高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)_国語_第2回_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、河合塾2019マーク式総合問題集(黒本)「国語」第2回第1問の解説です。

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

ご自分で用意してください。

黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。

 

形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~17まで振られています。

 

では、始めます。


問1 

 

今回の漢字問題は全体的に難しめです。

しかし、漢字検定の級では(ア)「精」6級、(イ)「摂」3級、(ウ)「巡」4級、(エ)「射」5級、(オ)「尽」4級の漢字に指定されています。

漢字検定3級が中学卒業レベルですから、漢字自体は難しくないということです

 

本文、選択肢の熟語が日常使わない言葉になっているときに漢字にできるかどうかです。教科書や問題集で評論文を読むときに漢字も意識して読むことをオススメします。

 

センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。

 

今回は3級までの漢字のみでしたが、2級まで学習すれば漢字については大丈夫です。

 


問2

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
 →傍線部を含む一文で主語を確認する。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「意味のないことではない」を言い換える問題です。

このままでは主語がありません。傍線部を含む一文から主語を確認します

「無味や平淡を肯定的に評価する伝統を対置することは」が主語ですね。

ここまでで傍線部を言い換えると

「無味や平淡を評価することは意味がある」となります。

 

形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。

傍線部は形式段落のはじめにあるので、この後説明されるはずです。

まとめると「無味や平淡を評価することは、無味でなく明確な味を好むという問いを生み出し、それがものの見方のなかに動揺を生じさせる」です。

これが「無味や平淡を評価する」意味でしょう。

ただ「動揺を生じさせる」のがなぜ評価に繋がるかがよく分かりません。そこで次の形式段落を確認します。

 

形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっています

今確認したように「動揺を生じさせることが評価に繋がる」とはどういうことかが述べられるはずです。

そういう意識で形式段落6を見ると「そのように」という指示語から始まっているので、やはり「動揺を生じさせる」の説明がされていそうです。

形式段落6のおわり(まとめ)には「我々の文化をより豊かにできる」とあります。

つまり「動揺を生じさせることで、文化を豊かにできる」わけです。

「評価」に繋がりますね。

 

まとめると「無味や平淡を評価することは、無味でなく明確な味を好むという問いを生み出し、それがものの見方のなかに動揺を生じさせることで、文化を豊かにできるから」となるでしょう。

大切なのはあくまで文末の「文化を豊かにできるから」ですよ。

 

選択肢を見ます。

選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①自文化の固有性を誇示する手段として有効」→確認した内容と違います
②歴史的根拠を有するという点では共通」→確認した内容と違います
③「異文化間の共存が可能」→確認した内容と違います
④「文化をより豊かにする可能性が生じる」→確認した内容と同じです
⑤「自文化と他文化とをあいまいに融合」→確認した内容と違います 

 


問3

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①西欧の哲学が中国の思想を「他者」と言った理由が問われています。

なぜ、西欧にとって中国は他者なのかということです。

 

傍線部は形式段落のはじめにあるので、この後説明されているはずです

中程で「他者」とは「知恵」であり、西欧では哲学ではないが哲学と無縁ではないものとしてあいまいな領域にあるものだと述べられ、

まとめであるおわりでは中国では「知恵」が知の最高のあり方であることが述べられています。

つまり「西欧の哲学ではあいまいとされる『知恵』が、中国では最高の知とされているから『他者』と言った」のでしょう。

 

選択肢を見ます。

選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①「哲学とは呼べないあいまいな知のあり方だから」→確認した内容と同じです
②「哲学とはおよそ無関係なあいまいな思考の産物だから」→「哲学と無縁でない」と述べられていました
③「中国思想の知恵に、哲学的思考を見出しえないから」→あくまで「あいまい」なのです
④「体系化された観念体系としてある西欧哲学とは異質な点があるから」→確認した内容と違います
⑤「あまりにも異質であり到底受け入れがたいものだから」→確認した内容と違います 


これだけで正答を導くことができますが、一応確認です。

 

形式段落7のおわりで中国では「知恵」が最高だと述べられました。しかし、それがどう最高なのかは述べられていません。ですから、次の形式段落に繋がっていきます。

 

続く形式段落8では「知恵」がどのようなものなのかが述べられ(おわりにまとまっています)、形式段落9では西欧の「哲学」と中国の「知恵」が対比される形で「知恵」のプラス面が述べられています。

 

ここまで読むことで、確実に「西欧の哲学」にとって「中国の知恵」が他者(違うもの)であることが詳細に分かります。

 

選択肢①の前半の内容は、形式段落8と9の内容になっていますね。

でも、あくまで大切なのは「文末」と傍線部と形式段落の関係です。

まずはそこで選択肢を選ぶのだと意識しましょう。

 


問4

 

ポイントは4つです。

 

 

①本文の趣旨を答える問題、つまり内容説明問題(イコール問題)である。
②あくまで傍線部の問題である。
③形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
④形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のはじめは、前の形式段落のおわりから続いてきている。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①傍線部の趣旨に近いということは、傍線部でいっていることと同じものを選ぶということです。つまり、内容説明問題(イコール問題)です。

