高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試B日程(3月3日)_第2問

こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試B日程(3月3日)の国語、第2問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『政治権力の諸問題』丸山真男 著 です。

 

【解答】

 

問1

  • (1)慣性  (2)傾斜  (3)契機
    (ア)しさ  (イ)そうさい

問2

  • A.ウ  B.イ  C.ア  D.イ

問3

  • 物理的強制手段

問4

  •  

問5

  • X 人間あるいは人間集団が持つ権力そのものという実体だ(25字)
    Y 人間あるいは人間集団の相互作用関係にあるものだ(23字)

     

問6

  • 体制が固定的で社会的流動性が乏しい国や時代では実体的権力概念が支配的で、社会集団の自発的形成とその間の相互牽制作用が活潑な国や時代では関係的権力概念が勃興する。(80字)

     

問7

  • 立憲主義では支配者ではなく制定された憲法を重視する政治のあり方となり、自由民主主義は支配者よりも服従者の意見を重視する政治のあり方となるから。(71字)

  •  

    関係概念は支配者と服従者の相互牽制作用により勃興するものだが、立憲主義自由民主主義では、支配者ではなく、制定された憲法服従者の意見が重視されるから。(76字)

  • 立憲主義自由民主主義では、支配者が一定不変の権力を持つということにはならず、制定された憲法服従者の意見が重視され、相互牽制作用がはたらくから。(73字)
  • 立憲主義自由民主主義では、支配者ではなく、制定された憲法服従者の意見が重視される政治のあり方となるため、支配者と服従者の相互牽制作用が必然的に生まれるから。
    (80字)

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(語句)

 

  • 語句の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断できることがほとんどです。まずは、空欄を含む一文をしっかり確認し、何について述べている一文なのかを確認します。その上で、どのような語句を補充するのが適切か考えます。

     

  • Aは、形式段落2のはじめにあります。ということは、形式段落2では空欄Aに入る語句について述べていくと考えられます。ただ、形式段落2の内容を読んでも、選択肢から正解を判断することは難しそうです。そこで、形式段落1を確認します。なぜなら、当たり前ですが形式段落1の話の続きが形式段落2だからです。形式段落1の内容は、中程にあるように「政治権力を整理し、それを通じて、権力論を提示しますよ」です。ということは、形式段落2以降で「政治権力」についての整理、説明がなされると考えられます。正解は「政治権力」です。
  • Bは、空欄Bを含む一文を見ると「(B)の発展と社会的激変から興った社会物理学は、こうした自然と社会の一元的な法則かをすすめた」となっています。「は」は「イコール」を表すので、前半と後半の内容はイコールの関係だと分かります。すると、前半は「(B)と社会」、後半は「自然と社会」となっていることが分かります。(B)には「自然」に関する語句が入ると判断できます。正解は「自然科学」です。
  • Cは、形式段落2の終わりにあります(最後の一文は具体例だから考えない)。ということは、この段落のまとめとなっているはずです。この段落が何について書かれていたかを確認するために段落のはじめを見ます。すると、「政治権力」について説明するために「力学的な法則」についての説明がされていることが分かります。その後もずっと「力の法則」について書かれていることが分かるので、「力の法則」が正解となります。
  • Dは、空欄Dを含む一文を見ると「C・フリードリヒは権力概念を実体概念としているけれども、マルクスたちは権力についての(D)を前提にしている」となっています。「けれども」は逆接を表すので、前半の「実体概念」と(D)は対比関係になっているはずです。「実体概念」と対比されているのは、形式段落3のはじめの一文から「関係概念、函数概念」です。「関係概念」が正解です。

 

問3 内容把握(語句の抜き出し)

 

  • 傍線部aを含む一文は「社会権力は、物理的世界に働く盲目的な力と区別される」です。ただ、直後に「しかし…物理的世界における力学的な法則を適用することは全く無意味ではない」と続いており、傍線部aは「区別はされるけれども関係性はあるというものだ」と捉えることができます
  • 傍線部aの直後には(physical power)とありますが、ここから「物理的な力」「物理力」としてはいけません。抜き出し問題なのに答えが複数になってしまいますし、これでは「盲目的」のニュアンスがないと考えられます。
  • というわけで文章を読んでいくことになるのですが、ここでは、形式段落の作りが「まとめ→説明→まとめ」となっていることを意識して読んでみます(形式段落のはじめと終わりは同じ内容になっているはずです)。この形式段落の最後の方に注目すると、空欄Cを含む文の後半が「社会権力と物理力の相違をやかましくいう必要はない」、つまり、この2つには「関係性があるとみなしてもいい」という内容になっています。続く一文はこの具体例となっており「『物理的強制手段』が(自然と区別された)社会関係によって媒介された概念だ」です。「物理的強制手段」は、社会関係とは区別されているけれど、媒介はされている(関係性はある)ということなので、「物理的強制手段」が答えとなりそうです。aの直後の「physical power」も「物理的」でカバーできますし、「盲目的」のニュアンスも「強制」でカバーできそうです。これらのことから「物理的強制手段」を解答とします。

 

問4 空欄補充(文)

 

  • 再び空欄補充です。

     

  • 空欄(あ)を含む一文は「これに反して」から始まっているので、直前の一文との対比です。直前の一文は「平衡は保ちにくいが、一旦バランスを保つと安定度は高い」です。(あ)の方は「平衡が成立するが、(あ)」です。直前の文とキレイな対比になっていますね。(あ)には「安定度が低い」という内容が入るはずです。この時点で選択肢はイかエとなります。イは「平衡がくずれる」となっており良さそうです。エは「平衡はくずれたままになる」となっており、ある意味安定していることになってしますからダメです。イが正解です。

 

問5 内容説明

 

  • 「関係概念あるいは函数概念としての権力」の説明が問われています。フレームが示され、2つの空欄に適切な文を挿入します。本文中の語句を用いるという条件もついています。

     

 

空欄X

  • 「権力とは、(X)、と考えるのでなく」となっているので、「関係概念としての権力」と対比的に書かれているものが入ります。この文章で「関係概念」と対比されているのは傍線部bの1行前にある「実体概念」です(傍線部bを含む一文の中程に「これに対して」という言葉からも明白です)。ということは、(X)には「実体概念としての権力」の説明を入れればいいということになります。形式段落3の一文目からが、この説明となっています。

 

人間あるいは人間集団が「所有」するもの(19字)
具体的な権力行使の諸態様の背後にいわば一定不変の権力そのものという実体がある(38字)

  • どちらも、このままでは25字以内という制限字数に合わないため、1つめの内容の「所有」を、2つめの内容を使って言い換えます。

 

人間あるいは人間集団が持つ権力そのものという実体だ(25字)

  • 制限字数も合っているので、これを解答とします。

 

空欄Y

  • こちらは「関係概念あるいは函数概念としての権力」の説明の方です。傍線部b直前の内容です。

 

具体的な状況における人間(あるいは集団)の相互作用関係において捉える(力)(35字)

 

  • これを制限字数に合わせます。その際、空欄Xと対比関係にあることも意識してまとめます

 

人間あるいは人間集団の相互作用関係にあるものだ(23字)

 

  • これを解答とします。

 

問6 内容説明

 

  • 線部以降で、傍線部c「権力現象」の傾向を歴史的観点からどのように説明しているかが問われています。「傍線部以降」「歴史的観点」という条件を見落とさないようにしましょう

     

  • 傍線部以降を読み進めると、「たとえば歴史的に見ると」から始まる部分に注目できるはずです。ここを確認します。

 

一般に体制が固定的で階級的あるいは社会的流動性が乏しい国ないし時代には実体的権力概念が支配的である。→A

 

  • さらに読み進めると、「これに対して」とあり、対比的に書かれているものがあることが分かります(問4でも確認したとおり、「実体概念」と「関係概念」との対比です)。

 

社会集団の自発的形成とその間の複雑な相互牽制作用が活潑に行われているような国ないし時代には、関係的=函数的な権力概念が勃興する。→B

 

  • AとBをまとめて解答とします。

 

体制が固定的で社会的流動性が乏しい国や時代では実体的権力概念が支配的で、社会集団の自発的形成とその間の相互牽制作用が活潑な国や時代では関係的権力概念が勃興する。(80字)

