平成29年度(2017年度)_センター試験_国語第4問(漢文)_解説
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今回は、平成29年度(2017年度)センター試験国語第4問(漢文)の解説です。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。
どちらかでご準備をお願いします。
また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。
ぜひ読んでみてください。
では、始めましょう。
平成29年度(2017年度)センター試験国語第4問(漢文)は『白石先生遺文』からの出題でした。
まずは本文に出てきた知っておくべき重要漢字と句法の確認です。
さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。
Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。
重要漢字
之 如 以A 相 故 則 所A 非A 従A 夫 者 称 為 而 亦 蓋 愈 得 古 窃
重要句法
猶A 豈不A哉 未A 欲A 不可A
では、各設問の解説です。
問1 漢字の読み
(ア)
「蓋」は重要漢字です。
他の選択肢の「盍(なんぞ)」「果(はたして)」「将・且・当(まさに)」「乃・則・即・輒(すなはち)」も重要漢字ですから覚えておきましょう。
(イ)
「愈」は重要漢字です。
他の選択肢の「数・屢(しばしば)」「却(かへつて)」「甚(はなはだ)」「頗(すこぶる)」も重要漢字です。
重要漢字は覚えましょう。100個くらいで得点源になりますよ。
問2 漢字の意味
(1)
「千載」から「千載一遇」という四字熟語が思い浮かぶかが大きなポイントです。
思い浮かばなかったとしたら文脈で判断するしかありません。
続く「刻舟求剣」の話がが舟が移動した後の「今」と剣を落とした「過去」との比較であること、後半の段落が「今」と「古」との比較であることからの判断となるでしょう。
(2)
「舟」や「車」が集まる場所という直訳と、傍線部が「大都会」である「江戸」の説明であるという文脈からの判断になります。
漢字の読みや意味の問題は、覚えるべき漢字が出題された場合を除くと、どれだけ漢文を読んできたか、漢字の学習(漢字検定など)をしてきたかに依るところが大きいです。授業や問題演習に出てきた漢字は覚えることを意識しましょう。
また、文脈から漢字の意味を予想する習慣も必要です。
やはり全文を訳せるようになるということが目標になります。
問3 内容説明
「どういうことか」問題はイコールを問われているわけですから直訳することから始めます。
また、「如(ごとし)」は比喩なので、何を何に例えているのか、そしてその例えは何を意味するのかを考えます。
・雷鳴(音大きいよね)→遠いと太鼓を叩いている音のようだ
・江河(大きな河だよね)→遠くから見ると帯のようだ
どちらも「大きい」けれど、遠いと「小さくなる」というようなことを例えていることが分かります。
それが分かれば選択肢の後半を見れば正答を導けます。
比喩表現は何を何に例えているのかを確認します。
これは現代文や古文も同じです。
問4 理由説明
「刻舟求剣(古い考えやしきたりにこだわり、時代の移り変わりに気づかないこと)」という故事を知っていると格段に解きやすくなります。
「矛盾」などは誰でも知っているのでしょうが…。
多くの文章を読んでいるとやはり有利になることがあります。
でも、当然ながら知らなくても解けます。
この設問は知識問題ではなく読解問題ですから。
まずは傍線部を直訳することから始めます。
「なんと『惑』ではないか」
「惑」が訳しにくいかもしれませんが「戸惑い・困惑」などのマイナスのイメージは持てます。
形式段落の終わりにありますから、この段落のまとめと考えます。
(現代文などでも重要な読み方ですよ)
ですから、傍線部直前の内容を読み取れるかどうかが大事です。
わかりにくい表現もありますが、分かる漢字だけ拾って接続(「非ざるも」が逆接など)を意識して内容を掴んで欲しいところです。
もし傍線部(1)辺りからの流れが全然分からないとしたらどうしようもないです…。
やはり古文漢文は訳すことができるかにかかっています。
