2018年度高1進研模試7月(総合学力テスト)_国語_第1問(評論)_解説
こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、2018年度高1進研模試7月(総合学力テスト)の国語、第1問の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記
この読み方、解き方を徹底することで模試で点数を取ることができます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
ご自分で用意してください。
実際に受験した方は持っていると思います。
受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
(進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)
形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題に形式段落番号を記入してください。1~21までになります。
では、始めます。
問1 漢字
すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。大学受験を考えると漢字検定2級レベルまで完璧にしたら漢字は大丈夫です。
漢字学習をどうやっていいか分からない方は漢字検定をベースに学習をするといいでしょう。
なお、漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので、飛び級はオススメしません。4級、もしくは3級から学習を始めましょう。
ちなみに、今回の漢字aは準2級、bは6級、cは4級の範囲に該当する漢字です。
問2 内容説明
ポイントは3つです。
①形式段落のおわりの部分にある。
②傍線部中に指示語がある。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。
傍線部は形式段落7のおわりにあります。
形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」です。
この段落は何の話をしているのか、形式段落のはじめを見て確認します。
すると「実はこれこそ、動物が本来もっている能力です」とあるので、「動物が本来もっている能力」の話をしていたことが分かります。
つまり、傍線部にある「その能力」はこの「動物が本来もっている能力」なわけです。
では、「動物が本来もっている能力」とはどのような能力かというと、「これこそ、動物が本来もっている能力」なわけですから、「これ」の指す内容です。
指示語の指す内容は基本的に直前というルールと、形式段落のはじめは前の形式段落のおわりから繋がっているというルールとの2つから、形式段落6がその内容だと判断します。
形式段落6は一文ですので、それをまとめると「その能力」です。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象を見つめる能力」となります。
形式段落7の中程では、具体的に説明されていて「今ここに注意を払っている」という表現があり、これは先ほどの後半「見つめる」の言い換えとできますから「注意を払う」に変えます。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象に注意を払う能力」
設問は「その能力」が「錆びつ」いた状態の説明ですから、「能力が衰えた状態」と答えます。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象に注意を払う能力が衰えた状態。」
これでも十分答えとしてはいいのですが、もう一歩いってみましょう。
形式段落6は前の段落から続いています。では、形式段落5のおわりはどうなっていますか。「無所住心」のことを述べていますね。つまり、形式段落6は「無所住心」の話だったわけです。だとすると、「能力」とは「無所住心」のことだと分かります。
形式段落5のおわりに「無所住心」のことが述べられているのですから、この段落で説明があったはずですね。中程にあります。「今の現在、何が起きているのかに、万遍なく注意を払うのが、『無所住心』です」
これって先ほどの答えの後半とほぼ同じことを言っていて、こっちの方が分かりやすそうです。こっちを作って答えを作ってみましょう。
「過去と未来に注意を向けずに、今現在何が起きているのかに万遍なく注意を払う能力が衰えた状態。」
問3 理由説明
ポイントは1つです。
①形式段落のはじめの部分にある。
→この段落で説明がされていくはずである。
「腹が立たない」理由が問われています。
形式段落のはじめにあるのだから、この段落で説明がされていくはずです。おわりを確認しましょう。
「『無所住心』で眺めればいいのです」
これが傍線部の理由です。「無所住心」でいるから腹が立たないわけです。
では、「無所住心」で眺めるとはどういうことなのでしょう。そういう意識で読み進めると形式段落10が目につくはずです。
「『無所住心』で眺めていると…」と始まっています。
ポイントは2つでしょう。1つは「冷静に受けとめられる」こと。もう1つは「今ここ、今現在を公平に楽しむ」こと。
このことが述べられている選択肢を選べばよいのです。
選択肢は文末から見ます。今回は文末だけで答えが出ますよ。
1 「意見の弱点を発見できる」→確認したポイントと違います
2 「どんな意見も冷静に受け入れる」→受けとめることと受け入れることは違いますよ
