高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)_国語_第5回_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)「国語」第5回第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

ご自分で用意してください。

黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~17までになります。

 

では、始めます。

 


問1 

 

(イ)(ウ)(エ)が比較的難しかったかもしれません。

 

(イ)「獅子奮迅」の四字熟語を知っているかどうかでした。

(ウ)「愉悦」も選択肢の「愉楽」も漢字としては難しいですが、「たのしい」という意味で捉えることができるようになりたいところです。

(エ)「胎動」、選択肢「換骨奪胎」の四字熟語は難しめですが、「胎」を含む言葉として必ず覚えてもらいたい漢字です。ちなみに「換骨奪胎」は漢字検定3級の範囲です。

 

センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。

 

漢字学習では(イ)の解説でも述べたように「漢字の意味」つまり「訓読み」を中心に覚えるようにすると効果的です

 

また、漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です(「獅子奮迅」は準1級の四字熟語ですが)。

 


問2 

 

ポイントは2つです。

 

 

①「説明はどれか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②対比構造を意識する。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「旧来のクラシック音楽演奏の在り方」の説明が問われています。

つまり「旧来のクラシック音楽演奏の在り方」とはどういうものだったということが問われているわけです。

 

②傍線部まで読んでくると、この文章が「旧来のクラシック音楽」と「古楽」との対比になっていることは容易に分かると思います。

 

特に形式段落3の「こうした旧来のクラシック音楽の在り方に、強烈な一撃を食らわしてのが…『古学』と呼ばれるムーヴメントであった」に注目すると明白です。

 

今回は「旧来のクラシック音楽の在り方」について問われているわけですから、今確認した形式段落3「こうした旧来のクラシック音楽の在り方」に着目すると、その指示内容が説明部分だと分かります。

指示語の指す内容は直前ですから形式段落2を確認することで「旧来のクラシック音楽の在り方」が分かるはずです。

 

まとめると

「時代に応じて形態を変えてきた」「ルーティンワークとマンネリズムに陥っていた」「真の音楽的な美はなおざりになった」「慣習化され感覚的な演奏ばかり繰り返された」となります。

 

以上を踏まえて選択肢を見ます。

選択肢は後半(文末)から見ます。

 

 

①「作品が作られた当時の演奏を繰り返すだけ」→形態を変えてきたのでした
②「そう演奏すべきかを精査した上で演奏する」→確認した内容と違います
③「作品のオリジナルなありようを無視した感覚的な演奏が中心」→オリジナルを無視というのは言い過ぎな気がしますが保留にします
④「型にはまった演奏が繰り返される」→確認した内容と同じです
⑤「感覚的な刺激を追求するような演奏ばかりが繰り返される」→確認した内容と同じです 

 

③④⑤が残りましたので前半を見ます。

 

 

③「演奏家たちが真の音楽的な美を追究する」→確認した内容と違います
④確認した内容と同じです
⑤「聴衆のニーズをかえりみず」→確認した内容と違います 


今回は傍線部の直前直後に答えの根拠がありませんでした。

しかし、対比の構造を意識することで容易に答えの根拠が分かったはずです。

ほとんどの評論文は「対比」で書かれています。何と何とが対比になっているかという意識で読むようにしましょう。

 

この手の問題は次のような形になっていることがほとんどですので確認しておきます(形式段落は適当につけています)。

 

 

形式段落1~3…Aの説明
形式段落4~7…Bの説明
形式段落8…まとめの部分(AとBの話題) 

 

この形の形式段落8のAに傍線部が引かれる。答えの根拠は当然形式段落1~3。

 


問3

 

ポイントは2つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「私はまるで熱にうなされているかのようだった」の説明が問われています。

「まるで~のようだ」という表現から傍線部は比喩です。私のどのような様子を喩えているのかが問われています。

この時点で「熱中」という言葉が出てくるといいですね

 

②傍線部は形式段落のはじめにあります。

形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、このあと説明されるはずだという意識で読みます。

 

