旭川大学_小論文_2022年度_保健福祉学部_学校推薦
こんにちは。きんこです。
旭川大学(2022年度・令和4年度保健福祉学部学校推薦型選抜)の小論文の解説です。
(社会人特別選抜1期、編入学特別選抜1期、社会人編入学特別選抜1期)
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問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
旭川大学のホームページで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。
このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。
まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
現代文の力もつきますよ。
では、はじめます。
課題文は、浜田寿美男『「私」をめぐる冒険「私」が「私」であることが揺らぐ場所から』です。
設問の解説の前に、旭川大学が示している小論文の評価ポイントを確認しておきましょう。
入学者選抜要項のアドミッションポリシーによれば、保健福祉学部保健看護学科は「読解力・思考力・表現力・判断力と論理的思考を小論文で評価する」、コミュニティ福祉学科は「思考力、表現力を小論文によって評価する」となっています。
課題文の内容をしっかりと読み取ることができているか、そして、それをもとに自分の意見を適切な表現で述べることができているかが求められていることが分かります。
また、保健看護学科は「判断力」も評価となっていることから、医療従事者としての「判断力」、つまり医療従事者として適切な意見を述べることができているかも求められていると考えていいでしょう。
問題1
課題文の要旨を200字以内で説明する問題です。
まずは「要旨」とは何かを確認しましょう。
『現代新国語辞典』(三省堂)によれば
「要旨」とは「文章・話などの、おもな(だいじな)内容」です。
小論文における課題文では、多くの場合「要旨=筆者の主張」です。
それは、小論文の課題文はあるテーマについて筆者が何かしらの主張をしているものが圧倒的に多いからです。
ちなみに旭川大学だけでなく、このブログで解説をしている長野大学や名寄市立大学の小論文の課題文もそのようになっています。
ですから「要旨を書く」ということは、「課題文で筆者が主張していることを書く」ということができます。
まずは「小論文を書く力」というよりも「文章を読む力」が試されるわけです。
この力が求められていることも、アドミッションポリシーから明らかです。
ですから、先程紹介した「文章の読み方」のブログを必ず読んでくださいね。
では、今回の課題文を読んでいきましょう。
形式段落ごとに見ていきますので1~8まで番号を振ってください。
課題文の書き抜きは青字で表示します。
1
古典的なリハビリの発想では
欠如した機能を効率的に回復する手立てを探り、そこで見つけた最適最上と思われる訓練方法を、繰り返し反復させようとする。
課題文の「はじめ」です。
この課題文のテーマが「リハビリ」だと分かります。
ここでは「古典的なリハビリ」がどのようなものかが書かれています。
このように書かれるということは、この後に「古典的ではないリハビリ」が書かれると予想できますね。
2
この考え方を根本的に批判し続けてきた人に、三好春樹という介護の実践家がいる。
理学療法士として、看る側ではなく、看られる側に立って提言をしている人。
「古典的ではないリハビリ」が三好春樹が提言しているものですね。
それがどのようなものかを読み取る意識を持って読み進めます。
3
彼が紹介している話の1つに、脳溢血になったおばあちゃんのエピソードがある。
具体例が始まります。
これを通して、三好春樹の提言を読み取ることになります。
4
おばあちゃんは、リハビリの訓練で「私は何のために向こうまで行ったんじゃね」と質問した。
5
トレーナーとしては元通りに歩けるようになるための訓練だが、
おばあちゃんには行って何かするという意味が見えなかった。
ここまでが具体例です。
第2段落にあった「看る側ではなく、看られる側に立って」がポイントになりそうですね。
6
従来のリハビリは、たいてい、まず訓練を行い、力を身につけ、あるいは取り戻す。それから、その力を使おうという発想。
看る側の都合で管理的なトレーニングをさせても果たして意味があるのだろうか。
トイレに行きたいなど、生活そのものの中で湧き上がってくる、看られる本人の思いの中で力を使う方が自然なのではないか。
ここがリハビリについての筆者の主張です。
「看る側」視点の古典的なリハビリではなく、「看られる側」視点でのリハビリが自然であり、大事だと述べているわけです。
7
看る側よりも看られる側の都合を大切にすることが、プラグマティックに考えても効果がある。