  • なお、「関係的権力概念」の説明で「政治権力による社会的価値の独占性が相対的に低く、コミュニケーションの諸形態が発展し」をカットしました。それは「実体的権力概念」の説明で「政治権力の専制性や暴力性を強調する考え方が実体概念と結びついて来た」の部分をカットしたことに合わせたからです(こちらは「実体的権力概念」の説明というより、「実体概念」との結びつきの説明となっているためカットです)。どちらも「政治権力」について書かれているので、対比構造を考えると、カットするなら両方カットするのが自然です。 

  

問7 内容説明

 

  • 傍線部d「立憲主義自由民主主義」だと、なぜ関係概念で権力を説明するのかが問われています。しかも、「自分なりの言葉で考えて」という条件がついています。つまり、本文中の言葉をつなぎ合わせた解答にはならないはずだということです。

  • とはいえ、解答の方向性は本文から考えなければいけません。すると、傍線部の直前が「服従心理的契機や、服従者の行動様式の指導者(あるいは支配者)に対する逆作用を重視するから」と、思いっ切り理由が書かれています。「服従心理的契機や服従者の支配者に対する逆作用を重視するから」という内容が理由となりそうです。これを「立憲主義自由民主主義」に当てはめて考えます。

  • まず、この2つの言葉の意味を確認します。

 

立憲主義憲法を制定し、それに基づいて政治を行うとする考え方。
自由民主主義…構成員の多様な意見や政策が自由な議論と選択によって集団の意志決定に反映されるような政治を行うとする考え方。

 

  • 立憲主義は、支配者ではなく憲法服従するということです。「服従心理的契機」が「支配者」に向かわず「憲法」に向くという点で、実体的権力概念とは異なりそうです。
  • 次に、「自由民主主義」は、支配者ではなく、服従者の意見が重視されるということです。これが「服従者の支配者に対する逆作用を重視している」ということになりそうです。
  • また、問6で確認したように、関係概念は支配者と服従者の相互牽制作用により勃興するものだということも確認しておきます。
  • これらのことを踏まえて、次のような解答となります。いくつかのパターンを示します。

 

立憲主義では支配者ではなく制定された憲法を重視する政治のあり方となり、自由民主主義は支配者よりも服従者の意見を重視する政治のあり方となるから。(71字)

 

  • このパターンのみ「相互牽制作用」には触れていませんが、これで十分だと思います。

 

関係概念は支配者と服従者の相互牽制作用により勃興するものだが、立憲主義自由民主主義では、支配者ではなく、制定された憲法服従者の意見が重視されるから。(76字)

 

立憲主義自由民主主義では、支配者が一定不変の権力を持つということにはならず、制定された憲法服従者の意見が重視され、相互牽制作用がはたらくから。(73字)

 

立憲主義自由民主主義では、支配者ではなく、制定された憲法服従者の意見が重視される政治のあり方となるため、支配者と服従者の相互牽制作用が必然的に生まれるから。(80字)

 

 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

長野大学の他の問題の解答解説については、こちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試B日程(3月3日)_第1問

 こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試B日程(3月3日)の国語、第1問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『なつかしい時間』長田弘 著 です。

 

【解答】

 

問1

  • (1)露出    (2)野暮  (3)無愛想
    (ア)ごうまん  (イ)しりょふんべつ

問2

  • ア.A  イ.B  ウ.A  エ.B

問3

問4

  • A.イ  B.ア  C.エ  D.ウ

     

問5

  • 同席しないこと。(8字)
    衝突すること。(7字)
    喧嘩すること。(7字)

    (別解)
    問題を引き受けない。(10字)
    心を決めない。(7字)
    先延ばしにする。(8字)

     

問6

  • X たがいに向き合って問題を差しだしあって話す(21字)
      (別解)たがいに向き合って違ったものの見方をかさねる(22字)
    Y 問題を引き受け、心を決め、言葉で考えを伝える(22字)
      (参考)問題に対する自分の考えを確定し、言葉でそれを伝える(25字)

     

問7

  • ア.A  イ.B  ウ.A  エ.A  オ.B

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(語句)

 

  • 語句の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断できることがほとんどです。まずは、空欄を含む一文をしっかり確認し、何について述べている一文なのかを確認します。その上で、どのような語句を補充するのが適切か考えます。

     

  • 空欄(ア)~(エ)に「会話」か「対話」のどちらかを入れます。
    すべての空欄が形式段落3にあるので、空欄を含む文をすべてまとめて考えます。

 

コミュニケーションの手段が多様になり、(ア)は豊富になった。

けれども(逆接)、(イ)はどうか。

(ウ)が豊富になったぶん、(エ)は貧しくなった。

  • この構造を見ると、(ア)(ウ)は豊富になったものであることから同じ語句が入ることが分かります。また、(イ)は(ア)と逆接で繋がっているので、(ア)とは違うものが入ることが分かります。同じように(エ)も貧しくなったものなので、(ア)と違うものが入ります。つまり、(イ)と(エ)は同じ語句が入ります。
  • (ア)(ウ)→豊富(プラスのイメージ)
    (イ)(エ)→貧しくなった(マイナスのイメージ)
  • では、この文章において、マイナスのイメージで書かれているのは「会話」「対話」のどちらでしょうか。形式段落7を読むと、「対話は遠ざけられてしまった」という内容があるので、マイナスのイメージ(貧しくなった)の方に合致します。このことから(ア)(ウ)はA「会話」、(イ)(エ)はB「対話」と判断できます。

 

問3 空欄補充(語句)

 

  • 再び空欄補充です。

     

  • 空欄(あ)は複数ありますが、確認すべき一文は一箇所です。それは、形式段落7の一文目です。ここが「(あ)というのは、…」となっています。助詞「は」は「イコール」を表しますので、「…」の部分が(あ)の説明となります。つまり、(あ)は「ある物事を始末したり取り決めたりするときに、論じ合い、談じ合って交渉すること」であることが分かります。選択肢の中から、この意味に合うものを選びます。「談判」が答えです。

  • ちなみに、選択肢それぞれの意味は次の通りです(旺文社『国語辞典』による。
    ア「団交」…団体交渉の略。労働組合の代表者が労働条件改善のための要求を、使用者と話し合うこと。
    イ「談合」…話し合うこと。相談。
    ウ「談判」…物事を取り決めるために、たがいに話し合うこと。
    エ「論難」…誤りや不正などを取り上げ、論じて非難すること。
    オ「論争」…二人以上の人がたがいに自分の意見を主張して論じ争うこと。

  • この問題は「ことば」を知らなかったら、どうしようもありません。日頃から語彙数を増やす試みをしておきましょう

 

問4 空欄補充(接続詞・副詞)

 

  • 接続詞の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断します。空欄前ではどのようなことを述べているか、空欄後ではどのようなことを述べているか。これを読み取り、その関係性から、適切な接続詞を選びます。

     

  • 空欄Aの前の内容は「勝海舟の(あ)という考え方が、この国が失ってきた大事なものだと案じる」です。後の内容は「勝海舟は(あ)について『少しの傲慢の風なく…』『赤心を披く』ことだとしている」です。空欄を挟んで、勝海舟の考えが詳しく(具体的に)書かれていることが分かります。具体例を示す「たとえば」が入ります。

  • 空欄Bの前の内容は「勝海舟は(あ)について『少しの傲慢の風なく…』『赤心を披く』ことだとしている」です。後の内容は「『野暮』を言わず、『敬礼を失わない』ことが(あ)だ」です。どちらの内容も、勝海舟の(あ)に対する考えが書かれています。ここでの接続詞は「言い換え(イコール)」を示す「すなわち」が入ります。

  • 空欄Cの前の内容は「会話を楽しむことには巧みになった」です。後の内容は「対話を活かすことが足らなくなった」です。前の内容はプラス、後の内容はマイナスです。逆接を示す「だが」が入ります。

  • 空欄Dの前の内容は「「対話を活かすことが足らなくなった」です。後の内容は「できなくなった」です。「対話を活かすことが」「足らなくなった」り「できなくなった」りしたという並列関係です。「あるいは」が入ります。

 

問5 内容説明

 

  • 対話が遠ざけられた(対話がされる機会が減少した)ことによって生じた3つのことが問われています。本文中の語句を用いるという条件もついています。

  • 先に断っておきます。この問題については、絶対にこれだ!という答えを示すことができていません。多分これだろうという解答を2パターン示しています。ごめんなさい。

 

