高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

長野大学_過去問題(国語)_平成29年度_一般入試A日程(2月2日)_第2問

こんにちは。北の大地で高校教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、平成29年度一般入試A日程(2月2日)の国語、第2問の解答と解説です。

解説では、解くプロセスについても示していますので、参考にしてみてください。

 

問題については、2018年現在、長野大学に資料請求するしか方法はありません。過去問題を入手し、自分で問題を解いてみてから、このブログをご覧になるのがいいかと思います。

 

出典は『下流老人』藤田孝典 著 です。

 

【解答】

 

問1

  • (1)拝聴    (2)屋敷  (3)土壌
  • (ア)きゅうさい (イ)つの(る)

問2

  • A.イ  B.ウ  C.ア  D.エ 

問3

  • ①富める者と貧する者の両方が生まれる社会。(20字)
  • ②貧困者を救済する社会保障制度の確立。(18字)

問4

  • 失業

問5

  • 個人的感情

問6

  • メディアが積極的に報じないことに加え、貧困の当事者が自分に責任があるとしたり、貧困の状況を恥ずかしいと思ったりと、自分から声を上げられない状況にあるから。(77字)

 

 

[解説]

 

問1 漢字の読み書き

 

  • 基本的な漢字ばかりです。漢字検定2級まで取得していればまったく問題ありません。不安であれば、漢字検定3級から学習することをオススメします。大問2でも同じように5問出題されますので、漢字問題は計10問です。得点源にしましょう。

 

問2 空欄補充(接続詞・副詞)

 

  • 接続詞・副詞の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断します。空欄前ではどのようなことを述べているか、空欄後ではどのようなことを述べているか。これを読み取り、その関係性から、適切な接続詞を選びます。

     

  • 空欄Aの前の内容は「自分は頑張って働いているのに賃金が安い」です。後の内容は「働いていない人々には我慢してもらいたい」です。この2つの内容の関係性は、前の内容が後の内容の理由になっているというものです。「自分は頑張って働いているのに安いんだから、働いていない人は我慢して」です。因果関係を表す「だから」が入ります。
  • 空欄Bの前の内容は「(その発想は)税金のあり方を見誤っているし」です。後の内容は「(その発想は)『個人的感情』に立脚しすぎている」です。この2つを関係性から考え接続詞を導くのは難しいかもしれません。選択肢にある語句をそれぞれ当てはめて消去法でやるか、他の空欄は当てはまる語句が明らかなので、それらを答えてから戻ってきても大丈夫です。「AはBだし、やはりCだ」という流れが順当と言えます。
  • 空欄Cの前の内容は「生活レベルが一定の水準を下回ったら救済が必要で、生活保護基準はそれを明文化したものだ」です。後の内容は「いまの生活保護は高すぎで、より低い水準で十分だ」です。「救済が必要であるのに、いまより低くしろ」という流れです。逆接の「しかし」が入ります。
  • 空欄Dの前の内容は「日本は物質的に豊かな国だが、世界規模で見た場合だ」です。この一文には逆接表現があることから「日本は豊かではない(貧困がある)」ということを述べていることを確認します。後の内容は「周囲を見てみると孤立している高齢者がいるのではないか」です。後の内容が、明らかに「豊かでない人」の具体例です。具体例を示す「たとえば」が入ります。

 

問3① 内容説明

 

  • 自由経済社会とはどのような社会かが問われています。しかも、「筆者は問題視している」とあるので、マイナスの意味が問われています。
  • 傍線部aを含む一文から、自由経済社会において貧困は宿命だということが分かります。つまり、「貧困」のある社会だということです。マイナスですね。また、続く一文は「富める者がいれば、相対的に必ず貧する者が生まれる」とあります。「貧困」のある社会だということが繰り返されています。この部分を使って解答します。

 

富める者と貧する者の両方が生まれる社会。(20字)

 

 

問3② 内容説明

 

  • 自由経済社会(貧困者のいる社会)に対してなされてきた対策が問われています。
  • 傍線部aを含む段落の次の段落(形式段落3)の後半に「働けない人々に対して支払う保障」という内容があり、まずは「保障をする」という対策がなされてきたのではないかと読み取れます。さらに形式段落4の後半では「生活レベルが一定の水準を下回った場合は救済が必要」であるとの内容があることと合わせると、「貧困者に対して救済する保障をする」という対策がなされてきたのではないかと読み取れます。これだけでも解答として成立しそうですが、「対策」が問われていることを考えると、もう少し良い表現ができないかと考えても良さそうです。
  • そのような意識で本文を読み進めると、形式段落14に「貧困にいたる人々がいることを想定して、社会保障制度などを確立してきた」という部分を見つけることができます。これは、先程読み取ったものと同じ内容であり、「対策」の説明として「社会保障制度の確立」という説明は適当だと言えるので、はじめに確認した内容とこの部分を使って解答を作ります。

