文章の読み方④_筆者の主張を読み取る②「注目すべきことば」
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
評論文が苦手!読んでるのに分からない!
小論文の課題文をどう読めばいいの?
そんな人はぜひ読んでみてください。
文章には、「読み方」があります。
もちろん漠然と読んでもいいんですが、文章を読んで問題に答えたり、小論文を書いたりする場合には、「ポイント」を押さえながら読む方が断然効率がよくなります。
言い換えると、しっかりと押さえるべき部分と軽く読み流してもいい部分とをはっきり区別できると、読むスピードも内容の理解度も大きく変わるということです。
現代文が得意!っていう人は無意識にこの読み方をしていることが多いんです。
ということで、「文章の読み方」について書いていきます。
第4回 筆者の主張を読み取る②「注目すべきことば」
前回は文章の構造を意識して読むことが、筆者の主張につながることを伝えました。
今回は筆者の主張を読み取るために注目すべき「ことば」を紹介します。
これから紹介する「ことば」の多くは、強いニュアンスを含んでいるものです。筆者は自分の主張を述べるために文章を書いているのですから、主張が述べられている部分には「強いニュアンス」が含まれることが多くなります。自分の意見は強調するものですよね。
ですから、これから紹介する「ことば」が出てきたときに「あ、ここに主張が書かれているかも」と思えるようになると、筆者の主張を読み取りやすくなります。
いくつかのパターンがあるので、それぞれ紹介していきます。
1.逆接を示す表現
「しかし」「だが」「けれども」などの逆接を示す表現の後には、筆者の主張が来ることが多くなります。それは逆接の後に本当に言いたいことが来るものだからです。
次の例文を見てください。
①このパンは、見た目は悪いが、とても美味しい。
②このパンは、とても美味しいが、見た目は悪い。
どちらも「パン」がテーマとなっている一文です。書いている内容(要素)も同じです。ただ書かれている順番が異なっています。
では、それぞれの「パン」に対する主張はどうなっているでしょうか。「プラス」か「マイナス」かで考えてみてください。
①はプラスで②はマイナスであるという印象になるはずです。それは逆接の後が強調されるからです。
また、前回伝えた一文の「はじめ」と「おわり」が重要だということとも当てはまりますね。一文の構造は形式段落の構造にもつながりますので、形式段落においても逆接の後が強調される、つまり、そこに筆者の主張が来ることが多いのです。
よく使われる逆接の表現をまとめておきます。
しかし、だが、ところが、けれども、~なのに
2.比較を示す表現
「AよりもBだ」という一文があれば、当然Bが筆者の主張であることは明らかです。
例文です。
私は、ジャムパンよりもメロンパンが好きだ。
「私」がテーマであり、「私」は「メロンパンが好きだ」という主張ですね。
この比較を表す表現は不等号「<」です。先程の例文は「ジャムパン<メロンパン」と表すことができます。
不等号「<」の後は強調されます。ですから、そこに筆者の主張が来ることが多くなります。
よく使われる比較の表現(<)をまとめておきます。
むしろ、~ではなく、~よりも
3.因果関係を示す表現
因果関係とは、原因(理由)と結果です。次の例文を見てください。
メロンパンには、さくさくした食感と絶妙な甘さがある。だから、私はメロンパンが好きだ。
私はメロンパンが好きだ。なぜなら、さくさくした食感と絶妙な甘さがあるからだ。
「私」がテーマで、「私」は「メロンパンが好きだ」という主張です。原因と結果が書かれている順に関わらず、「結果」が主張となります。
原因(理由)というのは、主張のために書かれるものだということは、小論文を書くときと同じです。また、私たちの日常でも、原因(理由)は主張をするためになされるものだと分かるはずです。次の例文を見てください。
(親に新しいスマホを買ってもらいたいとき)
「友だち皆が新しいスマホを持っているから、買ってよ」
「今よりも毎月の料金が安くなるから、買ってよ」
「先生が学校で使うって言っているから、買ってよ」
主張のために原因(理由)を述べるということが明らかです。ということで、因果関係を示す表現がある場合、その結果に当たる部分が主張になっていることが多いのです。
よく使われる因果関係の表現をまとめておきます。
(原因・理由)だから(結果)、(原因・理由)したがって(結果)、
(結果)なぜなら(原因・理由)からだ
4.まとめを示す表現
いろいろな話をして最後にそれをまとめるとき、そのまとめ部分が大切であるということは間違いないでしょう。まとめるということは、それを言いたいがために説明をしてきたということになります。
このことばは日常会話であまり使わないかもしれませんが、無理矢理使って次の例文を作ってみました。
「ねぇ、お母さん。スマホで勉強する方法があるんだよ。ものすごく評判がいいアプリがあって友だちもそれで成績が上がったんだって。でも、それをやるためには、今持っているスマホでは古くてできないんだ。それから、新しいスマホ用の料金プランもできて、それだと今よりも毎月の料金が安くなるんだって。あ、あとGPSの性能も上がって僕の安全面でも安心じゃない?」
「で、何が言いたいの?」
「つまり、新しいスマホを買ってってこと」
「僕」の主張は「新しいスマホを買って」ですね。はじめの台詞は主張のための説明です。このように長々と説明をしたのは、まとめの部分である主張のためです。つまり(笑)、まとめを示す表現の後には、筆者の主張が来ることが多くなります。
よく使われるまとめの表現をまとめておきます。
つまり、すなわち、言い換えると
5.主張を示す表現がある
そのままですが「~すべきだ」「~しなければいけない」「~する必要がある」などの表現が、これに当たります。これらの表現は、そのまま主張を表しています。例文は不要だと思います。
~すべきだ、~しなければいけない、~する必要がある
この5パターンに注目すると筆者の主張が見えてきます。
ですから、これらのことばを見つけたら○で囲み、主張に当たる部分に線を引くということをやってみてください。その部分を拾って読むだけでも、その文章で筆者が何を言いたいのかが見えてくるようになります。
また、これらの箇所が前回伝えた「はじめ」や「おわり」に多いことも分かると思います。
文章の構造、そして、注目すべきことば。この2つを意識して読むことができると、文章の読み方マスターと言っても過言ではありません。筆者の主張を掴まえることができるようになっているはずです。
「文章の読み方」は今回まででも十分ですが、もっと武器が欲しいという方のために、もう少しだけテクニックを伝授します。次回が「文章の読み方」の最後です。
では、今回はこれで終わります。
評論文や小論文の課題文の読み方の記事については、こちらからご覧ください。