  • 対話が減じた結果、どのようなことが起きているかが書かれている箇所を探します。すると、形式段落9に「たがいに向き合って、違ったものの見方をかさねてみる代わりに、考え方が違えば同席せず、目が合えば衝突、喧嘩という格好になりがち」という内容が見つかります。前半部分の「たがいに向き合って、違ったものの見方をかさねてみる」が「対話する」という内容であり、その「代わり」ということは「対話をせず」と読むことができるので、後半の「考え方が違えば同席せず、目が合えば衝突、喧嘩という格好になりがち」が生じることだと言えます。ここを答えとすると、

 

同席しないこと。(8字)
衝突すること。(7字)
喧嘩すること。(7字)

 

  • となります(パターン①)。
  • ただ、衝突と喧嘩は同じ意味と考えられるので微妙なところではあります。しかし、「同席しない」「衝突、喧嘩する」が解答の2つだとすると、残り1つを考える必要が出てきて、解答としては不自然になってしまいます。

 

  • 次に、さらに読み進めると、形式段落11に「いまは、問題は引き受けたくない、 心は決めたくないという、何でもかんでも先延ばしにして疑われない時代になっています」という内容が見つかります。「いま」は「対話が減少している」時代であるので、ここも生じることだと言えます。ここを答えとすると、

 

問題を引き受けない。(10字)
心を決めない。(7字)
先延ばしにする。(8字)

 

  • となります(パターン②)。
  • ただ、間に「という」という言葉があり、「という」は「イコール」を示す言葉なので、「問題を引き受けない、心を決めない」=「先延ばしにする」となり、この3つを並列にして解答とするのは微妙です。しかし、「問題を引き受けない」「心を決めない」を解答の2つだとすると、残り1つを考える必要が出てきて、解答としては不自然になってしまいます。また、「先延ばしにする」を解答の1つとすると、残り2つを考える必要が出てきて、これも解答を作る際に厳しい条件になってしまいます。

 

  • これら2つのパターンの解答を合わせて

 

同席しないこと。(8字)
衝突、喧嘩すること。(10字)
先延ばしにする。(8字)

 

  • とすることも不可能ではありませんが、3つの解答の中で、名詞で答えたもの(「どのようなこと」を答えた)と動詞で答えたもの(「どのようなことが生じた」で答えた)が混在することになり、解答としては不自然になってしまいます
  • ということで、パターン①とパターン②の両方を解答とします。

 

問6 内容説明

 

  • 「対話のもつちから」の説明が問われています。フレームが示され、2つの空欄に適切な文を挿入します。本文中の語句を用いるという条件もついています。

  • 先に断っておきます。この問題についても、絶対にこれだ!という答えを示すことができていません。多分これだろうという解答を示しています。ごめんなさい。

     

 

空欄X

  • 空欄Xは、対話がどのような営みかが説明されるように答えます(「対話は、(X)という営みになる」なので、「対話=(X)という営み」です)。対話がどのようなことをするのかを説明すればよいということです。

  • 対話の内容について書かれている箇所を探すと、第7段落に「いろいろなことを始末したり、おおよその事を取り決めたりするときに、論じ合い、談じ合って交渉すること。つまり、対話することです」という内容が見つかります。「つまり」は「言い換え(まとめ)」を示す接続詞なので、ここが「対話」の説明部分になります。ただ、25字以内という制限があるため、この内容を縮めるのは厳しいです。「始末する」「取り決める」は内容が違うため、どちらか一方を消すということにはなりませんし、「論じ合う」「談じ合って交渉する」も同じ理由で消すことはできません。とすると、他に25字に合うような箇所がありそうです。

  • すると、形式段落8に「たがいに向き合って問題を差し出し合って話すという習慣を欠いている」という内容が見つかります。いま、「対話」が減少しているという内容が書かれているので、「たがいに向き合って問題を差し出し合って話す」ことが「対話」の説明箇所に該当します。ここを答えとすると

 

たがいに向き合って問題を差しだしあって話す(21字)

 

  • となります(パターン①)。

 

  • 次に、さらに読み進めると、形式段落9に「たがいに向き合って、違ったものの見方をかさねてみる」という内容が見つかります。問5でも確認した通り、これも「対話」の説明箇所に該当します。ここを答えをすると、

 

たがいに向き合って違ったものの見方をかさねる(22字)

 

  • となります(パターン②)。

 

  • どちらのパターンも間違いなく「対話」の説明ですので、この2つを解答とします。

 

空欄Y

  • 空欄Yは、対話のちから(効力)が問われています(対話は、…、(Y)という効力がある」なので、「(Y)=効力」です)。対話の効力を説明します。

  • 対話の効力について書かれている箇所を探すと、形式段落11に「言葉が考えを伝える力をもつことがどんどん難しくなってゆくような状況」という内容が見つかります。「どんどん難しくなってゆく」というのは「(対話の)機会が減少している」ということでしょうから、ここの前半部分「言葉が考えを伝える力」が「対話の力」だと考えられます。つまり、対話の効力とは

 

言葉で考えを伝える(という効力)(9字)

 

  • となります。
  • ただ、制限字数は25字となっていますので、このままでは全然足りません。この形式段落のはじめでは「問題を引き受けない、心を決めないという、先延ばしにしている」という内容が書かれ、そのため、「言葉が考えを伝える力を持てなくなってきている」という流れですから、言葉で伝える考えというのは「問題を引き受けて、心を決めたこと」と言えそうです。これを先程の解答に加えるとこうなります。

 

問題を引き受け、心を決め、言葉で考えを伝える(という効力)(22字)

 

  • しかし、日本語としては若干不自然です。本来であれば

問題に対する自分の考えを確定し、言葉でそれを伝える(という効力)(25字)

  • としたいところですが、「本文中の語句を用いる」という条件があり、このように答えることは避ける必要がありそうです。やむを得ませんが、先程のものを解答とします。

 

問7 内容読解 

 

  • 選択肢の内容が「会話」、「対話」のいずれに属するかが問われています。
    本文をしっかりと読むことができていれば容易に分かるはずですが、文章中に選択肢の内容に該当する部分があるはずなので、必ず本文に戻って確認した方がよいでしょう

 

  • ア.コミュニケーションを広げるもの
    形式段落3に「コミュニケーションの手段が多様になり、会話のかたちが豊富になった」とあります。「会話」です。問2とかぶってしまっていますが…。
  • イ.『氷川清話』が推奨しているもの
    形式段落6で『氷川清話』の作者である勝海舟が重要だとしたものとして(あ)が挙げられており、形式段落7で(あ)とは「対話」だと書かれています。
  • ウ.巧みに楽しむもの
    形式段落12に「会話を楽しむことには巧みになった」とあります。「会話」です。
  • エ.言葉をたくさん飛ばすもの
    形式段落11に「言葉の破片はたくさん飛び散ってはいるけれども、…言葉が考えを伝える力をもつことがどんどん難しくなってゆくような状況が、逆に広まってきている」とあります。後半の内容は、これまでの問で見たように「対話」ですので、逆接(けれども)で繋がっている前半は「会話」です。
  • オ.考える力をもたせるもの
    エと同じ部分から「対話」と分かります。

 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

長野大学の他の問題の解答解説については、こちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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また、質問もこちらからどうぞ(^_^)

 

名寄市立大学_小論文_平成28年度_一般入試後期日程

こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成28年度一般入試後期日程の小論文の書き方を解説します。

 

問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。(入試過去問題|名寄市立大学

 

名寄市立大学の小論文は、課題文型です。

今回の課題文は、「生き抜く力を身につける〈中学生からの大学講義〉5」大澤真幸ほか 著 です。

 

設問は

「自由」ということについて、あなたの考えを800字以上1000字以内で述べなさい。 

 となっています。

 

では、解いていきましょう。

 

名寄市立大学の小論文の基本的な構成は

 

①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り

②それについての自分の意見と理由

③理由となる具体例

④自分の意見のまとめ、今後のあり方など

 

でした。詳しくはこちら【名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記】をご覧ください。

 

では、順番に行きます。

 

①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り

 

名寄市立大学の小論文を書く際に(すべての小論文問題共通ですが)最も重要なのがこの部分です。なぜなら、ここを誤ってしまうと、どんなに素晴らしい意見を述べたとしても、「設問に的確に答えていない」ことになってしまい、点数にならないからです。

 

名寄市立大学でも、評価の観点で「課題文の趣旨を理解し」と公表されていましたね(入試過去問題|名寄市立大学)。

 

この重要さを確認したところで、課題文の内容を見ようかと思います。

が!!!

