高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試A日程(2月2日)_第1問

 こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試A日程(2月2日)の国語、第1問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『他人を見下す若者たち』速見敏彦 著 です。

 

【解答】

 

問1

  • (1)頻繁    (2)喪失  (3)喚起
  • (ア)あら(わ) (イ)かた(くない)

問2

  • A.ウ  B.イ  C.オ  D.イ 

問3

  • 豊かになった現代人は、外部に向けた怒りや、生きるための怒りを表すことがないから。(40字)

問4

  • 現代人は、基本的生活を十分に送れるくらい豊かになったから。(29字)

問5

問6

  • 自分が下に見られたと感じたり、自分だけが叱られたりといった自尊感情が傷つけられたことに対する怒り。(49字)

問7

  • 長期間にわたって本人と会うことができなくなる別れの経験が、交通手段や電話などの物質的な豊かさにより減少している状況。(58字)

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(語句)

 

  • 語句の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断できることがほとんどです。まずは、空欄を含む一文をしっかり確認し、何について述べている一文なのかを確認します。その上で、どのような語句を補充するのが適切か考えます。
  • Aは、空欄Aを含む一文から「しかし」で始まる一文であることが分かります。「しかし」の前の文の内容は、「怒りを露わにする事件が頻繁に起きている」で、空欄Aを含む「しかし」の後は、「作文などに、Aを主題とするものは少ない」です。つまり、「怒りがたくさん(しかし)Aが少ない」です。「しかし」は逆接を表す接続詞なので、Aには「怒り」が入ります。
  • Bは、空欄Bを含む一文から、A(怒り)と対比になっている語句が入ることが分かります。形式段落1では、「怒り」と「悲しみ」が対比になっていることから「悲しみ」が入ることが分かります。
  • Cは、空欄Cを含む一文から、「負の感情」をもたらすものです。また、次の一文からはCが原因となり衣食住が満たされないとあります。さらに次の一文では「Cという社会経済的要因」という表現から、Cには「社会経済的」な語句が入ることが分かります。選択肢を見てみると「貧しさ」しか該当しません。
  • Dは、Dを含む一文から「貧しさという社会経済的要因と、Dは密接な関係にある」ことが分かります。さらに、Dは重要なものを喪失したときに感じるものであり、豊かになるにつれ、その機会(Dを感じる機会)が減少しているようです。この形式段落9の後半部分からは、「昔は貧しさのために多くの子どもが死に直面し、悲しみに対峙した」ことが書かれています。貧しさと密接な関係にあり、重要なものを喪失(死)したときに感じる感情は「悲しみ」となります。

*問題文には「同じ記号は何回でも選ぶことができる」とあります。このような条件がついている場合、基本的には「同じ記号を使う」と考えるべきです。もし、同じ記号を使わないのなら、わざわざこのような条件をつける必要がないことからも、このように判断できます。

 

問3 理由説明

 

  • 怒りが減少している理由が問われています。
  • 各形式段落の作りが「まとめ→説明→まとめ」となっていることが多いということを意識して読んでみると、傍線部aが形式段落2の終わりにあります。何について書かれていた形式段落かを確認するために、この形式段落のはじめを見ると「豊かになった今は怒りの量が減少してよいはずである」ということについてだと分かります。これは傍線部aと同じですね。つまり、この形式段落は、このことを説明していた段落だと判断できます。
  • 傍線部aの一文を確認すると、「そのような側面では」と条件がついていますから、この内容を確認します。その説明は、この形式段落の真ん中で書かれているはずです(はじめに書いた「形式段落の作り」から、このように考えます)。段落中程には「外部に向かって怒りを表さない」ことと「生きることを巡っての怒りがない」ことが書かれています。これが「そのような側面」の内容です。
  • 以上の内容から、「怒りがなぜ減少しているのか」という設問に合わせてフレームを作ると

 

豊かになった今は怒りを表さないから。

  • となります。これに「怒り」の内容説明を加えて

 

豊かになった今は、外部に向けた怒りや、生きるための怒りを表すことがないから。

  • としますが、怒りを表さないのは、当然「人」ですから「今」を「現代人」を書き換えます。この文章は、はじめの一文から「現代人」について書かれていることは明白です。
  • 以上から、このようにまとめることができます。

 

豊かになった現代人は、外部に向けた怒りや、生きるための怒りを表すことがないから。(40字) 

 

問4 理由説明

 

