文章の読み方⑤_さらなる武器
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
評論文が苦手!読んでるのに分からない!
小論文の課題文をどう読めばいいの?
そんな人はぜひ読んでみてください。
文章には、「読み方」があります。
もちろん漠然と読んでもいいんですが、文章を読んで問題に答えたり、小論文を書いたりする場合には、「ポイント」を押さえながら読む方が断然効率がよくなります。
言い換えると、しっかりと押さえるべき部分と軽く読み流してもいい部分とをはっきり区別できると、読むスピードも内容の理解度も大きく変わるということです。
現代文が得意!っていう人は無意識にこの読み方をしていることが多いんです。
ということで、「文章の読み方」について書いていきます。
第5回 さらなる武器
第4回までで文章を読むための基本的な考え方を伝えました。
今回、さらなる武器を皆さんに伝授して「文章の読み方」を終えたいと思います。
1.指示語
「これ」「それら」「あのこと」「どのような」などの「こそあど」言葉を指示語と言います。また、「前者」「後者」なども指示語の役割を果たしています。
どんな文章にも指示語が出てきます。これは絶対です。テーマとなる語句は本文中に何度も出てきますが、指示語で書かれることも多くなります。その場合に指示語の内容がテーマとなる語句だと分からなければ、その文章の重要な部分が読めていないということになってしまいます。ですから、文章を正確に読むためには指示語の指す内容を正確に押さえる必要があります。
ちなみに、センター試験や入試問題でも、指示語の指す内容さえ分かれば正解できるなんて問題は多数存在します。それくらい指示語は大切です。
では、指示語の指す内容を正確に押さえるためにはどうすればいいのでしょうか。
指示語の指す内容は、基本的に直前にあります。それは、指示語の指す内容が離れたところにあると、非常に読みづらい文章となってしまうからです。通常の文章は、そのようにはなっていません。
また、日常の会話でもそのことは明白です。指示語を使う場面では、直前で話題になっていることについて使うはずです。昨日話した内容を突然指示語で話したりはしません。突然、次のように話されたらどうですか?
「ねぇ、このことを本当に理解したの?」
いやいや、「このこと」って何?ってなりますよね。でも、次のように言われたらどうですか?
「注目することばについて教えたじゃない。このことを本当に理解したの?」
これだったら「注目することば」について理解したかどうかだって分かります。このように指示語の指す内容は基本的に直前にあります。ですから、指示語が出てくるたびに、その直前の内容をしっかりと確認してみてください。
ここまでの文章にもたくさんの指示語が使われています(「ここまで」も指示語です)。ちょっと意識して読んでみて、正確に内容を掴もうとしてみてください。
文章を読むためには、指示語の指す内容を正確に押さえることが重要です。
2.対比構造
文章にはテーマとそれに対する主張があります。筆者が何かを主張しようとするとき、主張に関することと何かを比べながら話を進めることが圧倒的に多くなります。
前回のブログで使った例を再度見てください。
「ねぇ、お母さん。スマホで勉強する方法があるんだよ。ものすごく評判がいいアプリがあって友だちもそれで成績が上がったんだって。でも、それをやるためには、今持っているスマホでは古くてできないんだ。それから、新しいスマホ用の料金プランもできて、それだと今よりも毎月の料金が安くなるんだって。あ、あとGPSの性能も上がって僕の安全面でも安心じゃない?」
「で、何が言いたいの?」
「つまり、新しいスマホを買ってってこと」
「新しいスマホを買って」という主張のために、多くのことと「新しいスマホ」を比べていることが分かりますね。以下に対比されている内容を挙げます。
新しい-古い
アプリが入る-アプリが入らない
料金が安い-料金が高い
GPSの性能が高い-GPSの性能が低い
より安全-(新しいものに比べると)危険
安心-(新しいものに比べると)不安
このように対比された内容がある場合、どちらか一方がテーマや主張に関することです。
そして、2つのことを対比することで、テーマや主張をより明らかにしたり理由付けしたりするわけです。
対比を見つけたら、どちらがテーマや主張と繋がるのかを押さえましょう。そうすることで、より文章が読みやすくなります。
また、対比構造を意識することの利点として「書かれていないことも分かる」ことが挙げられます。
先程のスマホの例でも、「今は料金が高い、危険、不安」などについて直接書かれていなくても読み取ることができます。
つまり、1つの文章から2倍の情報を得ることができるということです。文章内容を把握するときには情報が多い方がいいでしょうから、そういった意味でも「対比構造」に注目することは大切です。
評論文などでよく使われる対比には次のようなものがあります。
昔と今、東洋(日本)と西洋(西欧)、地方(田舎)と都市、子どもと大人、オリジナルとコピー、有機と無機、人間とコンピューター、自然と科学、時間と空間
「時間と空間」を除き、筆者の主張に近くなる傾向がある方を先に書きました。主張はある問題についてのものとなることが多いので、先に書かれているものがプラスの意味、後に書かれているものがマイナスの意味を持つことが多くなります。
次の表現が出てきた場合には、確実に対比になっているはずなので、何と何とを比べているのか、筆者の主張はどちらなのかを確認します。
前者と後者、一方と他方、Aに対してB、AむしろB
対比されていることのどちらかはテーマの説明か筆者の主張です。
3.具体例
多くの場合、筆者の主張は抽象的な表現になります。抽象的なことはぼんやりしていたり意味する内容が大きかったりするので、それだけでは説得力がありません。
そこで筆者は具体例で説明します。つまり、具体例は筆者の言いたいことを分かりやすく説明してくれている箇所だということです。
具体例が書かれるとき、次のような構造になっていることがほとんどです。
主張(抽象的な内容)→説明(具体的な内容)→主張(抽象的な内容)
Aを言いたい→分かりやすく言ったらこういうことだよ→改めてAだよ
具体例の前後には、その具体例を抽象化した筆者の主張が来るのです。
具体例の前後に主張があります。
4.引用
評論文では、偉人の言葉が紹介されることがあります。その理由は、偉人も筆者の主張と同じことを言っているからです。筆者の主張に反する言葉を引用したりはしません。自分の主張を補強するために偉人の言葉を引用するわけです。
つまり、引用=筆者の主張だということです。引用されている内容と筆者の主張のどこが重なっているのかを意識する必要です。
引用は筆者の主張です。
5回にわたって伝えてきた「文章の読み方」で文章を読むようにすれば、読む力が絶対に向上します。
ただ理解するだけではいけません。実際にこの方法で読んでみる演習が必要です。演習を繰り返しながら、たまにこのブログに戻ってきてポイントを再確認しながら、自然にこの読み方ができるようになることを目指しましょう。
文章を読む力、筆者の主張を読み取る力は学習に限らず、生きていく上で基本となる力です。
このブログが少しでも皆さんの役に立てたなら嬉しいです。頑張ってください。
では、今回はこれで終わります。
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