すると直後に「古楽について知りたい」ということが書かれています。

古楽に熱中していた」ことを「熱にうなされているよう」と表現したのでしょう

 

選択肢を見ます。

選択肢は後半(文末)から見ます。

 

 

①「古楽の秘密を知るには自分の職業的立場を利用するしかないと思い込む」→あくまで「古楽を知りたい」と熱中したのであって「立場を利用するしかないと思い込」んだわけではありません
②「古楽に夢中になった」→確認した内容と同じです
③「古楽しか聴けなくなった」→「知りたい」と熱中しただけで、それしか聴いていないとは述べられていません
④「自分も古楽演奏家としていきていけるのではないか」→確認した内容と違います
⑤「新聞記者の立場を利用してでも古楽奏者に会いたい」→「古楽を知りたい」であって「古楽奏者に会いたい」ではありません 

 


問4

 

ポイントは3つです。

 

 

①心情説明ですが、なぜ筆者が書いたのかという理由説明問題として考える。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①『古楽再入門』を書いた筆者の心情が問われています。

 

心情説明問題を解く際の考え方は2つです。

 

1つめは、ずばり一言で心情を表すこと。
2つめは、その心情に至る理由を表すこと。 

 

小説でも古文でも漢文でもマークでも記述でも心情説明問題の基本はこれだと覚えておきましょう。

つまり、心情説明問題は「理由→心情」という流れで考えるということになります

 

 

例.傍線部「うつむいて涙を流している」の心情を説明しなさい。
答.全国大会出場がかかっていた試合に負けたので非常に悔しい気持ち。 

 

②傍線部は形式段落のはじめにあります。

形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」ですから、このあと説明されるはずだという意識で読みます。

 

まず傍線部を含む一文を確認すると、傍線部が主語になっていることが分かります。

 

古楽再入門』=自分自身にとっての「古楽への決別宣言」

つまり、古楽に対して決別しようという心情と分かります。

 

ただ「古楽への決別宣言」とはどういうことかがよく分かりませんから、先を読み進めます。

 

「オリジナル楽器を手放さない、古楽が教えてくれた音楽的な視点を忘れない」と説明が続き、「それ(「古楽への決別宣言」)」=「『オリジナル楽器での演奏でなければ、古楽ではない』といった偏狭な古楽観への決別宣言」で形式段落がまとめられています。

 

これが筆者の心情です。

 

ここで選択肢の文末を見てみても、この内容になっているものはありません。

「決別」することが何を意味するのかを読み取る必要がありそうです。

 

形式段落のおわりは次の形式段落に繋がっていくので、形式段落13を読みます。

 

形式段落13のおわり(まとめ)に古楽には問題点があると述べられており、続く形式段落14にはその具体例が述べられています。

 

そして続く形式段落15のはじめに「このような状況が歯がゆかった」と筆者の心情が述べられています。

 

形式段落のつくりが「この話するよ→説明→まとめ」なので、この段落で筆者の心情が述べられていくことが分かります

 

この段落の内容をまとめます。

古楽の歴史、思想を明確にし、これからを考えたい」「古楽とは何かという人のための本になる」「この本を幹に、実践や鑑賞に役立てて欲しい」

 

②③の内容をまとめます。

「オリジナル楽器での演奏でなければ、古楽ではない」といった偏狭な古楽観に決別し、古楽の本質を捉えた本を書き、古楽の実践や鑑賞に役立ててほしいとなります

 

選択肢を見ます。

選択肢は後半(文末)から見ます。

 

 

①「これからの音楽について考えていく手がかりとなれば嬉しい」→嬉しいかどうかは微妙ですが絶対ダメとは言えないので保留です
②「音楽的な美を実現する感覚的な演奏のためには古楽の呈示した問題に向き合うことが必要だ」→確認した内容と違います
③「古楽をより深く知り楽しむための一助となってほしい」→確認した内容(古楽の実践や鑑賞に役立ててほしい)と同じです
④「これからの音楽のあるべき姿を考えるきっかけとしてほしい」→「あるべき姿を考え」てほしいと「古楽の実践や鑑賞に役立ててほしい」は違います
⑤「古楽が当たり前のものとして社会に定着できない現状をもたらしていることを指摘」→確認した内容と違います 

