高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)_国語_第4回_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)「国語」第4回第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

ご自分で用意してください。

黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~10までになります。

 

では、始めます。

 


問1 

 

どれも基本的な漢字であり基本的な言葉です。2個以上間違っているとしたら漢字学習をすることをオススメします。

 

センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。

 

漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。

 


問2

 

ポイントは3つです。

 

 

①傍線部の背景が問われている問題である。
 →「なぜ傍線部か」という理由説明問題と考える。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「ものづくり」をいうことばをよく耳にするようになった「背景」が問われています。

これは「なぜ『ものづくり』ということばをよく耳にするようになったのか」と言い換えることができるので、理由説明問題と同じであると考えます。

つまり「○○という背景があったから『ものづくり』をいうことばをよく耳にするようになった」というように考えるということです。

 

②傍線部は形式段落のはじめにあります。

形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、この段落で説明がされるという意識で読み進めます

 

説明である中程には「この国にとって重要な課題かもしれない」とあります。

 

「国にとっての課題となっている背景」があるということです。

 

設問によってはここまでで答えが導くことができる場合がありますが、今回の選択肢(文末)をパッと見てみると「国の課題だ」というような内容はありませんのでダメそうです。より具体的に読み取らなければならないようです。

 

方向としては「国にとっての課題」の内容が分かれば答えが出そうです。

 

第1段落の続きを読むと「ものづくり」の捉え方が「ひとびと」と「国」でそれぞれ違うという内容になっていて「背景」の話にはなっていません。ということは、この段落だけでは答えが出ないということになります。

 

③第1段落のおわりの文は「ものづくり」について述べられています。形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていくので、形式段落2も「ものづくり」の説明になっているはずです。

 

第2段落はじめは「国家の維持繁栄に不可欠」となっています。「国にとっての課題」に繋がりそうな内容です。

 

読み進めると「職人技を再評価し、製造業に活気をもたらすべき」「職人の上質の部品に価値がある」という内容があり、(傍線部Bとかぶりますが)「このような反省が『ものづくり』重視の傾向を生んだ」となっています。

 

「ものづくり」重視の傾向を生んだということは、「このような反省」によって「ものづくり」ということばが言われるようになったと考えられます。

 

まとめます。

 

「ものづくりは国家の維持繁栄に不可欠であり、そのために職人技を再評価し製造業に活気をもたらしたり職人の上質の部品に価値を認めたりするという反省(国にとっての課題)がある背景」

 

以上の内容になっている選択肢を選びます。

選択肢は後半(文末)から見ます。

 

 

①「大量生産から多品種少量生産へと転換」→品種の話などしていません
②「新しい機械と職人わざを融合」→融合するなど述べられていません
③「品質に優れた商品を提供するために職人わざを活用する」→「職人の部品に価値を認める」という内容と合っていますが、その直前の「商品に魅力を感じない」が確認した内容と違います
④「職人わざの意義を評価し直すことで製造業に活気をもたらす」→確認した内容と同じです
⑤「世界に通用する普遍性をもった職人わざを構築」→世界に通用する普遍性など述べられていません 

 


問3

 

ポイントは1つです。

 

 

①指示語の指す内容は直前である。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

指示語の指す内容は直前にあることが基本です。今回も直前の内容です。

 

Bは問2で確認した内容です。入試問題において、設問の答えとなる部分が重なっていることは滅多にありませんが、今回は明らかに重なっています。こういうこともあるのだということは知っておいていいかもしれません。

 

Cは傍線部直前の内容です。問題ないと思います。

 

選択肢を見ます。

このタイプの設問は前半がBの内容、後半がCの内容となっていますので、確実に分かる方から見ても構いません。ただ、基本的には後半から見ることをオススメします。

 

 