もう1つ知っておくべきことがあります。それは、「設問」の中にチェックすべきポイントがあることです。課題文をただ要約すればいいということではなく「設問」で問われていることについて、筆者がどのように述べているのかを読み取ることが必要です。

なぜなら、②以降で「設問」で問われていることについて、「自分の意見」を述べていくことになります。だとすると、課題文では問われていることについて何らかの主張をしていると考えるのが普通です。ですから、闇雲に課題文を読むのではなく、「設問」をよく見て、何がポイントなのかを押さえましょう。

 

①での超重要な点をまとめておきます。

 

設問は「○○について、あなたの意見を述べなさい」となっていることがほとんどなので、「○○」について読み取る必要があるのだということを強く意識する。これを誤ると、すべてが終わるくらいの気持ちを持っておく。 

 

今回の設問はどうなっていますか?

そう、「自由」について問われていますね。

ということは、課題文は「自由」について述べているはずです。

 

では、行きます。

 

  

自由について、筆者はどのように述べているのかを読み取る。 

 

課題文には、中略が1つあるので、前半の段落と後半の段落に分かれていることが分かります。それぞれの段落で、自由について、どのように述べているかを読み取っていきましょう。

 

前半の段落

  • たくさん選択肢があることが、逆に牢獄(不自由)だと感じられる。
  • 自由はたくさんあるのに、そのせいで逆に自由のない気分になる。

後半の段落

  • 人間が自由になるためには自分の存在を認める他人の眼差し・神のようなものが必要である。
  • 「自由」とは「責任」を担うことであり、「責任」とは神のような存在に応じることである。
  • 我々の社会にはあふれるほど選択肢があるのに、不自由に感じる理由は、現代社会の中で「神のようなもの」が弱体化してしまっているため、好きなものが何かわからないし、どれを選べばいいかもわからないからだ。

 

以上の内容をまとめるとこうなります。

 

自由とは、自分の存在を認めてくれる他人の眼差しに応じ、責任を担うということであるが、現代社会ではこの他人の眼差しが弱体化しているため、我々は多くの選択肢を持っているにも関わらず、どれを選べばいいか分からず不自由に感じてしまう。

 

この内容を第一段落にまとめれば、筆者の主張はOKとなります。

 

筆者は、課題文で(上記の内容)と述べている。  

 

②それについての自分の意見と理由

 

筆者の主張を踏まえて、自分の意見を考えます。

その際、あくまで「自由」についてだということを忘れてはいけません

ここからずれてしまうと、点数になりません。

 

今回は、筆者の述べる「自由」について賛成や反対の立場を考えてもいいですし、自分なりの「自由」について筆者の主張と関連づけながら考えてもいいでしょう。

 

  • 小論文では、どのような意見を述べても基本的に構いません。ただし、名寄市立大学の小論文では、明らかにこの方向で考えた方がいいのでは?ということが多くなっています
  • 自分なりの意見を考えるのが難しい人は、本文で述べられていた自由について賛成か反対かを考えてみましょう。
  • 挿話では、自分の意志だけで判断しようとすると不自由になることが述べられていました。「神のようなもの」がいるから自由になれます。そして、その「神のようなもの」の1つの答えが「自分の存在を認めてくれる他人の眼差し」です。他人の眼差しを意識して行動する(これが課題文での「応答する」ということで、そこに責任が生じます)から、自由となることができます。
  • 多くの場合(素直に考えた場合)、「自由であるためには、他人の眼差しを意識して行動する必要がある」という内容になるでしょう。受験生が「栄養」「看護」「福祉」「保育」のいずれかを志望していることを踏まえると、「他人の眼差しに応じると、そこに責任が生じる」職業に繋がっているものばかりです。そして、それを意識するから「やるべきこと(期待に応えるためにやるべきこと)」が決まってきます(課題文で述べられている「何をしていいか分からないという不自由な状態」から脱することができます)。
  • 自分なりの自由の意見として、「自由は、ルールがあることによって成り立つ」ということが考えられます。スポーツでも何でもルールがありますね。ルールがなかったら、きっと不自由になってしまうことでしょう。そして、このことは「他人の眼差し」にも通じることです。ルールがある=他人の眼差しによる制限がある、と考えることができます。

 

そのように考える理由を簡単に述べます。

  • 上記の内容の中にも、理由として述べることができそうなものがありそうです。
  • 「自由であるためには、他人の眼差しを意識して行動する必要がある」→「期待に応えるためにやるべきことが決まるから、自分のやりたいことを選ぶことができるようになるから」
  • 「自由は、ルールがあることによって成り立つ」→「ルールがあるから、その範囲でできることを自由に工夫することができるから」

 

次の③で詳しく理由を述べることになるので、ここでは簡単に理由を述べます。

 

③理由となる具体例

 

②で述べた理由と繋がるような自分の体験を述べながら、理由の根拠を示します。

体験を述べずに理由の根拠付けをすることもできますが、自分の体験を述べることが最も書きやすいと思います。

 

④自分の意見のまとめ、今後のあり方など

 

あらためて、設問に対する自分の意見を述べます。

今回であれば、「自由」に対する自分の意見です。

②で書いた自分の意見と同じになりますが、まったく同じ表現にすることは避けた方がいいでしょう。同じ内容で別の表現にする、もしくは、具体例などを通して、②で書いたものよりも少し踏み込んだ内容にしてまとめます。

 

さらに、今後自分がどのようにしていきたいのかを書いて終わります。この際、自分の志望学科と繋げることができそうなら軽く繋げましょう。ただし、そのことがメインではありませんので、あくまで「軽く」です。

 

 

以上、考えてきたことを文章にすれば完成します。

構成例は以下のようになります。

 

第一段落 

  • 筆者の主張をまとめる。(①)

第二段落 

  • 自分の主張を述べる。
  • そのように考える理由を簡単に述べる。(②)

第三段落 

  • 主張の理由・説明を具体例を交えながら述べる。(③)

第四段落

  • 改めて自分の主張を述べる。 
  • 今後の自分のあり方を簡単に述べる。(④)

 

 

いかがでしたか。名寄市立大学の小論文で肝心なのは、圧倒的に①です。そこさえクリアできれば、②~④は難しくありません。あとは、ひたすら書くだけです。小論文は、いくら頭で考えても書けるようにはなりません。ひたすら書くことが重要です。書けば書くほど上達します。

また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

今回以外の名寄市立大学の小論文の記事については、こちらからご覧ください。

 

kinkoshin.hatenablog.com

 

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長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試A日程(2月2日)_第2問

こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試A日程(2月2日)の国語、第2問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『下流老人』藤田孝典 著 です。

 

【解答】

 

問1

  • (1)拝聴    (2)屋敷  (3)土壌
  • (ア)きゅうさい (イ)つの(る)

問2

  • A.イ  B.ウ  C.ア  D.エ 

問3

  • ①富める者と貧する者の両方が生まれる社会。(20字)
  • ②貧困者を救済する社会保障制度の確立。(18字)

問4

  • 失業

問5

  • 個人的感情

問6

  • メディアが積極的に報じないことに加え、貧困の当事者が自分に責任があるとしたり、貧困の状況を恥ずかしいと思ったりと、自分から声を上げられない状況にあるから。(77字)

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(接続詞・副詞)

 

  • 接続詞・副詞の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断します。空欄前ではどのようなことを述べているか、空欄後ではどのようなことを述べているか。これを読み取り、その関係性から、適切な接続詞を選びます。

     

  • 空欄Aの前の内容は「自分は頑張って働いているのに賃金が安い」です。後の内容は「働いていない人々には我慢してもらいたい」です。この2つの内容の関係性は、前の内容が後の内容の理由になっているというものです。「自分は頑張って働いているのに安いんだから、働いていない人は我慢して」です。因果関係を表す「だから」が入ります。
  • 空欄Bの前の内容は「(その発想は)税金のあり方を見誤っているし」です。後の内容は「(その発想は)『個人的感情』に立脚しすぎている」です。この2つを関係性から考え接続詞を導くのは難しいかもしれません。選択肢にある語句をそれぞれ当てはめて消去法でやるか、他の空欄は当てはまる語句が明らかなので、それらを答えてから戻ってきても大丈夫です。「AはBだし、やはりCだ」という流れが順当と言えます。
  • 空欄Cの前の内容は「生活レベルが一定の水準を下回ったら救済が必要で、生活保護基準はそれを明文化したものだ」です。後の内容は「いまの生活保護は高すぎで、より低い水準で十分だ」です。「救済が必要であるのに、いまより低くしろ」という流れです。逆接の「しかし」が入ります。
  • 空欄Dの前の内容は「日本は物質的に豊かな国だが、世界規模で見た場合だ」です。この一文には逆接表現があることから「日本は豊かではない(貧困がある)」ということを述べていることを確認します。後の内容は「周囲を見てみると孤立している高齢者がいるのではないか」です。後の内容が、明らかに「豊かでない人」の具体例です。具体例を示す「たとえば」が入ります。