 

①と③が残ったので前半を確認します。

 

 

①「今なお忠実に繰り返しているアンサンブルは高く評価できる」→確認した内容と違います
③確認した内容と同じです 

 


問5

 

ポイントは2つです。

 

 

①「どういうものか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②問われている内容は本文のテーマである。 

 

①筆者のとっての「古楽」がどういうものかが問われています。

つまり、この文章で述べられている古楽の内容説明問題と言えます。

 

②読んで分かるように「古楽」はこの文章のテーマです。

つまり、この設問は文章全体の内容を問う設問だと言えます。その際の基本的な考え方は次の通りです

 

 

各設問の内容をまとめると、本文全体のテーマになっている。 

 

一般的な問題構成は「各傍線部でそれぞれの意味段落の内容を問う」ているものでした(詳しくはマーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記をご覧ください)。

 

だとすると、各設問をまとめると本文全体の内容になっていることになります。

そして、本文全体の内容が分かれば筆者の主張(本文のテーマ)が分かるのは当たり前です。

★なお、記述模試・国公立個別試験の最後の設問やまとめの設問も同様に考えると答えを上手にまとめることができますよ。

 

今回もそれぞれの設問で「古楽」がどのようなものかを確認すればいいということになります。

 

では確認してみましょう。

 

傍線部A…これは「古楽」と対比された「旧来のクラシック音楽」が問われていました。ですから、それを確認する過程で「古楽」の方も読み取っているはずだよねということです。形式段落3,4,5から「旧来のクラシック音楽」と対比されている「古楽」を読み取ります。

 

傍線部B…筆者が「古楽」に熱中したことが述べられていました。

 

傍線部C…音楽についての問題点を解決するものとして『古楽再入門』を書いたのでした。また、古楽の実践や鑑賞に役立ちたいという気持ちも読み取れました。

 

以上を踏まえて選択肢を見ます。

選択肢はいつでも後半(文末)から見ますよ。

 

 

①「筆者の音楽愛を深める」→熱中していましたね
②「運動としては下火になった」→筆者のとっての「古楽」が下火になったというのはおかしいですね
③「クラシック音楽が…筆者独自の音楽館を覆した」→傍線部Bのあたりで衝撃を受けましたが、それは筆者独自とは言えませんね(たぶん、他の人も衝撃を受けたと思います)
④「現代の聴衆の嗜好を考慮に入れないものだった」→述べられていません
⑤「筆者の音楽館に大きな影響を与えた」→傍線部Bの辺りで衝撃を受けていました 

 

①と⑤が残ったので、前半を見ます。

 

 

①傍線部Aに関する内容の部分です
⑤「モダン楽器の世界とは無関係」が違います。形式段落16のはじめに「影響を及ぼしている」とあります。 

 

⑤が違うというのが確認した内容だけでは判断できませんが、形式段落のはじめとおわりに注目して読み進めていれば容易に違うと判断できると思います。

 


問6

 

構成・展開を問われた際のポイントは2つです。

 

 

①選択肢の最後と本文の最後が同じ内容になっているか。

②本文を読むときに、大きな流れを意識しているか。 

 

ポイントの②はある程度の国語力がないと難しいかもしれませんが、本文を読みながら(傍線部を頼りにして意味段落を意識して)「問題提起」「内容説明」「理由説明」「筆者の主張」のどの内容かを意識できることを目標にしましょう。


今回の文章の最後を確認すると、古楽は強い影響力を持っており、そのムーヴメントには終わりがないとなっています。

 

後半(文末)がこのようになっている選択肢を選ぶのが基本です。

 

すると選択肢②「古学の探究は終わりのないものである」だけが確認した内容になっていることが分かります。

 

 


いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます。

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

 

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。