長野大学_国語_2020(令和2)年度_一般選抜中期日程_第1問・第2問
こんにちは。きんこです。
長野大学2020年度(令和2年度)一般選抜中期日程の国語大問1・大問2の解答解説です。
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このブログの「文章の読み方」などをどのように運用するのかに重点を置いています。
そのため、それらをお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。
この読み方、解き方を徹底することで入試問題を解けるようになるでしょう。
ぜひ身につけてください。
問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。
長野大学のサイトで過去の入試問題をダウンロードすることができますので、ご準備をお願いします。
また、模範解答例を長野大学に請求することもできます。
このブログでは国語の解答と解説のみとなっていますので、その他の解答を知りたい場合は請求しましょう。
こちらも長野大学のサイトから必要書類をダウンロードできます。
では、始めます。
はじめに解答をお示しし、その後解説をお伝えします。
[解答]
1 語句
問1
(1)③ (2)⑤ (3)⑤ (4)③
問2
(1)① (2)④ (3)②
問3
(1)③ (2)④ (3)②
2 平野啓一郎『私とは何か-「個人」から「分人」へ』
問1
イ
問2
ウ
問3
エ
問4
c
問5
個人とは対人関係ごとの複数の分人によって構成され、その分人すべてが「本当の自分」といえるものである。(50字)
[解説]
1 語句
問1 語句の意味
幅広く語句の意味が問われます。
市販の現代文単語帳や語句の問題集を1冊仕上げましょう。
幅広い語句が問われるため、いわゆる評論語だけではなく四字熟語や故事成語、慣用句、カタカナ語なども収録されているものをオススメします。
また、教科書や問題集、模試、日常生活などでわからない言葉が出てきたら、その都度調べることを習慣としましょう。
問2 語句
問1の逆パターンで、意味から語句を選ぶことが問われます。
対策は問1と変わりません。
なお、カタカナ語を幅広く収録しているものはなかなかありません。
Quizletというアプリで「カタカナ語カード」を作成してあるので活用してみてください。
Quizletや、その使い方については次のリンクからどうぞ!
問3 語句の用例
語句の正しい使い方を答える問題です。
対策は問1と変わりません。
2 平野啓一郎『私とは何か-「個人」から「分人」へ』
形式段落での説明になります。
1~21まで形式段落に番号を振ってください。
問1 内容説明
傍線部についての筆者のとらえ方を選ぶ問題です。
超重要なポイントは「筆者のとらえ方」が問われていることです。
ここを見落とすと正解できませんので、「設問で何が問われているのか」を必ず確認しましょう。
傍線部は本文・形式段落の「はじめ」にありますので、この形式段落か、ここから始まる意味段落か、本文全体で説明がされていくと考えます。
つまり、傍線部付近で答えることができるかもしれないし、最後でまとめられるかもしれません。
そのような意識で読んでいきます。
形式段落1,2と3の前半までは「日本語の『個人』」についての説明です。
あくまで語源や辞書的意味、事実が述べられているので、問われている「筆者のとらえ方」ではありません。
形式段落3の「おわり」は「しかし」という逆接から始まっています。
逆接の後には筆者の言いたいこと、すなわち「筆者の考え、意見」が述べられることが多いことに注目して読んでみると、やはり「様々な問題が語源に隠されている」という「日本語の『個人』」に対する筆者のとらえ方になっていることが分かります。
これが答えですね。
ちなみに、形式段落4は再び事実が述べられており、筆者の考えではありません。
名前がついているのは、筆者の考えではなく、事実ですよね。
また、形式段落5は「では」という話題の転換を示す接続詞で始まっており、「人格」の話にうつっています。
ですから、1~4までが「日本語の『個人』」について述べられている意味段落と考えることができます。
問2 空欄補充
空欄補充問題は、前後の文脈から判断することが鉄則です。
空欄は形式段落7の「はじめ」にあるので、形式段落6からつながっています。
形式段落6は「本当にそうなのか?違うのでは?」という内容です。
(形式段落6の「はじめ」と「おわり」に注目します)
何について、このように言っているのか。
それは形式段落5からつながっています。
形式段落5の「はじめ」と「おわり」に注目すると「私たちの人格は一つだ」です。
つまり、「私たちの人格は一つだというのは違うのでは?」という内容が形式段落7につながっていると考えます。
では、空欄の後はどのような内容でしょうか。
会社の自分、家族といる自分、友人といる自分、恋人といる自分のそれぞれは同じ自分だろうか?という内容です。
空欄前の疑問に対して、具体的な例を挙げて疑問を再度投げかけています。
まとめます。
自分は1つなのだろうか?
