平成27年度(2015年度)_センター試験_国語第3問(古文)_解説
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今回は、平成27年度(2015年度)センター試験国語第3問(古文)の解説です。
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ぜひ読んでみてください。
では、始めましょう。
平成27年度(2015年度)センター試験国語第3問(古文)は『夢の通ひ路物語』からの出題でした。
まずは本文に出てきた知っておくべき単語と文法の確認です。
さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。
Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。
重要単語
かたみに[互みに] おぼす[思す] うつつ[現] 頼む 心憂し ながむ[眺む] わたる[渡る] あぢきなし いと つつまし[慎まし] 影 をさをさ おぼゆ[覚ゆ] あきらむ[明らむ] ありし 語らふ 聞こゆ わろし をこなり のたまふ[宣ふ] いとどし 給ふ こなた おのづから[自ら] おまへ[御前] こころざし[志] になし[二無し] まさる[増さる・勝る・優る] よに[世に] いささか[聊か] つぼね[局] しめやかなり 参る ついで[序] かの[彼の] たてまつる[奉る] 程 わづらふ むべに[宜に] 侍り げに[実に] こよなし さぶらふ[候ふ] 久し いかに[如何に] いぶかし なほ[猶・尚] 忍ぶ はつ[果つ] ふみ[文] おこす かかり 言ふ甲斐無し かなし こもる[籠る] え~打消 ひとへに[偏に] せうそこ[消息] なかなか いかで 御覧ず おもほす[思ほす] いづこ さり[然り] くもゐ[雲居] しらべ[調べ] ほどなし 憂し あはれに すさむ[荒む・遊む] きしかたゆくさき[来し方行く先] かきくらす いたし[甚し] ふす[臥す] いとほし いかなり[如何なり] ちぎり[契り] もろともに おもひやる[思い遣る]
重要文法
已然形+ど 未然形+で ぬべし 未然形+ね+已然形接続の語 已然形+ば てしがな・にしがな さへ る・らる だに ぞ やは・かは e音+る・れ き せ給ふ・させ給ふ けむ 未然形+ぬ にや・にか なむ に+○+あり 文中の「む」 こそ 未然形+ましかば… 名詞+が+名詞 連用形+なば かし めり 連用形+なむ 「もの」系
では、各設問の解説です。
問1 語句の意味
(ア)
「あぢきなし」が重要単語です。
これだけで判断可能です。
(イ)
「あきらむ[明らむ]」が重要単語です。
「にしがな・てしがな」は自己願望の終助詞で超重要です。
願望の終助詞を確認しておきます。どれも頻出です。
・未然形+ばや(たい)
・連用形+にしがな・てしがな(~たい)
・もがな・がな(~たい、ほしい、があったらなぁ)
・未然形+なむ(~てほしい)…これのみ他者願望です。
(ウ)
「こころざし」「になし[二無し]」「まさる[増さる]」が重要単語です。
なにはなくとも重要単語、文法を覚える必要があります。
特に文法は覚えることも少ないため得点源にできます。
問2 敬語の説明
問2で敬語問題が出た場合、「誰から誰への敬意か」が問われます。
「誰へ」は「敬意の対象」のことです。
では、解くための学習手順です。
①重要敬語の暗記
「尊敬語か謙譲語か丁寧語か」と「口語訳」を覚えます。
30単語ほどしかありません。
②誰からの敬意かの判断方法
その敬語が地の文(会話文以外のところ)か会話文(心中語も含む)かで判断します。
・地の文→作者から
・会話文→話者から
③誰への敬意か(敬意の対象)の判断方法
その敬語が「尊敬語」か「謙譲語」か「丁寧語」かで判断します。
・尊敬語…動作の主体(~が、は)への敬意
・謙譲語…動作の客体(~を、に)への敬意
・丁寧語…聞き手、読者への敬意
敬語の問題と聞くと苦手意識を持っている受験生が多いのですが、学習することは上記のみです。
覚えることも少ないですし、全然難しくありませんよ。
難しいとしたら、動作の主体や客体、誰が誰に話しているのかを読み取りにくいことがあるという読解の部分においてです。
「敬語」自体が難しいわけではありませんね。
では、今回の設問を確認します。
a
一文前から右近の台詞ということは明白です。
「侍り」は丁寧語です。
丁寧語は会話相手に対する敬語でした。
右近が女君に話している場面であるということも容易に分かるはずです。
話者である右近から聞き手である女君に対する敬意を示す丁寧語です。
b
『 』にあります。
『 』の前の一文「昨日文おこせし中に(昨日手紙を送ってきた中に)」の一文に注目すれば「清さだ」の台詞であり、男君の様子について語っている内容ということが容易に分かります。
「給ふ」は尊敬語です。
尊敬語はその動作(ここでは「籠もる」)の主体に対する敬語でした。
男君が籠もりなさらないのです。
話者である清さだから「籠もる」の動作の主体である男君に対する敬意を示す尊敬語です。
c
「 」の中にあります。これは男君の手紙の内容です。
もし、それが分からなくても問4の設問から、男君からの手紙と分かるでしょう。
ここでの「給ふ」は過去の「き」に続くことから連用形「給へ」であることが分かります。
連用形が「給へ」ということはハ行下二段活用ですから謙譲語の「給ふ」です(尊敬の「給ふ」は四段活用)。
謙譲語の「給ふ」は丁寧語と同じように、会話相手(手紙の相手)への敬意です。
男君が手紙を送る相手は女君しかいませんね。
