美を実現する感覚的な演奏のためには古楽の呈示した問題に向き合うことが必要だ」→確認した内容と違います
③「古楽をより深く知り楽しむための一助となってほしい」→確認した内容(古楽の実践や鑑賞に役立ててほしい)と同じです
④「これからの音楽のあるべき姿を考えるきっかけとしてほしい」→「あるべき姿を考え」てほしいと「古楽の実践や鑑賞に役立ててほしい」は違います
⑤「古楽が当たり前のものとして社会に定着できない現状をもたらしていることを指摘」→確認した内容と違います
①と③が残ったので前半を確認します。
①「今なお忠実に繰り返しているアンサンブルは高く評価できる」→確認した内容と違います
③確認した内容と同じです
問5
ポイントは2つです。
①「どういうものか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②問われている内容は本文のテーマである。
①筆者のとっての「古楽」がどういうものかが問われています。
つまり、この文章で述べられている古楽の内容説明問題と言えます。
②読んで分かるように「古楽」はこの文章のテーマです。
つまり、この設問は文章全体の内容を問う設問だと言えます。その際の基本的な考え方は次の通りです。
各設問の内容をまとめると、本文全体のテーマになっている。
一般的な問題構成は「各傍線部でそれぞれの意味段落の内容を問う」ているものでした(詳しくはマーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記をご覧ください)。
だとすると、各設問をまとめると本文全体の内容になっていることになります。
そして、本文全体の内容が分かれば筆者の主張(本文のテーマ)が分かるのは当たり前です。
★なお、記述模試・国公立個別試験の最後の設問やまとめの設問も同様に考えると答えを上手にまとめることができますよ。
今回もそれぞれの設問で「古楽」がどのようなものかを確認すればいいということになります。
では確認してみましょう。
傍線部A…これは「古楽」と対比された「旧来のクラシック音楽」が問われていました。ですから、それを確認する過程で「古楽」の方も読み取っているはずだよねということです。形式段落3,4,5から「旧来のクラシック音楽」と対比されている「古楽」を読み取ります。
傍線部B…筆者が「古楽」に熱中したことが述べられていました。
傍線部C…音楽についての問題点を解決するものとして『古楽再入門』を書いたのでした。また、古楽の実践や鑑賞に役立ちたいという気持ちも読み取れました。
以上を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢はいつでも後半(文末)から見ますよ。
①「筆者の音楽愛を深める」→熱中していましたね
②「運動としては下火になった」→筆者のとっての「古楽」が下火になったというのはおかしいですね
③「クラシック音楽が…筆者独自の音楽館を覆した」→傍線部Bのあたりで衝撃を受けましたが、それは筆者独自とは言えませんね(たぶん、他の人も衝撃を受けたと思います)
④「現代の聴衆の嗜好を考慮に入れないものだった」→述べられていません
⑤「筆者の音楽館に大きな影響を与えた」→傍線部Bの辺りで衝撃を受けていました
①と⑤が残ったので、前半を見ます。
①傍線部Aに関する内容の部分です
⑤「モダン楽器の世界とは無関係」が違います。形式段落16のはじめに「影響を及ぼしている」とあります。
⑤が違うというのが確認した内容だけでは判断できませんが、形式段落のはじめとおわりに注目して読み進めていれば容易に違うと判断できると思います。
問6
構成・展開を問われた際のポイントは2つです。
①選択肢の最後と本文の最後が同じ内容になっているか。
②本文を読むときに、大きな流れを意識しているか。
ポイントの②はある程度の国語力がないと難しいかもしれませんが、本文を読みながら(傍線部を頼りにして意味段落を意識して)「問題提起」「内容説明」「理由説明」「筆者の主張」のどの内容かを意識できることを目標にしましょう。
今回の文章の最後を確認すると、古楽は強い影響力を持っており、そのムーヴメントには終わりがないとなっています。
後半(文末)がこのようになっている選択肢を選ぶのが基本です。
すると選択肢②「古学の探究は終わりのないものである」だけが確認した内容になっていることが分かります。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)_国語_第4回_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)「国語」第4回第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。
