高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試B日程(3月3日)_第1問

 こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試B日程(3月3日)の国語、第1問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『なつかしい時間』長田弘 著 です。

 

【解答】

 

問1

  • (1)露出    (2)野暮  (3)無愛想
    (ア)ごうまん  (イ)しりょふんべつ

問2

  • ア.A  イ.B  ウ.A  エ.B

問3

問4

  • A.イ  B.ア  C.エ  D.ウ

     

問5

  • 同席しないこと。(8字)
    衝突すること。(7字)
    喧嘩すること。(7字)

    (別解)
    問題を引き受けない。(10字)
    心を決めない。(7字)
    先延ばしにする。(8字)

     

問6

  • X たがいに向き合って問題を差しだしあって話す(21字)
      (別解)たがいに向き合って違ったものの見方をかさねる(22字)
    Y 問題を引き受け、心を決め、言葉で考えを伝える(22字)
      (参考)問題に対する自分の考えを確定し、言葉でそれを伝える(25字)

     

問7

  • ア.A  イ.B  ウ.A  エ.A  オ.B

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(語句)

 

  • 語句の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断できることがほとんどです。まずは、空欄を含む一文をしっかり確認し、何について述べている一文なのかを確認します。その上で、どのような語句を補充するのが適切か考えます。

     

  • 空欄(ア)~(エ)に「会話」か「対話」のどちらかを入れます。
    すべての空欄が形式段落3にあるので、空欄を含む文をすべてまとめて考えます。

 

コミュニケーションの手段が多様になり、(ア)は豊富になった。

けれども(逆接)、(イ)はどうか。

(ウ)が豊富になったぶん、(エ)は貧しくなった。

  • この構造を見ると、(ア)(ウ)は豊富になったものであることから同じ語句が入ることが分かります。また、(イ)は(ア)と逆接で繋がっているので、(ア)とは違うものが入ることが分かります。同じように(エ)も貧しくなったものなので、(ア)と違うものが入ります。つまり、(イ)と(エ)は同じ語句が入ります。
  • (ア)(ウ)→豊富(プラスのイメージ)
    (イ)(エ)→貧しくなった(マイナスのイメージ)
  • では、この文章において、マイナスのイメージで書かれているのは「会話」「対話」のどちらでしょうか。形式段落7を読むと、「対話は遠ざけられてしまった」という内容があるので、マイナスのイメージ(貧しくなった)の方に合致します。このことから(ア)(ウ)はA「会話」、(イ)(エ)はB「対話」と判断できます。

 

問3 空欄補充(語句)

 

  • 再び空欄補充です。

     

  • 空欄(あ)は複数ありますが、確認すべき一文は一箇所です。それは、形式段落7の一文目です。ここが「(あ)というのは、…」となっています。助詞「は」は「イコール」を表しますので、「…」の部分が(あ)の説明となります。つまり、(あ)は「ある物事を始末したり取り決めたりするときに、論じ合い、談じ合って交渉すること」であることが分かります。選択肢の中から、この意味に合うものを選びます。「談判」が答えです。

  • ちなみに、選択肢それぞれの意味は次の通りです(旺文社『国語辞典』による。
    ア「団交」…団体交渉の略。労働組合の代表者が労働条件改善のための要求を、使用者と話し合うこと。
    イ「談合」…話し合うこと。相談。
    ウ「談判」…物事を取り決めるために、たがいに話し合うこと。
    エ「論難」…誤りや不正などを取り上げ、論じて非難すること。
    オ「論争」…二人以上の人がたがいに自分の意見を主張して論じ争うこと。

  • この問題は「ことば」を知らなかったら、どうしようもありません。日頃から語彙数を増やす試みをしておきましょう

 

問4 空欄補充(接続詞・副詞)

 

  • 接続詞の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断します。空欄前ではどのようなことを述べているか、空欄後ではどのようなことを述べているか。これを読み取り、その関係性から、適切な接続詞を選びます。

     

  • 空欄Aの前の内容は「勝海舟の(あ)という考え方が、この国が失ってきた大事なものだと案じる」です。後の内容は「勝海舟は(あ)について『少しの傲慢の風なく…』『赤心を披く』ことだとしている」です。空欄を挟んで、勝海舟の考えが詳しく(具体的に)書かれていることが分かります。具体例を示す「たとえば」が入ります。

