名寄市立大学_小論文_平成31年度_一般入試前期日程
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また、このブログの「名寄市立大学_推薦入試_小論文_対策」や「名寄市立大学_小論文の書き方」などを踏まえての説明になります。
ご覧になっていない方はぜひご覧ください。
では、はじめます。
今回の課題文は、「暴走する能力主義-教育と現代社会の病理」中村高康著です。
問がこれです。
「コミュニケーション能力」を測ることについて、あなたが考えることを800字以上1000字以内で述べなさい。
解いていきましょう。
名寄市立大学の小論文の基本的な構成は
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
②それについての自分の意見と理由
③理由となる具体例
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
でした。詳しくは以下の記事をご覧ください。
では、①~④の順番に行きます。
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
名寄市立大学の小論文を書く際に(すべての小論文問題共通ですが)最も重要なのがこの部分です。なぜなら、ここを誤ってしまうと、どんなに素晴らしい意見を述べたとしても、「設問に的確に答えていない」ことになってしまい、点数にならないからです。
名寄市立大学でも、評価の観点で「課題文の趣旨を理解し」と公表されていましたね(
入試過去問題)。
この重要さを確認したところで、課題文の内容を見ようかと思います。
が!!!
もう1つ知っておくべきことがあります。それは、「設問」の中にチェックすべきポイントがあるということです。課題文をただ要約すればいいということではなく、「設問」で問われていることについて、筆者がどのように述べているのかを読み取ることが必要です。
なぜなら、②以降で「設問」で問われていることについて「自分の意見」を述べていくことになります。
だとすると、課題文では問われていることについて何らかの主張をしていると考えるのが普通です。
ですから、闇雲に課題文を読むのではなく、「設問」をよく見て、何がポイントなのかを押さえましょう。
①での超重要な点をまとめておきます。
設問は「○○について、あなたの意見を述べなさい」となっていることがほとんどなので、「○○」について読み取る必要があるのだということを強く意識する。これを誤ると、すべてが終わるくらいの気持ちを持っておく。
今回の設問はどうなっていますか?
「コミュニケーション能力を測ること」について問われています。
ということは、課題文は「コミュニケーション能力を測ること」について述べているはずです。
では、課題文の内容を確認します。
「コミュニケーション能力を測ること」について筆者はどのように述べているかを読み取ります。
形式段落毎に、私が注目した部分をお示しします。
なお、読むときには「文章の読み方」で示したように、話題を示す「はじめ」、その話題についての説明の「なかほど」、話題のまとめの「おわり」という構造を意識します。
第1段落
「コミュニケーション能力」なる言い回しには問題性がある。
コミュニケーションとは関係性において立ち現れるものなのに、個人に内在する能力として位置づけることに無理がある。
コミュニケーションは個人に内在する能力としては本来測りようがないものだ。
コミュニケーション能力が容易に測れないのは自明のように見える。
第2段落
コミュニケーション能力があるかは少しのことで分かるという日常感覚が社会に浸透しているように思われる。
第3段落
「コミュ障」という語が気楽に使われていることから、人々はコミュニケーション能力の多寡を、かなり容易に判断していると言える。
第4段落
「資格」という形で、コミュニケーション能力の有無や多寡が認定されている。
理論的には破たんしているように見えるコミュニケーション能力の測定も、日常感覚的には測定可能と判断されているようだ。
第5段落
こうした社会の風潮に対して抗うことには相当の困難がある。
「コミュニケーション能力」は個人に付随する能力としては実在があやしいからこそ、それが「ある」ことになると、ある種の不安をあおってしまう。
以上の読み取った内容から「コミュニケーション能力を測ること」についてまとめます。
まずは第4段落のおわりで述べられている内容が「ずばっと」しています。
理論的には破たんしているように見えるコミュニケーション能力の測定は、日常感覚的には測定可能と判断されているようだ。
続く第5段落で述べられていることが「コミュニケーション能力を測ること」に対しての筆者の意見として重要です。
こうした社会の風潮から、コミュニケーション能力の有無や多寡がある種の不安をあおっている。