 

問3① 内容説明

 

  • 自由経済社会とはどのような社会かが問われています。しかも、「筆者は問題視している」とあるので、マイナスの意味が問われています。
  • 傍線部aを含む一文から、自由経済社会において貧困は宿命だということが分かります。つまり、「貧困」のある社会だということです。マイナスですね。また、続く一文は「富める者がいれば、相対的に必ず貧する者が生まれる」とあります。「貧困」のある社会だということが繰り返されています。この部分を使って解答します。

 

富める者と貧する者の両方が生まれる社会。(20字)

 

 

問3② 内容説明

 

  • 自由経済社会(貧困者のいる社会)に対してなされてきた対策が問われています。
  • 傍線部aを含む段落の次の段落(形式段落3)の後半に「働けない人々に対して支払う保障」という内容があり、まずは「保障をする」という対策がなされてきたのではないかと読み取れます。さらに形式段落4の後半では「生活レベルが一定の水準を下回った場合は救済が必要」であるとの内容があることと合わせると、「貧困者に対して救済する保障をする」という対策がなされてきたのではないかと読み取れます。これだけでも解答として成立しそうですが、「対策」が問われていることを考えると、もう少し良い表現ができないかと考えても良さそうです。
  • そのような意識で本文を読み進めると、形式段落14に「貧困にいたる人々がいることを想定して、社会保障制度などを確立してきた」という部分を見つけることができます。これは、先程読み取ったものと同じ内容であり、「対策」の説明として「社会保障制度の確立」という説明は適当だと言えるので、はじめに確認した内容とこの部分を使って解答を作ります。

 

貧困者を救済する社会保障制度の確立。(18字)

 

 

 

問4 空欄補充(語句)

 

  • 語句の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断できることがほとんどです。まずは、空欄を含む一文をしっかり確認し、何について述べている一文なのかを確認します。その上で、どのような語句を補充するのが適切か考えます。

  • 今回、空欄3箇所に同じ語句が入りますが、最も分かりやすいのは1つめの空欄でしょう。空欄を含む一文は「働ける人々ばかりではなく、空欄(あ)率がゼロにはならない」という内容です。これは「働けない人がいるから、(あ)率がある」ということになるでしょう。働けない人、つまり「失業している人」の割合だということに考えが及べば、空欄には「失業」が入ることが分かります。2つめ、3つめの空欄に「失業」を当てはめても文意が通じることから、これを答えとします。

  • なお、この問題は、本文中から語句を探したり、選択肢から語句を選んだりするわけではなく、自分で語句を考えなくてはいけません。「失業率」という言葉を知らなければ手も足も出ません。日頃から語彙数を増やそうとする意識が必要でしょう

 

問5 内容説明

 

  • バッシングについて、筆者がどのように批判しているかが問われています。バッシングを否定的に捉えている語句を本文中から探すことになります。

  • 傍線部bを含む一文は「このように生活保護を受けることで、バッシングや差別を受ける状況が続けば…」となっています。「このように」という指示語があるので、この話題(生活保護を受けるなど救済を必要な人がバッシングをされていること)はここまでに書かれていたと考えることができます。「バッシング」とは「(他人を)避難すること」ですから、そのような内容があった部分を、傍線部よりも前から探します。

  • すると、形式段落1に「生活保護受給者に対する批判」とあるので、この辺りにバッシング内容がないか注目すると、「税金で何もしていない人間を養う必要などない」という、バッシングとも取れる内容があることが分かります。そして、それに対する筆者の意見として、この段落の最後に「税金のあり方を見誤っているし、『個人的感情』に立脚しすぎだ」とあります。ここの部分が、筆者の「バッシング」に対する批判でしょう。述べられているようなバッシングは、所詮「個人的感情」に過ぎなく、正当なものではないと主張しているわけです。問では「語句」を問われているので、「個人的感情」を解答とします。

 

問6 理由説明

 

  • 日本社会の貧困が見えにくい理由が問われています。

  • 傍線部cまでの内容では、貧困が見えない理由については書かれていないので、「この後に書かれているはずだ」という意識を持って読み進めます。

  • すると、形式段落12に「貧困は見えにくい。それは…」という部分を見つけることができます。「それ」の指す内容は、当然「貧困が見えにくい」ですから、「それは…」の一文が「貧困が見えにくい」ことについての説明だと分かります。つまり、「貧困が見えにくいのは、メディアが積極的に報じないと面と、下流老人当事者が、自分からは声を上げられない状況にある」からであると読むことができます。ここの部分が答えのフレームとなるでしょう。

 

メディアが積極的に報じないことに加え、貧困の当事者が自分から声を上げられない状況にあるから。(46字)

  • 問は80字以内となっていますから、これに必要なことを加えていきます。見えない理由のメインは後半部分でしょうから、そちらに説明を加えたいところです。
  • 形式段落13には「声を上げない」理由が書かれているので、これを加えて解答とします。ちなみに、「声を上げない」理由として書かれているのは「自分を責めているから」ということと「今の状況を恥ずかしいと思っているから」の2点です。以上の内容を先ほどのフレームに加えるとこうなります。

 

メディアが積極的に報じないことに加え、貧困の当事者が自分に責任があるとしたり、貧困の状況を恥ずかしいと思ったりと、自分から声を上げられない状況にあるから。(77字)

 

 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

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長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試A日程(2月2日)_第1問

 こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試A日程(2月2日)の国語、第1問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『他人を見下す若者たち』速見敏彦 著 です。

 

【解答】

 

問1

  • (1)頻繁    (2)喪失  (3)喚起
  • (ア)あら(わ) (イ)かた(くない)

問2

  • A.ウ  B.イ  C.オ  D.イ 

問3

  • 豊かになった現代人は、外部に向けた怒りや、生きるための怒りを表すことがないから。(40字)

問4

  • 現代人は、基本的生活を十分に送れるくらい豊かになったから。(29字)

問5

問6

  • 自分が下に見られたと感じたり、自分だけが叱られたりといった自尊感情が傷つけられたことに対する怒り。(49字)

問7

  • 長期間にわたって本人と会うことができなくなる別れの経験が、交通手段や電話などの物質的な豊かさにより減少している状況。(58字)

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(語句)

 

  • 語句の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断できることがほとんどです。まずは、空欄を含む一文をしっかり確認し、何について述べている一文なのかを確認します。その上で、どのような語句を補充するのが適切か考えます。
  • Aは、空欄Aを含む一文から「しかし」で始まる一文であることが分かります。「しかし」の前の文の内容は、「怒りを露わにする事件が頻繁に起きている」で、空欄Aを含む「しかし」の後は、「作文などに、Aを主題とするものは少ない」です。つまり、「怒りがたくさん(しかし)Aが少ない」です。「しかし」は逆接を表す接続詞なので、Aには「怒り」が入ります。
  • Bは、空欄Bを含む一文から、A(怒り)と対比になっている語句が入ることが分かります。形式段落1では、「怒り」と「悲しみ」が対比になっていることから「悲しみ」が入ることが分かります。
  • Cは、空欄Cを含む一文から、「負の感情」をもたらすものです。また、次の一文からはCが原因となり衣食住が満たされないとあります。さらに次の一文では「Cという社会経済的要因」という表現から、Cには「社会経済的」な語句が入ることが分かります。選択肢を見てみると「貧しさ」しか該当しません。
  • Dは、Dを含む一文から「貧しさという社会経済的要因と、Dは密接な関係にある」ことが分かります。さらに、Dは重要なものを喪失したときに感じるものであり、豊かになるにつれ、その機会(Dを感じる機会)が減少しているようです。この形式段落9の後半部分からは、「昔は貧しさのために多くの子どもが死に直面し、悲しみに対峙した」ことが書かれています。貧しさと密接な関係にあり、重要なものを喪失(死)したときに感じる感情は「悲しみ」となります。

