高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

名寄市立大学_小論文_平成30年度_一般入試前期日程

こんにちは。きんこです。

 

名寄市立大学(平成30年度前期日程)の小論文の解説です。


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ご覧になっていない方はぜひご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

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では、解説を始めます

 

今回の課題文は、「私たちはどのように働かされるのか」伊原亮司著です。


問はこうなっています。

 

多様な生き方や働き方を認める社会について、あなたが考えることを800字以上1000字以内で述べなさい。 

 


1.テーマは「多様な生き方や働き方を認める社会」だと考えられるから、課題文で筆者がこれについてどのように述べているかを意識しながら読みます

 

設問の「○○について」の部分が課題文のテーマになっていると考えるのでした。

ですから「多様な生き方や働き方を認める社会」について筆者がどのように述べているかを意識して読み進めます。

 

私が注目した部分です。


第1段落

 

職に就いている人、職からあぶれた人も総体としての労働社会を支えている。

職からあぶれた人のおかげで柔軟な雇用調整が可能である。

職を得られていなくても労働社会を支えている。 

 

第2段落

 

働く気がない人もいるが、社会は「あそび」があることで機能する。

新しい産業やイノベーションは遊び心からはじまる。

働けない人や働きたくない人は、社会を維持させる点、社会を持続的に発展させる点で一定数必要である。(これが第1段落、第2段落のまとめです)

 

第3段落

 

私たちは市場原理などの一元的な基準で評価されるべきでない。

社会への関わりは多面的であり多元的である。

多様な生き方を認めない寛容度の低い社会は文化的な成熟さを欠き、ゆがんだ形で社会を「活性化」させる。

 

第4段落

 

働く機会を奪いあう社会ではなく、皆に仕事を「負担させる社会」にすればいい。

そのような社会にするためには、負担の偏りや労働の過不足を確認し会う機会を持ち、職場規律を自分たちで再構築することが欠かせない。

なによりも、誰もが働ける職場環境をつくることが先だ。 

 

第5段落

 

これからは一部の人が富を占有し、残りの報酬と仕事を奪いあう社会ではなく、それらを「分かちあう社会」、本当の意味で多様な働き方を実践できる社会を、〈働くこと〉に対する様々なスタンスを認め合う社会、すなわち「成熟した労働社会」を希求すべきだ。

(これが筆者の主張です) 

 


2.読み取った内容からテーマに沿って筆者の主張をまとめます

 

これは課題文最後の一文で明確に述べられています(上記の第5段落)。

多様な生き方(スタンス)や働き方を認める社会を希求するべきだ。

 

 

3.筆者の主張の理由をまとめます

 

働けない人や働きたくない人は、社会を維持させる点、社会を持続的に発展させる点で一定数必要だ

社会への関わりは多面的であり多元的であり、多様な生き方を認めない寛容度の低い社会は文化的な成熟さを欠き、ゆがんだ形で社会を「活性化」させる。

 


4.以上の内容をまとめます(テーマに沿った課題文の要約)

 

 

働けない人や働きたくない人は社会を維持させる点や社会を持続的に発展させる点で一定数必要である。また、社会への関わりは多面的、多元的であり、多様な生き方を認めない寛容度の低い社会は文化的な成熟さを欠き、ゆがんだ形で社会を「活性化」させてしまう。そのため、これからは皆で仕事を負担したり報酬や仕事を分かちあったりするといった、多様な生き方や働き方を認める社会を希求すべきである。(187字) 


もっと短くまとめるとこうなります。
  

 

多様な生き方や働き方を認めることで、社会は維持、発展する。だから、そのような社会を希求しよう。 

 


6.以上の筆者の主張を踏まえて、自分の意見を決めます

 

筆者が述べるような社会に賛成か、反対かという立場を決めます

 

賛成の方向性で述べることが望ましいでしょう。

筆者の意見に反対できるだけの材料を持っているのは難しいと思います。

(明確な根拠をもって反対できそうならそれでも大丈夫ですが、このブログでは賛成の方向で考えていきます)

 

 

7.自分の意見の根拠を具体例を交えて考えます

 

まずは身近な例からはじめて、それを抽象化していく形で社会に繋げていきましょう

 

多様な考え方や在り方があったからプラスになったような体験は誰しもが持っているのではないかと思います。

 

高校生はまだ働いていないので学校行事や部活動など学校生活で代用しましょう。

アルバイト経験があるなら、そこから体験を述べてもいいでしょう。

 

ここでいう「プラス」というのは「さまざまなスタンスがあって」「皆で負担して」「分かちあって」うまくいった(発展した)という例です

 

本文で述べられていることと関連づけることができるような体験にします


一部だけでなく多くの人がいるから成果が出る、遊び心を持っている人がいると余裕が生まれる、遊び心からイノベーションが起きる、などは関連づけやすいですね。

 

書き方としては「認めていなくて上手くいっていなかった→認めたことでうまくいった」という流れが分かりやすいと思います(課題文の維持、発展などと絡めやすいはずです)。

 

 

8.7で考えた体験を抽象化していきます

 

7で考えた学校生活(アルバイト)の体験を社会へと発展させて考えていきます。

 

社会は、学校やアルバイトよりもシステムが複雑であったり、より多様な人がいるはずですから、多様な生き方や働き方があった方が具体例として挙げた自分の体験よりも、さらにプラスになるはずだという流れで書けそうです

 

 

9.テーマに対する自分の意見をまとめます

 

以上の内容を踏まえ、改めてテーマに対する自分の意見をまとめます。

多様な生き方や働き方を認める社会はどのような社会なのか、なぜそれが望ましいのか(どういうプラス面があるのか)をしっかりまとめましょう

 


以上の内容を考えたら次のような構成で書いてみましょう

 

 

第1段落 テーマに対する筆者の主張をまとめる

第2段落 テーマに対する自分の意見と簡単な理由を書く

第3段落 自分の意見の理由を体験を交えながら書き、抽象化して社会にまで広げる

第4段落 再度テーマに対する自分の意見をまとめる(今後の自分と繋げた内容を書いてもいいが長くは書かない)  

 

このような流れで考えると書けると思います。

題材やテーマが変わったとしても、同じ流れで考えをまとめることができるようにするといいと思います。

 

 

では、最後に大事なことを確認しておきますね。

 

まず、設問に答えるということです。

自分の意見が、問われていることに対する答えになっているかをしっかり意識します。

これだけは絶対に意識しておかないといけません。問に対する答えになっていなければどんなにいいことを書いても0点になってしまいます…。

 

次に、設問からわかるテーマに沿って課題文の内容を把握することです。

名寄市立大学の場合、筆者の主張と自分の意見が同じ方向になることが多いでしょう

 

最後に、自分の意見の理由は身近な例から考えつつ、課題文で述べられている内容を関連づけ、身近な例を抽象化してテーマに繋がるようにまとめるということです。

名寄市立大学の場合、何かのデータなどで論じることが難しいテーマが多いので、身近な例を挙げることになります。

 

以上の3点を抑えてあれば内容は大丈夫でしょう。

 

書き方、表現などはブログではどうしようもありませんので、身近な方(学校の先生など)に添削してもらうことをオススメします。

自分では良い文章か良くない文章かの判断は難しいものですからね。

 

入試、頑張ってくださいね


では、終わります。

 

今回以外の名寄市立大学の小論文の記事については、こちらからご覧ください。

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