以上の内容をまとめるとこうなります。なお「論理的に破たんしている」ことの説明が第1段落に述べられていたので、そこを使いながらまとめました。
まずは200字程度にしたものがこちら。
コミュニケーションとは関係性において本来立ち現れるものであるため、個人に内在する能力としては測ることができないと考えられる。しかし、「コミュ障」という語が気楽に使われたり、「資格」となったりしているように、人々は日常感覚的には測定可能と判断しているようである。それは広く社会に浸透しており、こうした風潮がコミュニケーション能力の有無や多寡についてある種の不安をあおっている事態を引き起こしている。(198字)
続いて、短くまとめたものがこちら。
コミュニケーション能力は測れないもののはずなのに、社会では測定可能だとされており、そのために人びとがコミュニケーション能力の有無や多寡について不安を感じている。
この内容を第一段落にまとめれば、筆者の主張はOKです。
②それについての自分の意見と理由
筆者が述べていたことを踏まえて、自分の意見を考えます。
その際、あくまで①で確認した「コミュニケーション能力を測ること」についてだということを忘れてはいけません。
今回は「コミュニケーション能力」について問われているわけではなく、「測ること」について問われていることを強く意識する必要があります。
ここからずれてしまうと、点数になりませんから本当に注意が必要です。
今回ならば次のような観点で考えることができるでしょう。
1.コミュニケーション能力を測ることが可能か不可能か。
2.コミュニケーション能力を測ることを肯定するか否定するか。
この1もしくは2を手がかりに、「コミュニケーション能力を測ること」に対する自分の意見を考えるという流れが書きやすいと思います。
- 1、2については、どの立場を取っても基本的に構いません。しかし、名寄市立大学の小論文では、明らかにこっちの立場に立った方がいいよね、というものが多くなっています。
- 今回の場合では、コミュニケーション能力を測ることは可能だとする立場は課題文に真っ向から対立することになり、その立証は難しいと思います。
- 筆者は「コミュニケーションを測ることが、コミュニケーション能力の有無や多寡についての不安をあおっていると述べていますから「コミュニケーション能力を測ること」について否定的な立場だと考えられます。
- 筆者の立場が分かれば、自分の意見も否定的な立場とすることが普通です。ただし、今回の場合はどちらの立場でも書けそうです。不安を感じるからこそコミュニケーション能力を上げようとする努力ができる…などとすることも不可能ではないでしょう。
自分の立場を決めたら、そのように考える理由を簡単に述べます。
次の③で詳しく理由を述べることになるので、ここでは簡単に理由を述べましょう。
③理由となる具体例
②で述べた理由と繋がるような具体例を挙げながら、理由の根拠を示します。具体例は、体験を述べると書きやすいでしょう。
体験を述べずに理由の根拠付けができる場合には、それでも構いません。ただし抽象的にならないように注意しましょう。
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
あらためて、設問に対する自分の意見を述べます。
今回であれば、「コミュニケーション能力を測ること」に対する自分の意見です。
②で書いた自分の意見と同じになりますが、まったく同じ表現にすることは避けます。
同じ内容で別の表現にしたり、③を通してもう少し踏み込んだ内容にしたり、抽象化したりするといいでしょう。
さらに、今後のあり方について言及してもいいでしょう。その際には、自分の志望学科と繋がる内容だとよりいいです。ただし、これがメインではありませんから、あくまで「軽く」です。
以上、考えてきたことを文章にすれば完成します。
構成例は以下のようになります。
第一段落
•筆者の主張をまとめる。(①)
第二段落
•自分の主張を述べる。
•そのように考える理由を簡単に述べる。(②)
第三段落
•主張の理由・説明を具体例を交えながら述べる。(③)
第四段落
•改めて自分の主張を述べる。(④)
•(今後のあり方を簡単に述べる。)(④)
いかがでしたか。
名寄市立大学の小論文で肝心なのは、圧倒的に①です。
そこさえクリアできれば、②~④はそれほど難しくないはずです。
あとは、ひたすら考えて書くだけです。小論文は、頭で考えるだけでは書けるようにはなりません。何度も書くことが重要です。書けば書くほど上達します。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、終わります。
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