(空欄)
こんな自分やあんな自分たちは同じ(1つ)なのだろうか?
空欄前後の内容は「自分は1つ」と同じですが、「自分→こんな自分やあんな自分」と具体的になっています。
具体例を示す「たとえば」が入ると分かりますね。
問3 空欄補充
問2と同じく前後の文脈から判断します。
形式段落12を「はじめ→なかほど→おわり」の流れで確認します。
空欄は「なかほど」にあります。
人間には多様な個性があるが、どんな人にも受け容れられる人格はどういうものか?
↓
(い)か、没個性的で、当たり障りのない人格か。
↓
どちらでもなく「オレ」で通っている人は、周りが寛大なのではないか。
(い)には「はじめ」の疑問に答えるもの(どんな人にも受け容れられる人格)が入りそうです。
同じことが「おわり」の内容からも判断できます。
(い)でなかったとしたら周りが寛大だとしか考えられないのですから、「周りが寛大でなくとも受け容れられるような人格(どんな人にも受け容れられる人格)」というような内容が入りそうです。
「なかほど」の後半の「没個性、当たり障りがない」というのは、まさにどんな人にも受け容れられそうです。
確認しておくべきことは、(い)と「没個性、当たり障りがない」について、「おわり」で「どちらでもなく」となっていることから、同じような内容にはならないということです。
つまり、選択肢の「没個性、当たり障りがない」と同じようなものは答えになりません。
ということで、選択肢を見ていきます。
ア 意気消沈したような人が、どんな人にも受け容れられる人格とは考えられません。
イ 傍若無人(人にかまわず勝手気ままに行動する人)な人が、どんな人にも受け容れられる人格とは考えられません。
ウ 付和雷同(自分に考えがなく周りの人の言うことに従うこと)し同調する人は、どんな人にも受け容れらると考えることができるかもしれませんが、これでは先ほど確認した「没個性、当たり障りがない」と同じような内容になってしまいます。
エ 聖人君子のような理想的な人格であれば、どんな人にも受け容れられるでしょう。これが答えですね。
オ 無味乾燥(内容に面白みや味わいがないこと)で平均的な人格だからといって、どんな人にも受け容れられる人格とは考えられません。
前後の流れと、空欄の後にある内容と同じにはならないということに気づければ問題ありませんね。
ただ!
この答えにたどり着くには四字熟語の知識が必要となっていることは見逃せません。
すべての選択肢に四字熟語が含まれており、その意味が分からなければ正答できないでしょう。
大問1で語句の知識が直接問われていましたが、この設問でも語句の知識は必要だと分かります。
「豊富な語彙力を持つ学生に入学して欲しい」という長野大学からのメッセージを読み取ることができます。
問4 文の挿入(空欄補充)
問2,3に続き、空欄補充と考えていいでしょう。
ただこの設問は、空欄の位置を答えるものですから、次のような手順で解きます。
1.挿入する一文の内容を確認する。
2.空欄a~dの前後の内容を確認する。
では、この手順に従って解きます。
挿入する一文は「すべての間違いの元は、唯一無二の『本当の自分』という神話である」です。
評論で「神話」と出てきたら「根拠なく絶対のものだと信じられているもの」という意味です。
つまり、傍線部は「『本当の自分』が1つだと根拠なく信じられていることが間違いの原因だ」というような内容だと分かります。
次に、空欄の前後の内容を確認します。
空欄の位置を見てみると、すべて形式段落の「おわり」の部分に位置していることが分かります。
形式段落の「つくり」を考えると、挿入する一文は「まとめ」を示していて、次の形式段落に「つながる」ものだと考えられます。
そのような意識で空欄を確認します。
a
形式段落3の話題は「個人」であり、形式段落4も「個人」の話題が続いています。
先ほど確認した内容が入りそうにはありません。
b
形式段落8の内容は「人間には色んな顔がある」であり、形式段落9は「色んな顔があることと、人格が1つという考え方とが矛盾するかどうかについて」です。
ここにも先ほどの内容は入りそうにありません。
c
形式段落13は「『本当の自分』と『表面的な自分』とを使い分けることや、ニセモノの自分を生きるという考えは寂しい」という内容です。
挿入する一文にある「本当の自分」について述べていること、形式段落13の内容が「寂しい」とあるように何かしらの「マイナス点、問題」がある書き方になっていることから、挿入する一文がこの形式段落の「まとめ」だとしても悪くないような気がしますね。