3 「反感を捨て去ることができる」→確認したポイントと違います
4 「会議中に述べられた意見だけ」→「今ここ」に該当します
「冷静に検討できる」→「冷静に受けとめられる」に該当します
ちなみに、形式段落9を「具体例」の段落として読むこともできます。
具体例の前後にはまとめがあるのでした。
「無所住心→形式段落9の具体例→無所住心」という作りですね。
ですから、形式段落9の具体例も無所住心の説明です。もちろん「今ここ、今現在を公平に楽しむ」の説明になっています。これをヒントに考えることもできます。
このように「文章の読み方」をマスターしていくと、その1つ1つが絡んで文章になっているということが分かってきます。読みながら「これはあの構造だ」と意識できるまでになったら評論は余裕ですよ。
問4 内容説明
ポイントは1つです。
①設問と傍線部をしっかりと読む。
最も基本的なことですが、何が問われているのかを確実に押さえます。そして、傍線部の問題なのだから傍線部をしっかりと読みます。
今回は「このようにならないために仕事はどうすればいいか」が問われています。
つまり、傍線部にある「自分の内面ばかり考えていると小賢し」くなってしまうから、そうならために仕事はどうすればいいか、が問われているということです。
どうすればいいかなんて簡単ですね。自分の内面ばかり考えなければいいのです(内面ばかり考えるから小賢しくなるんだから考えなければいい)。
では、これを「仕事」に当てはめてみましょう。
「仕事」の話題は形式段落12からです。先ほどの「自分の内面ばかり考えなければいい」という答えの方向性を意識して読むと形式段落12~14あたりで同じようなことを述べていることが分かります。
「目の前の仕事を一生懸命やると自分のことではなく意識と注意が外に向く」状態になると読み取れますね。
このことが述べられている選択肢を選べばよいのです。
選択肢は文末から見ます。今回は文末だけで答えが出ますよ。
1 「仕事の全体像が生き生きと見える」→確認した内容と違います
2 「自分の心身の在り方にとらわれなくなった」→「自分のことではなく意識と注意が外に向く」に該当します
3 「逆に楽しめる」→確認した内容と違います
4 「本当にしたいことに着手できる」→確認した内容と違います
問5 論旨理解と作文
これは文章の読み方のまとめの問題です。
文章の読み方の目的は、文章の主張を読み取ることです。そのために文章がどのような作りになっているのか、どのような技法があるのを伝えたのが「文章の読み方」です。
文章の読み方で今回の文章を大きく読み取ると次のようになります。
はじめ…人の注意は過去と未来に向けられている。
おわり…小さな考えになってしまいダメだ。
筆者は「注意を過去と未来に向ける」ような態度ではダメだと言っています。
それで、中程の説明でそうならないためにどうすればいいのかを述べています。
それが「無所住心」であり、眼前の仕事に集中することであり、自分を規定しないことです。
今回の場合は、この中程の部分が筆者の主張になります。
このことを踏まえて設問のA君、B君の会話を読んでいくのです。
A君は「今のままで良い」と言っています。違いますね。筆者の主張は「自分を規定してはいけない」のです。それは形式段落16(「規定」について段落)にあるように、「どんな人間にも変えていけるから」です(これが空欄Xの内容です)。
だから、「今現在の自分を受け入れる(自分を規定する)」という考えに、こだわったりとらわれたりする必要はないのです(これが空欄Yの内容です)。
問6 論の展開
ポイントは1つです。
①論の展開の問題は最後に注目する
論がどのように展開しているかについては様々な説明の仕方ができます。しかし、最後の部分(行き着く先)だけは変えることができません。ですから、本文の最後、そして選択肢の最後を確認し同じになっているかを見ることで解くことができます。
今回の文章の最後はどうなっているかというと、「小さな考えが増殖していく」という問題を述べて終わっています。
このことが文末で述べられている選択肢を選べばよいのです。
選択肢を見てみましょう。
1 「心の在り方はどうすれば回避できるか」→確認した内容と違います
2 「この生き方(無所住心)に戻るべきだ」→確認した内容と違います
3 「問題点について説明」→問題について述べていました
4 「前者の状態を理想とすべき」→確認した内容と違います
いかがでしたか。
「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」でお伝えしたことで解けることが分かったと思います。
現代文(評論)でやるべきことはこれらの読み方、解き方をマスターすることです。
そのためには「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」を繰り返し熟読し、あらゆる問題でこれらの方法を試すことです。その繰り返しをしていれば、この読み方が自然となります。そこまでいけば、評論対策は必要なくなるでしょう。
高1、高2の模試では文章の読み方の基本が問われていますので、これらの力をつけるにはもってこいの教材です(今回の模試は微妙ですが…)。
国語の学力は上げることができますからね!ぜひ武器にしてみてください。
今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。
要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。
検討を祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。