平成28年度(2016年度)_センター試験_国語第1問(評論)_解説
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今回は、平成28年度(2016年度)センター試験国語第1問(評論)の解説です。
このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます。
ぜひ身につけてみてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。
どちらかでご準備をお願いします。
形式段落での説明がメインになります。
今回は1~15まで振られています。
では、始めます。
まずは出典を確認します。
それはタイトルを見ることで、この文章が何について述べたものかの予想を立てることができるからです。
今回は『キャラ化する/される子どもたち』です。
「キャラ」の話だと分かります。
近年頻出のテーマの1つです。
教科書にも同じようなテーマの文章が掲載されていることが多いかと思います。
問1 漢字
どれも基本的な漢字であり基本的な言葉です。
2個以上間違っているとしたら漢字学習をすることをオススメします。
(ア)の「繕」は簡単ですが選択肢の熟語が難しいかもしれません。
(エ)の正解③「テンカイ」が「展開」と間違えやすいですが「方針を180度テンカイする」という一文を確認すれば「転回」だということは容易です。カタカナ部分だけでなく、一文をしっかり見る必要がある典型的な問題です。
センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。
正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。
漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。
問2 内容説明
「どういうことか」問題は「イコール」問題です。
傍線部を言い換えているものを選びます。
ですから、まず傍線部の内容をしっかりと押さえます。
傍線部「リカちゃんの捉えられ方が変容している」の一番のポイントは「変容」です。
傍線部に「変化」を表すことばがある場合は「何から何に変わったのか」を確認しなければいけません。
「リカちゃんが○○という捉えられ方から○○という捉えられ方に変わった」ということを読み取ります。
傍線部は形式段落2の「おわり」にあります。
ということは、この形式段落のまとめか、次の形式段落に説明が続くかのどちらかです。
まず、この形式段落のまとめと考えます。
傍線部を含む一文を見れば分かるように、「○○から○○へと傍線部(変容した)」となっていることが分かります。
これがそのまま答えですね。
また、次の形式段落の「はじめ」を見ると「物語から独立して存在するキャラ」とあり、これが変容したキャラだということも分かるでしょう。
これらから、次のように変容したことが分かります。
特定の物語を背後に背負っていた(枠組みの中だけのキャラ)
↓
どんな物語にも転用可能になった(物語から独立したキャラ)
以上を踏まえて、選択肢の後半を見ます。
選択肢の後半には「変容後」の説明があるはずですよ。
①「その場その場の物語に応じた役割を担う」→「どんな物語にも転用可能」と同じです。
②「世代ごとに異なる物語空間を作る」→確認した内容と違います。
③「国民的アイドルといえるもの」→確認した内容と違います。
④「より身近な生活スタイルを感じさせるもの」→確認した内容と違います。
⑤「自由な想像力を育むイメージ・キャラクター」→確認した内容と違います。
前半を見るまでもなく正答を導けます。
(それは予め自分で答えを考えたからだということが大事です)
「どういうことか」問題は「言い換え(イコール)」問題です。
傍線部に「変化」を表す語があるときは「何から何に変わったか」を確認します。
形式段落の作り「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。
いきなり選択肢を見るのでなく自分で答えを考えてから見ましょう。
問3 内容説明
傍線部にある「大きな物語」と「人々」との関係を説明する設問です。
傍線部は形式段落4の「おわり」です(2文しかありません)。
「大きな物語」という言葉がはじめて出てきたわけですから、その説明は次の形式段落に続くと考えられます。
そういう意識で次の形式段落5を読むと、「はじめ」に「大きな物語」と出てきます。
やはり形式段落5で「大きな物語」の話が説明されそうです。
形式段落5の「はじめ」とまとめである「おわり」から「大きな物語」と「人々」との関係をまとめるとこうなります。
人々は「大きな物語」の中で外面的、内面的な要素の揺らぎをはらませながら一貫した文脈に収束させるようなアイデンティティの確立を目指した。
以上を踏まえて選択肢の後半を見ます。
①「臨機応変に複数の人格のイメージを使い分けよう」→「一貫した文脈に収束させる」のですからダメです。
②「矛盾のない人格のイメージを追求」→「一貫した文脈に収束させる」と合っています。
③「社会的に自立した人格のイメージを手に入れよう」→「社会的に自立」とは言っていません。
④「生まれ持った人格のイメージを守ろう」→確認した内容と違います。
⑤「個別的で偽りのない人格のイメージを形成しよう」→「個別的で偽りのない」が微妙ですが、絶対にダメとは言えないので残します。
②と⑤が残りました。前半から確認します。
②「自己の外面的な要素と内面的な要素との隔たりに悩み」→「外面的、内面的な要素の揺らぎをはらませ」ていました。オッケーです。
⑤「自己の外面的な要素と内面的な要素とを合致させながら」→「揺らぎをはらませ」るのですから「合致させ」るわけではありません。
形式段落の「おわり」は次の形式段落に繋がることを意識して読みましょう。
問4 理由説明
傍線部の理由が問われています。
