平成28年度(2016年度)_センター試験_国語第4問(漢文)_解説
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今回は、平成28年度(2016年度)センター試験国語第4問(漢文)の解説です。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。
どちらかでご準備をお願いします。
また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。
ぜひ読んでみてください。
では、始めましょう。
平成28年度(2016年度)センター試験国語第4問(漢文)は『抱経堂文集』からの出題でした。
まずは本文に出てきた知っておくべき重要漢字と句法の確認です。
さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。
Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。
重要漢字
即 能 一日 事 之 亦 嘗 遊 至 為 既 乃 以 胡為 得 見 又 可 於是 所 則 而已 余 因 夫 況 相
重要句法
不能A 未A A使BC AB。況C乎
では、各設問の解説です。
問1 漢字の意味
(1)
重要漢字がありませんから文脈から判断します。
波線部の前が「生まれて十ヶ月で母を亡くした」で、波線部の後が「母をことをますます思う」となっていることを考えれば容易に分かります。
また、漢文の基本構造は「S+V+C・O」ですが、「有・無」は「有(無)+S」のようにSが下に来ます。
*このブログでは「S=主語」「V=述語(用言・助動詞)」「C=補語(ニ・ト・ヨリ)」「O=目的語(ヲ)」としています。
そう考えると、今回は「知がある」というような訳になるので、選択肢④⑤に絞ることができます。
(2)
「遊」は重要漢字です。
「遊説(自分の考えを各地を旅しながら説いて回る)」という熟語とともに覚えておきましょう。
漢字の読みや意味の問題は、覚えるべき漢字が出題された場合を除くと、どれだけ漢文を読んできたか、漢字の学習(漢字検定など)をしてきたかによるところが大きいです。授業や問題演習に出てきた漢字は覚えることを意識しましょう。
また、文脈から漢字の意味を予想する習慣も必要です。
やはり全文を訳せるようになるということが目標になります。
問2 漢字の意味
(ア)
「即」は重要漢字です。
(イ)
「乃」は重要漢字です。
「そこで」と訳す場合と「なんと」と訳す場合がありますので、どちらかは文脈で判断します。
多くの場合は「そこで」です。
重要漢字は覚えましょう。100個くらいで得点源になりますよ。
問3 解釈
重要句法や重要漢字がまったくないので、文脈で判断するしかありません。
基本は直訳です。
問1(1)と同じ流れで流れで考えると難しくありません。
なお、「時時」には現在も使う「時々」の意味もありますが、古文漢文で同じ語を重ねることが「強調・継続」を示すことを知っていれば、「いつも」という意味もあることが分かります。
例えば「泣きに泣く」は「非常に泣く・泣き続ける」などと訳します。
基本は直訳です。
あとは前後の文脈と照らし合わせて考えます。
問4 返り点と書き下し文
漢文の構造として次の2点を覚えておきましょう。
①漢文の構造は「S+V+C・O」です。
*このブログでは「S=主語」「V=述語(用言・助動詞)」「C=補語(ニ・ト・ヨリ)」「O=目的語(ヲ)」としています。
②「C・O」がさらに「S+V」となっている場合にはSに「ノ」がつきます。
例
我 聞 彼 飼 猫 。
S V ( O )
Oの中身 … 彼 飼 猫
S V O
私は聞いた(彼が猫を飼っているのを)
はじめの一文の読みは「我彼の猫を飼ふを聞く」となります。
「彼」につく「の」が重要です。
以上、2点を必ず覚えておきます。
その上で以下のように考えていきます。
①「V」に当たる漢字を探す。
②「V」を見つけたら下に「C(ニ)」「O(ヲ)」のどちらが来るのかを考える。(何も来ないこともあります)
今回の「V」は「哀」と「不能」の2つがあります。
さらに「不能」は「V」から返ってくる助動詞的な役割(V[スル]ことあたハず)ですから、「事」が「つかフ」と読む「V」と判断します。
以上が分かれば容易です。
漢文の構造から考えるようにしましょう。
問5 解釈
「胡為」「使」「乃」「得」「見」が重要句法、重要漢字です。
ちょっと訳しにくいかもしれませんが、素直に訳してみて、内容が合っている選択肢を選びます。
難しくありません。
まずは傍線部の直訳をするところから始めます。
重要句法、重要漢字は覚えましょう。
問6 指示内容
指示語の指す内容は基本的に直前の内容です。
Dは直前の「夢に即して書いた絵」であり、当然「母」のことだと分かります。
選択肢では「母の姿」となっています。
Eは主語になっているので続きを読むと「母を夢見た境」です。
選択肢では「母の夢を見る場面」となっています。
「境」のニュアンスから他の選択肢にある「夢を見た土地の風景」と迷うかもしれませんが、これでは「母を夢見た」のニュアンスがありません。
いつだって直訳が基本です。
問7 内容説明
直後の会話文を訳すだけの設問です。
訳すことができれば容易でしょう。
また、漢文文章の構造からも考えることが出来ます。
漢文は「具体例→まとめ・主張」の形の文章が多いです。
具体的な話を長々として、このことから○○が分かるよねっていう流れです。
今回の傍線部はこの「まとめ・主張」の部分に当たります。
この話が「孝(親孝行の「孝」です)」の典型的な話だと分かれば容易です。
主人公が母のことを思い続けたから会うことができたのです。
漢文文章の構造「具体例→まとめ・主張」を知っておきましょう。
やはり直訳が基本ですね。
この話から知っておいて欲しい漢文常識
2つあります。
1つは、漢文に限らず古文も含めて「孝」の話がよくあるということです。
そのパターンは次のようになります。
①子が親に尽くす。
親がひどい人でも尽くしたり、親がひどい目に遭っているのを身を挺して助けたり、自分を差し置いて親のために生活したり…②子に困難が起きる。
③神や仏様、偉い人が登場したりして、子の困難が解消される。
④「孝(親孝行)」って大切だとまとめられる。
今回の文章は「困難」はありませんでしたが、この話のパターンを知っておくと、 「孝」は大事なのだ、「孝」は素晴らしいのだという流れが容易に掴めると思います。
もう1つは、問6でも説明しましたが漢文文章の構造です。
「具体例→まとめ・主張」となっている場合が多いことを知っておくとお得です。
なぜなら、具体例、まとめのいずれかの内容がイマイチ分からなくても、どちらかが分かれば書いてあることが予想できるからです。
具体例が難しい→まとめの部分が分かれば、そこから予想できる。
まとめが難しい→具体例の部分から考えることができる。
文章が読みやすくなりそうですよね。
センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた漢字や句法を押さえること、そして漢文常識を知っていくことです。
他の年度でもそれを意識して学習しましょう。
ただ、漢文の文章は比較的短く、過去問だけでは受験に必要な重要漢字や重要句法をカバーすることは難しいので、暗記事項は別に学習することをオススメします。
頑張ってください。
では、これで終わります。
センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。
次の記事もぜひご覧ください。
センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。
マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。