平成30年度(2018年度)_センター試験_国語第4問(漢文)_解説
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今回は、平成30年度(2018年度)センター試験国語第4問(漢文)の解説です。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
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どちらかでご準備をお願いします。
また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。
ぜひ読んでみてください。
では、始めましょう。
平成30年度(2018年度)センター試験国語第4問(漢文)は『続資治通鑑長編』からの出題でした。
まずは本文に出てきた知っておくべき重要漢字と句法の確認です。
さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。
Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。
重要漢字
平時 若 独 之 知 一日 いかん 相 何如 為 則 故 自 古 所以 能 者 得 如 而 負 以 雖 至 殆 不能 吾子
重要句法
不若A 未A
では、各設問の解説です。
問1 漢字の意味
X
「議」という漢字の持つニュアンスと文脈判断で考えます。
「議」を訓読みすることはできませんから、「会議」「議長」などの熟語から意味を考えましょう。
また、「世間が準を『議』はどうか」という疑問に「皆すぐに宰相になると言っている」と答えている文脈から、世間が準をどのように「判断しているのか」を聞いたと推測できます。
Y
「沢」は漢文でよく出てきます。「潤沢」の「沢」と覚えておきましょう。
あとは文脈判断です。「賢い宰相が功績を立て人々を『沢』できる理由は」だから、人々を潤わせている的なニュアンスをつかみましょう。
重要漢字以外は、漢字の持つ意味・ニュアンスと文脈判断で考えましょう。
問2 解釈
Ⅰ
古文漢文の解釈や「どういうことか」という内容説明問題は傍線部の直訳から考えるのが基本です。
傍線部を直訳すると「これを知っていた」です。
「これ」の指す内容は直前から「嘉祐」だと分かります。
選択肢では嘉祐がどのような人物か知っていたのかまで問われてるので、そこまで読み取る必要があります。
傍線部を含む一文を訳すと
「嘉祐は通常は愚かだけれども、寇準だけが『これを知っていた』」
と逆接で繋がっているので、「これ」の指す内容は「愚か」の逆の内容でありプラスのはずですね。
Ⅱ
多くの場合、漢文は、登場人物の紹介(出自や出身地、身分、性格)からはじまり、その後に舞台設定(いつの話か、どういう流れの時の話か)がなされ、主人公の逸話が続きます。
このことを踏まえると、傍線部の部分は登場人物の紹介が終わり、逸話が始まる前、つまり舞台設定の箇所だと分かります。
「いつ」の話かという舞台設定がされているわけです。
「寇準が都の『知』だったとき」という流れですね。
「知」とは今でも都知事、県知事、道知事と使われていますね。「知事」のことです。
漢文の流れの多くは「登場人物の紹介(出自や出身、人柄など)→舞台設定→逸話」だということを知っておきましょう。
指示語や接続語を意識して読みましょう。
問3 書き下し文・解釈
(ⅰ)書き下し文
一文目には「不若A」「未A」「為」「相」の重要句法と重要漢字があります。
「不若A」は「Aニしかず」の比較と見た瞬間に分かってもらいたいところです。
「未A」は再読文字でAには用言が来ます。
このAに当たる部分に「為」があります。「為」には多くの読みがありますが、ここでは用言の読みだと分かります。
「相」が文脈から「しやう(宰相)」と分かれば「相と為る」と判断できます。
以上から一文目の読みが分かり、これで正答を導けます。
一応、二文目も見てみましょう。「為」「相」「則」が重要漢字です。
「則」は多くの場合「レバ則チ」の形を取ります。
一文目と同じように考えると「相を為れば則ち」は分かりますが、選択肢を見るとこれだけでは正答を導くことはできません。
やはりポイントは一文目の句法が分かるかどうかだったということです。
なお、今回は後半の「誉望損」が選択肢で読みが限定されていますが、されてなかった場合のことを伝えておきます。
①傍線部は会話文の最後にあります。
②次の会話文が「何故(どうしてか)」という疑問だから、その次の会話文が傍線部に対する理由になります。
ということは、傍線部に関することが述べられるはずです。
③次の会話文の最後に「誉望損」が出てきて読みが分かります(傍線部Cになっています)。
このように会話の流れを押さえるとヒントになることがありますよ。
というか、会話文が続くときは「話の流れ」をしっかり押さえましょう(これは小説や古文も同じです)。
漢文は対句表現なども多用されるので、傍線部だけで分からない場合はどこかに似たような表現がないか探すことも有効です。
とにかく重要句法と重要漢字を覚えなければいけません。
ただその数は多くありませんから、本気で取り組めばあっという間に覚えることができるはずです。
漢文の構造である「S+V+C・O」を意識しましょう。
(このブログでは、Sは主語、Vは述語(用言)、Cは「~に・と・より」の部分、Oは「~を」の部分を示しています)
特に大事なのは「V」です。どの漢字が「V」を意識して読むようにしましょう。
