高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

長野大学_国語_2020(令和2)年度_学校推薦型選抜(推薦入試)_第1問

こんにちは。きんこです。

 

長野大学2020年度(令和2年度)学校推薦型選抜(推薦入試)の国語第1問の解答解説です。


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このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

kinkoshin.hatenablog.com

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この読み方、解き方を徹底することで入試問題を解けるようになります

ぜひ身につけてください。

 

とはいえ、今回は「自分の意見」と「その論拠」を答えさせる設問が出題されました

つまり、知識や読解に加えて小論文も合わせて出題されたということです。

こちらも「考え方」をお伝えしますので参考にしてください。


問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

長野大学のホームページで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。

www.nagano.ac.jp

   


はじめに解答をお示しし、その後解説をお伝えします。

 

では、始めます。

 

[解答]

 

1 読売新聞(2019年6月27日木曜日)11面より

 

問1 

 

(1)拡散  (2)絡  (3)浸透  (4)基盤  (5)応酬

 

問2 

 

虚偽情報に関して、台湾ではそれに絡む行為に、シンガポールとロシアでは削除や訂正の要求に応じない発信者に、ドイツでは削除しない事業者に罰を科している。(74字)

 

問3 

 

省略

 

問4 

 


[解説]

 

 

形式段落での説明になります。

1~23まで形式段落に番号を振ってください。

 


問1 漢字

 

基本的な漢字ばかりです。

漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません(準2級でも大丈夫そうです)。

今回は「応酬」の「酬」が準2級の漢字で、それ以外は4級以下となっています。

大問2でも最高で準2級の漢字の読み書きが出題されています。

 

ちなみに…

漢字検定を利用して漢字の学習をする場合は、飛び級してはいけません。

漢字検定では「級」によって出題される漢字が決まっているからです。

ですから、2級を取得しても、4級や3級、準2級の漢字の学習ができていないということになってしまいます。

漢字は確実に得点しておきたい分野ですので、漢字に自信がない場合は漢字検定4級辺りから学習して確実な得点源にしましょう。

 

問2 内容説明

 

まずは設問をよく読み「何が問われているのか」すなわち「何を答える必要があるのか」を確認します。

 

今回の設問のポイントは2つです。

 

①虚偽情報に対する各国の対策はどういうものか

②本文で取り上げられた国名を列挙しながら①をまとめる 

この2つの要素を必ず答えるということを確認します。

 

傍線部は課題文の「はじめ」にありますから、(当然ですが)この後に「各国の対策」が書かれているはずです。

また、形式段落1の「はじめ」が傍線部(世界が偽情報の対応に苦慮している)であり、その「まとめ」が「偽情報に強い社会を作るには、どうすればいいのか」となっていますから、次の段落からその「対策」について書かれるのだろうということも分かります。

 

このような意識で読み進めると「答え」となる部分が容易に分かるはずです。

最大のポイントは「国名」が出てきた場合ですね。

「国名」が出てきたら、その国が「虚偽情報」に対して何をやっているかをしっかりと確認します。

 

ということで読み進めてみましょう。

 

形式段落4「台湾」 

偽情報に絡む行為を厳罰化した。
無期懲役や罰金が科される。 

 

形式段落9「シンガポール」「ロシア」 

オンライン上の虚偽情報の発信者などに政府が削除や訂正を要求し、応じなければ禁錮刑などを科す。
「ロシアも同様」とあるので、シンガポールとロシアは同じ対策ですね。 

 

形式段落10「ドイツ」 

難民に関する(憎悪表現や)虚偽情報などを削除しない事業者に巨額の罰金を科す。 

 

以上が本文で取り上げられている国と、その対策です。

これを75字以内でまとめます。

まずは、そのまま書いてみます。 

台湾では偽情報に絡む行為には無期懲役や罰金などを科し、シンガポールとロシアでは虚偽情報の発信者に対して政府が削除や訂正を要求し応じない場合には禁錮刑などを科し、ドイツでは虚偽情報を削除しない事業者に罰金を科している。(108字) 

 

同じ部分をまとめる形で短くしていきますが、それぞれの国で罰する対象が異なることに注目しましょう。

台湾は「行為」、シンガポールとロシアは「発信者」、ドイツは「事業者」です。

ここは、それぞれ異なっているのですから、まとめない方がいいですね。

 

では、どこをまとめるのかというと「偽情報、虚偽情報」の部分と「罰金や禁錮刑などの罰を科す」という部分です。

ここはどこの国でも共通です。 

虚偽情報に関して、台湾ではそれに絡む行為に、シンガポールとロシアでは削除や訂正の要求に応じない発信者に、ドイツでは削除しない事業者に罰を科している。(74字) 

 

問3 意見文

 

まずは設問をよく読み「何が問われているのか」すなわち「何を答える必要があるのか」を確認します。

ポイントは4つです。 

①傍線部bについて記事で取り上げられた内容を踏まえる

②法規制の導入に賛成か反対かを示す

③自身の考えの論拠を示す

④250字以内で書く 

この中で実際に書くべき箇所は②と③になります

では、ポイント順にどのように考えるといいか見ていきましょう。

 

①傍線部bについて記事で取り上げられた内容を踏まえる

 

法規制の導入について記事ではどのように取り上げられているか読み取ります。

 

傍線部bを含む一文を読むと一目瞭然、日本で検討している多くの委員は法規制の導入には否定的だと分かります。

 

傍線部bは形式段落12の「はじめ」にありますから「なかほど」でその説明・理由がされるはずです。

そのような意識で読み進めると「何を規制対象とするかの判定の難しさ」が否定的な理由として挙げられています。

 