漢文は句法だけを覚えるのではなく、出てきた漢字と送り仮名などに注目し丁寧に読み進める練習をしましょう。同じ文章を繰り返して読んでも十分に力はつきます。
その際、単に読み進めるのではなく、「こういうことね」とまとめながら読むようにしましょう。
問5 返り点と書き下し文
漢文の構造として次の2点を覚えておきましょう。
①漢文の構造は「S+V+C・O」です。
*このブログでは「S=主語」「V=述語(用言・助動詞)」「C=補語(ニ・ト・ヨリ)」「O=目的語(ヲ)」としています。
②「C・O」がさらに「S+V」となっている場合にはそのSに「ノ」がつきます。
例
我 聞 彼 飼 猫 。
S V ( O )
Oの中身 … 彼 飼 猫
S V O
私は聞いた(彼が猫を飼っているのを)
はじめの一文の読みは「我彼の猫を飼ふを聞く」となります。
「彼」につく「の」が重要です。
以上、2点を必ず覚えておきます。
その上で以下のように考えていきます。
①「V」に当たる漢字を探す。
②「V」を見つけたら下に「C(ニ)」「O(ヲ)」のどちらが来るのかを考える(何も来ないこともあります)。
これに付け加え「、」がある場合、基本的に「、」の前後でそれぞれ文が完結している(SとVがある)と考えておきます(例外もあります)。
今回は「、」が2つあるから3つの部分で「V」から探します。
一つ目は「為」がVになるしかありません。選択肢から「なす」か「たり(断定)」と判断します。
二つ目は「訪」です。之「を」訪ねるという流れです。「古(昔)」に訪ねるんでしょう。
三つ目は「未A」の再読文字がありますから「聞」からの「未(ず)」に戻ります。
「聞」の目的語を「之」と考えると「聞」の下に「之」があるべきですが(先程確認した構造から考えるとVの下にOなので)、どの選択肢も「之→聞」の順で「之」の送り仮名は「を」なので、このブログで説明している原則から外れていると考えます。
なお「之」は「ゆク」とも読みますが、ここでは文脈上おかしいことは明白です。
以上に加え、傍線部の直前が「而れども」と逆接になっていることから「江戸は大都会であるけれど、傍線部」という文脈と合わせて判断します。
今後は漢文の構造(S+V+C+O)を意識して読んでみましょう。
文脈判断の際には「逆接」などの接続を意識することが大事です。
問6 理由説明
まずは直訳します。
「『遺文』の書は(これに)よって作ったものだ」です。
「由(よりて)」には「これ」が省略されていますので「これ」を補います。
(「以(もつて)」が「Aをもつて」の「A」が省略されているのと同じです)
ですから「(これに)よって)」の「これ」が理由です。
指示語の指す内容は直前です。
「私は窃かにこれに感じているんだ」です。
何に感じているのか「これ」の指す内容を確認します。
直前(前の段落の最後の一文)を確認します。
「時間の経過とともに物事は変化するから昔のことを知ることが難しい」という内容です。
このようなことを感じているから『遺文』の書を書いたのです。
これを踏まえて、選択肢の後半を読めば正答を導けます。
丁寧に直訳し、指示語があればその内容を確認していくだけです。
この話から知っておいて欲しい漢文常識
正直、この文章での「漢文常識」は特にありません。
日本人が書いたものですしね。
ただ、設問の解説で伝えた「漢文の構造」は非常に大切です。
今後漢文を読むときには、本当に意識してもらいたいと思います。
構造を意識しながら返り点に従って音読してみてください。
あっという間に「漢文」のリズムに慣れることができるでしょう。
リズムに慣れてきたら、漢文を読む力がつきます。
信じられないかもしれないけれども本当ですので、ぜひやってみてください。
センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた漢字や句法を押さえること、そして漢文常識を知っていくことです。
他の年度でもそれを意識して学習しましょう。
ただ、漢文の文章は比較的短く、過去問だけでは受験に必要な重要漢字や重要句法をカバーすることは難しいので、暗記事項は別に学習することをオススメします。
頑張ってください。
では、これで終わります。
センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。
次の記事もぜひご覧ください。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。