(ⅱ)解釈
(ⅰ)の書き下し文が分かれば容易です。
そのまま直訳すれば正答を導けます。
「不若(如)A」の比較の構文には訳し方が2パターンあります。
どちらのパターンで選択肢が作られているか分かりませんので、どちらも使いこなせるようにしておきます。
「A不如(若)B」=「AハBニしカず」
パターン1…AはBに及ばない
パターン2…AよりもBの方がよい
記号では覚えにくいでしょうから「百聞不如一見」で覚えましょう。
百聞は一見に如かず
パターン1…百回聞くことは一回見ることに及ばない
パターン2…百回聞くより一回見る方がよい
もし、書き下し文が分からなかった場合は文脈で考えるしかありません。
(ⅰ)で説明したように直後に「何故」と理由が問われていますから、その次の会話文の内容から傍線部の内容を判断することができます。
とにかく重要句法と重要漢字を覚えなければいけません。
会話文の流れを意識することも重要です。
問4 内容理解
傍線部を含む一文を直訳すると「だから、言葉は聴かれ計画は従われ、そして功績のある名はともにすばらしくなる(あくまで直訳だから分かりにくいが、これで十分です)」となります。
傍線部直前の「故ニ(だから)」から、「だから」の理由が答えの根拠となりそうです。
直前の内容は「昔から賢相が功績を立て人々を潤沢にできるのは、君主と家臣の関係がきわめて良好だからだ」です。
傍線部の「ともにすばらしく」というのが、文脈から君主と家臣(賢相)であること、宰相の役割が君主への助言であるという漢文常識を踏まえると、宰相の言うことを君主が聞き入れるから世の中がよくなり功名が立つという流れが分かります。
まずは傍線部を含む一文を直訳しましょう。
指示語や接続語(接続詞)を意識することが重要です。
問5 理由説明
傍線部を直訳すると「私が名誉が損なわれることを恐れる理由だ」です。
傍線部は会話文の最後にありますから、この会話文のまとめが傍線部だと考えます。
この会話文の内容は「名誉が損なわれる理由」だと分かります(問3でも確認したことです)。
問4で確認した内容、それに続く一文(傍線部Cの直前の内容)を確認すれば容易に分かります。
この際、注をしっかりと確認することも大事です。
会話文の最後は、その会話文のまとめだという意識で読みましょう。
訳せれば正答を導ける設問だと分かります。
「注」は必ず確認しましょう。答えの根拠となることが書かれている場合があります。
(注を見ていないと答えを導けないなんて場合もありますから、必ず確認をしましょう)
問6 内容説明
内容説明や解釈問題は、傍線部を含む一文の直訳からはじめるのでした。
傍線部を含む一文を直訳すると「元之は文章は世の中で有名だといっても、深く考えることにおいては、ほとんどあなたに勝ることはできない」です。
簡単にいうと「あなたの父親である禹偁はあなた(嘉祐)にかなわない」ということですね。
どういう面でかなわないかというと「深く考えること」においてです。
以上が傍線部の直訳から分かることです。
これを踏まえて選択肢の後半を確認すると、当てはまるのは④しかありません。
前半を確認しても本文全体の内容と合っています(訳すことができていれば間違うことはありませんね)。
直訳が基本であることを忘れてはいけません。
最後の設問は文章全体の内容を問うているという意識を持ちましょう。
この話から知っておいて欲しい漢文常識
設問の解説でも触れましたが、もう一度2つのことを確認します。
①漢文の文章における一般的な構造
登場人物の紹介(出自や出身地、身分、性格)からはじまり、その後に舞台設定(いつの話か、どういう流れの時の話か)がなされ、主人公の逸話が続きます。
今後、これを意識して漢文を読んでみてください。
多くがこのようになっていることが分かります(随想やや評論的な漢文は別ですが)。
話の流れのパターンを知っておくと、格段に漢文が読みやすくなります。
②「宰相」の役割
漢文でよく出てくる「相(宰相)」は、君主(皇帝・王)を補佐する最高位の官吏(役人)のことです。
厳密には違いますが、現日本の内閣総理大臣のようなものだと押さえておきましょう(実際に多くの政治的判断をしていますよね)。
君主が政治をするときに、助言をする人物だということです。
だとすると、君主と宰相の関係がどのようであることが望ましいかというのは明白です。
どんなときでもしっかりと助言できる関係を持っているかどうかが重要になります。
そのためには信頼関係があることが条件となります。
このようなことを知っておくだけで、今回の漢文は読みやすくなりますよ。
センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた漢字や句法を押さえること、そして漢文常識を知っていくことです。
他の年度でもそれを意識して学習しましょう。
ただ、漢文の文章は比較的短く、過去問だけでは受験に必要な重要漢字や重要句法をカバーすることは難しいので、暗記事項は別に学習することをオススメします。
頑張ってください。
では、これで終わります。
センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利ですよ。
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センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策なので古文漢文にも通じる部分が多いくなっています。