「生活にまさる訓練なし」
主張を繰り返しています。
8
身体の感覚は、訓練で力をつけて、生活に戻るというものではない。
今ある力で生きるというかたちに従うのが一番自然だ。
ここも主張の繰り返しですね。
ただ、「新生児の育ち方」とも述べていますから、リハビリだけの話ではなくなってはいます。
ということは、この課題文はリハビリの例を通して「身体の感覚」について述べたかったのだと分かります。
第6段落から続いた主張を、リハビリに限らず新生児の育ち方などを含む「身体の感覚」としてまとめています。
ということは、この課題文のテーマは「リハビリ」だけというわけではなく「身体の感覚」についてだったことが分かります。
課題文の読み取りが終了しました。
以上のことを踏まえて、課題文の要旨を説明してみましょう。
筆者の主張は、第8段落の内容でまとめます。
身体の感覚は、訓練で力をつけて、生活に戻るというものではなく、今ある力で生きるというかたちに従うのが一番自然だ。(56字)
これを中心にまとめていきます。
まずは、前半のリハビリを加えます。
リハビリについては第1段落の内容ですね。
古典的なリハビリの発想では、欠如した機能を効率的に回復する手立てを探り、そこで見つけた最適最上と思われる訓練方法を、繰り返し反復させようとする。しかし、身体の感覚は、訓練で力をつけて、生活に戻るというものではなく、今ある力で生きるというかたちに従うのが一番自然だ。(132字)
このままでは前半と後半が繋がっていません。
前半がリハビリ、後半が突然身体感覚の話になってしまっています。
そこで、三好春樹の主張を加えることで、リハビリの話が何を意味するのかを加えます。
第6・7段落の内容です。
古典的なリハビリの発想では、欠如した機能を効率的に回復する手立てを探り、そこで見つけた最適最上と思われる訓練方法を、繰り返し反復させようとする。しかし、看る側の都合で管理的なトレーニングをさせるよりも、トイレに行きたいなど、生活そのものの中で湧き上がってくる、看られる本人の思いの中で力を使う方が自然であり、プラグマティックに考えても効果がある。身体の感覚は、訓練で力をつけて、生活に戻るというものではなく、今ある力で生きるというかたちに従うのが一番自然だ。(229字)
流れが自然になったので、これを200字以内にまとめます。
古典的なリハビリの発想では、欠如した機能を効率的に回復する手立てを探り、そこで見つけた最適と思われる訓練方法を繰り返し反復させる。しかし、看る側の都合で管理的なトレーニングをさせるよりも、看られる本人の思いの中で力を使う方が自然であり、プラグマティックに考えても効果がある。身体の感覚は、訓練で力をつけて生活に戻るというものではなく、今ある力で生きるというかたちに従うのが一番自然である。(194字)
問題2
絶対に注意しなければいけないことは「問題」をよく見ることです。
具体的には「この文章を読んだ上で」「あなたのイメージを」「なぜそう考えるのか根拠を示して」を見落とさないことです。
この文章を読んだ上で、つまり筆者の主張をふまえて、自分が持っているイメージを、その理由・根拠とともに述べる必要があります。
ということで、筆者の主張を確認します。
問題1より、
身体の感覚は、訓練で力をつけて、生活に戻るというものではなく、今ある力で生きるというかたちに従うのが一番自然だ。
言い換えると、看る側の都合ではなく看られる側(患者)の視点に立って治療やリハビリを行うことが重要だということでしょう。
看護や福祉の仕事に関するイメージを、これと関連付けながら述べる必要があります。
つまり、看護師や福祉士側からの視点と、患者側からの視点のどちらを重視するかということが問われていると言えます。
それを、あなたが持っているイメージを出発点として述べていくことになります。
看護や福祉に従事することを考えると、あなたの意見は患者側に立つという方向性になりそうです。
そして、そのように考える根拠をしっかりと述べることができるかがポイントとなります。
以上のことを踏まえて、自分の持つイメージ、その理由、根拠を800字で述べましょう。
基本の構成はこうなるでしょう。
第1段落 筆者の主張を踏まえながら自分の意見(イメージ)を述べる
第2段落 意見(イメージ)の理由、根拠、具体例
第3段落 意見のまとめ
4段落構成にする場合は、上記の「第2段落」の内容を2つに分けることになります。
以上で書くと、合格できる小論文になります。
書き方や表現、意見の内容などはブログではどうしようもありませんので、身近な方(学校の先生とか)に添削してもらいましょう。
これからも過去問に取り組んでみましょう。
旭川大学は公開されている過去問が少ないので、名寄市立大学や長野大学の課題文を使って練習するのもアリですよ。
では、終わります。
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