高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)_国語_第2回_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)「国語」第2回第1問の解説です。

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません

ご自分で用意してください。

黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。

 

形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~20まで振られています。

 

では、始めます。

 


問1 

 

どの漢字も基本的なものばかりです。

もし2問以上間違っているならば漢字学習をすることをオススメします。

まずは漢字検定3級、準2級の問題集を使うのがいいでしょう。

その際、読みの問題からはじめて続いて書きの問題に取り組むといいですよ

センター形式の漢字問題では同音異義語が問題になるため、限られた漢字が繰り返し出題されます。正答以外の選択肢も漢字学習の対象にしましょう。

 


問2 

 

ポイントは4つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部中に指示語がある。
 →直前の内容を確認する。
③形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
④形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「両者の重なりが自明だと考えられてきた」とは、どういうことかが問われています。

なお、「自明」は「説明などをしなくても、それ自体で明らかであること」という意味です。

つまり、ここでは「両者の重なりは当たり前のことだよね」という意味合いになります。

 

②「両者」というのは指示語と考えます。直前の内容である「経済」と「政治」のことです。それが重なっていたのが「国民経済」という言葉で述べられています。

「経済と政治が重なっていること、すなわち国民経済って当たり前だよね」となりますね。

 

形式段落のつくりは「この話するよ→説明→まとめ」です。

これを意識して読んでも②で確認したことと同じになります。

 

形式段落のおわりは次の形式段落へと繋がっていきます

ここでは先程の「経済と政治が重なっていること、すなわち国民経済って当たり前だよね」の「国民経済」というのがよく分かりません。だから、次の段落に説明が続いていくんです。

 

形式段落2のはじめでは「国民経済」という言葉があって、その後にその説明になっていますよ(経済と政治が国の中だけで完結していることです)。

まとめには「自然でありいつまでも続くはずだ」と述べられ、これは傍線部の「自明」に繋がりそうです。

 

以上をまとめると

「経済と政治が国の中だけで完結する国民経済って自然だしいつまでも続くのは当たり前だよね」となります。

 

この内容になっている選択肢を選びます。
選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①「人びとの間でほとんど意識されてこなかった」→確認した内容と違います
②「異なるものであるにもかかわらず同一視されてきた」→確認した内容と違います
③「国家の中での経済的発展も見込まれるはずだ」→確認した内容と違います
④「そうした状況が普遍的なものだと思いこまれてきた」→「そうした状況」の指す内容を確認しなければいけませんが、「普遍的だと思いこまれてきた」は確認した内容の言い換えになっています
⑤「それらが同時期に成立したものである」→確認した内容と違います 

 

④しか残っていませんが「そうした状況」の指す内容を確認するために前半を見ます。
確認した内容と合っていますから正答です。

 


問3

 

ポイントは3つです。

 

 

①「説明はどれか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文で主語を確認する。
③形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされてきたはずである。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「『行くも地獄、戻るも地獄』という進退窮まる状況」の説明、つまり言い換えを問われています。

「という」はイコールを示しますから「行くも地獄、戻るも地獄」=「進退窮まる状況」です。このどちらかのニュアンスを掴みます(もちろんどちらも分かる方がいいですが)。

「行くも地獄、戻るも地獄」は「行くことも戻ることもできない状況」のことです。もうどうしていいか分からずその場にいることしかできないような状況だということです。

「進退窮まる」も同じ意味です。

このようなニュアンスが含まれる選択肢を選ぶ必要があることを頭に入れておきます(言い換え問題なのですから)

 

②傍線部だけでは「誰(何)が」進退窮まる状況かが分かりません。そこで、傍線部を含む一文を確認します。

すると、「傍線部Bに政治は直面する」となっていますから、主語は「政治(国)」だということが分かります。

 

③形式段落のおわりにあるということはこの段落で説明がされてきたはずです。

 

説明部分である中程に「一方で」という言葉があります。これは「Aがあり、一方でBだ」という2つのことを示す言葉ですから「行くも地獄」「戻るも地獄」の2つと対応しているはずです(傍線部の説明部分なのですから)。

 

ということで「人びと(国民)は福祉国家の廃止を認めない」が「お金がないと福祉国家は維持できない」という状況だということが分かります。

 

以上のことを踏まえて選択肢を見ます。主語が「政治(国)」ということ、「行くことも戻ることもできない状況」のニュアンスが必要だということを忘れてはいけませんよ。

選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①「福祉国家からの離脱を余儀なくされている」→「離脱するしかない」とういうのは傍線部の内容と違いますしニュアンスもありません

②「国民たちは、国家が福祉国家以前の状態に戻ることを認めない」→傍線部の言い換えですから主語を変えてはいけません。主語は「政治(国)」です

③「脆弱な存在になってしまう」→確認した内容と違います

④「福祉を重視する国家のあり方から離れていくことも困難だということ」→確認した内容と同じです。ちなみに「も」という助詞は重要です。「福祉国家から離れていくことも困難」ということは、もう1つ困難なことが前に述べられているということです。先程確認したように「福祉国家を維持することも困難」な訳です。前半を読んでいなくても予想できます

