名寄市立大学_小論文_平成27年度_一般入試前期日程
こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。
今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。
今回は、平成27年度一般入試前期日程の小論文の書き方を解説します。
問題を入手していない方は、名寄市立大学のHPから、過去問を入手してください。(入試過去問題|名寄市立大学)
名寄市立大学の小論文は、課題文型です。
今回の課題文は「コピペと言われないレポートの書き方教室」山口裕之 著 です。
設問は
議論において「自分の意見を根拠づけて主張する」ことと、「人それぞれ」という態度を取ることについて、あなたが考えることを800字以上1000字以内で述べなさい。
となっています。
では、解いていきましょう。
名寄市立大学の小論文の基本的な構成は
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
②それについての自分の意見と理由
③理由となる具体例
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
でした。詳しくはこちら【名寄市立大学_小論文の書き方② - 高校教員の徒然日記】をご覧ください。
では、順番に行きます。
①設問で聞かれている内容(筆者の主張)の読み取り
名寄市立大学の小論文を書く際に(すべての小論文問題共通ですが)最も重要なのがこの部分です。なぜなら、ここを誤ってしまうと、どんなに素晴らしい意見を述べたとしても、「設問に的確に答えていない」ことになってしまい、点数にならないからです。
名寄市立大学でも、評価の観点で「課題文の趣旨を理解し」と公表されていましたね(入試過去問題|名寄市立大学)。
この重要さを確認したところで、課題文の内容を見ようかと思います。
が!!!
もう1つ知っておくべきことがあります。それは、「設問」の中にチェックすべきポイントがあることです。課題文をただ要約すればいいということではなく、「設問」で問われていることについて、筆者がどのように述べているのかを読み取ることが必要です。
なぜなら、②以降で「設問」で問われていることについて、「自分の意見」を述べていくことになります。だとすると、課題文では問われていることについて何らかの主張をしていると考えるのが普通です。ですから、闇雲に課題文を読むのではなく、「設問」をよく見て、何がポイントなのかを押さえましょう。
①での超重要な点をまとめておきます。
設問は「○○について、あなたの意見を述べなさい」となっていることがほとんどなので、「○○」について読み取る必要があるのだということを強く意識する。これを誤ると、すべてが終わるくらいの気持ちを持っておく。
今回の設問はどうなっていますか?
そう、「『自分の意見を根拠づけて主張する』ことと、『人それぞれ』という態度を取ること」の2つについて問われていますね。
ということは、課題文はこの2つのことについて述べているはずです。
では、行きます。
「自分の意見を根拠づけて主張する」ことと、「人それぞれ」という態度を取ることについて筆者はどのように述べているのかを読み取る。
まず、「自分の意見を根拠づけて主張すること」については、以下のことが読み取れます。
- 相手の意見をよく聞いて、それを理解し、適切に反論すること。
- 民主主義の本質(すべての人が対等な立場で自分の意見を根拠づけて主張し、討議し、お互いに納得できる合意点を探る)であること。
- 根拠には客観的なものが必要であること。
- 自分の意見を引っ込める場合には、プライドが傷つくこともあること。
- 他人とともに社会生活を営んでいく上で避けてはならないことであること。
また、「人それぞれ」という態度を取ることについては、以下のことが読み取れます。
- 「正しさは人それぞれだから、自分で決めれば良い」という考えは自己矛盾であること。
- 相手を尊重すると見せかけて、相手の意見をよく聞かずに体よく切り捨てることになっていること(自分にとってどうでもいいこと、どうでもいい相手に使う)。
- 自分の意見を根拠づけて主張するという作業をしないで済ませることになること。
- 他人との社会的連帯を築けないこと。
- 無責任な自己責任論であること。
もう1つ、「自分の意見を根拠づけて主張すること」がない場合のことや、その社会については、以下のことが読み取れます。
- 個人的なことは、感情や思いを根拠にして行動すること。
- 他人とともに行動することが必要な社会生活の場では通用しないこと。
- 感情は個人的、主観的なものだから自分以外の人に受け入れられるとは限らないこと。
- 力のある人が勝ってしまうような強者の意見がまかり通る社会になること。
- 大多数の弱者(普通の人)にとって生きにくい社会となること。
