名寄市立大学_小論文_平成28年度_推薦入試_問1
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成28年度推薦入試の小論文問1を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。
また、このブログにある「名寄市立大学_推薦入試_小論文_対策」や「名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記」をどのように運用するのかに重点を置いています。
また、問1は内容説明問題や理由説明問題なので「評論文や小論文の課題文の読み方」についての記事も合わせてお読みください。
そのため、これらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
では、いきましょう。
今回の課題文は、「キャリア教育のウソ」児美川耕一郎著です。
問1は
キャリア教育における現在のような「やりたいこと重視の職業選び」について、筆者はなぜ”危うさ”を感じるというのか。200字以内で説明しなさい。
です。
まずは名寄市立大学推薦入試の課題文を読むときに意識しておくことを2つ確認します。
①テーマを確認する
課題文には必ずテーマがあり、それについての筆者の主張が述べられています。
多くの場合、テーマは問2の「○○について、あなたが考えることを600字以上800字以内で述べなさい」の「○○」です。
②課題文の構成を意識しながら読む
次の構成で書かれている課題文が圧倒的に多いです。
ⅰ 一般的に考えられていること(一般論や常識論)
ⅱ それは違うのではないか(違和感)という筆者の立場
ⅲ 違うと考える理由(違和感の理由)
では、実際に考えていきます。
1.課題文のテーマは何か。
「キャリア教育における現在のような『やりたいこと重視の職業選び』」です。
2.設問で問われていることは何か。
・筆者が「危うさ」を感じている理由が問われています。
・「やりたいこと重視の職業選び」についての「危うさ」です。
・「やりたいこと重視の職業選び」にはダメな点があるということです。
・答えのフレームは「やりたいこと重視の職業選びは、○○のような点でよくないため、筆者は危うさを感じている」が基本となるでしょう。
・「危うさ」を感じているということは、筆者は何かしらに「違和感」を感じていると考えられるので、「本来はAなのにBとなっているため、筆者は危うさを感じている」を基本としても構いません。
・2つのフレームを示しましたが、どちらで書いても結局は同じことになります。理由を答えるときのフレームのバリエーションを増やしていくと、課題文にあわせて書くことができるようになってきますよ。
3.本文を読み取る。
中略が2つありますので、3段落構成とします。
第1段落の最後に筆者が「危うさを感じてしまう」と述べています。
ここで「危うさがある」という違和感を述べたのですから、この後に違和感の理由が書かれているはずだと考えます(「課題文の構成を意識して読む」で確認した構成からこのように考えます)。
やはり第2段落には違和感の理由が書かれていますね。
現実の職業世界では、専門職や専門的職種を除くと、どんな仕事にも対応できることが求められているのに、キャリア教育では「やりたいこと」を明確にすることが求められており、無理がある。
第3段落のはじめの一文には「もうひとつは」とありますから、もう1つ理由があることが分かります。
子供や若者は絶対的な意味で職業を知らない上、「やりたいこと」は簡単に見つかるはずがないのに、キャリア教育で「やりたいこと」を見つけようとすると、イメージ先行型の”憧れ”や、”出会い頭”に近い選択になってしまうと考えられる。
この2つの理由を確認して気づいたことはありますか?
1つは、どちらも各段落の最後の内容でまとめられているということです。
これは形式段落の作り、文章の作りを意識していれば「そうだ」と分かりますよね。
これの意味がよく分からないという方は以下のリンクから「文章の読み方」を読んでみてください。ものすごく重要なことを理解できますよ。
もう1つは、どちらも「○○なのに○○になっていて、○○という意味でダメだ」という形になっているということです。
やはり「違和感」の理由を答える際のフレームは「本来はAなのにBとなっているため、筆者は危うさを感じている」を基本とすることが分かります。
3.以上の内容を200字以内でまとめる。
この際、問われていることは「理由」だということを忘れないように注意しましょう。
なお、理由・根拠を聞かれたときに200字を一文で書いて文末を「から」にする人がいますが、それではあまりにも一文が長すぎて変な文になってしまいます。
たとえば「○○だ。このことから筆者は○○と考えている」というフレームを使えば理由・根拠を示せるので、このような書き方を覚えておきましょう。
ただ、今回ははじめの○○の内容が2つありますので書く際に工夫は必要です。
同じ重みのあること2つ書くときに使う接続詞として覚えておいてもらいたいのが「また」です。並列の関係にある2つの物事を書くときには「また」を使うときれいな文章が書けます。
「○○だ。また、○○だ」
つまり、今回は次のようなフレームを使うといいでしょう。
「○○だ。また、○○だ。これらのことから筆者は○○と考えている」
では、模範解答を示しますね。
現実の職業世界では専門職や専門的職種を除くとどんな仕事にも対応できることが求められ、キャリア教育での「やりたいこと」を明確にすることと矛盾が生じ無理がある。また、絶対的な意味で職業を知らない子どもや若者にとって「やりたいこと」は簡単に見つかるはずがなく、それを無理に見つけることはイメージ先行型の”憧れ”や、”出会い頭”に近い選択になってしまう可能性が高い。これらの点から筆者は危うさを感じている。(199字)
いかがでしたか。問1の問題は理解してから何度か繰り返し書いてみることで力がつきます。
これを見て終わりにするのではなく、今一度自分で書いてみましょう。
そして、このブログで示した大切な部分や模範解答と照らし合わせてみてください。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、終わります。
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