名寄市立大学_小論文_平成28年度_一般入試後期日程
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成28年度一般入試後期日程の小論文の書き方を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。(入試過去問題|名寄市立大学)
名寄市立大学の小論文は、課題文型です。
今回の課題文は、「生き抜く力を身につける〈中学生からの大学講義〉5」大澤真幸ほか 著 です。
設問は
「自由」ということについて、あなたの考えを800字以上1000字以内で述べなさい。
となっています。
では、解いていきましょう。
名寄市立大学の小論文の基本的な構成は
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
②それについての自分の意見と理由
③理由となる具体例
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
でした。詳しくはこちら【名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記】をご覧ください。
では、順番に行きます。
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
名寄市立大学の小論文を書く際に(すべての小論文問題共通ですが)最も重要なのがこの部分です。なぜなら、ここを誤ってしまうと、どんなに素晴らしい意見を述べたとしても、「設問に的確に答えていない」ことになってしまい、点数にならないからです。
名寄市立大学でも、評価の観点で「課題文の趣旨を理解し」と公表されていましたね(入試過去問題|名寄市立大学)。
この重要さを確認したところで、課題文の内容を見ようかと思います。
が!!!
もう1つ知っておくべきことがあります。それは、「設問」の中にチェックすべきポイントがあることです。課題文をただ要約すればいいということではなく、「設問」で問われていることについて、筆者がどのように述べているのかを読み取ることが必要です。
なぜなら、②以降で「設問」で問われていることについて、「自分の意見」を述べていくことになります。だとすると、課題文では問われていることについて何らかの主張をしていると考えるのが普通です。ですから、闇雲に課題文を読むのではなく、「設問」をよく見て、何がポイントなのかを押さえましょう。
①での超重要な点をまとめておきます。
設問は「○○について、あなたの意見を述べなさい」となっていることがほとんどなので、「○○」について読み取る必要があるのだということを強く意識する。これを誤ると、すべてが終わるくらいの気持ちを持っておく。
今回の設問はどうなっていますか?
そう、「自由」について問われていますね。
ということは、課題文は「自由」について述べているはずです。
では、行きます。
自由について、筆者はどのように述べているのかを読み取る。
課題文には、中略が1つあるので、前半の段落と後半の段落に分かれていることが分かります。それぞれの段落で、自由について、どのように述べているかを読み取っていきましょう。
前半の段落
- たくさん選択肢があることが、逆に牢獄(不自由)だと感じられる。
- 自由はたくさんあるのに、そのせいで逆に自由のない気分になる。
後半の段落
- 人間が自由になるためには自分の存在を認める他人の眼差し・神のようなものが必要である。
- 「自由」とは「責任」を担うことであり、「責任」とは神のような存在に応じることである。
- 我々の社会にはあふれるほど選択肢があるのに、不自由に感じる理由は、現代社会の中で「神のようなもの」が弱体化してしまっているため、好きなものが何かわからないし、どれを選べばいいかもわからないからだ。
以上の内容をまとめるとこうなります。
自由とは、自分の存在を認めてくれる他人の眼差しに応じ、責任を担うということであるが、現代社会ではこの他人の眼差しが弱体化しているため、我々は多くの選択肢を持っているにも関わらず、どれを選べばいいか分からず不自由に感じてしまう。
この内容を第一段落にまとめれば、筆者の主張はOKとなります。
筆者は、課題文で(上記の内容)と述べている。
②それについての自分の意見と理由
筆者の主張を踏まえて、自分の意見を考えます。
その際、あくまで「自由」についてだということを忘れてはいけません。
ここからずれてしまうと、点数になりません。
今回は、筆者の述べる「自由」について賛成や反対の立場を考えてもいいですし、自分なりの「自由」について筆者の主張と関連づけながら考えてもいいでしょう。
- 小論文では、どのような意見を述べても基本的に構いません。ただし、名寄市立大学の小論文では、明らかにこの方向で考えた方がいいのでは?ということが多くなっています。
- 自分なりの意見を考えるのが難しい人は、本文で述べられていた自由について賛成か反対かを考えてみましょう。
- 挿話では、自分の意志だけで判断しようとすると不自由になることが述べられていました。「神のようなもの」がいるから自由になれます。そして、その「神のようなもの」の1つの答えが「自分の存在を認めてくれる他人の眼差し」です。他人の眼差しを意識して行動する(これが課題文での「応答する」ということで、そこに責任が生じます)から、自由となることができます。
- 多くの場合(素直に考えた場合)、「自由であるためには、他人の眼差しを意識して行動する必要がある」という内容になるでしょう。受験生が「栄養」「看護」「福祉」「保育」のいずれかを志望していることを踏まえると、「他人の眼差しに応じると、そこに責任が生じる」職業に繋がっているものばかりです。そして、それを意識するから「やるべきこと(期待に応えるためにやるべきこと)」が決まってきます(課題文で述べられている「何をしていいか分からないという不自由な状態」から脱することができます)。
- 自分なりの自由の意見として、「自由は、ルールがあることによって成り立つ」ということが考えられます。スポーツでも何でもルールがありますね。ルールがなかったら、きっと不自由になってしまうことでしょう。そして、このことは「他人の眼差し」にも通じることです。ルールがある=他人の眼差しによる制限がある、と考えることができます。
そのように考える理由を簡単に述べます。
- 上記の内容の中にも、理由として述べることができそうなものがありそうです。
- 「自由であるためには、他人の眼差しを意識して行動する必要がある」→「期待に応えるためにやるべきことが決まるから、自分のやりたいことを選ぶことができるようになるから」
- 「自由は、ルールがあることによって成り立つ」→「ルールがあるから、その範囲でできることを自由に工夫することができるから」
次の③で詳しく理由を述べることになるので、ここでは簡単に理由を述べます。
③理由となる具体例
②で述べた理由と繋がるような自分の体験を述べながら、理由の根拠を示します。
体験を述べずに理由の根拠付けをすることもできますが、自分の体験を述べることが最も書きやすいと思います。
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
あらためて、設問に対する自分の意見を述べます。
今回であれば、「自由」に対する自分の意見です。
②で書いた自分の意見と同じになりますが、まったく同じ表現にすることは避けた方がいいでしょう。同じ内容で別の表現にする、もしくは、具体例などを通して、②で書いたものよりも少し踏み込んだ内容にしてまとめます。
さらに、今後自分がどのようにしていきたいのかを書いて終わります。この際、自分の志望学科と繋げることができそうなら軽く繋げましょう。ただし、そのことがメインではありませんので、あくまで「軽く」です。
以上、考えてきたことを文章にすれば完成します。
構成例は以下のようになります。
第一段落
- 筆者の主張をまとめる。(①)
第二段落
- 自分の主張を述べる。
- そのように考える理由を簡単に述べる。(②)
第三段落
- 主張の理由・説明を具体例を交えながら述べる。(③)
第四段落
- 改めて自分の主張を述べる。
- 今後の自分のあり方を簡単に述べる。(④)
いかがでしたか。名寄市立大学の小論文で肝心なのは、圧倒的に①です。そこさえクリアできれば、②~④は難しくありません。あとは、ひたすら書くだけです。小論文は、いくら頭で考えても書けるようにはなりません。ひたすら書くことが重要です。書けば書くほど上達します。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、今回はこれで終わります。
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