名寄市立大学_小論文_平成30年度_推薦入試_問1
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成30年度推薦入試の小論文問1を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。
また、このブログにある「名寄市立大学_推薦入試_小論文_対策」や「名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記」をどのように運用するのかに重点を置いています。
また、問1は内容説明問題や理由説明問題なので「評論文や小論文の課題文の読み方」についての記事も合わせてお読みください。
そのため、これらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
では、いきましょう。
今回の課題文は、「日本が世界一「貧しい」国である件について」谷本真由美著です。
問1は
傍線部Aについて、筆者が「なんだかなあ~」と思う理由を200字以内で説明しなさい。
です。
まずは名寄市立大学推薦入試の課題文を読むときに意識しておくことを2つ確認します。
①テーマを確認する
課題文には必ずテーマがあり、それについての筆者の主張が述べられています。
多くの場合、テーマは問2の「○○について、あなたが考えることを600字以上800字以内で述べなさい」の「○○」です。
②課題文の構成を意識しながら読む
次の構成で書かれている課題文が圧倒的に多いです。
ⅰ 一般的に考えられていること(一般論や常識論)
ⅱ それは違うのではないか(違和感)という筆者の立場
ⅲ 違うと考える理由(違和感の理由)
では、実際に考えていきます。
1.課題文のテーマは何か。
「自分の責任」です。
2.設問で問われていることは何か。
・筆者が「なんだかなあ~」と違和感を感じている理由・根拠が問われている。
・傍線部Aにある「このような悩みやコメント」に対する違和感の「理由・根拠」である。
3.本文を読み取る。
中略が4つあるので、5段落で構成されているとします。
第1段落
具体例が述べられており、これが傍線部Aにある「このような悩みやコメント」です。
第2段落
筆者は「このような悩みやコメント」に「なんだかなあ~」と思っているので、「このような悩みやコメント」が一般論、常識論(第1段落で書かれているコメントには「たしかに」と思いますよね)だと分かります。(ⅰ)
これに対して筆者は「なんだかなあ~」と違和感を表明しているのです。(ⅱ)
次に違和感の理由が述べられるはずです。
傍線部Aに続く一文が「~からです」となっていることから、ここが理由だと分かります。
自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がないから。(ⅲ)
これだけでは200字には足りませんから、続きを読んでいきます。
「自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない」の言い換えが続いています。
自分の人生なのに、自分に責任はないしどうしたらいいか分からないから答えを教えてください。(ⅲ)
第3段落
「自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない」理由が書かれています。
傍観者になっていて自発性がないから、自分の問題を直視せず何かを変えようとする行動を取らない。(ⅲ)
第4段落
違和感の理由が書かれています。
日本には表現の自由があるのに「自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない」(ⅲ)
第5段落
違和感の理由が繰り返されます。
自分で考えたり行動するための「道具」や「材料」はそろっているのに、そのありがたさがわかっていない。(ⅲ)
そして、最後にこれらから「日本の人達の最大の不幸」とまとめています。
どうですか。
一般論・常識論→違和感を感じている筆者の立場→違和感の理由
という構成になっています。
問は、筆者が「このような悩みやコメント」に対して「なんだかなあ~」と違和感を感じている理由・根拠でした。
これまで確認してきた(ⅲ)の部分をまとめてあげればいいことが分かります。
(ⅲ)の部分を箇条書きにします。
・自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで、自分の意見や主張がない。
・自分の人生なのに、自分に責任はないしどうしたらいいか分からないから答えを教えてください。
・傍観者になっていて自発性がないから、自分の問題を直視せず何かを変えようとする行動を取らない。
・日本には表現の自由があるのに…。
・自分で考えたり行動するための「道具」や「材料」はそろっているのに、そのありがたさがわかっていない。
これらを合わせた字数が196字です!
字数制限の200字にすごく近いですね。
あとは、この内容をうまくまとめるだけです。
まとめるときには「筆者が「このような悩みやコメント」に対して「なんだかなあ~」と違和感を感じている理由・根拠」を書くのだということを意識してフレームを考えてから書くといいでしょう。
今回であれば次のようなフレームで書いてみます。
本当は○○なのに○○だから筆者は違和感を感じている(なんだかなあ~と感じている)。
本当は日本には表現の自由があり自分で考えたり行動したりできる環境があるのに、自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで自分の意見や主張がないから、筆者は違和感を感じている。
これをもとにして、肉付けをしていきます。
なお、理由・根拠を聞かれたときに200字を一文で書いて文末を「から」にする人がいますが、それではあまりにも一文が長すぎて変な文になってしまいます。
たとえば「○○だ。このことから筆者は○○と考えている」というフレームを使えば理由・根拠を示せるので、このような書き方を覚えておきましょう。
では、肉付けしたものを示します。
(ⅲ)の部分をほぼそのまま使ったものです。
筆者が受け取る悩みやコメントには、自分が直面している問題をまるで他人事のように語るばかりで自分の意見や主張がないばかりか、自分の人生なのに自分に責任がないと考えどうすればいいのか教えてほしいというニュアンスが含まれる。これは自発性がないために自分の問題を直視せず何かを変えようとする行動を取らないということだ。日本には表現の自由があり自分で考えたり行動したりできる環境が整っているはずなのに、そのような態度を取っているため、筆者は異和感を感じているのである。
229字ですので削ります。
筆者が受け取る悩みやコメントには、自分が直面している問題を他人事のように語り自分の意見や主張がないばかりか、自分には責任がなく答えを教えてほしいというニュアンスが含まれる。これは自発性がないために、自分の問題を直視せず自分で考えたり行動したりしないということだ。日本には表現の自由があり自分で考えたり行動したりできる環境が整っているのに、そのような態度を取っているため、筆者は異和感を感じている。
198字です。
これを問1の解答とします。
いかがでしたか。問1の問題は理解してから何度か繰り返すと力がつきます。
これを見て終わりにするのではなく、今一度自分で書いてみましょう。
そして、このブログで示した大切な部分や模範解答と照らし合わせてみてください。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、今回はこれで終わります。
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