話者(手紙を書いている人)である男君から、聞き手(手紙の相手)である女君に対する敬意を示す謙譲語です。
☆2つの「給ふ」を確認しておきます。
尊敬語「給ふ」
→ハ行四段活用。
→ほとんどの「給ふ」はこれです。
謙譲語「給ふ」
→ハ行下二段活用。
→会話文や手紙文で使われます。
→会話相手や手紙を送った相手に対する敬意です。
「給ふ」が問題になっている場合は、「下二段活用」の可能性があるのかを一応確認する必要があります。
連用形(給へ)や連体形(給ふる)となっていることが多いので、その形から判断できるはずです(命令形でない「給へ」や「給ふる」となっていれば絶対に下二段活用)。
敬語は①~③の手順を踏むだけです。
難しいと思われがちですが超簡単です。
謙譲語「給ふ」は要チェックです。
問3 心情説明
心情説明は傍線部を訳せば「心情」があります。
ここでは「恥ずかしく、悲しい」です。
傍線部の直前に会話文があるので、その内容を確認します。
(会話文直後の傍線部の設問は会話文が答えの根拠のことが圧倒的に多い)
「昔ながらの関係だったら、こんなに苦しむだろうか、いや苦しまないはずなのに」です。
この訳ができれば容易です。
ここには古文における超重要構文があるから確認します。
☆反実仮想「まし」
A+ 未然形 + ば、Bまし。
A+ せ + ば、Bまし。
A+ ま せ + ば、Bまし。
A+ ましか + ば、Bまし。
訳…もしA(だった)ならば、Bだろうに。
本当に言いたいことは、「現実にはAだから、Bじゃない!」ってこと。
例…鏡に色・かたちあらましかば、うつらざらまし。
訳…もし鏡に色や形があったら、うつらないだろうに。
言いたいこと…現実には、色や形がないから、うつる!
反実仮想は設問になる可能性が高いので覚えておきましょう。
会話文直後の傍線部は会話文が解答の根拠です。
問4 内容説明
A、Bそれぞれの内容をまとめるしかありませんが、AよりもBの方が短いこと、選択肢は後半が大事なのでBを押さえるべきことを考えて、まずはBの内容を押さえます。
Bはほぼ和歌です。
和歌は難しいと苦手意識を持っている受験生が多いですが、基本的に直訳すればオッケーです。
今回の和歌も何となく直訳してみます。
「思ってなくても離れたことを嘆いて一緒に消えてしまいましょう」です。
男君と離れ離れになって悲しいから男君と一緒に消えちゃいたいと言っているわけです。
この内容になっている選択肢を選びます。
③しかありません。
Aの方は和歌も含めて、内容を掴む必要があります。
訳せるかどうか(和歌は直訳でオッケー)が試されます。
今回はBだけで正答を導けますが。
和歌は直訳でオッケーです。
選択肢の後半と関連する部分をしっかりと確認します。
問5 心情説明
まずは傍線部を直訳し心情を確認します。
「それぞれを考えると悲しい」です。
傍線部の直前に会話文があるので、その内容を確認します。
「(女君の手紙は)このように言葉は少ないけれども、(男君は)ますますしみじみと気の毒に御覧になるだろう」
これが答えの根拠となります。
また、男君と女君の手紙のやり取りや、二人は結ばれることがないという悲しい話であることが分かっていれば容易に判断できます。
会話文直後の傍線部は会話文が解答の根拠です。
問6 内容合致
この問題は、評論や小説の最後の問題と同じように一つ一つの選択肢を吟味していき、消去法で答えを導きます。
その際、具体的な内容に関しては、必ず本文に戻って確認します。
訳すことができているかどうかが試されている設問です。
この話から知っておいて欲しい古文常識
古文の恋愛話にはあるパターンがあります。
ほとんどの恋愛話はこのパターンから派生します。
その恋愛話パターンが次のようなものです。
①主人公の男性と、ある女性が恋に落ちる。
②ある理由から男性と女性が別れることになる。
*別れる理由としては、男性と女性の身分が大きく違い男性が親から紹介された身分の高い女性と結婚させられるというものが圧倒的に多い。
他に、仕事の都合(転勤とか)で離れ離れになってしまう、女性が身分の違いに引け目を感じて突然姿を消す(田舎に行ったり出家したり)などの場合があります。
③別れる際、女性は悲しみながらも男性に「行ってください。それがあなたのためです」と告げる。
男性は悲しみながら(女性のことをますます愛しいと思いながら)別れることにする。
④男性と女性は離れ離れになってもお互いを思い続ける。
⑤その後、女性のことを忘れることができない男性が偶然女性と再会を果たす。
入試問題はこのパターンのどこかが切り取られます。
今回はリード分で①~③が描かれ、本文で④が描かれています。
絶対にこのパターンに当てはまるということではありませんが、ほとんどはこれです。
(現代の恋愛小説やドラマも一定のパターンがありますよね)
あとは出題された文章を読みつつ、このパターンを頭に思い描くと格段に読みやすくなりますし、イメージもしやすくなります。
知っておいて損はないはずです。
センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた単語や文法を押さえること、そして古文常識を知っていくことです。
他の年度でもそれを意識して学習しましょう。
それの積み重ねだけでセンター試験は突破できますよ。
頑張ってください。
では、これで終わります。
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次の記事もぜひご覧ください。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。