  • 空欄Bの前の内容は「勝海舟は(あ)について『少しの傲慢の風なく…』『赤心を披く』ことだとしている」です。後の内容は「『野暮』を言わず、『敬礼を失わない』ことが(あ)だ」です。どちらの内容も、勝海舟の(あ)に対する考えが書かれています。ここでの接続詞は「言い換え(イコール)」を示す「すなわち」が入ります。

  • 空欄Cの前の内容は「会話を楽しむことには巧みになった」です。後の内容は「対話を活かすことが足らなくなった」です。前の内容はプラス、後の内容はマイナスです。逆接を示す「だが」が入ります。

  • 空欄Dの前の内容は「「対話を活かすことが足らなくなった」です。後の内容は「できなくなった」です。「対話を活かすことが」「足らなくなった」り「できなくなった」りしたという並列関係です。「あるいは」が入ります。

 

問5 内容説明

 

  • 対話が遠ざけられた(対話がされる機会が減少した)ことによって生じた3つのことが問われています。本文中の語句を用いるという条件もついています。

  • 先に断っておきます。この問題については、絶対にこれだ!という答えを示すことができていません。多分これだろうという解答を2パターン示しています。ごめんなさい。

 

  • 対話が減じた結果、どのようなことが起きているかが書かれている箇所を探します。すると、形式段落9に「たがいに向き合って、違ったものの見方をかさねてみる代わりに、考え方が違えば同席せず、目が合えば衝突、喧嘩という格好になりがち」という内容が見つかります。前半部分の「たがいに向き合って、違ったものの見方をかさねてみる」が「対話する」という内容であり、その「代わり」ということは「対話をせず」と読むことができるので、後半の「考え方が違えば同席せず、目が合えば衝突、喧嘩という格好になりがち」が生じることだと言えます。ここを答えとすると、

 

同席しないこと。(8字)
衝突すること。(7字)
喧嘩すること。(7字)

 

  • となります(パターン①)。
  • ただ、衝突と喧嘩は同じ意味と考えられるので微妙なところではあります。しかし、「同席しない」「衝突、喧嘩する」が解答の2つだとすると、残り1つを考える必要が出てきて、解答としては不自然になってしまいます。

 

  • 次に、さらに読み進めると、形式段落11に「いまは、問題は引き受けたくない、 心は決めたくないという、何でもかんでも先延ばしにして疑われない時代になっています」という内容が見つかります。「いま」は「対話が減少している」時代であるので、ここも生じることだと言えます。ここを答えとすると、

 

問題を引き受けない。(10字)
心を決めない。(7字)
先延ばしにする。(8字)

 

  • となります(パターン②)。
  • ただ、間に「という」という言葉があり、「という」は「イコール」を示す言葉なので、「問題を引き受けない、心を決めない」=「先延ばしにする」となり、この3つを並列にして解答とするのは微妙です。しかし、「問題を引き受けない」「心を決めない」を解答の2つだとすると、残り1つを考える必要が出てきて、解答としては不自然になってしまいます。また、「先延ばしにする」を解答の1つとすると、残り2つを考える必要が出てきて、これも解答を作る際に厳しい条件になってしまいます。

 

  • これら2つのパターンの解答を合わせて

 

同席しないこと。(8字)
衝突、喧嘩すること。(10字)
先延ばしにする。(8字)

 

  • とすることも不可能ではありませんが、3つの解答の中で、名詞で答えたもの(「どのようなこと」を答えた)と動詞で答えたもの(「どのようなことが生じた」で答えた)が混在することになり、解答としては不自然になってしまいます
  • ということで、パターン①とパターン②の両方を解答とします。

 

問6 内容説明

 

  • 「対話のもつちから」の説明が問われています。フレームが示され、2つの空欄に適切な文を挿入します。本文中の語句を用いるという条件もついています。

  • 先に断っておきます。この問題についても、絶対にこれだ!という答えを示すことができていません。多分これだろうという解答を示しています。ごめんなさい。

     

 

空欄X

  • 空欄Xは、対話がどのような営みかが説明されるように答えます(「対話は、(X)という営みになる」なので、「対話=(X)という営み」です)。対話がどのようなことをするのかを説明すればよいということです。