理解には「先入見」が関与しているとはどういうことかが問われています。

 

②あくまで傍線部の問題だということを忘れてはいけません。①で確認した内容で考えます。

 

傍線部は形式段落のはじめにあるので、この後説明されます

 

傍線部直後に「言いかえれば」という言葉もあるので、この後がイコールだと分かります。「AではなくB」という文になっているので、Bがイコールの内容です。

 

「作品あるいは他者と解釈者との相互的なかかわりのなかでなされる」です。ちょっと難しいですが「相互に関わっているもの」だということを押さえましょう。

 

ただこれでは「先入見」がどのようなものなのかが不十分です(今のところ相互に関わるくらいしか分からない)。

 

ですから、「先入見」がどのようなものなのかを確認する必要があります。

 

形式段落のはじめは前の形式段落のおわりから繋がっています

 

形式段落12のおわりは「先入見」が主語になっていますから、この段落で「先入見」の説明がされていたことが分かります

 

中程の説明とまとめのおわりから「先入見」をまとめるとこうなります。

「先入見は有限で歴史的な人間の置かれた立場への拘束性であり、これを乗り越えたり解放されることはできなないもの」です。

 

私たちの理解には、この先入見が関わっているという選択肢を選びます。

 

選択肢を見ましょう。

今回は生徒の意見ですので文末から見ることができません。あくまで「先入見」の説明として合っているものを選ぶという意識で見ていきます。

 

 

①「先入見をなくしていくことが必要」→そんなこと述べられていません
②「枠組みに影響される」→「先入見」の説明になっています
③そもそも「先入見」の説明がありません
④「最終的に先入見を乗り越えていくことが可能」→乗り越えることはできないのでした
⑤「他者と相互的に関わるというのも最終的には不可能」→関わるものでした 

 

いかがですか。生徒の話を選ぶ設問ですが、あくまで傍線部の設問だということを意識すると、通常の内容説明問題や理由説明問題と同じように考えることができます。

設問形式に惑わされないようにしましょう。

 


問5

 

ポイントは3つです。

 

 

①問われている内容は本文のテーマである。
②形式段落の作りと文章全体の作りは同じである。
③設問の作られ方を意識する。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「人文学」についての筆者の考えが問われています。

この文章全体のテーマが人文学だったということが分かるでしょうか。次の②で確認します。

 

形式段落のつくり「この話するよ→説明→まとめ」はそのまま文章全体のつくりです

 

文章全体のつくりも「この話するよ→説明→まとめ」です(小論文を書くときの構成もこれですよ)。

 

そういう意識でこの本文を見ます。

 

 

形式段落1「人文学は…」→人文学の話するよ
形式段落2~16→説明
形式段落17のおわり「人文学はまさにそのことに寄与してきたし…」→人文学ってこうなんだよ 

 

「人文学」についての文章だとはっきりと分かりますね。

ですから、人文学についての筆者のまとめは当然最後の部分になります

 

③②で本文の注目すべき箇所は分かりましたが、設問の作られ方からもどこに注目するかの検討をつけることができます。

評論文の問題の作られ方は各意味段落に1つの設問があるのが基本です

つまり各意味段落の設問を解いておくと文章全体の内容が分かるというような設問構成になっていることが多いのです。

 

そのような視点で今回の本文を見てみると、傍線部Aで形式段落2~6、傍線部Bで形式段落7~9、傍線部Cで形式段落12~13の内容が問われています。

 

ですから、本文中で問われていない部分は形式段落14以降だと検討がつきます。

 

そもそも本文がずっと続いているのに傍線部がないのですから、この辺りは何かの設問と関わるだろうという予想はつきますね。

 

ということで、設問の作られ方を意識しても本文おわりが注目すべき部分だと分かります。

 

では、筆者が「人文学」についてどう考えているのかを確認します。

 

形式段落1の内容、そして形式段落17の内容です。

 

形式段落1はそのままですね。

 

形式段落17はおわりに「人文学はそのことに寄与してきた」とありますから、「そのこと」の指す内容を確認します。形式段落の中程ですね。

 

「先入見を乗り越えることはできないが、より大きな射程を持った知へと開かれる。それを可能にするのは経験だ」です。形式段落1では「共存」となっています。これが人文学についての筆者の考えです。

 

選択肢を見ます。

選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①「知の地平を絶えず向上」→地平を向上するのではなく、知が開かれていくのでした
②「自由なものの見方の養成」→自由のことなど述べられていません
③「知の成熟に貢献」→知が開かれると合っています
④「異質な存在の相互理解を深めていくという課題を担う」→深めることができますがそれが課題だとは述べられていません
⑤「相互交流を通じてより豊かな知をもたらす」→確認した内容と同じです 

 

③と⑤が残りました。前半を確認します。

 

 

③形式段落1の内容(共存できる)もばっちり入っています
⑤「共通性に目を向けて豊かな知をもたらす」が決定的に違います。「経験」が豊かな知へと繋がるはずでした 

 


問6

 

表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。

今回は対策できません。

 

 

 

いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

 

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。