形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~10までになります。
では、始めます。
問1
どれも基本的な漢字であり基本的な言葉です。2個以上間違っているとしたら漢字学習をすることをオススメします。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。
問2
ポイントは3つです。
①傍線部の背景が問われている問題である。
→「なぜ傍線部か」という理由説明問題と考える。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①「ものづくり」をいうことばをよく耳にするようになった「背景」が問われています。
これは「なぜ『ものづくり』ということばをよく耳にするようになったのか」と言い換えることができるので、理由説明問題と同じであると考えます。
つまり「○○という背景があったから『ものづくり』をいうことばをよく耳にするようになった」というように考えるということです。
②傍線部は形式段落のはじめにあります。
形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、この段落で説明がされるという意識で読み進めます。
説明である中程には「この国にとって重要な課題かもしれない」とあります。
「国にとっての課題となっている背景」があるということです。
設問によってはここまでで答えが導くことができる場合がありますが、今回の選択肢(文末)をパッと見てみると「国の課題だ」というような内容はありませんのでダメそうです。より具体的に読み取らなければならないようです。
方向としては「国にとっての課題」の内容が分かれば答えが出そうです。
第1段落の続きを読むと「ものづくり」の捉え方が「ひとびと」と「国」でそれぞれ違うという内容になっていて「背景」の話にはなっていません。ということは、この段落だけでは答えが出ないということになります。
③第1段落のおわりの文は「ものづくり」について述べられています。形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていくので、形式段落2も「ものづくり」の説明になっているはずです。
第2段落はじめは「国家の維持繁栄に不可欠」となっています。「国にとっての課題」に繋がりそうな内容です。
読み進めると「職人技を再評価し、製造業に活気をもたらすべき」「職人の上質の部品に価値がある」という内容があり、(傍線部Bとかぶりますが)「このような反省が『ものづくり』重視の傾向を生んだ」となっています。
「ものづくり」重視の傾向を生んだということは、「このような反省」によって「ものづくり」ということばが言われるようになったと考えられます。
まとめます。
「ものづくりは国家の維持繁栄に不可欠であり、そのために職人技を再評価し製造業に活気をもたらしたり職人の上質の部品に価値を認めたりするという反省(国にとっての課題)がある背景」
以上の内容になっている選択肢を選びます。
選択肢は後半(文末)から見ます。
①「大量生産から多品種少量生産へと転換」→品種の話などしていません
②「新しい機械と職人わざを融合」→融合するなど述べられていません
③「品質に優れた商品を提供するために職人わざを活用する」→「職人の部品に価値を認める」という内容と合っていますが、その直前の「商品に魅力を感じない」が確認した内容と違います
④「職人わざの意義を評価し直すことで製造業に活気をもたらす」→確認した内容と同じです
⑤「世界に通用する普遍性をもった職人わざを構築」→世界に通用する普遍性など述べられていません
問3
ポイントは1つです。
①指示語の指す内容は直前である。
以上を踏まえて考えます。
指示語の指す内容は直前にあることが基本です。今回も直前の内容です。
Bは問2で確認した内容です。入試問題において、設問の答えとなる部分が重なっていることは滅多にありませんが、今回は明らかに重なっています。こういうこともあるのだということは知っておいていいかもしれません。
Cは傍線部直前の内容です。問題ないと思います。
選択肢を見ます。
このタイプの設問は前半がBの内容、後半がCの内容となっていますので、確実に分かる方から見ても構いません。ただ、基本的には後半から見ることをオススメします。
①後半の内容は、傍線部C直前の内容と同じです
②「職人わざを見直す考えが徐々に浸透」→傍線部C直前の内容と違います
③「国家的な規模での経済効果が生じないことは明らか」→傍線部C直前の内容と違います