  • 対話の内容について書かれている箇所を探すと、第7段落に「いろいろなことを始末したり、おおよその事を取り決めたりするときに、論じ合い、談じ合って交渉すること。つまり、対話することです」という内容が見つかります。「つまり」は「言い換え(まとめ)」を示す接続詞なので、ここが「対話」の説明部分になります。ただ、25字以内という制限があるため、この内容を縮めるのは厳しいです。「始末する」「取り決める」は内容が違うため、どちらか一方を消すということにはなりませんし、「論じ合う」「談じ合って交渉する」も同じ理由で消すことはできません。とすると、他に25字に合うような箇所がありそうです。

  • すると、形式段落8に「たがいに向き合って問題を差し出し合って話すという習慣を欠いている」という内容が見つかります。いま、「対話」が減少しているという内容が書かれているので、「たがいに向き合って問題を差し出し合って話す」ことが「対話」の説明箇所に該当します。ここを答えとすると

 

たがいに向き合って問題を差しだしあって話す(21字)

 

  • となります(パターン①)。

 

  • 次に、さらに読み進めると、形式段落9に「たがいに向き合って、違ったものの見方をかさねてみる」という内容が見つかります。問5でも確認した通り、これも「対話」の説明箇所に該当します。ここを答えをすると、

 

たがいに向き合って違ったものの見方をかさねる(22字)

 

  • となります(パターン②)。

 

  • どちらのパターンも間違いなく「対話」の説明ですので、この2つを解答とします。

 

空欄Y

  • 空欄Yは、対話のちから(効力)が問われています(対話は、…、(Y)という効力がある」なので、「(Y)=効力」です)。対話の効力を説明します。

  • 対話の効力について書かれている箇所を探すと、形式段落11に「言葉が考えを伝える力をもつことがどんどん難しくなってゆくような状況」という内容が見つかります。「どんどん難しくなってゆく」というのは「(対話の)機会が減少している」ということでしょうから、ここの前半部分「言葉が考えを伝える力」が「対話の力」だと考えられます。つまり、対話の効力とは

 

言葉で考えを伝える(という効力)(9字)

 

  • となります。
  • ただ、制限字数は25字となっていますので、このままでは全然足りません。この形式段落のはじめでは「問題を引き受けない、心を決めないという、先延ばしにしている」という内容が書かれ、そのため、「言葉が考えを伝える力を持てなくなってきている」という流れですから、言葉で伝える考えというのは「問題を引き受けて、心を決めたこと」と言えそうです。これを先程の解答に加えるとこうなります。

 

問題を引き受け、心を決め、言葉で考えを伝える(という効力)(22字)

 

  • しかし、日本語としては若干不自然です。本来であれば

問題に対する自分の考えを確定し、言葉でそれを伝える(という効力)(25字)

  • としたいところですが、「本文中の語句を用いる」という条件があり、このように答えることは避ける必要がありそうです。やむを得ませんが、先程のものを解答とします。

 

問7 内容読解 

 

  • 選択肢の内容が「会話」、「対話」のいずれに属するかが問われています。
    本文をしっかりと読むことができていれば容易に分かるはずですが、文章中に選択肢の内容に該当する部分があるはずなので、必ず本文に戻って確認した方がよいでしょう

 

  • ア.コミュニケーションを広げるもの
    形式段落3に「コミュニケーションの手段が多様になり、会話のかたちが豊富になった」とあります。「会話」です。問2とかぶってしまっていますが…。
  • イ.『氷川清話』が推奨しているもの
    形式段落6で『氷川清話』の作者である勝海舟が重要だとしたものとして(あ)が挙げられており、形式段落7で(あ)とは「対話」だと書かれています。
  • ウ.巧みに楽しむもの
    形式段落12に「会話を楽しむことには巧みになった」とあります。「会話」です。
  • エ.言葉をたくさん飛ばすもの
    形式段落11に「言葉の破片はたくさん飛び散ってはいるけれども、…言葉が考えを伝える力をもつことがどんどん難しくなってゆくような状況が、逆に広まってきている」とあります。後半の内容は、これまでの問で見たように「対話」ですので、逆接(けれども)で繋がっている前半は「会話」です。
  • オ.考える力をもたせるもの
    エと同じ部分から「対話」と分かります。

 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

長野大学の他の問題の解答解説については、こちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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