*問題文には「同じ記号は何回でも選ぶことができる」とあります。このような条件がついている場合、基本的には「同じ記号を使う」と考えるべきです。もし、同じ記号を使わないのなら、わざわざこのような条件をつける必要がないことからも、このように判断できます。

 

問3 理由説明

 

  • 怒りが減少している理由が問われています。
  • 各形式段落の作りが「まとめ→説明→まとめ」となっていることが多いということを意識して読んでみると、傍線部aが形式段落2の終わりにあります。何について書かれていた形式段落かを確認するために、この形式段落のはじめを見ると「豊かになった今は怒りの量が減少してよいはずである」ということについてだと分かります。これは傍線部aと同じですね。つまり、この形式段落は、このことを説明していた段落だと判断できます。
  • 傍線部aの一文を確認すると、「そのような側面では」と条件がついていますから、この内容を確認します。その説明は、この形式段落の真ん中で書かれているはずです(はじめに書いた「形式段落の作り」から、このように考えます)。段落中程には「外部に向かって怒りを表さない」ことと「生きることを巡っての怒りがない」ことが書かれています。これが「そのような側面」の内容です。
  • 以上の内容から、「怒りがなぜ減少しているのか」という設問に合わせてフレームを作ると

 

豊かになった今は怒りを表さないから。

  • となります。これに「怒り」の内容説明を加えて

 

豊かになった今は、外部に向けた怒りや、生きるための怒りを表すことがないから。

  • としますが、怒りを表さないのは、当然「人」ですから「今」を「現代人」を書き換えます。この文章は、はじめの一文から「現代人」について書かれていることは明白です。
  • 以上から、このようにまとめることができます。

 

豊かになった現代人は、外部に向けた怒りや、生きるための怒りを表すことがないから。(40字) 

 

問4 理由説明

 

  • 労働団体の経営者側への怒りが減少した理由が問われています。
  • 傍線部bを含む一文から、「しかし」という逆接で始まっていること、傍線部bの怒りは豊かになった今は減少したことが分かります。また、形式段落5の終わりに傍線部bがあることから、この段落のまとめと考えることもできます。
  • このような視点で、経営者側への怒りが減少した理由を考えます。「しかし」の前の内容、つまり、この形式段落の「説明」の部分の内容が「昔は基本的生活の不十分さから来る怒りや、それをコントロールする政府や経営者に対する怒りがあった」とあり、傍線部bはこれと逆の内容だと考えられるので(「しかし」で繋がっているので)、「豊かになった今は、基本的生活が十分に送れるので、政府や経営者に対する怒りがなくなった」と言えます。この内容をまとめると、答えになります。主語については、問3と同じと考え「現代人」を補います。

 

現代人は、基本的生活を十分に送れるくらい豊かになったから。(29字) 

 

問5 空欄補充(語句)

 

  • 空欄(あ)は、形式段落の終わりにあります。形式段落は「まとめ→説明→まとめ」ですね。つまり、この空欄部分の説明部分は、この前にあると考えられます。
  • 前の内容は「人から注意を受けることに対して、自分が下に見られたという認識が強く働いた」です。それで、「空欄(あ)が耐えられない」と続きます。何が耐えられないのかというと、当然「自分が下に見られた」ことですね。この内容に最も近い選択肢を選びます。「下に見られる」という内容と最も近いのはエの「低く見られる」ですね。

 

問6 内容説明

 

  • 「怒り」がどのようになっているかが問われています。
  • 傍線部cを含む一文から、「このような角度から見ると」とあるので、この指示内容がここで言う「怒り」の説明になっていそうです。指示語の指す内容は、基本的にその指示語の前に書いてありますから、形式段落8を確認します。すると、ここでは「自分だけが責められること」に対しての「怒り」が書かれています。また、この段落は「しかし」から始まっているので、さらに前の形式段落7も確認します。ここでは、問5で確認した「自分が下に見られること」に対しての「怒り」が書かれています。この2つは、「怒り」の具体的な内容です。では、この2つは、何の説明として書かれたのでしょうか。さらに形式段落を戻り、形式段落6を確認すると、「近年では自分の自尊感情が傷つけられた場合に怒る」とあります。形式段落7、8の内容はこれの具体例だということが分かります。ちなみに、形式段落6は、「一方」で始まっていますので、その前の段落の内容、つまり問4で確認した「昔は基本的生活の不十分さから来る怒りや、それをコントロールする政府や経営者に対する怒りだった」と対比する内容になっていることが分かります。つまり、「一方」以下の内容は、「昔」に対する「今」の「怒り」の内容になっているわけです。

 

昔は基本的生活ができないことに対する怒りだったが、今は自尊感情が傷つけられることに対する怒りへと変わったということが分かります。 

  • ここで問われていることは、「どのような怒りになっている」かなので、これの後半部分を答えればいいということになります。

 

自尊感情が傷つけられたことに対する怒り。

  • これでは、50字まで足りないので、2つの「怒り」の内容を加え、答えとします。

 

自分が下に見られたと感じたり、自分だけが叱られたりといった自尊感情が傷つけられたことに対する怒り。(49字) 

 

問7 内容説明

 

  • 悲しみの経験が減少した状況の内容説明が問われています。
  • 内容説明とは、問われていることの「言い換え」ですので、「悲しみの経験が減少した状況」を言い換えていくことになります。ここで言い換えるべきポイントは「悲しみの経験」とは、どのような経験かということです(→A)。また、「状況」の説明をしなければいけないので、そのようになっている状況、つまり「背景」も説明します(→B)。
  • 傍線部dを含む一文から、「このように物質的豊かさ」が「減少させてきた」こと、この形式段落の終わりにあるので、この形式段落のまとめであることが分かります。
  • では、Aから考えます。形式段落のはじめを確認すると、「別れも悲しみの感情を喚起する」とあるので、ここでの「悲しみの経験」は「別れ」の経験だと判断できます。その別れの内容は、続く一文の「長期間にわたって本人と全く会うことができない」別れです。
  • 次に、Bです。「悲しみが減少した」状況、背景は、傍線部から「このように物質的に豊かな状況」です。また、この具体的内容は「このように」の指す内容でしょうから、直前の内容を確認して「交通手段や電話など」です。
  • 以上の内容を、はじめの「悲しみの経験が減少した状況」というフレームに当てはめて、まとめます。

 

長期間にわたって本人と会うことができなくなる別れの経験が、交通手段や電話などの物質的な豊かさにより減少している状況。(58字) 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

長野大学の他の問題の解答解説については、こちらからご覧ください。

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また、質問もこちらからどうぞ(^_^)

 

長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試A日程(2月1日)_第2問

こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試A日程(2月1日)の国語、第2問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『差別原論』好井裕明 著 です。

 

【解答】

 

問1 

  • (1)過剰  (2)丁寧  (3)侵食
  • (ア)そち  (イ)しょうさい

問2 

  • A.イ   B.オ   C.エ   D.ウ   E.ア

問3 

  • 差別事件が起こったとき、事件の内容や問題、責任の内容を明らかにすることで、差別を世の中に告発し、被差別当事者が奪われている市民的な権利や生活を獲得するため。(78字)

問4 

  • 私たちが生きてきた歴史の中で否定的な意味が付与され、いまだにその意味で使われているような言葉。(47字)

問5 

  • ア、オ

問6 

  • 差別を見抜くこと。(9字)

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(接続詞・副詞)

 