また、形式段落13からは別の視点での理由が書かれています。

それは「法規制」ではなく「メディア、プラットフォーム事業者、広告事業者など利害関係者の連携と自主的な取り組みが重要」だという内容です。

法規制をする前に(法規制をするよりも)、まずはこちらをやるべきだという理由だと読み取れます。

具体的には、プラットフォームは透明性の確保が必要で(形式段落13~17)、メディアは情報への信頼性を高めることが必要だ(形式段落18)ということです。

 

形式段落19からは「ファクトチェック」の観点からの理由だと読み取れます。

法規制をする前にファクトチェックなどをすることによって偽情報対策をしようということです。

 

まとめます。

 

(日本では)法規制の導入について 

何を規制対象とするかの判定の難しさがあるとともに、法規制以前にできることがある(連携や自主的な取り組み、ファクトチェック)のだから否定的である 

というのが記事で取り上げられている内容です。

 

②法規制の導入に賛成か反対かを示す

 

自分の意見(立場)を決めます。

これは賛成、反対どちらの立場をとってもかまいません。

重要なのはポイント③だからです。

 

とはいえ、多くの小論文では課題文の筆者の主張に倣うのがいいでしょう

課題文を書いているのは専門家(今回は記事で取り上げられた委員)です。

反対の立場を取るというのは、専門家に反対するということです。

高校生が持つ知識で、専門家の述べていることに反対するのは簡単ではないでしょう。

今回であれば、専門家が「何を規制対象とするかの判定の難しさがある」と言っているのに、「判定は簡単だ」という証明をするのは難しそうです。

「この部分を無視して書けばいい」と思うかもしれませんが、設問で「記事の内容を踏まえ」とあるので、この部分を無視することはできません。

このことからも、記事の主張に倣う方が書きやすいと言えます。

 

③自身の考えの論拠を示す

 

論拠を示します。

出題者がどういう内容を「論拠」としているのかの判断が難しいですが(「理由」と「根拠」と「論拠」の違いは何かという話になるので…)、ここでは自分の意見(考え)の理由について根拠を示して説明すると解釈します

 

②で自分の意見を決めました。

その理由を、根拠(事実)に基づいて説明します。

 

自分の意見が「反対」ならば課題文にある「何を規制対象とするかの判定の難しさがあるとともに、法規制以前にできることがある(連携や自主的な取り組み、ファクトチェック)」に関連する根拠(事実)を書いて、それが自分の意見につながる理由を書きます。

 

自分の意見が「賛成」ならば課題文の「何を規制対象とするかの判定の難しさがある」ことを否定できる根拠(事実)を書いて、法規制をすることのプラス面を書きます。

 

このポイント③が最も重要ですが、考え方のヒントとしてはこの程度しかお伝えできません。

あとは、実際にあなたが考えたものを見てみなければ判断できないからです。

ですから(小論文の学習においては)誰かに添削をしてもらうことは必須です。

 

④250字以内で書く

 

250字というのは非常に短いです。

本当にピンポイントの内容しか書けません。

ということで、必ず書くべきコトを見ていきます。

 

まずは「賛成」か「反対」かを明確に書きます。 

私は法規制の導入に賛成(反対)だ。 

 

次に、その理由を書きます。 

なぜなら、○○だからだ。 

 

次に、その根拠(事実)を書きます。 

ここには理由につながる自分の体験や、話題としたことについての事実を書くといいでしょう。 

 

最後に、理由と意見をまとめます。 

このように○○だから、法規制は導入した方がいい(導入しない方がいい)。 

 

問4 語彙

 

長野大学では、語彙の意味が問われる問題が多く出題されています。

四字熟語、故事成語、慣用句、カタカナ語など幅広いです。

特にカタカナ語は他大学と比べても多く出題されています。

四字熟語や慣用句は市販の問題集にも収録されていることが多いですが、カタカナ語が収録されているものは多くありません(収録語彙数が少なかったり)。

そこで、Quizletというアプリで、よく使われるカタカナ語を集めた単語カードを作ってみましたので以下の記事を参考に学習してみてください。

kinkoshin.hatenablog.com

もしかしてアプリじゃなくてブログで一覧にした方がいいのかな…

ブログにして~っていう方がいたらリクエストください。

 


長野大学が受験者に求めている力は明確です。

文章を正しく読めること、自分の意見を根拠を持って述べることができること、そして漢字や語句の意味などの語彙力です。

このことは学校推薦型選抜(推薦入試)だろうと総合型選抜(AO入試)だろうと、一般選抜だろうと変わりません。

ですから、それぞれの力をつけるように学習しましょう。

 

文章を正しく読む力が試される設問に関しては、「文章の読み方」を意識していれば比較的解くことができるはずです

大事なのは、常に同じ読み方をしてみることです。

そのためには、一度取り組んだ問題を復習し、このブログで説明したような流れで考えることができるかを試すといいと思います。

 

自分の意見を述べる設問に関しては、過去の長野大学の小論文問題をやってみるのがいいかもしれません。

私のブログで解説もしているので見てみてください。

 

先程も書いたように、長野大学の入試問題は漢字などの語句の問題に始まり、文脈から解ける空欄補充(今回はありませんでしたが)、基本的な読解力、表現力などを問うてきます。

特別な力などではなく「基本的な国語力」を試す問題と言えます。

この問題を解けるようになることは、皆さんの人生においてプラスの何かをもたらしてくれるでしょう。

「入試問題」だからやるのではなく、自分の力を高めるためにも取り組んでもらいたいと思います。

 

頑張ってくださいね。

 

では、これで終わります。


他の年度や国語の勉強の仕方はこちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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