これらの内容から、筆者の主張は次のようにまとめることができます。
「自分の意見を根拠づけて主張する」ためには、自分の意見に客観的な根拠をつけるための勉強をしっかりしたうえで「相手の意見をよく聞いて、それを理解し、適切に反論すること」が必要である。そして、この力が他人と生活を共にする社会生活を営む上では重要である。「人それぞれ」というのは、そのような努力をしないことであり、さらには相手の意見を聞かないということでもある。そのような社会では他人との社会的連帯を築くことは難しく、強者の意見だけが通るような弱者にとって生きにくい社会になってしまうから、「自分の意見を根拠づけて主張する」ことは必要である。
この内容を、設問にある「議論において」という条件を含めて考えると、次のようにまとめることができます。
「人それぞれ」という態度では、相手の意見を聞くことがないから感情論に終始してしまい議論として成立しない。実りのある議論を成立させるためには、議論の内容についてしっかりと勉強した上で、相手の意見を聞いて、理解し、適切に反論するという「自分の意見を根拠づけて主張する」態度が必要である。
この内容を第一段落にまとめれば、筆者の主張はOKとなります。
筆者は、課題文で(上記の内容)と述べている。
②それについての自分の意見と理由
筆者の主張を踏まえて、自分の意見を考えます。
その際、あくまで①で確認した「議論において『自分の意見を根拠づけて主張する』ことと、『人それぞれ』という態度を取ること」についてだということを忘れてはいけません。
ここからずれてしまうと、点数になりません。
議論において、「自分の意見を根拠づけて主張する」方がよい立場を取るのか、「人それぞれ」という態度を取る方が良い立場を取るのかを述べます。
- 小論文では、どちらの立場を取っても基本的に構いません。ただし、名寄市立大学の小論文では、明らかにこっちの立場に立たなければいけないのでは?ということが多くなっています。
- 今回の課題文は、冒頭にあるように、大学がレポートを課題に出す理由を述べたものです。そのなかで、ここまで見てきたような筆者の主張を読み取ることができたならば、「自分の意見を根拠づけて主張する」方が良いとする立場を取ることが自然です。
- 「人それぞれ」の方が良いとする立場でも書けないことはありませんが、その場合、「感情論になったとしても、それ以上にプラスのことがある」という内容や、「そもそも『人それぞれ』というのは感情論などではない」という内容で、理由を明確にして述べる必要があります。これらを述べるのは、ちょっと難しいのではないでしょうか。さらに、筆者が主張する「自分の意見を根拠づけて主張する」ことを否定的に捉えることも難しいと思います。もちろん、絶対にダメということではありませんが…。
そのように考える理由を簡単に述べます。
次の③で詳しく理由を述べることになるので、ここでは簡単に理由を述べます。
③理由となる具体例
②で述べた理由と繋がるような自分の体験を述べながら、理由の根拠を示します。
体験を述べずに理由の根拠付けをすることもできますが、自分の体験を述べることが最も書きやすいと思います。
④自分の意見のまとめ、今後のあり方など
あらためて、設問に対する自分の意見を述べます。
今回であれば、「議論において『自分の意見を根拠づけて主張する』ことと、『人それぞれ』という態度を取ることについて」に対する自分の意見です。
②で書いた自分の意見と同じになりますが、まったく同じ表現にすることは避けた方がいいでしょう。同じ内容で別の表現にする、もしくは、具体例などを通して、②で書いたものよりも少し踏み込んだ内容にしてまとめます。
さらに、今後自分がどのようにしていきたいのかを書いて終わります。この際、これから始まるであろう大学生活と繋げることができそうなら軽く繋げましょう。ただし、そのことがメインではありませんので、あくまで「軽く」です。
以上、考えてきたことを文章にすれば完成します。
構成例は以下のようになります。
第一段落
- 筆者の主張をまとめる。(①)
第二段落
- 自分の主張を述べる。
- そのように考える理由を簡単に述べる。(②)
第三段落
- 主張の理由・説明を具体例を交えながら述べる。(③)
第四段落
- 改めて自分の主張を述べる。
- 今後の自分のあり方を簡単に述べる。(④)
いかがでしたか。名寄市立大学の小論文で肝心なのは、圧倒的に①です。そこさえクリアできれば、②~④は難しくありません。あとは、ひたすら書くだけです。小論文は、いくら頭で考えても書けるようにはなりません。ひたすら書くことが重要です。書けば書くほど上達します。
また、可能であれば誰かに添削をお願いしましょう。自分では、自分の文章がいいか悪いか、なかなか判断できないものです。学校の先生にお願いするのがよいかと思います。
では、今回はこれで終わります。
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