名寄市立大学_小論文_平成29年度_一般入試後期日程
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成29年度一般入試後期日程の小論文の書き方を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。(入試過去問題|名寄市立大学)
名寄市立大学の小論文は、課題文型です。
今回の課題文は、「消費社会とは何か-「お買い物」の論理を越えて」白井聡 著 (「転換期を生きるきみたちへ」内田樹 編 に収録)です。
設問は
筆者が指摘するような、教育を商品と見なす風潮について、あなたが考えることを800字以上1000字以内で述べなさい。
となっています。
では、解いていきましょう。
名寄市立大学の小論文の基本的な構成は
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
②それについての自分の意見と理由
③理由となる具体例
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
でした。詳しくはこちら【名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記】をご覧ください。
では、順番に行きます。
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
名寄市立大学の小論文を書く際に(すべての小論文問題共通ですが)最も重要なのがこの部分です。なぜなら、ここを誤ってしまうと、どんなに素晴らしい意見を述べたとしても、「設問に的確に答えていない」ことになってしまい、点数にならないからです。
名寄市立大学でも、評価の観点で「課題文の趣旨を理解し」と公表されていましたね(入試過去問題|名寄市立大学)。
この重要さを確認したところで、課題文の内容を見ようかと思います。
が!!!
もう1つ知っておくべきことがあります。それは、「設問」の中にチェックすべきポイントがあることです。課題文をただ要約すればいいということではなく、「設問」で問われていることについて、筆者がどのように述べているのかを読み取ることが必要です。
なぜなら、②以降で「設問」で問われていることについて、「自分の意見」を述べていくことになります。だとすると、課題文では問われていることについて何らかの主張をしていると考えるのが普通です。ですから、闇雲に課題文を読むのではなく、「設問」をよく見て、何がポイントなのかを押さえましょう。
①での超重要な点をまとめておきます。
設問は「○○について、あなたの意見を述べなさい」となっていることがほとんどなので、「○○」について読み取る必要があるのだということを強く意識する。これを誤ると、すべてが終わるくらいの気持ちを持っておく。
今回の設問はどうなっていますか?
そう、「教育を商品と見なす風潮」について問われていますね。
ということは、課題文は「教育を商品と見なす風潮」について述べているはずです。
では、行きます。
教育を商品と見なす風潮について筆者はどのように述べているのかを読み取る。
では、形式段落ごとに「教育を商品と見なす風潮」に関することについて読み取っていきましょう。
形式段落1
- 授業料という対価を払うことによって、技能とか資格とか卒業証書といった「有用なもの」を手に入れることができると考えた場合、教育を商品と見なすことができる。
形式段落2
- 教育の効果は、すぐには認識できないものなので、そういう意味では教育は出来損ないの商品だ。
形式段落3
- 教育が商品であると見なされると、教える対象者が神様となってしまい、教育は不可能になる。
形式段落4
- 形式段落3で述べたことの具体例
形式段落5
- 教育の商品化が、学力低下や学力崩壊をもたらす。
形式段落6
- 最低限の支出(学習労力)によって、最大限の有用性(卒業証書)を得ようという、コスパ重視の消費者としての合理的な行動原理が、学力低下をもたらす。
- 「お客様」を「学ぶ主体」に戻さない限り、教育は荒廃するしかない。
以上の内容をまとめるとこうなります。
教育の効果はすぐに認識できないものなのに、教育を商品と見なし、授業料に見合う有用なものを得ようとしたり、最低限の学習労力で最大限の有用なものを得ようとしたりするコスパ重視の消費者としての考え方が、学力低下や学力崩壊をもたらしてしまう。
この内容を第一段落にまとめれば、筆者の主張はOKとなります。
筆者は、課題文で(上記の内容)と述べている。
②それについての自分の意見と理由