とはいえ、これだけでは絶対に正解だと判断できないので、「つながっていく」形式段落14を確認します。
形式段落14は「たった一つの『本当の自分』は存在しないと考えよう」という内容です。
形式段落13…「本当の自分」「表面的な自分」を使い分けるのは寂しい考え方だ。
挿入する一文…「本当の自分」が1つだと根拠なく信じられていることが間違いの原因だ
形式段落14…そこで、たった一つの「本当の自分」は存在しないと考えよう
そうすれば「本当の自分」「表面的な自分」を使い分けると考えなくてよい(寂しい考えを持たなくてよい)と話が続きそうです。
空欄cに入りそうです。
d
形式段落20は前半が「人間」、後半が「個性」についての話題です。
形式段落21も「個性」の話題が続いていますから、挿入する一文は入りそうにありません。
正解はcで決まりです。
問5 内容説明
まずは設問で何が問われているかを確実に読み取ります。
設問から次の5点を確認します。
1.傍線部B「分人という新しい単位」について問われている
2.「筆者の考え」が問われている
3.「個人」がどのようなものかを説明する
4.「個人とは」から始め、「分人」「本当の自分」という言葉を用いて説明する
5.50字以内で説明する
では、筆者が考える「個人」がどのようなものかを読み取りましょう。
これは筆者が「個人」をどのように定義しているかということです。
語句の定義の基本的な読み取りは、「その語句が主語になっている部分」「その語句が修飾されている部分」に注目するのでした(何を言っているか分からない場合は下記のブログを読むことをオススメします。超大事です!)。
すると
形式段落18はじめ…「一人の人間は」
形式段落20はじめ…「私という人間は」
が見つかります。
どちらも「個人」と置き換えてかまわないでしょう。
この2カ所から、個人とは
①複数の分人のネットワークである
②そこには「本当の自分」という中心はない
③対人関係ごとのいくつかの分人によって構成されている
ものであることが分かります。
①と③は同じ内容なのでまとめます。
個人とは対人関係ごとの複数の分人によって構成され、そこには「本当の自分」という中心がないものである。(50字)
はじめに確認した条件が自然と満たされていますね。
これを答えとしてもいいのですが、もう少し書き方に工夫を加えます。
文は「はじめ」と「おわり」が大切です。
「はじめ」に「テーマ」、「おわり」に「そのテーマが何か」が書かれていると読みやすい文になります。
そういう観点で先ほどの文を確認すると
個人とは、そこには「本当の自分」という中心はないものである。
となり、ちょっと違和感があります。
中心がないなら何なの?って思いませんか?
ということで、「本当の自分」を使って「個人」を上手に説明できそうな部分を本文から探します。
ここまでで筆者の考える「個人」がどのようなものか分かっているはずなので探しやすいはずです。
形式段落14にある表現ですね。
対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である
前半部分は次の形式段落15につながっていることからも「分人」の内容となっていることが分かります。
後半部分の「すべて『本当の自分』である」というのは「中心がない(=一つでない・すべて)」と同内容であることが分かります。
これと先ほどの作った解答とを合わせてみます。
個人とは対人関係ごとの複数の分人によって構成され、その分人すべてが「本当の自分」といえるものである。(50字)
こうすることで「はじめ」と「おわり」に注目しても
個人とは、分人すべてが「本当の自分」といえるものである。
となり、先ほどの解答よりもキレイにまとめることができました。
いかがでしたか。
大問1、2ともに語句の知識が必須だということが分かったと思います。
語句の参考書や先ほど紹介したQuizletなどで学習しましょう。
また、私が紹介している「文章の読み方」を知っていれば、空欄補充問題も記述問題もできることが分かったと思います。
「文章の読み方」は知っているかどうかです。
それほど時間はかかりませんので、読んでみてくださいね。
しつこいと思いますが、リンクをはっておきます。
頑張ってください。
では、これで終わります。
他の年度や国語の勉強の仕方はこちらからご覧ください。
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