  • 接続詞・副詞の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断します。空欄前ではどのようなことを述べているか、空欄後ではどのようなことを述べているか。これを読み取り、その関係性から、適切な接続詞を選びます。
  • 空欄Aの前の内容は「重要な政治的戦略だった」です。後の内容は「これが妥当な政治的な戦略だったのか。確認し糾弾する対象として妥当だったのか、など考えるべき内容は多くある」です。実際になされていたのだけれど、「それが本当に」妥当だったのか考えることはあるよね、という流れです。また、Aを含む一文が「~か」という疑問文になっていることもポイントです。「~か」という疑問文に合うのは「はたして」しかありません。ただ、この問題はちょっと難しいかもしれません。Bも少し難しく、C~Eは明らかに答えが分かるものになっているので、それらを答えてから、もう一度A、Bに戻ってきても大丈夫です。
  • 空欄Bの前の内容は「確認し糾弾する対象として」です。後の内容は「差別であると指摘された言葉や行為などの事象が差別だということが妥当か」です。後の内容をまとめると「事象を差別とすること」となり、前の内容である「(確認、糾弾する)対象」を述べていることが分かります。このことから、この空欄には「イコール」を表す接続詞が入ることが分かります。「つまり」です。ただ、空欄Aの解説で述べた通り、この問題も比較的難しいと言えます。
  • 空欄Cの前の内容は「否定的な意味が付与され続けているような言葉は」です。後の内容は「差別的な言葉として、使うべきではない」です。「~べき」に続く言葉(「~べき」と呼応する語句)として適切なものは「やはり」です。
  • 空欄Dの前の内容は「差別を受ける側とする側には現実把握をめぐる圧倒的な”落差”がある」です。後の内容は「ハゲなどの言葉によって、気にする人と気にしない人がいる」です。差別を受ける人とする人との間に落差があることの具体例が書かれています。具体例を示す「たとえば」が入ります。
  • 空欄Eの前の内容は「ハゲという言葉を浴びせたら強烈な差別であり攻撃だ」です。後の内容は「こうした言葉(ハゲ)はなにげなく一言で冗談という反応がよく見られる」です。この関係性を考えると「強烈な差別・攻撃」にも関わらず、「よく見られる」となります。逆接の「しかし」が入ります。

 

問3 内容説明

 

  • 問われているのは、「確認、糾弾という営みの意図」です。「意図」とは「ねらい」、つまり「何のために確認、糾弾をしているのか」が問われていることになります。

     

  • 各形式段落の作りが「まとめ→説明→まとめ」となっていることが多いということを意識して読んでみると、傍線部aは形式段落1のはじめにあります。これについての説明がされるはずだと考え読み進めると、この形式段落の後半は「差別事件が起こったとき、事件の内容や問題、責任の内容を明らかにしよう」として、「確認、糾弾」が行われていたことが分かります。まず、ここの部分が解答で使う部分となります。

     

  • 続いて読み進めていくと、形式段落2の後半に「確認、糾弾という営みは」から始まる文があります。「確認、糾弾という営み」について問われていて、それが主語になっているのだから、この部分は要チェックです。この文は「確認、糾弾という営みは、○○を獲得するために重要だった」とまとめることができるので、「確認、糾弾という営み」のねらいは「○○を獲得するため」だということが分かります。ここも解答で使う部分です。

     

  • 以上をまとめます。 

差別事件が起こったとき、事件の内容や問題、責任の内容を明らかにすることで、差別を世の中に告発し、被差別当事者が奪われている市民的な権利や生活を獲得するため。(78字) 

  • 前半部分では、「差別事件が起こったとき」という条件を必ず書きます。明らかにしようとするときは、このときだと限定されているからです。
    後半部分では、本文で「自らが奪われている市民的権利」となっていますが、このまま書いては「自ら」が誰か分かりません。「被差別当事者」と言い換えます。

 

問4 内容説明

 

  • 傍線部b「差別である」言葉とは、どのような言葉かが問われています。
  • 問3でも少し触れましたが、ここで内容説明問題の基本的な考え方を確認しておきます。「傍線部とはどういうことか、どのようなものか」などの問題は、傍線部の言い換え問題と言うことができます。そして、本文中から言い換えられている部分を探すときの基本的な考え方が次の2点です。

 

①傍線部が主語になっている文に注目する。
 例 花は、赤く美しい。
②傍線部を修飾している文に注目する。
 例 赤く美しい花が、咲いている。

 

このような文があった場合、「どんな花か説明せよ」と問われたら、誰でも「赤くて美しい花」と答えることができますね。つまり、助詞「は」の前後の内容や修飾語と被修飾語の関係は「イコール」と捉えることができるということです。内容説明問題は傍線部を言い換える問題なので、この「イコール」に注目することが、基本的な解き方なのです。

  • 今回は「差別である言葉」とはどのような言葉かが問われているのですから、「差別である言葉」のような表現が主語になっている部分(「は」でつながっている部分)、もしくは修飾されている部分を探してみるということになります。すると、傍線部bがある形式段落の5行目に「私たちがこれまで生きてきた歴史の中で否定的な意味が付与され、いまだにそれが生きているような言葉は、(C)差別的な言葉として…」という部分を見つけることができます。空欄Cがありますが、「差別的な言葉」と空欄(C)の前の内容が「は」でつながっていることが分かります。ここを使って、解答します。

私たちが生きてきた歴史の中で否定的な意味が付与され、いまだにその意味で使われているような言葉。(47字) 

  • 後半の「それが生きている」は、このままでは分かりづらいので、「その意味で使われている」と言い換えます。

 

問5 内容説明

 

  • 傍線部c「非対称性」とは、どのようなことかが問われています。「非対称性」の言い換え問題と言えます。
  • 傍線部cは形式段落のはじめにあります(一文で終わりますが)。形式段落後半の内容は「差別を受ける側とする側には現実把握をめぐる圧倒的な”落差”がある」です。この「”落差”がある」が非対称の内容(言い換え)だと分かります。つまり、差別を受ける側とする側には差がある(対称ではない)ということです。
  • 形式段落8は、この具体例です。同じ「ハゲ」などの言葉でも受け取る人によって、感じ方が違うという内容です。非対称ですね。→A
    また、さらに読み進めていくと、形式段落10の後半に「限られた〈差別を見抜く知〉と圧倒的な〈差別を隠し、見えなくさせる知〉という非対称性」という部分が出てきます。「非対称性」に「限られた〈差別を見抜く知〉と圧倒的な〈差別を隠し、見えなくさせる知〉」という修飾部分がついています。問4で確認したように、修飾部分は、修飾されている言葉とイコールの関係でしたね。ですから、「非対称」とは、「〈差別を見抜く知〉と〈差別を隠し、見えなくさせる知〉」とが対称でないということになります。私たちは、この非対称性の中で、普段生きていると書かれています。→B
  • 以上の内容を踏まえて、選択肢を見てみます。
    アは、「多くが差別しないように意識している」とありますが、これは確認した内容と異なります。これが1つめの不適切なものです。
    イは、Bの内容になっています。
    ウは、Aの内容になっています。
    エは、Bの内容になっています(形式段落10の真ん中の内容です)。
    オは、「意思疎通がなければ、両者間に対立がない」とありますが、これは確認した内容と異なります。これが2つめの不適切なものです。
  • 選択肢の問題は、まずは自分で答えを作ってから(今回であれば「非対称」とはどのようなことか考えてから)選択肢を見るようにします。自分で答えを作り、それと同じもの(今回は異なるもの)を選ぶという順で解答するようにしましょう。

 

問6 内容説明

 

  • 傍線部d「処方箋」の目的が問われています。
  • 「処方箋」とは、「(病気などを治すための)薬の名称や分量、用法などが記されているもの」です。「処方箋」の内容説明をすると、それが目的になっていそうです(処方箋には病気などを治すための用法が書かれているのですから)。
  • 傍線部dを含む一文に注目すると、「処方箋」前半部分が「認識の仕方や処方箋」の修飾部分になっていることが分かります。つまり、「処方箋=ある言葉や行為が差別と分かり、そうしたものを批判的に捉え、なくしていける」となります(この部分は「認識の仕方」と「処方箋」の2つと修飾被修飾の関係です)。ただ、設問では10字以内で述べるという条件がありますので、ここを使うのは難しそうです。ですから、この内容を短くまとめている部分を探すことになります。
  • 傍線部dのある形式段落10の構成を確認します。 

○○(ここに傍線部「処方箋」がある)としての知識が、圧倒的に少ない。→A
他方、○○としての知識が、世の中に充満している。→B
つまり、限られた〈差別を見抜く知〉と圧倒的な〈差別を隠し、見えなくさせる知〉という非対称性が世の中にある。 

  • 問2の空欄Bで確認したように、「つまり」はイコールを表す接続詞です。形式段落10は「つまり」の前後が同じ内容になっているということになります。
  • 上で確認した構造を見るとAと「限られた〈差別を見抜く知〉」、Bと「圧倒的な〈差別を隠し、見えなくさせる知〉」が同じ内容であることが分かりますね。「(処方箋)としての知識=差別を見抜く知」です。「処方箋」に該当する部分は「差別を見抜く」です。そして、これははじめに確認した「処方箋=ある言葉や行為が差別と分かり、そうしたものを批判的に捉え、なくしていける」とも重なります。ここを使って解答とします。