筆者の主張を踏まえて、自分の意見を考えます。
その際、あくまで「筆者が指摘するような、教育を商品と見なす風潮」についてだということを忘れてはいけません。
ここからずれてしまうと、点数になりません。
今回は、賛成や反対の立場を考えるというものにはなりません。「教育を商品と見なす風潮」についての意見を、筆者の指摘していることを踏まえた上で、自分なりに考えます。
- 小論文では、どのような意見を述べても基本的に構いません。ただし、名寄市立大学の小論文では、明らかにこの方向で考えた方がいいのでは?ということが多くなっています。
- 多くの場合(素直に考えた場合)、「教育を商品と見なす風潮はよくない」という内容になるでしょう。これから大学生になることを踏まえると、「教育は商品と言えるから大学は最大限のサービスをするべきだし、学生中心に物事を捉えるべきだ」という意見を述べることは厳しいでしょう。
- 「教育を商品と見なしてもいい。最低限の努力で、最大限の効果を上げた方が自分の力がつく」という意見で書こうと考えるかもしれません。しかし、このような意見では、課題文(筆者の指摘する「教育を商品と見なす風潮」)を理解していないことになります。課題文では、「教育とは、すぐに認識できるものを与えることができない」と述べています。教育における効果とは、教育を受けているときには認識できないものであり、「得るべき最大限の効果」をそもそも認識できないということになります。
- ここでの意見は、自分がどのように教育を見なすかということ、つまり、自分がどのような大学生活を送るかということに繋がります。だとすると、主体的に学ぶという意見になっていくはずです。
そのように考える理由を簡単に述べます。
- たとえば、主体的に学ぶから教育の効果があるのだということや、コスパ重視による弊害を理由として述べることができます。ただし、弊害だけを理由とするのは避けます。意見の理由として、「△△がよくない」というのは、「○○がいい」ことの理由にはならないからです。「上」ということを言いたいときに「下でないから」というのでは、理由として不十分ですよね(横や斜めもあてはまってしまいます)。
次の③で詳しく理由を述べることになるので、ここでは簡単に理由を述べます。
③理由となる具体例
②で述べた理由と繋がるような自分の体験を述べながら、理由の根拠を示します。
体験を述べずに理由の根拠付けをすることもできますが、自分の体験を述べることが最も書きやすいと思います。
たとえば…
- その時には理解できなかったけれど、後から理解できて、自分のためになったこと。
- 主体的に学んで成長できた経験。
- 最低限のことだけしかやらなかったから、それ以上になることができなかったこと。(自分は最低限のことでここまでいったけど、友人はそれ以上やってすごくなったなど)
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
あらためて、設問に対する自分の意見を述べます。
今回であれば、「教育を商品と見なす風潮」に対する自分の意見です。
②で書いた自分の意見と同じになりますが、まったく同じ表現にすることは避けた方がいいでしょう。同じ内容で別の表現にする、もしくは、具体例などを通して、②で書いたものよりも少し踏み込んだ内容にしてまとめます。
さらに、今後自分がどのようにしていきたいのかを書いて終わります。この際、大学生活に関連づけることは容易でしょう。さらに、自分の志望学科と繋げることができそうなら軽く繋げましょう。ただし、そのことがメインではありませんので、あくまで「軽く」です。
以上、考えてきたことを文章にすれば完成します。
構成例は以下のようになります。
第一段落
- 筆者の主張をまとめる。(①)
第二段落
- 自分の主張を述べる。
- そのように考える理由を簡単に述べる。(②)
第三段落
- 主張の理由・説明を具体例を交えながら述べる。(③)
第四段落
- 改めて自分の主張を述べる。
- 今後の自分のあり方を簡単に述べる。(④)
いかがでしたか。名寄市立大学の小論文で肝心なのは、圧倒的に①です。そこさえクリアできれば、②~④は難しくありません。あとは、ひたすら書くだけです。小論文は、いくら頭で考えても書けるようにはなりません。ひたすら書くことが重要です。書けば書くほど上達します。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、今回はこれで終わります。
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