⑤「国家が破綻に向かってしまう」→確認した内容と違います 

 


問4

 

ポイントは2つです。

 

 

①傍線部についての筆者の意見を問う問題である。
②傍線部が疑問文である。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「ナショナリズム」が「強まっている」ことについて、筆者がどのように考えているのかが問われています。このことについて筆者はどこかで意見を述べているということです。

 

②傍線部は「どう理解すればいいのだろうか」という疑問文です。当然ながら、この後に筆者がどのように理解しているかが述べられるはずです。

 

形式段落のおわりが次の形式段落へと繋がっていくと考えてもいいかもしれませんが、疑問文が出てきたら、普通はその後にその疑問に答える形で文章は続きます

 

形式段落16のおわりには「ナショナリズムも弱まっていかないのはなぜか」です。言い方を変えると「ナショナリズムが強くなるのはなぜか」ですね。次の形式段落17に続きます。

 

形式段落17のおわりにはナショナリズムは内部で支えず、他者への攻撃の基礎になっている」です。ナショナリズムの説明がされているだけで、強くなる理由はまだ述べられていません。続きを読みます。

 

形式段落18は「比喩的にいえば」と始まっているので、前の段落のおわり「内部で支えず、他者への攻撃」の説明です。具体例や比喩(たとえ)は筆者の主張の説明ですよ

 

形式段落19のおわりには「個人の競争力に注目し蹴落とすような市場原理があり、ナショナリズムは市場にひざまずいている」です。

「蹴落とす」という表現から「他者への攻撃」の言い換えだと分かります。ナショナリズムの説明を繰り返しているだけですが、「市場」との関係は新しい要素です。

まだ強まる理由は述べられていません。

 

形式段落20のはじめは「なぜナショナリズムにとらわれるのか」です。ナショナリズムが強まる理由が述べられそうですね。

まとめであるおわりはナショナリズムはそうした計算(自分より弱い層を切り捨て強い人びとについていけばおこぼれにあずかれる)の結果として、選び取られている」です。

 

これがナショナリズムが強くなる理由です。

 

まとめると
ナショナリズムは内部で支えるものではなく市場の原理に従うものであり、弱い者を攻撃することで自分は少しでもいい目に合いたいと思い選ばれる」となります。

 

この内容になっている選択肢を選びます。

選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①「保身のための方策として人びとに選択され、拡大した」→確認した内容と同じです
②「国家の内部にいるすべての人びとに対して強く連帯を強いる」→確認した内容と違います
③「国民の連帯が脅かされているという意識」→確認した内容と違います
④「きわめて強い排他性をもった思想的傾向」→弱者を攻撃することが強い排他性とはなりません
⑤「市場に対してひざまずく思想だ」→確認した内容と同じです 

 

①と⑤が残ったので前半を確認します。

 

 

①確認した内容と同じです
⑤「市場にからめ取られないようにするための連帯を模索する」が違います。連帯はありませんでした。 

 


問5

 

ポイントは2つです。

 

 

①何について問われているかを確認する。
 →問われている内容は本文のテーマである。
②設問の作られ方を意識する。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①筆者が「政治」と「経済」との関係についてどのように考えているかが問われています。本文を読んで分かるようにこの2つの言葉がキーワードとなっています。この2つのことについて述べられている部分を本文中から探します。

 

探す際のヒントが「設問の作られ方」です

評論文の問題の作られ方は各意味段落に1つの設問があるのが基本です

つまり各意味段落の設問を解いておくと文章全体の内容が分かるというような設問構成になっていることが多いのです。

 

そのような視点で今回の本文を見てみると、傍線部Aで形式段落1~2、傍線部Bで形式段落12(7当たりから関係していることは何となく分かるはずです。税の徴収の話ですからね)、傍線部Cで形式段落15~20の内容が問われています。

 

ですから、本文中で問われていない部分は形式段落3~6辺りだと検討がつきます。

 

この中で「政治」「経済」の両方の話題を扱っているのは形式段落5、6です。

 

形式段落5のはじめには「政治がこうした動き(経済)をとどめることが難しい」と述べられ、形式段落6のはじめには「経済による政治の周辺化が、政治が直面しつつある問題の根源だ」と述べられています。

 

つまり「政治には経済を止める力はなく、しかもそれが政治の問題点の原因になっている」となります。

 

この内容になっている選択肢を選びます。

選択肢は文末(後半)から見ます。

 

 

①「政治や経済の矮小化ともたらしている」→確認した内容と違います
②「それぞれが独立し多くの問題が生じはじめている」→確認した内容と違います
③「経済が生み出した差別を政治がかろうじて解消するというあり方が一般化」→確認した内容と違います
④「経済によって政治が追い詰められ、政治にまつわる問題を生じさせている」→確認した内容と同じです
⑤「政治と経済を一体化させることが求められている」→確認した内容と違います 

 


問6

 

表現や内容(合致)の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。

 

 

いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。