高校教員の徒然日記

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平成27年度(2015年度)_センター試験_国語第4問(漢文)_解説

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今回は、平成27年度(2015年度)センター試験国語第4問(漢文)の解説です。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入してご準備ください。

もしくは東進ハイスクールの過去問データベースでも入手することができます。

(会員登録をする必要がありますが無料です)

どちらかでご準備をお願いします。

www.toshin-kakomon.com

 

また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。

ぜひ読んでみてください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


では、始めましょう。


平成27年度(2015年度)センター試験国語第4問(漢文)は『篁墩文集』からの出題でした。

 

まずは本文に出てきた知っておくべき重要漢字と句法の確認です。

さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。

Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


重要漢字

  

将  之  両  蓋  相  能  臥  則  亦  久  悄  遂  自  欣然  為  何  親  但  至  耳  適  然則  与  已
                         

 

重要句法

 

以A為B  命AB  豈独A

 


では、各設問の解説です。

 


問1 漢字の意味

 

(1) 

 

文脈から判断するしかありませんが、「承知」という熟語や古文重要単語の「うけたまはる」から容易に判断できます。

 

 

(2) 

 

「適」は「①たまたま(偶然)②まさニ(ちょうど)」と読む漢字です。

「適当」という熟語がありますが、これは「ちょうどいい」という意味です

設問で「最も適当なものを選びなさい」というのは「最も(ちょうど)いいものを選びなさい」という意味です。

 

 

漢字の読みや意味の問題は、覚えるべき漢字が出題された場合を除くと、どれだけ漢文を読んできたか、漢字の学習(漢字検定など)をしてきたかに依るところが大きいです。授業や問題演習に出てきた漢字は覚えることを意識しましょう。

また、文脈から漢字の意味を予想する習慣も必要です。

やはり全文を訳せるようになるということが目標になります。 

 


問2 重要漢字

 

(ア) 

 

「将」は重要漢字であり基本句法である再読文字です。

選択肢はすべて再読文字です。

再読文字は10個しかありませんので確実に覚えておきましょう。

問題になってなくても、本文には必ず出てくると思っていいですよ。

 


(イ) 

 

「自」は重要漢字です。

「みづかラ・おのづかラ」の読みもありますが、下から返って「よリ」と読むのは基本中の基本です。

「従」が同じ用法を持っています。

 

なお、「如」「以」「毎」「雖」も重要漢字です。

 

 

なにはなくとも重要漢字、句法を覚えましょう。 

 


問3 文末の助字

 

それぞれの用法を知っているのが一番ですが、知らなくても訳していけば分かります

「耳」「已」は重要漢字・句法なので覚えておきましょう。

 

 

助字の用法は暗記しなくてもかまいません。

重要漢字を覚えておくこと、訳すことができること、この2点ができていれば解けます。 

 

   
問4 理由説明

 

まずは傍線部を直訳します

「あぁ、普通と違うなぁ(不思議だなぁ)」です。

 

この傍線部が前半部分の最後にあることから、前半部分のまとめであると考えます。

 

ここまでの内容で「普通と違う、不思議だ」と感じることが読み取れるかどうかです。

 

実の親子でない猫が実の親子のようになったことを指すことは容易に分かるでしょう。

 

 

傍線部の直訳から考えます。

段落のどの部分に傍線部があるかを意識しましょう。

 


問5 解釈

 

素直に直訳してみます

「人の子はどうして必ず自分で生もうか(いや生まなくてもよい)」です。

 

「親」を「みづかラ」と読むことが難しいかもしれませんが、それを飛ばして訳しても内容は何となく分かります

 

さらに、前半の猫の話、傍線部の前後の内容(后に子どもがいないため他人の子を世話させ、その2人にも親子の情愛が備わった話)から、「子どもは自分で生まなくても、親子になれる」というような話だと分かると思います。

 

 

傍線部の直訳から考えます。

傍線部が会話文にある場合は、どのような状況で発した言葉か確認しよう。 

 


問6 書き下し文

 

重要漢字、句法がありますが、選択肢のすべての読みがあり得ます。

こういうときには、それぞれを訳して判断するしかありません

 

取り組み方としては、まず自分でなんとなくでもいいので訳してから選択肢を見るということが重要です。

これをしないと、それらしい選択肢にダマされてしまいます。

 

今回であれば読む順に何となく訳していくとこうなります。

「世の中の親と子どもで(この辺りは「為」の訳が難しいかもしれないので何となく)、不慈不孝な者がいるのは、どうして昔の人に恥じるだけだろうか、いやそれだけでない」

 

このように訳せる選択肢を選びます。

 

 

記号問題だとしても、記述と同じように自分で答えを作ってから選択肢を見ましょう。 

 


問7 筆者の主張

 

今回の文章は典型的な漢文の構造となっています。

 

 

例①(具体)→例②(具体)→主張(抽象) 

 

また、主張の部分で「今の~」「世の~」となっている場合は、先に述べた例に比べて「今の者はダメ、世の中の(何か)はダメ」というパターンとなっていることが圧倒的に多いです。

 

今回も、文章最後に主張があり「世の親子で不孝者は昔の人に恥ずかしく思う(例②から)」さらに「異類(猫)にも恥じる(例①)」と述べていますから、「今の世の中の不孝者の親子はダメだ」という主張だと分かります。 

 

 

よくある漢文文章の構造を知っておきましょう。 

 

 

この話から知っておいて欲しい漢文常識

 

2つあります。

 

1つは、漢文に限らず古文も含めて「孝」の話がよくあるということです。

そのパターンは次のようになります。

 

①子が親に尽くす。

親がひどい人でも尽くしたり、親がひどい目に遭っているのを身を挺して助けたり、自分を差し置いて親のために生活したり…

②子に困難が起きる。

③仏様が登場したりして、子の困難が解消される。

④「孝(親孝行)」って大切だとまとめられる。 

 

今回の文章はこのパターンにはなっていませんが、この話のパターンを知っておくと、「孝」が大事なのだ、「孝」は素晴らしいのだという流れが容易に掴めると思います。

 


もう1つは、問7でも説明しましたが漢文文章の構造です。

 

「具体例→まとめ・主張」となっている場合が多いことを知っておくとお得です。

なぜなら、具体例、まとめのいずれかの内容がイマイチ分からなくても、どちらかが分かれば書いてあることが予想できるからです。

 

 

具体例が難しい→まとめの部分が分かれば、そこから予想できる。
まとめが難しい→具体例の部分から考えることができる。 

 

文章が読みやすくなりそうですよね。

 


センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた漢字や句法を押さえること、そして漢文常識を知っていくことです。

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

ただ、漢文の文章は比較的短く、過去問だけでは受験に必要な重要漢字や重要句法をカバーすることは難しいので、暗記事項は別に学習することをオススメします

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 

 

センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。

次の記事もぜひご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。

マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。

kinkoshin.hatenablog.com

 

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