傍線部は主語であり、続く内容が「そのため」となっています。
ということは、傍線部の理由が「そのため」の指示内容だと分かります。
例:朝、お母さんに怒られた。私の機嫌が悪いのは、そのためだ。
問:「私の機嫌が悪い」とあるが、それはなぜか。
→朝、お母さんに怒られたから。
この流れです。
では、本文で内容を確認しましょう。
指示語の指す内容は上の例題からも分かるように、直前にあるのが基本です。
また、傍線部は形式段落の「おわり」にありますので、この段落で説明がされてきたことも分かります。
この形式段落の話は「はじめ」にあるように、「単純化された人物像は、場面が変化しても臨機応変に対応できる」ですね。
これが理由です。
単純化された人物像は、場面が変化しても臨機応変に対応できるから。
なお、形式段落の中程はこれの説明がミッフィーを例に述べられています。
以上を踏まえて選択肢の後半を見ます。
①「互いの異なる価値観も認識されやすくなるから」→確認した内容と違います。
②「自分の性格や行動パターンを把握されやすくなるから」→確認した内容と違います。
③「文化の異なる様々な国での活躍が評価されるようになるから」→確認した内容と違います。
④「様々な場面の変化にも対応できる存在として広く受け入れられるから」→「場面が変化しても臨機応変に対応できる」と合っています。
⑤「現代に生きづらさを感じる若者たちに親しまれるようになるから」→確認した内容と違います。
傍線部を含む一文を確認しましょう。
指示語の指す内容は、基本的に直前です。
形式段落の作り「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。
問5 内容説明
傍線部にある「誠実さ」の内容が問われている設問です。
傍線部は形式段落15の「おわり」にあります。
また、本文全体の「おわり」でもあります。
これらのことから、傍線部Dは形式段落15を中心に全体を踏まえた設問ではないかという予想が立てられます。
まずは、形式段落15の「おわり」にあるのですから形式段落15の内容を確認します。
キャラの話から始まり、それがあるから予定調和になるという意味で、他者に対して誠実と言えるという内容です。
「キャラ」を演じることは誠実だというのが筆者の主張(本文の趣旨)だと分かります。
次に、本文全体から「キャラ」が場面によって臨機応変に対応できるものであるということ(言い換えると「一貫性はない」とありました)が読み取れます。
→ここまでの設問を解いてきているので分かるはずですね。
以上を踏まえて選択肢を見ます。
この手の選択肢は後半からではなく、はじめから読みましょう。
①「他者に対して誠実であろうとするときは正しさを貫く」→一貫性はないのでした。
②「状況に応じてふるまいが変わる」「キャラを演じるのも誠実」→確認した内容と同じです。
③「他者よりも、自分に対して誠実でなくっちゃ」→他者と自分との比較は述べられていません。
④「自分の意見や感情を出すのは不誠実」→筆者の主張は「キャラを演じるのは誠実」です。「自分の意見や感情」と「誠実」との関係は述べていません。
⑤「他者に対する誠実さが成り立たない」→筆者の主張は「キャラを演じるのは誠実」でした。
生徒の発言を選択する設問も、内容説明問題や理由説明問題と取り組み方は同じです。
設問や傍線部から、何を問われているのか(今回であれば筆者の主張する「誠実さ」とはどういうことか)をしっかり確認しましょう。
形式段落の作り「この話するよ→説明→まとめ」を意識して読みましょう。
文章の「おわり」は文章全体の「おわり」でもあることを意識しましょう。
問6 表現と構成
(ⅰ)表現
これは1つずつ選択肢を読み本文で確認するしかなく、対策のしようがありません。
1つ1つ丁寧に確認しましょう。
なお、多くの場合「適当でない」選択肢は明らかに「適当でない」ものとなっています。
今回は①の「演じてくれる」という表現は敬意を示すというのが明らかに違います。
「~してくれる」というのは敬意を示す表現ではありませんよ。
(ⅱ)構成
これも対策のしようがありません。
文章を読みながら、全体の内容を把握していく必要があります。
つまり、「文章の読み方」を実践して読みつつ、形式段落などの部分だけではなく全体を「文章の読み方」で読めるかどうかが試されます。
文章全体を捉えて考えるしかありません。
なお、これも多くの場合「適当でない」選択肢は明らかに「適当でない」ものとなっています。
今回は③の「百貨店やコンビニの店員の接客がそれまでと異質な問題を提示している」というのが明らかに違います。
該当箇所以前も「単純明快でくっきりした輪郭があるキャラのほうがいい」という内容であり店員の例と同じことを述べています。
いかがでしたか。
文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。
はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。
そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。
どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。
今回いまいちだった方は、ぜひ復習してください。
その際のポイントは、このブログに書かれていたことを自分でできるかです。
このブログで書かれている説明を自分でできるようになったとき、高得点を取れる力がついているはずです。
「1回読んだ文章は内容を知っているからもう1回やっても意味ない」のではないのです。
大事なのは「読み方・解き方」です。
そのレベルをアップさせるには、同じ文章を読むことが効果的ですよ。
頑張ってくださいね。
では、これで終わります。
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