 

貧困者を救済する社会保障制度の確立。(18字)

 

 

 

問4 空欄補充(語句)

 

  • 語句の空欄補充問題は、空欄前後の文脈から判断できることがほとんどです。まずは、空欄を含む一文をしっかり確認し、何について述べている一文なのかを確認します。その上で、どのような語句を補充するのが適切か考えます。

  • 今回、空欄3箇所に同じ語句が入りますが、最も分かりやすいのは1つめの空欄でしょう。空欄を含む一文は「働ける人々ばかりではなく、空欄(あ)率がゼロにはならない」という内容です。これは「働けない人がいるから、(あ)率がある」ということになるでしょう。働けない人、つまり「失業している人」の割合だということに考えが及べば、空欄には「失業」が入ることが分かります。2つめ、3つめの空欄に「失業」を当てはめても文意が通じることから、これを答えとします。

  • なお、この問題は、本文中から語句を探したり、選択肢から語句を選んだりするわけではなく、自分で語句を考えなくてはいけません。「失業率」という言葉を知らなければ手も足も出ません。日頃から語彙数を増やそうとする意識が必要でしょう

 

問5 内容説明

 

  • バッシングについて、筆者がどのように批判しているかが問われています。バッシングを否定的に捉えている語句を本文中から探すことになります。

  • 傍線部bを含む一文は「このように生活保護を受けることで、バッシングや差別を受ける状況が続けば…」となっています。「このように」という指示語があるので、この話題(生活保護を受けるなど救済を必要な人がバッシングをされていること)はここまでに書かれていたと考えることができます。「バッシング」とは「(他人を)避難すること」ですから、そのような内容があった部分を、傍線部よりも前から探します。

  • すると、形式段落1に「生活保護受給者に対する批判」とあるので、この辺りにバッシング内容がないか注目すると、「税金で何もしていない人間を養う必要などない」という、バッシングとも取れる内容があることが分かります。そして、それに対する筆者の意見として、この段落の最後に「税金のあり方を見誤っているし、『個人的感情』に立脚しすぎだ」とあります。ここの部分が、筆者の「バッシング」に対する批判でしょう。述べられているようなバッシングは、所詮「個人的感情」に過ぎなく、正当なものではないと主張しているわけです。問では「語句」を問われているので、「個人的感情」を解答とします。

 

問6 理由説明

 

  • 日本社会の貧困が見えにくい理由が問われています。

  • 傍線部cまでの内容では、貧困が見えない理由については書かれていないので、「この後に書かれているはずだ」という意識を持って読み進めます。

  • すると、形式段落12に「貧困は見えにくい。それは…」という部分を見つけることができます。「それ」の指す内容は、当然「貧困が見えにくい」ですから、「それは…」の一文が「貧困が見えにくい」ことについての説明だと分かります。つまり、「貧困が見えにくいのは、メディアが積極的に報じないと面と、下流老人当事者が、自分からは声を上げられない状況にある」からであると読むことができます。ここの部分が答えのフレームとなるでしょう。

 

メディアが積極的に報じないことに加え、貧困の当事者が自分から声を上げられない状況にあるから。(46字)

  • 問は80字以内となっていますから、これに必要なことを加えていきます。見えない理由のメインは後半部分でしょうから、そちらに説明を加えたいところです。
  • 形式段落13には「声を上げない」理由が書かれているので、これを加えて解答とします。ちなみに、「声を上げない」理由として書かれているのは「自分を責めているから」ということと「今の状況を恥ずかしいと思っているから」の2点です。以上の内容を先ほどのフレームに加えるとこうなります。

 

メディアが積極的に報じないことに加え、貧困の当事者が自分に責任があるとしたり、貧困の状況を恥ずかしいと思ったりと、自分から声を上げられない状況にあるから。(77字)

 

 

 

 

かなり長くなりましたが、いかがでしたか。問題が変わっても、ここで示した「解き方のプロセス」は変わりません。今回解いた過去問題と同じ文章は絶対に出ることはありませんが、問題の傾向は大きく変わることはないはずです。ですから、過去問題をやることで、「解き方のプロセス」を身につけることが何よりの対策となります

今後も他の問題の解答解説をアップしていきますので、自分で「解き方のプロセス」を意識して解いた後で、解説を見てください。はじめは慣れないかも知れませんが、意識して繰り返す内に自分の力となっていくはずです。

長野大学の入試問題は、基本的な読解力をしっかりと問うている良問です。「解き方のプロセス」を身につけることは、文章読解力の向上とイコールです。大学受験を通して、その力を身につけるとともに、大学に合格して、楽しい4年間を過ごしてください。

応援しています。

 

では、今回はこれで終わります。

 

 

長野大学の他の問題の解答解説については、こちらからご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


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