  • 労働団体の経営者側への怒りが減少した理由が問われています。
  • 傍線部bを含む一文から、「しかし」という逆接で始まっていること、傍線部bの怒りは豊かになった今は減少したことが分かります。また、形式段落5の終わりに傍線部bがあることから、この段落のまとめと考えることもできます。
  • このような視点で、経営者側への怒りが減少した理由を考えます。「しかし」の前の内容、つまり、この形式段落の「説明」の部分の内容が「昔は基本的生活の不十分さから来る怒りや、それをコントロールする政府や経営者に対する怒りがあった」とあり、傍線部bはこれと逆の内容だと考えられるので(「しかし」で繋がっているので)、「豊かになった今は、基本的生活が十分に送れるので、政府や経営者に対する怒りがなくなった」と言えます。この内容をまとめると、答えになります。主語については、問3と同じと考え「現代人」を補います。

 

現代人は、基本的生活を十分に送れるくらい豊かになったから。(29字) 

 

問5 空欄補充(語句)

 

  • 空欄(あ)は、形式段落の終わりにあります。形式段落は「まとめ→説明→まとめ」ですね。つまり、この空欄部分の説明部分は、この前にあると考えられます。
  • 前の内容は「人から注意を受けることに対して、自分が下に見られたという認識が強く働いた」です。それで、「空欄(あ)が耐えられない」と続きます。何が耐えられないのかというと、当然「自分が下に見られた」ことですね。この内容に最も近い選択肢を選びます。「下に見られる」という内容と最も近いのはエの「低く見られる」ですね。

 

問6 内容説明

 

  • 「怒り」がどのようになっているかが問われています。
  • 傍線部cを含む一文から、「このような角度から見ると」とあるので、この指示内容がここで言う「怒り」の説明になっていそうです。指示語の指す内容は、基本的にその指示語の前に書いてありますから、形式段落8を確認します。すると、ここでは「自分だけが責められること」に対しての「怒り」が書かれています。また、この段落は「しかし」から始まっているので、さらに前の形式段落7も確認します。ここでは、問5で確認した「自分が下に見られること」に対しての「怒り」が書かれています。この2つは、「怒り」の具体的な内容です。では、この2つは、何の説明として書かれたのでしょうか。さらに形式段落を戻り、形式段落6を確認すると、「近年では自分の自尊感情が傷つけられた場合に怒る」とあります。形式段落7、8の内容はこれの具体例だということが分かります。ちなみに、形式段落6は、「一方」で始まっていますので、その前の段落の内容、つまり問4で確認した「昔は基本的生活の不十分さから来る怒りや、それをコントロールする政府や経営者に対する怒りだった」と対比する内容になっていることが分かります。つまり、「一方」以下の内容は、「昔」に対する「今」の「怒り」の内容になっているわけです。

 

昔は基本的生活ができないことに対する怒りだったが、今は自尊感情が傷つけられることに対する怒りへと変わったということが分かります。 

  • ここで問われていることは、「どのような怒りになっている」かなので、これの後半部分を答えればいいということになります。

 

自尊感情が傷つけられたことに対する怒り。

  • これでは、50字まで足りないので、2つの「怒り」の内容を加え、答えとします。

 

自分が下に見られたと感じたり、自分だけが叱られたりといった自尊感情が傷つけられたことに対する怒り。(49字) 

 

問7 内容説明

 

  • 悲しみの経験が減少した状況の内容説明が問われています。
  • 内容説明とは、問われていることの「言い換え」ですので、「悲しみの経験が減少した状況」を言い換えていくことになります。ここで言い換えるべきポイントは「悲しみの経験」とは、どのような経験かということです(→A)。また、「状況」の説明をしなければいけないので、そのようになっている状況、つまり「背景」も説明します(→B)。
  • 傍線部dを含む一文から、「このように物質的豊かさ」が「減少させてきた」こと、この形式段落の終わりにあるので、この形式段落のまとめであることが分かります。
  • では、Aから考えます。形式段落のはじめを確認すると、「別れも悲しみの感情を喚起する」とあるので、ここでの「悲しみの経験」は「別れ」の経験だと判断できます。その別れの内容は、続く一文の「長期間にわたって本人と全く会うことができない」別れです。
  • 次に、Bです。「悲しみが減少した」状況、背景は、傍線部から「このように物質的に豊かな状況」です。また、この具体的内容は「このように」の指す内容でしょうから、直前の内容を確認して「交通手段や電話など」です。
  • 以上の内容を、はじめの「悲しみの経験が減少した状況」というフレームに当てはめて、まとめます。

 

長期間にわたって本人と会うことができなくなる別れの経験が、交通手段や電話などの物質的な豊かさにより減少している状況。(58字) 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

長野大学の他の問題の解答解説については、こちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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