①後半の内容は、傍線部C直前の内容と同じです
②「職人わざを見直す考えが徐々に浸透」→傍線部C直前の内容と違います
③「国家的な規模での経済効果が生じないことは明らか」→傍線部C直前の内容と違います
④「職人わざの獲得には長期の訓練が必要だという誤った認識」→傍線部C直前の内容と違います
⑤「職人わざが経済に好影響を与えるといった期待も多くの人にもたれていた」→傍線部C直前の内容と違います 

 


問4

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どうしてか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①ポール・ヴァレリに言及した理由が問われています。

評論文において、引用は筆者の主張と同じであることが基本です。

引用=筆者の主張でした(詳しくは「文章の読み方⑤_さらなる武器 - 高校教員の徒然日記」で書いています)。

ですから、言及した理由は筆者の考えと同じだからだろうと答えの方向性が見えます。

 

②傍線部は形式段落のはじめにあります。この段落で説明がされるはずです(と言っても一文ですが)。

 

まとめであるおわり(傍線部が主語でその述語部分ですね)を見ると「『制作学』を提唱したが、それは上述の制作(技術)の哲学に相当する」となっています。

 

上述の制作(技術)とは第7段落後半で述べられた筆者の考えです。

やはり筆者の主張とポール・ヴァレリの言っていることが同じようです。

つまり筆者の「制作(技術)」の考えを補強するためにポール・ヴァレリを引き合いに出したのです

 

次にどのような点が同じなのかを確認します。

 

形式段落のおわりは次の形式段落に繋がります。形式段落7でポール・ヴァレリが出てきたので、次の段落は彼の説明になっています。

 

形式段落8の内容は難しいかもしれませんが、はじめとおわりに注目すると分かりやすいと思います。

 

はじめ…「感覚学の中に特別の領域(美学)を認め考察している」
おわり…「『美学』は『感覚学』の中心にある」

 

そして、このポール・ヴァレリの話から次の形式段落に繋がります。

 

形式段落10のはじめは「おなじように、一般的な『制作学』の中心に、芸術にかかわる『制作学』を想定することができる」です。

 

「○○の中心に○○があるとして考える」という形が同じです。

 

筆者は「『感覚学』の中心に『美学』があるとして考える」ように「一般的な『制作学』の中心に芸術にかかわる『制作学』があるとして考える」と言いたいわけです

 

選択肢を見ます。

選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①「哲学的な思索の対象にはなり得ない」→確認した内容と違います
②「哲学的な思索によって体系化できないものになっている」→確認した内容と違います
③「特殊化された人間的ないとなみと考えられる」→確認した内容と違います
④「芸術的な制作を、考察の中心にしていこう」→確認した内容と同じです
⑤「国家権力の制約によって左右されてしまう」→確認した内容と違います 

 


問5

 

「ものづくり」に対する筆者の考えが問われています。

本文が「ものづくり」について述べられたものですから、筆者の主張を読み取り、それとの内容合致問題だと考えます。

内容合致問題は基本的に一つ一つ本文に戻って確認するしかありませんので対策できません。

 

ただ今回の設問については、「設問の作り」から、本文の注目すべき部分が傍線部で問題になっていない形式段落3~7あたりではないかということが分かります(何を言っているのかよく分からない方は「マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記」をご覧ください)。

 

それらの段落に注目し「ものづくり」が主語になっているような箇所を押さえ、形式段落7のおわりの「つくること」の根源的なありかたを捉えることが重要だという筆者の主張を読み取ることができるといいでしょう。

 


問6

 

展開の問題も、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。

ただ、ポイントとしては本文のおわりに注目するということはできます。

どんな展開の説明をしても最後を変えることはできないからです。

 

今回の最後はプラトンアリストテレスたちの思索がポール・ヴァレリに受け継がれ、それと自分が考えたいことが同じなんだというように終わっています。

 

ここに注目して選択肢の文末(後半)を見ると②と③のみが残ります。

①や⑤のように「西欧の学問伝統を発展」させているのではなく、あくまで「受け継いでいる」わけです。

 

②と③に絞ることができたら、③の正答を導くことは容易だと思います。

 

 

 

いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

 

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。