差別を見抜くこと。(9字) 

 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

長野大学の他の問題の解答解説については、こちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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名寄市立大学_小論文_平成27年度_一般入試後期日程

こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成27年度一般入試後期日程の小論文の書き方を解説します。

 

問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。(入試過去問題|名寄市立大学

 

名寄市立大学の小論文は、課題文型です。

今回の課題文は、「社会人の生き方」暉峻淑子 著 です。

 

設問は

「想像力のある社会人」について、あなたが考えることを800字以上1000字以内で述べなさい。 

 となっています。

 

では、解いていきましょう。

 

名寄市立大学の小論文の基本的な構成は

 

①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り

②それについての自分の意見と理由

③理由となる具体例

④自分の意見のまとめ、今後のあり方など

 

でした。詳しくはこちら【名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記】をご覧ください。

 

では、順番に行きます。

 

①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り

 

名寄市立大学の小論文を書く際に(すべての小論文問題共通ですが)最も重要なのがこの部分です。なぜなら、ここを誤ってしまうと、どんなに素晴らしい意見を述べたとしても、「設問に的確に答えていない」ことになってしまい、点数にならないからです。

 

名寄市立大学でも、評価の観点で「課題文の趣旨を理解し」と公表されていましたね(入試過去問題|名寄市立大学)。

 

この重要さを確認したところで、課題文の内容を見ようかと思います。

が!!!

もう1つ知っておくべきことがあります。それは、「設問」の中にチェックすべきポイントがあることです。課題文をただ要約すればいいということではなく「設問」で問われていることについて、筆者がどのように述べているのかを読み取ることが必要です。

なぜなら、②以降で「設問」で問われていることについて、「自分の意見」を述べていくことになります。だとすると、課題文では問われていることについて何らかの主張をしていると考えるのが普通です。ですから、闇雲に課題文を読むのではなく、「設問」をよく見て、何がポイントなのかを押さえましょう。

 

①での超重要な点をまとめておきます。

 

設問は「○○について、あなたの意見を述べなさい」となっていることがほとんどなので、「○○」について読み取る必要があるのだということを強く意識する。これを誤ると、すべてが終わるくらいの気持ちを持っておく。 

 

今回の設問はどうなっていますか?

そう、「想像力のある社会人」について問われていますね。

ということは、課題文は「想像力のある社会人」について述べているはずです。

 

では、行きます。

 

  

想像力のある社会人について筆者はどのように述べているのかを読み取る。 

 

課題文には、2つの中略があるので、大きく3段落に分かれていることが分かります。それぞれの段落で、想像力のある社会人について、どのように述べているかを読み取っていきましょう。

 

第1段落

  • 人間は社会的動物として、生きる意味と目的を人間の社会的なつながりの中に見出している。それは、人類の未来をひらく展望を示している。

第2段落

  • 「想像力」は、過去や未来に対する想像力を働かせることである。そして、国際社会で起こる飢餓や紛争や災害に対して救いの手を差し伸べようとする人々は必ずいるのだ。
  • ある物事の裏側を想像できるようになることで、物事を本当に理解できる。
  • 人間は、社会的なつながりの中にいることを望み、人の役に立つ仕事をしたいと望み、そこに幸福感を感じる。

第3段落

  • 想像力を育てることに価値を置く社会と対比されるのは、自分の利己的な生活にだけ心を占領されている社会である。        
  • 想像力は人間の感性と思考に大きな影響を与える。
  • 世界的な問題が進んでいくと思われる中、国際的な、あるいは地球的な、想像力のある社会人が必要である。
  • 人間は社会的動物なので、社会のつながりの中に生きることを望んでいる。
  • 社会は、人間に生きる意味を考えさせる場所、つまり自分自身を知る場所である。
  • 人間のつながりに価値を置く社会は、ふところ深く、多様で豊かな価値観に溢れているため、仲間とともにいる社会人は楽しい。

 

以上の内容をまとめるとこうなります。

 

社会は人に生きる意味を考えさせる場所である。その中で人はつながりを求め、人の役に立つことで幸福感を得るが、本当のつながりを得るためには他者や過去、未来を想像できることが必要である。社会で生きる多くの人が想像力を持ち、つながりに価値を置く社会は、懐深く、多様で豊かな価値観に溢れているため、そのような社会人でいることが有益で楽しいはずである。今後、地球規模の様々な問題が進む中、このような想像力のある社会人が求められる。

 

これを、問の「想像力のある社会人」を意識してまとめると、次のようになります。

 

想像力のある社会人とは、他者のことを思い、地球規模で過去や未来を想像しながら、社会的なつながりの中で人の役に立つ意味のある仕事ができるような人である。そして、このような社会人によって、ふところ深く、多様で豊かな価値観にあふれる社会となるのだ。

 

この内容を第一段落にまとめれば、筆者の主張はOKとなります。

 

筆者は、課題文で(上記の内容)と述べている。  

 

②それについての自分の意見と理由

 

筆者の主張を踏まえて、自分の意見を考えます。

その際、あくまで「想像力のある社会人」についてだということを忘れてはいけません

ここからずれてしまうと、点数になりません。

 

今回は、賛成や反対の立場を考えるというようなものにはなりません。「想像力のある社会人」についての意見を、筆者の主張を踏まえた上で、自分なりに考えます。

 

  • 小論文では、どのような意見を述べても基本的に構いません。ただし、名寄市立大学の小論文では、明らかにこの方向で考えた方がいいのでは?ということが多くなっています
  • 多くの場合(素直に考えた場合)、「想像力のある社会人であることは重要だ」という内容になるでしょう。受験生が「栄養」「看護」「福祉」「保育」のいずれかを志望していることを踏まえると、相手の気持ちを想像したり、それらの分野における課題を解決したりする際に、「想像力」は欠かせませんよね。
  • 問が「社会人」となっていることを絶対に忘れてはいけません(ここがズレるとどんなにいいことを書いてもダメです)。個人のこととして考えるのではなく、あくまで「社会」の中における「人」として考える必要があるということです。つまり、「人とのつながり」という視点ははずせないということになります。

 

そのように考える理由を簡単に述べます。

  • 課題文で述べられているような「地球規模の問題を解決するには 想像力を必要とするから」という方向でも書けますが、「栄養」「看護」「福祉」「保育」という分野であることを考えると、難しくなりそうです。そこまで大きく捉えずに、身近な人間関係などについて考えていく方が書きやすくなるでしょう。

 

次の③で詳しく理由を述べることになるので、ここでは簡単に理由を述べます。

 

③理由となる具体例

 

②で述べた理由と繋がるような自分の体験を述べながら、理由の根拠を示します。

体験を述べずに理由の根拠付けをすることもできますが、自分の体験を述べることが最も書きやすいと思います。

 

④自分の意見のまとめ、今後のあり方など

 

あらためて、設問に対する自分の意見を述べます。

今回であれば、「想像力のある社会人」に対する自分の意見です。

②で書いた自分の意見と同じになりますが、まったく同じ表現にすることは避けた方がいいでしょう。同じ内容で別の表現にする、もしくは、具体例などを通して、②で書いたものよりも少し踏み込んだ内容にしてまとめます。

 

さらに、今後自分がどのようにしていきたいのかを書いて終わります。この際、自分の志望学科と繋げることができそうなら軽く繋げましょう。ただし、そのことがメインではありませんので、あくまで「軽く」です。

 

 

以上、考えてきたことを文章にすれば完成します。

構成例は以下のようになります。

 

第一段落 

  • 筆者の主張をまとめる。(①)

第二段落 

  • 自分の主張を述べる。
  • そのように考える理由を簡単に述べる。(②)

第三段落 

  • 主張の理由・説明を具体例を交えながら述べる。(③)

第四段落

  • 改めて自分の主張を述べる。 
  • 今後の自分のあり方を簡単に述べる。(④)

 

 

いかがでしたか。名寄市立大学の小論文で肝心なのは、圧倒的に①です。そこさえクリアできれば、②~④は難しくありません。あとは、ひたすら書くだけです。小論文は、いくら頭で考えても書けるようにはなりません。ひたすら書くことが重要です。書けば書くほど上達します。

また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

今回以外の名寄市立大学の小論文の記事については、こちらからご覧ください。

 

kinkoshin.hatenablog.com

 

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