④「職人わざの獲得には長期の訓練が必要だという誤った認識」→傍線部C直前の内容と違います
⑤「職人わざが経済に好影響を与えるといった期待も多くの人にもたれていた」→傍線部C直前の内容と違います
問4
ポイントは3つです。
①「どうしてか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
→形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。
以上を踏まえて考えます。
①ポール・ヴァレリに言及した理由が問われています。
評論文において、引用は筆者の主張と同じであることが基本です。
引用=筆者の主張でした(詳しくは「文章の読み方⑤_さらなる武器 - 高校教員の徒然日記」で書いています)。
ですから、言及した理由は筆者の考えと同じだからだろうと答えの方向性が見えます。
②傍線部は形式段落のはじめにあります。この段落で説明がされるはずです(と言っても一文ですが)。
まとめであるおわり(傍線部が主語でその述語部分ですね)を見ると「『制作学』を提唱したが、それは上述の制作(技術)の哲学に相当する」となっています。
上述の制作(技術)とは第7段落後半で述べられた筆者の考えです。
やはり筆者の主張とポール・ヴァレリの言っていることが同じようです。
つまり筆者の「制作(技術)」の考えを補強するためにポール・ヴァレリを引き合いに出したのです。
次にどのような点が同じなのかを確認します。
③形式段落のおわりは次の形式段落に繋がります。形式段落7でポール・ヴァレリが出てきたので、次の段落は彼の説明になっています。
形式段落8の内容は難しいかもしれませんが、はじめとおわりに注目すると分かりやすいと思います。
はじめ…「感覚学の中に特別の領域(美学)を認め考察している」
おわり…「『美学』は『感覚学』の中心にある」
そして、このポール・ヴァレリの話から次の形式段落に繋がります。
形式段落10のはじめは「おなじように、一般的な『制作学』の中心に、芸術にかかわる『制作学』を想定することができる」です。
「○○の中心に○○があるとして考える」という形が同じです。
筆者は「『感覚学』の中心に『美学』があるとして考える」ように「一般的な『制作学』の中心に芸術にかかわる『制作学』があるとして考える」と言いたいわけです。
選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。
①「哲学的な思索の対象にはなり得ない」→確認した内容と違います
②「哲学的な思索によって体系化できないものになっている」→確認した内容と違います
③「特殊化された人間的ないとなみと考えられる」→確認した内容と違います
④「芸術的な制作を、考察の中心にしていこう」→確認した内容と同じです
⑤「国家権力の制約によって左右されてしまう」→確認した内容と違います
問5
「ものづくり」に対する筆者の考えが問われています。
本文が「ものづくり」について述べられたものですから、筆者の主張を読み取り、それとの内容合致問題だと考えます。
内容合致問題は基本的に一つ一つ本文に戻って確認するしかありませんので対策できません。
ただ今回の設問については、「設問の作り」から、本文の注目すべき部分が傍線部で問題になっていない形式段落3~7あたりではないかということが分かります(何を言っているのかよく分からない方は「マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記」をご覧ください)。
それらの段落に注目し「ものづくり」が主語になっているような箇所を押さえ、形式段落7のおわりの「つくること」の根源的なありかたを捉えることが重要だという筆者の主張を読み取ることができるといいでしょう。
問6
展開の問題も、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
ただ、ポイントとしては本文のおわりに注目するということはできます。
どんな展開の説明をしても最後を変えることはできないからです。
今回の最後はプラトンやアリストテレスたちの思索がポール・ヴァレリに受け継がれ、それと自分が考えたいことが同じなんだというように終わっています。
ここに注目して選択肢の文末(後半)を見ると②と③のみが残ります。
①や⑤のように「西欧の学問伝統を発展」させているのではなく、あくまで「受け継いでいる」わけです。
②と③に絞ることができたら、③の正答を導くことは容易だと思います。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。